夜の駐車場でヘッドライトが片側だけ暗い、ナンバー灯が切れて整備工場で指摘された——そんなときに最初に必要になるのは、その灯火が電球なのか純正LEDなのかという切り分けです。ヤリス(10系・2020年2月〜)は灯火の半分以上が純正LEDで、電球として抜き差しできる箇所は限られています。ハロゲン仕様のヘッドランプはHIR2、ウインカーはT20、車幅灯とナンバー灯はT10。フォグとバックランプは純正LEDながら、L1B・LW5Bという交換用バルブの規格を持っています。バルブメーカー3社の車種別適合表をもとに、灯火別の規格と交換可否を整理しました。
ヤリス10系のバルブ早見表|外装の電球は最大5か所
日星工業(POLARG)・スタンレー電気・fcl. の車種別適合表を突き合わせると、ヤリスの灯火は「電球」「純正LEDだが交換用バルブ規格あり」「LEDユニットで交換不可」の3種類に分かれます。外装で電球そのものが入っているのは、ヘッドランプ・フロントウインカー・車幅灯・リアウインカー・ナンバー灯の最大5か所です。
前まわりの灯火(ヘッドランプ・フォグ・ウインカー)
| 灯火 | 規格 | 定格 | 交換可否 |
|---|---|---|---|
| ヘッドランプ(ハロゲン仕様・Lo/Hi兼用) | HIR2 | 12V55W | 電球を交換できる |
| ヘッドランプ(LED仕様) | LEDユニット | - | バルブ単体の設定なし |
| フォグランプ | L1B(純正LED) | - | L1B対応LEDバルブに交換できる |
| 車幅灯(クリアランスランプ) | T10 | 12V5W | 電球を交換できる |
| フロントウインカー | T20(ピンチ部違い・アンバー) | 12V21W | 電球を交換できる |
| サイドウインカー(ドアミラー内蔵) | LED | - | 交換不可 |
後ろまわりの灯火(テール・ウインカー・バックランプ)
| 灯火 | 規格 | 定格 | 交換可否 |
|---|---|---|---|
| テールランプ/ストップランプ | LED | - | バルブ単体の設定なし |
| リアウインカー | T20(ピンチ部違い)またはLED | 12V21W | 電球仕様のみ交換できる |
| バックランプ(後退灯) | LW5B(純正LED) | - | LW5B対応LEDバルブに交換できる |
| ハイマウントストップランプ | LED | - | 交換不可 |
| ナンバー灯(ライセンスランプ) | T10 | 12V5W | 電球を交換できる |
室内の灯火(ルームランプ)
| 灯火 | 規格 | 定格 | 交換可否 |
|---|---|---|---|
| フロントルームランプ(マップランプ) | LED | - | 交換不可 |
| センタールームランプ | T10×31(フェストン) | 12V8〜10W | 電球を交換できる |
| ラゲージ/リアルームランプ | T10 | 12V5W | 電球を交換できる |
センタールームランプの定格は、日星工業の適合表が12V8W、スタンレー電気の適合表が12V10Wと表記が分かれます。形状はどちらもT10×31(長さ31mmの棒状フェストン球)で共通なので、LED化する場合はサイズで選べば問題になりません。
対象になる型式と年式
ヤリスという車名は2020年2月から使われています。それ以前のヴィッツとは灯火の構成が違うため、適合表を見るときは年式の区切りを外さないようにします。
適合表がカバーする型式
バルブメーカー各社の適合表は、次の型式と年式を1つの区分として扱っています。
- KSP210(1.0Lガソリン・2WD)
- MXPA10(1.5Lガソリン・2WD)/MXPA15(1.5Lガソリン・4WD)
- MXPH10(ハイブリッド・2WD)/MXPH15(ハイブリッド・E-Four)
- 年式:2020年2月〜
この区分は2020年2月以降をひとまとめにしており、2024年1月の一部改良後の車両も同じ枠に含まれます。一部改良ではラジエーターグリルの意匠変更やUグレードの追加が中心で、灯火の規格そのものは区分が分かれていません。
GRヤリス・ヤリスクロスは別枠で見る
GRヤリス(GXPA16/MXPA12)は専用のボディとヘッドランプを持つ別モデルで、バルブの適合も分けて確認します。ヤリスクロスも車名が近いだけの別車種なので、ヤリスの表をそのまま当てはめられません。ヤリスクロスの灯火については
を参照してください。
ヘッドランプはHIR2|ハロゲン仕様だけが交換できる
ヤリスのヘッドランプは、グレードと装備によってハロゲンとLEDに分かれます。上位のZは3灯式フルLEDヘッドランプが標準で、X・G・Uといった下位グレードはハロゲンが基本、LED化はメーカーオプション扱いです。
Bi-Halogenは1個でロービームとハイビームを兼ねる
ハロゲン仕様に入るバルブはHIR2、定格12V55W。片側1個、両側で2個です。HIR2は赤外線反射膜を持つハロゲンバルブで、ヤリスではプロジェクター1個の中のシャッターがロービームとハイビームを切り替える「バイハロゲン」方式に使われています。
切り替えはプロジェクター側が行うため、ハイビーム専用のバルブは存在しません。バルブメーカーの適合表でヘッドランプの欄がロービームだけ埋まっていてハイビームが空欄になっているのは、この構造が理由です。H4のような上下2フィラメントの電球とは仕組みが違い、置き換えもできません。
LEDヘッドランプ装着車はバルブ交換の設定がない
3灯式フルLEDヘッドランプは光源が基板と一体化しており、バルブだけを抜き差しする構造になっていません。適合表でも該当欄は「LED」となり、交換用バルブの品番が出ません。明るさを変えたい場合はユニットごとの交換になります。
自分のヤリスがどちらか見分ける
- 消灯した状態でレンズをのぞく:奥に口金付きの電球が見えればハロゲン、基板や導光体が見えればLED
- 点灯直後の色:ハロゲンはやや黄色寄り、LEDは白く立ち上がる
- ヘッドランプ内に細いライン状に光るクリアランスランプがあればLED仕様
- 判断がつかないときはバルブを1本抜き、根元の刻印(HIR2)を読む
フォグランプはL1B規格の純正LED
ヤリスのフォグランプはLEDフォグランプとしてメーカーオプションで設定されます。標準では付かないため、まずバンパーにフォグが埋まっているかどうかを確認します。
装着車だけが対象になる
fcl. の適合表にも「フォグランプ装着車に限り取付可能」と注記があります。フォグレスの車両にバルブだけを買っても、取り付ける先がありません。
L1Bはバルブだけを差し替えられる
L1Bはトヨタ系の純正LEDフォグで使われる交換用バルブの規格です。純正LEDでありながら、ユニットを外さずにバルブ単体を差し替えられるのがL1Bの特徴で、白と黄色を切り替えられる2色切替タイプなどに交換できます。雨や雪でロービームが乱反射する場面では、黄色側に切り替えると路面の輪郭が見やすくなります。
ウインカーはT20(ピンチ部違い)
ウインカーはヤリスの中でLED化の需要が高い箇所ですが、爪の形状とハイフラッシュの2点でつまずきやすいところです。
フロントは全車T20
フロントウインカーはT20、12V21Wのアンバー(オレンジ)。3社の適合表がそろって「T20 ピンチ部違い」と指定しています。T20には口金の爪の位置が異なるタイプがあり、汎用のT20を選ぶと爪が合わずに差し込めないことがあります。購入時はピンチ部違い対応と明記された製品を選びます。
リアは仕様でT20とLEDに分かれる
リアウインカーは車両の仕様で分岐します。フルLEDリヤコンビネーションランプの装着車はリアウインカーもLEDで、バルブ交換の設定がありません。電球仕様の車両はフロントと同じT20(ピンチ部違い)です。適合表でも「LEDまたはT20」と2通りが併記されており、現車のテールを見て判断します。
LED化するとハイフラッシュが出る
21Wの電球をLEDに替えると消費電力が大きく下がり、車両側が球切れと判断してウインカーが速く点滅します。これがハイフラッシュで、抵抗の追加やICウインカーリレーへの交換で対策します。fcl. の適合表もLEDウインカーの項目に同じ注意を添えています。
車幅灯とナンバー灯はT10
T10は最も交換しやすいウェッジ球で、工具なしで抜き差しできる箇所がほとんどです。ヤリスでは車幅灯とナンバー灯、そしてリアのルームランプが同じT10です。
車幅灯(ポジション/クリアランスランプ)
T10、12V5W。ヘッドランプがハロゲン仕様の車両に入ります。LEDヘッドランプ装着車はクリアランスランプもLEDになるため、こちらは交換できません。
ナンバー灯(ライセンスランプ)
T10、12V5W。切れたまま走ると整備不良になります。ナンバー灯は白色と決まっており、青みの強い製品は車検で指摘されます。色温度を上げすぎず、素直な白を選ぶのが安全です。
テール・ストップ・バックランプの扱い
リア周りは純正LEDが中心ですが、バックランプだけは交換の余地があります。
テール/ストップ/ハイマウントは電球の設定がない
日星工業・スタンレー電気・fcl. のいずれの適合表でも、テールランプ、ストップランプ、ハイマウントストップランプはLED表記で、バルブ単体の品番が出てきません。光らなくなった場合はユニット単位の対応になります。
バックランプはLW5B規格
バックランプ(後退灯)も純正LEDですが、LW5B(タイプA)という交換用LEDバルブの規格を持ちます。fcl. の適合表では個数は1個です。バックランプは、ユニットを替えずにLEDバルブだけで明るさを上げられる数少ない箇所で、駐車時のバックモニターの映りを改善したい場面で効きます。
交換前に確認する3つのこと
適合表は車両の仕様(ハロゲンかLEDか、フォグの有無)で枝分かれします。表だけを見て買うと外すため、次の順で詰めます。
車検証で型式を確認する
KSP210、MXPA10、MXPA15、MXPH10、MXPH15のどれに当たるかを見ます。ヤリスの場合は型式が違っても灯火の規格は共通ですが、年式が2020年2月より前ならヴィッツなので表が変わります。
現物のバルブの刻印を読む
適合表の分岐を最終的に決めるのは現車です。バルブを1本抜き、根元に刻印されたHIR2、T20、T10といった規格を直接読みます。フォグとバックランプは純正LEDのため、抜いてもガラス球は出てきません。
色の保安基準を外さない
ヘッドランプは白色、ウインカーは橙色、バックランプとナンバー灯は白色と決まっています。色を外した製品は明るさに関係なく車検で不合格になるため、色から先に絞り込みます。
よくある質問
ヤリスのヘッドライトはH4ですか?
いいえ、ハロゲン仕様のヤリスに入るのはHIR2です。H4は上下2フィラメントでロービームとハイビームを切り替える古い規格で、ヤリスのバイハロゲン式プロジェクターには使えません。口金の形状も異なるため、物理的にも装着できません。
ハイビーム専用のバルブは別にありますか?
ありません。ヤリスのハロゲンヘッドランプはプロジェクター内のシャッターでロービームとハイビームを切り替えるため、HIR2の1個が両方を兼ねています。ヘッドランプまわりで用意するバルブはHIR2を左右2個だけです。
純正LEDのフォグランプは交換できますか?
交換できます。ヤリスのフォグはL1Bという規格の純正LEDで、ユニットを外さずにバルブだけを差し替えられます。2色切替タイプに替えれば、雨や雪の日だけ黄色にする使い方もできます。ただしフォグはメーカーオプションなので、未装着車には取り付け先がありません。
バックランプを明るくする方法はありますか?
LW5B(タイプA)対応のLEDバルブに交換する方法があります。バックランプは純正LEDですが、この規格に沿った交換用バルブが流通しており、ユニット交換をせずに明るさや色温度を変えられます。
LEDヘッドランプの車をもっと明るくできますか?
バルブ単体の設定がないため、ヘッドランプユニットごとの交換になります。Zグレードなどの3灯式フルLEDは光源が基板と一体で、バルブを抜き差しする構造になっていません。
まとめ|ヤリスのバルブ交換で押さえる要点
ヤリス10系(2020年2月〜)のバルブは、次の形に整理できます。
- ヘッドランプ:ハロゲン仕様はHIR2(12V55W)。バイハロゲン式でLo/Hi兼用、ハイビーム専用球はない。LED仕様は交換不可
- ウインカー:前後ともT20(ピンチ部違い・12V21W)。フルLEDリヤコンビ装着車のリアはLEDで交換不可。LED化にはハイフラ対策が要る
- 車幅灯・ナンバー灯:T10(12V5W)
- フォグ:L1B規格の純正LED。装着車のみバルブ交換ができる
- バックランプ:LW5B規格の純正LED。バルブ交換で明るくできる
- テール/ストップ/ハイマウント/サイドウインカー:LEDユニットで交換不可
- ルームランプ:センターはT10×31、リアはT10
購入前にやることは2つだけです。車検証で型式と年式を確認し、実際にバルブを抜いて根元の刻印を読むこと。ヤリスは同じ車名でもハロゲン仕様とLED仕様で買うものが変わるため、この2手を省かないのが遠回りに見えて最短です。

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