ヤリス(10系)で持ち主自身が電球を替えられるのは、車外の5か所だけだ。ヘッドランプ、車幅灯、フロント方向指示灯、リヤ方向指示灯、番号灯の5つで、しかもそこにバルブが入っている仕様のときに限られる。LEDヘッドランプのオプションが付いた車は前も後ろもLEDユニットに置き換わり、自分で触れる場所は番号灯だけに縮む。だから最初にやることは型番探しではなく、自分の車がどちらの仕様かを確かめることだ。
自分で交換できるのは車外の5か所だけ
ヤリスの取扱説明書「電球(バルブ)の交換」は、持ち主が自分で交換できる電球を名指しで挙げている。フロント側が車幅灯、フロント方向指示灯/非常点滅灯、ヘッドランプの3つ、リヤ側が番号灯とリヤ方向指示灯/非常点滅灯の2つ。いずれもバルブタイプが付いている場合の話だ。
同じ節の冒頭には「電球交換の難易度は電球によって異なります。部品が破損するおそれがあるので、トヨタ販売店で交換することをおすすめします」とも書かれている。自分で交換できることと、自分で交換することを勧められていることは別で、メーカー自身がそこを分けて書いている。
一方、トヨタ販売店で交換が必要な電球として同じ取扱説明書が挙げるのは10項目ある。ヘッドランプ(LEDタイプ)、車幅灯(LEDタイプ)、LEDデイライト、サイド方向指示灯/非常点滅灯、フロント方向指示灯/非常点滅灯(LEDタイプ)、リヤ方向指示灯/非常点滅灯(LEDタイプ)、尾灯、制動灯、後退灯、ハイマウントストップランプ。テールランプもブレーキランプもバックランプも、仕様を問わず持ち主が球を差し替える対象ではない。
ハロゲン車かLED車かで、触れる場所が入れ替わる
トヨタの主要装備一覧表を見ると、ヤリスのヘッドランプは2通りしかない。「3灯式フルLEDヘッドランプ(マニュアルレベリング機能付)+LEDターンランプ+LEDクリアランスランプ」のメーカーオプションと、「プロジェクター式ハロゲンヘッドランプ(マニュアルレベリング機能付)」だ。
厄介なのは前者が束になっている点で、これを選ぶとフロントのウインカーと車幅灯もLEDになり、さらにリヤコンビネーションランプのフルLED化まで同じオプションに含まれる。LEDパックが付いた車は前後のバルブがまとめて無くなり、残る交換対象は番号灯だけになる。取扱説明書の仕様表がW数を載せているのも「ハロゲンヘッドランプ装着車」に限った項目で、ここも判定の手掛かりになる。
グレード名では決まらない。装備一覧表では複数のグレード欄に同じメーカーオプションとして載っており、取扱説明書の販売店交換リストにも「グレード、オプションなどにより、装備の有無があります」と注記が付く。なお装備一覧表によるとバックアップランプはリヤバンパー埋込式のLEDで全車標準、ドアミラーのサイドターンランプとフォグランプもLEDだ。
部位別のW数とソケット形状
対象はKSP210、MXPA10、MXPA15、MXPH10、MXPH15の各型式(諸元表の表記ではハイブリッド車がMXPH14・MXPH17)で、2020年2月の発売以降のヤリスにあたる。W数は取扱説明書の仕様一覧、ソケット形状はスタンレー電気の車種別適合表からの値だ。
| 部位 | W数 | ソケット形状 |
|---|---|---|
| ヘッドランプ(ハロゲン車) | 55W | HIR2 |
| 車幅灯(ハロゲン車) | 5W | T10 |
| フロント方向指示兼非常点滅灯 | 21W | T20ピンチ部違い(アンバー) |
| リヤ方向指示兼非常点滅灯 | 21W | T20ピンチ部違い |
| 番号灯 | 5W | T10 |
| リヤインテリアランプ | 8W | T10×31 |
| ラゲージルームランプ | 5W | T10 |
この表には「表に記載のないランプはLEDを採用しています」という注記が付く。載っていない灯火にはそもそもバルブが入っていない、という逆引きに使える注記だ。適合表でもフォグランプ、サイドの方向指示灯、ハイマウントストップランプ、バックランプ、室内灯のフロント側はLEDとされ、交換球の設定がない。
作業前にそろえるものと、外せない前提
取扱説明書は交換前にまず、切れた電球のW数を仕様一覧で確認するよう求めている。フロントの3か所(ヘッドランプ、車幅灯、フロント方向指示灯)はボンネットを開けてから、リヤの2か所(番号灯、リヤ方向指示灯)はバックドアを開けるところから始まる。工具として名前が出てくるのは、番号灯のレンズを外す小さいマイナスドライバーと、その先端に巻いて傷を防ぐテープ、それにリヤ方向指示灯のボルト2本を外すものだけだ。
安全側の指示も明確で、ランプは消灯してから作業し、消灯直後は高温になっているので触らない。電球のガラス部は素手で触れず、やむを得ず持つときは油脂や水分を付けないよう乾いた清潔な布を介する。取り付けが不十分だと発熱や発火、内部への浸水による故障やレンズ内の曇りにつながる、というのが取扱説明書の警告だ。ランプメーカーの小糸製作所も、自分で交換する場合は素手でバルブを触らないよう案内している。
5か所の交換手順
ヘッドランプ(HIR2バルブ)
取扱説明書の手順は6段階。コネクターを取りはずし、ソケットをまわして取りはずし、電球を交換する。戻すときはソケットの取り付け部を電球のツメ3ヶ所に合わせて挿し込んで固定し、コネクターを取り付ける。
最後の取り付け確認が2段階になっているのが要点だ。ソケットを軽くゆさぶってぐらつきがないことを確かめ、そのうえで一度ヘッドランプを点灯させ、ソケットの取り付け部から光がもれていないかを目で見る。光がもれる状態は水も入る状態で、ここを飛ばすと後の浸水や曇りに直結する。
車幅灯とフロントウインカー
どちらもボンネットを開けてからの作業で、手順は共通の3段階になっている。ソケットを取りはずし、電球を取りはずし、取り付けは逆の手順をたどる。実務上の違いは規格だけで、車幅灯がT10の5W、フロントウインカーがT20ピンチ部違いの21Wでアンバーだ。LEDヘッドランプ装着車ではこの2か所ともLEDになり、販売店での交換になる。
リヤウインカー
7段階あり、5か所のなかで唯一ランプ本体を車体から外す。バックドアを開け、ボルト2本をはずしてランプ本体をまっすぐ後方に引いて取りはずす。ソケットと電球を外し、取り付けは逆の手順。
戻し方に順序がある。ランプ本体は外側と下側のツメとクリップを合わせてから、ピンを合わせて取り付け、最後にボルト2本を締める。ツメとクリップが先、ピンが後という順を外すと収まらない。なおリヤの方向指示灯にはLEDタイプもあり、その場合は販売店での交換になる。
番号灯
番号灯が見えるまでバックドアを開け、小さいマイナスドライバーなどを左右どちらかのレンズの穴に挿し込み、図の矢印の方向に傾けてレンズのかん合をはずす。ドライバーの先端にはテープなどを巻いて保護するよう取扱説明書が指示している。傷が付くのを防ぐためだ。
電球を交換したら、レンズを左右どちらかのかん合部に引っかけてから押し込む。取り付けたあとにレンズを軽く引っ張り、正しく付いているかを確かめて終わりだ。番号灯はLEDパックの有無にかかわらずバルブなので、LEDヘッドランプ装着車の場合はここが唯一の作業場所になる。
室内灯は「バルブはあるが公式手順がない」場所
取扱説明書の仕様一覧にはリヤインテリアランプ8Wとラゲージルームランプ5Wが載っているので、室内側にも電球は入っている。ソケット形状は適合表でセンター側がT10×31のフェストン、リヤ側がT10だ。フロント側はLEDで、交換球の設定がない。
ところが取扱説明書の「電球交換のしかた」に手順が載っているのは車外の5か所だけで、室内灯の外し方は書かれていない。W数は公開されているのに手順は公開されていないという非対称があるので、車外の5か所と同列には扱えない。レンズの外し方を推測で埋めるより、室内灯を扱った記事のほうへ進んでほしい。
車検で見られるのは色と点滅回数
色は条文で決まっている
保安基準の細目を定める告示は、灯火ごとに色を定めている。走行用前照灯は白色で、すれ違い用前照灯もこれに準じる。車幅灯は白色、番号灯も白色、方向指示器は橙色。製品を選ぶときの最初のふるいはここで、色が外れていれば他が良くても通らない。
車幅灯について「5W以上30W以下」という数字を根拠に、LEDは5W未満だから不可という説明を見かけるが、これは読み違いだ。同じ条文の本則は夜間に前方300mの距離から点灯を確認できることで、W数の記述はそれを満たすとみなす例示にあたる。
点滅が速くなったら対策する
方向指示器には「毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するもの」という条文がある。LEDに替えて点滅が速くなった状態を放置してはいけない根拠がこれだ。純正のT20が21Wなのに対し、PIAAはウインカー用LEDをT20タイプ約4Wとしており、消費電力が大きく下がる。
対策は2通りある。IPFのように別売のハイフラッシャー防止キャンセラー抵抗の併用を必須とする製品と、PIAAのように回路制御で抵抗を不要にした製品だ。抵抗を使う方式は取り付け場所の確保まで作業に含まれる。IPFは抵抗が高温になるとして、車体の金属部分に平面部を密着させ、配線や樹脂部品から1cm以上離し、エンジンや排気管などの熱源の近くを避けるよう求めている。取り付けが不適切だと断線、ショート、出火、部品の溶解のおそれがある。
よくある質問
LEDヘッドランプ装着車のヘッドライトだけ、もっと明るいLEDに替えられる?
取扱説明書はLEDタイプのヘッドランプを販売店交換と定めている。バルブを1本抜き差しする構造ではなく、複数のLEDで組まれたユニットとして扱われているので、球の入れ替えという発想では手が付かない。
純正より明るくしたい。W数を上げてもいい?
小糸製作所は純正と違うW数への変更を勧めていない。灯体やレンズが樹脂の場合は熱で溶ける可能性があり、過剰電流でヒューズが切れる原因にもなるという理由だ。
ウインカーをLEDにしたら点滅が速い。このままで車検は通る?
告示は毎分60回以上120回以下と定めているので、範囲を外れたまま持ち込むのは避けたい。抵抗を併用するか、回路制御で対処した製品に替えるかのどちらかで、周期を戻してから受ける。
室内灯やラゲージのランプも自分で替えていい?
W数は公開されているがレンズの外し方は取扱説明書に載っていない。車外の5か所とは扱いが違うので、手順の裏付けがないまま無理にこじると内装側を傷めやすい。
ガラス部を素手で触ってしまった
取扱説明書は油脂や水分を付着させないよう求めている。乾いた清潔な布を介して持ち直し、触れた部分は同じ布で拭ってから組む。傷を付けたり落としたりした球はそのまま使わない。
まとめ
まずボンネットを開けて、ヘッドランプの後ろにバルブとソケットがあるかを実車で見てほしい。あればハロゲン車で車外5か所が作業範囲、無ければLEDパック付きで番号灯だけが範囲になる。判断がつかないときに新車時の装備を確かめる、という順序でいい。
作業の成否は最後の確認で決まる。ソケットを軽くゆさぶってぐらつきがないか、点灯させて取り付け部から光がもれていないか。この2つを見るかどうかが、後の浸水と曇りの分かれ目だ。車検で問われるのは色と点滅回数の2点なので、製品選びはここから逆算する。

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