ヤリスの異音 原因と対処|音別早見表とリコール確認

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通勤で毎日動かしているヤリスから、ある朝ふいにコトコトという音が返ってくる。段差を越えたときだけなのか、速度を上げると変わるのか、判断がつかないまま数日が過ぎる場面は珍しくない。10系ヤリスは直列3気筒エンジンとハイブリッドの制御音が多く、仕様どおりの音と点検が必要な音が混ざって耳に届く。トヨタが取扱書で「異常ではありません」と明記している音を先に外し、残った音を発生条件で切り分けると、原因はかなり絞り込める。

目次

音の特徴と発生条件で原因を絞る早見表

異音の切り分けは、部品名から入らず音の性格と発生条件を整理するのが近道になる。次の表は、音の特徴から発生源を当てるための対応表。

音の特徴 出るタイミング まず疑う場所 自分でできる確認
コトコト・カタカタという打音 段差、荒れた低速路 前まわりのロアアーム、スタビライザーリンク、積載物 荷室を空にして再現するか
ゴー・ウォーンと速度に連動する音 40km/h以上で大きくなる タイヤの偏摩耗、ハブベアリング 空気圧、左右差、カーブでの音量変化
キーキー・シャリシャリ ブレーキを踏んだとき ブレーキパッドの摩耗、異物の噛み込み 踏みしろと効きの変化
コトン・カチッという短い音 システム始動時・停止時 高電圧リレー(ハイブリッドの作動音) パワースイッチ操作と一致するか
ウィーン・シャーというモーター音 発進時と減速時 駆動モーターと回生ブレーキ(作動音) 加減速に完全連動するか
ブーンという連続音 停車中、登坂のあと リヤシート下の電池冷却ファン(作動音) 外気温の高い日に増えるか
ガクッという発進時のショック 停止直前、再発進 Direct Shift-CVTの発進ギヤ切替 同じ速度域で毎回出るか
ビビリ・軋み 荒れた路面、寒暖差の大きい朝 内装パネル、後付けパーツ 手で押さえると止まるか

表の4〜6行目は、トヨタがハイブリッドの取扱書で正常な作動音として挙げている音にあたる。1〜3行目は放置すると摩耗や損傷が進む側で、点検の優先度が高い。音が「段差」「車速」「ブレーキ操作」「エンジン回転」のどれに連動するかを最初に決めると、点検の当たりが一気に付く。

トヨタが「異常ではない」と明記している音

ヤリスのハイブリッド車(MXPH10/MXPH15、2024年1月の一部改良で加わったMXPH14/MXPH17)の取扱書は、ハイブリッドシステム始動後に発生する音と振動を9項目挙げ、「異常ではありません」と明記している。ガソリン車(KSP210/MXPA10/MXPA15)と共通する項目もあり、この9つを先に外すと切り分けが速く進む。

車両後方から鳴るコトン・カチッという音

取扱書は、ハイブリッドシステムの始動時および停止時に車両後方から聞こえる「コトン」「カチッ」といった高電圧リレーの音を、正常な作動音として挙げている。駆動用電池の回路を接続・遮断するリレーが動く音で、パワースイッチを押したタイミングと完全に一致して鳴るのが特徴になる。バックドアを開けたときに聞こえる作動音も、同じく正常音として列挙されている。始動・停止の操作と無関係に鳴るときだけ、切り分けの対象に移す。

リヤシート下から聞こえるファンの音

駆動用電池を冷やすファンの音も、取扱書が挙げる正常音の1つ。ヤリスでは「リヤシート下(左側)にある吸入口から聞こえるファンの音」と場所まで明記されており、登坂のあとや外気温の高い日に回転が上がって耳に付きやすくなる。停車中にブーンという連続音だけが残るのは、電池の温度を保つための冷却動作にあたる。荷物や座席まわりで冷却の吸気部をふさぐと電池温度が上がるため、音が気になっても塞がない。

エンジンの始動・停止とトランスミッション付近の音

ハイブリッド車は、駆動用電池の残量、暖機、エアコンの要求に応じてエンジンを自動で始動・停止する。取扱書は、ガソリンエンジンの始動・停止時や低速走行時、アイドリング中にトランスミッション付近から聞こえる音と、始動・停止による振動を、いずれも正常な範囲として扱っている。停車中に何も操作していないのにエンジンがかかり、しばらくして静かに止まる繰り返しは、制御どおりの動きになる。エンジン始動と同時に金属的な打音やガラガラという音が重なるときは、正常音とは別に扱う。

回生ブレーキと急加速時のエンジン音

ブレーキペダルを踏んだとき、あるいはアクセルペダルをゆるめたときに聞こえる回生ブレーキの音、急加速時のエンジン音、エンジンルームからのモーター音も、取扱書が挙げる正常音に含まれる。回生ブレーキの音は減速操作に完全連動し、ペダルの感触と効きが一定であれば点検の対象にならない。踏みしろが深くなる、効きが落ちる、警告灯が同時に点くといった変化が重なるときは、正常音として片付けない。

3気筒エンジン特有の振動とこもり音

ヤリスのエンジンは、1.0Lの1KR-FE、1.5LガソリンのM15A-FKS、ハイブリッドのM15A-FXEのいずれも直列3気筒。4気筒に比べて構造的に振動が出やすく、アイドリング時の微振動や低回転域のこもり音は仕様の範囲に入る。信号待ちで車体が小刻みに震える、発進直後にブルブルという振動が伝わる、といった症状の多くはここに含まれる。エンジン回転に完全比例して増減する音は3気筒特性を先に疑い、回転と無関係に出る音を切り分けの対象にする。

点検が必要な異音のパターン

正常な作動音を外していくと、残るのは摩耗・緩み・腐食に由来する音になる。ここからは発生源ごとに、症状の現れ方と手元でできる見分け方を並べる。

段差でコトコト鳴る前まわりの打音

段差や荒れた低速路でフロントから返るコトコト、カタカタという打音は、ロアアームのボールジョイントとスタビライザーリンクが候補の上位に来る。どちらもボールジョイント部が摩耗するとガタが生じ、路面からの入力のたびに打音が出る。ヤリスの場合、前輪ロアアームについて2件のリコールが国土交通省に届け出されており、対象期間は2019年12月から2024年1月までの生産車に及ぶ。フロントの打音は、部品交換を検討する前にリコール対象かどうかを調べるほうが早く、費用もかからない。

速度に連動するゴー音

40〜60km/hあたりから大きくなり、速度を落とすと小さくなるゴー、ウォーンという音は、タイヤかハブベアリングが候補になる。ヤリスの純正タイヤは、X・GとハイブリッドX・Gが175/70R14、ZとハイブリッドZが185/60R15。空気圧不足のまま走り続けると偏摩耗が進み、トレッド面が段差状に減って走行音の性格そのものが変わる。タイヤ由来なら手でトレッド面をなぞったときの段差やささくれで気づけ、ハブベアリング由来なら緩いカーブでステアリングを左右に振ると音量が変化する。偏摩耗まで進んだタイヤのゴー音は、空気圧を規定値に戻しても消えない。

ブレーキのキーキー音とシャリシャリ音

ブレーキを踏んだときのキーキーという高い音は、パッドの摩耗が進んだときに出る金属の摩擦音か、パッドとディスクの間に小石などの異物が噛み込んだときの音が多い。洗車後や雨天の朝に一時的に出る軽い鳴きは、ディスク表面の錆が削れる過程で収まることもある。一方、シャリシャリと砂を噛むような音が続くときは、パッドが限界まで減ってディスクを削っている可能性がある。踏みしろが深くなる、効きが落ちるといった変化が重なるときは、走行を控えて点検に回す。

発進時のショックと変速の引っかかり

1.5Lガソリン車が積むDirect Shift-CVTは、発進用のギヤをCVTに組み込んだ機構で、最もトルクが要る発進をギヤが受け持ち、速度が乗るとベルト駆動に切り替わる。ベルトだけで全域を受け持つCVTとは構造が違うぶん、切り替わりの前後でAT車の変速に近い感触や、小さな打音として伝わることがある。1.5Lガソリン車にはX・G・Zの各グレードに6速MTの設定もあり、MT車ではクラッチまわりの音が別途の切り分け対象になる。同じ速度域で毎回同じように出るなら機構の特性側、回を追って強くなる・変速が滑る・警告灯が点くなら不具合側として切り分ける。

ロアアームのリコール2件を先に確認する

前まわりの打音や走行安定性の違和感があるなら、部品交換に進む前にリコール対象かどうかを調べるのが先になる。ヤリスの前輪ロアアームには、原因の異なる2件のリコールが届け出されている。

2023年6月届出(製造に起因する亀裂)

2023年6月23日に届け出されたリコールは、ヤリス・アクア・シエンタの計59万4140台が対象で、製作期間は2019年12月11日〜2023年5月9日。届出内容は「前輪緩衝装置のロアアームにおいて、ボールジョイント取付部の製造が不適切なため、亀裂が生じているものがある」というもので、凹凸路面等を繰り返し走行すると亀裂が進展し、最悪の場合ロアアームが破断してボールジョイントが脱落し、走行安定性を損なうおそれがあるとされている。改善措置は、全車両の左右ロアアームを点検し、亀裂が生じているものを良品と交換する内容になっている。対象が生産初期からの広い範囲に及ぶため、中古で購入したヤリスは実施済みかどうかの確認が要る。

2024年1月届出(融雪剤による腐食)

2024年1月31日に届け出されたリコールは、同じく前輪ロアアームのボールジョイント取付部が対象で、台数は計79万329台、製作期間は2019年12月11日〜2024年1月19日。届出内容は「前輪ロアアームのボールジョイント取付部において、使用環境に対する耐久性の検討が不十分なため、降雪地域で融雪剤が頻繁にかかると、腐食して亀裂が生じることがある」というもの。改善措置は点検ではなく、全車両の左右ロアアームを対策品に交換する内容になっている。降雪地域で乗ってきたヤリスは、腐食側のリコールに該当する可能性を先に潰す。

自分の車が対象かを調べる手順

対象かどうかは車台番号で判定する。車検証に記載された車台番号を控え、トヨタのリコール等情報ページで検索すると、未実施のリコールがあるかどうかが分かる。すでに実施済みであれば、その履歴も表示される。判定に迷うときは、車台番号を伝えてディーラーに問い合わせれば同じ結果が得られる。リコールによる改善措置は、新車保証の期間が過ぎていても、走行距離にかかわらず無償で受けられる。

自分でできる切り分け手順

手順1 音が何に連動するかを決める

最初に決めるのは、音が「車速」「エンジン回転」「ブレーキ操作」「段差」のどれに連動するかの1点。平坦な道でアクセルを戻し、惰性で走ったときに音が続くなら車速側、消えるならエンジン回転側になる。ブレーキを踏んだときだけ出るならブレーキまわり、段差でだけ出るなら足回りか積載物に絞れる。この連動先が決まるだけで、点検すべき場所は大きく減る。

手順2 室内と荷室を空にして再現を見る

足回りの音だと思っていたものが、荷室の工具やパンク修理キット、ドアポケットの小物だったという例は多い。荷室とドアポケットを完全に空にし、リヤシートを正しい位置に起こした状態で、音の出た道を同じ速度で走り直す。それで消えるなら積載物、残るなら車両側の音になる。車両側の音かどうかの判定は、荷室を空にして走り直すだけで付く。

手順3 足回りを目視で確認する

平らな場所に停め、フロントバンパー付近を上から強く押して離したとき、車体が1〜2回で収まらずふわふわと揺れ続ける場合は、ダンパーの劣化が疑われる。タイヤは溝の残量だけでなく、内側と外側の減り方の差、トレッド面の段差状の摩耗を見る。空気圧は運転席側ドア開口部のラベルにある規定値と照らす。ジャッキアップして足回りを揺する確認は、支持が不十分だと車両の落下につながるため、整備工場に任せる。

内装のビビリ音と後付けパーツ

樹脂パネルとドア内張りの軋み

ヤリスは軽量化のために内装に樹脂パネルを多く使っており、荒れた路面や寒暖差の大きい朝に、パネルの勘合部が擦れてビビリ音や軋み音が出ることがある。音のする付近を手のひらで押さえて止まるなら、発生源はその勘合部にある。パネルの合わせ目にフェルトテープを挟む、内張りクリップの浮きを戻すといった対処で収まる例が多い。手で押さえて止まる音は、機構の不具合ではなく内装の勘合による音になる。

後付けパーツと配線に由来する音

ドライブレコーダーの配線、社外ナビ、ずれたフロアマットも、内装の異音源になる。とくに配線を内張りの裏へ押し込んだだけの取り回しは、走行中に配線が樹脂を叩いてカタカタと鳴りやすい。後付けパーツを入れた直後から音が出はじめた場合は、部品の故障より取り付け部を先に疑う。音の出はじめた時期と、パーツを取り付けた時期が一致するかどうかを確認する。

保証の範囲とディーラーへの伝え方

一般保証と特別保証で直る範囲

トヨタの新車保証は、一般保証が3年または6万km、特別保証が5年または10万kmの、いずれか早いほうまで。エンジン機構やステアリング機構など、走行と安全にかかわる主要部品は特別保証の対象になる。一方、ブレーキパッドやワイパーゴムのような消耗品と油脂類は対象外で、摩耗に由来する音は保証では直らない。ロアアームの2件はリコールであり、保証期間を過ぎていても無償の対象になる。

音・条件・時期の3点で伝える

整備の現場で最も困るのは「なんとなく異音がする」という伝え方になる。持ち込むときに伝えるのは、①どんな音か(コトコト/ゴー/キーキー)②どんな条件で出るか(段差・40km/h以上・ブレーキ時)③いつから出はじめたか、の3点で足りる。可能なら車内でスマートフォンに録音し、症状の出る道を一緒に走ってもらうと再現が早い。「再現しない」と言われたときは、音の出る道と条件を指定して同乗走行を頼む。

よくある質問

ヤリスの3気筒エンジンの音や振動は故障ですか

1.0Lの1KR-FE、1.5LのM15A-FKSとM15A-FXEはいずれも直列3気筒で、4気筒より構造的に振動が出やすい。アイドリング時の微振動や低回転域のこもり音は仕様の範囲に入る。エンジン回転に完全比例して増減する音は3気筒特性を先に疑い、回転と無関係に出る音を切り分けの対象にする。

停車中に突然エンジンがかかるのは異常ですか

ハイブリッド車では、駆動用電池の残量、暖機、エアコンの要求に応じてエンジンが自動で始動・停止する。取扱書もエンジンの始動・停止による音と振動を正常な範囲として挙げている。始動と同時に金属的な打音が重なる場合だけ、別途の切り分けが要る。

車両後方から聞こえるコトンという音は何ですか

ハイブリッドシステムの始動時と停止時に車両後方から聞こえる「コトン」「カチッ」という音は、駆動用電池の回路を切り替える高電圧リレーの作動音で、取扱書が正常音として明記している。パワースイッチの操作と完全に一致して鳴るのが特徴になる。

前まわりのコトコト音を放置するとどうなりますか

ロアアームのボールジョイント取付部に亀裂がある場合、凹凸路面等を繰り返し走行すると亀裂が進展し、最悪の場合はロアアームが破断してボールジョイントが脱落し、走行安定性を損なうおそれがあるとリコール届出に記載されている。前まわりの打音は放置せず、リコール対象かどうかの確認から入る。

ヤリスのリコールが実施済みか確認する方法はありますか

車検証に記載された車台番号を控え、トヨタのリコール等情報ページで検索すると、未実施のリコールの有無が分かる。ディーラーに車台番号を伝えても同じ判定ができる。改善措置は年式や走行距離にかかわらず無償になる。

発進時のショックや打音はCVTの故障ですか

1.5Lガソリン車のDirect Shift-CVTは発進用ギヤを内蔵し、発進をギヤ、その後をベルト駆動が受け持つ。切り替わりの前後で変速に近い感触が伝わることがあり、同じ速度域で毎回同じように出るなら機構の特性側になる。回を追って強くなる、変速が滑る、警告灯が点く場合は不具合として点検に出す。

まとめ

ヤリスの異音は、トヨタが取扱書で「異常ではありません」と明記している9項目を先に外すところから始まる。高電圧リレーのコトン音、リヤシート下のファンの音、回生ブレーキの音、エンジンの自動始動・停止による音と振動は、いずれも仕様どおりの作動音にあたる。残った音は、段差でのコトコト(ロアアーム・スタビライザーリンク)、速度に連動するゴー音(タイヤの偏摩耗・ハブベアリング)、ブレーキのキーキー音(パッドの摩耗)に大きく分かれる。とくに前まわりの打音については、2023年6月と2024年1月に届け出された2件のロアアームのリコールが2019年12月以降の生産車を広くカバーしているため、車台番号での対象確認を最優先に置く。音の種類・発生条件・出はじめた時期の3点を控えてから整備工場に持ち込めば、原因の特定は一気に速くなる。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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