ヤリスの車中泊マット|荷室1,333mmの段差対策

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道の駅で仮眠を取ろうと後席を倒してみたものの、背中に段差が当たって寝返りも打てない。ヤリスのようなコンパクトハッチバックでは、そこで「この車で車中泊は無理」と結論が出てしまいがちです。ところがトヨタ自身が公式の緊急時ヘルプブックの中で、ヤリスについて「助手席とラゲージの併用で、身長170cmの大人2名が就寝できる」と明記しています。足りていないのは車のサイズではなく、荷室の実寸に合った寝床の組み方と、その寸法に収まるマットの選び方です。ここではカタログの荷室寸法とトヨタ公式の就寝データを突き合わせ、ヤリスで実際に横になれるレイアウトと、そこに合うマットのサイズ・厚みを整理します。

目次

荷室の床は約133cm|まず寸法を突き合わせる

車中泊のマット選びは、寝る場所の実寸を知るところから始まります。ヤリスの場合、後席を倒して得られる床面と、トヨタが公式に示している「就寝できる身長」の間には少しギャップがあり、その差を理解しておかないとマットのサイズを外します。

カタログ上の荷室・室内寸法

項目 数値
室内長 1,845mm
室内幅 1,430mm
室内高 1,190mm
荷室長(後席使用時) 最大630mm
荷室長(後席を両側とも前倒し) 最大1,333mm
荷室幅 最大1,153mm
荷室高 最大831mm
カーゴエリア容量(VDA方式・2WD/デッキボード非装着) 270L
カーゴエリア容量(デッキボード下段/上段) 257L/209L
カーゴエリア容量(E-Four) 209L
リヤシート 6:4分割可倒式

後席を両側とも倒したときの床面は、長さ約1,333mm=133cm、幅は最大でも約1,153mm=115cm。 身長170cmの人がまっすぐ足を伸ばすには、長さが40cm近く足りない計算になります。ヤリスの車中泊が「荷室に寝袋を放り込めば終わり」にならない理由は、この一点に尽きます。

なお、この床面寸法はヤリス専用として販売されている車中泊マットの実寸とも符合します。後述するSHINKE(Field Strike)のヤリス専用マットは135cm×115cmで、上の1,333mm×1,153mmとほぼ同じ。専用品メーカーが「荷室の中で完結する寝床は135cm級」と設計している事実そのものが、カタログ数値の裏取りになっています。

トヨタ公式が示す「就寝できる身長」

トヨタは災害時の車中泊を想定した公式資料(緊急時ヘルプブック)を車種別に公開しており、ヤリス版には就寝可能な身長と人数が具体的に書かれています。

レイアウト 就寝できる身長・人数(トヨタ公式表記)
助手席とラゲージの併用 身長170cmの大人2名
ラゲージのみの利用 身長160cm以内なら2名
前席のリクライニング(シート就寝) 身長170cm前後まで

床面が133cmしかないのに「ラゲージのみで160cm」と書かれているのは、頭か足のどちらかを斜めに逃がしたり、足元の空間を使ったりすることが前提だからです。参考までに、133cm×115cmの床面の対角線は計算上およそ176cmになります。ただし内張りやタイヤハウスの張り出しがあるため、対角線をそのまま使い切れるわけではありません。「荷室だけで足を伸ばして寝られるのは160cm以下、170cm級は助手席まで使う」というのが、公式データから読み取れるヤリスの現実的な線引きです。

型式とグレードで変わる3つの前提

同じヤリスでも、駆動方式とグレードで荷室の条件が変わります。マットを買う前に自分の車がどれに当たるのかを、車検証で押さえておきます。

対象になる型式

10系ヤリス(2020年2月〜)の型式は次の5つです。

型式 エンジン 駆動
KSP210 1.0L ガソリン 2WD
MXPA10 1.5L ガソリン 2WD
MXPA15 1.5L ガソリン 4WD
MXPH10 1.5L ハイブリッド 2WD
MXPH15 1.5L ハイブリッド E-Four(4WD)

末尾が「10」なら2WD、「15」なら4WD/E-Fourという対応です。車中泊マットの適合表もこの5型式で書かれていることがほとんどなので、車検証の型式欄をそのまま照合すれば迷いません。駆動方式の違いは見た目だけの話ではなく、後述するとおり荷室の床下容量に直結します。

リヤシートは全グレード6:4分割可倒式

ヤリスのリヤシートは、最廉価のXグレードを含めて全車が6:4分割可倒式です。トヨタの主要装備一覧表でもXの標準装備として6:4分割可倒式リヤシートが記載されており、グレードによって「倒せない」ということはありません。分割できるということは、左右どちらか一方だけを倒して、片側に長い寝床、もう片側に荷物置き場という使い分けもできるということです。

この6:4という分割比は、ソロで車中泊するときに効いてきます。運転席の後ろ側(4の側)だけを倒せば、助手席側の後席はそのまま残せます。トヨタ公式が推す170cm対応レイアウトも、まさにこの発想です。

アジャスタブルデッキボードの有無が段差を決める

ヤリスには荷室の床面高さを2段階に調整できるアジャスタブルデッキボードが設定されています。Zグレードには標準装備、GとXではオプション扱いです。下段にすると床面が117mm下がり、カーゴ容量は上段209Lから下段257Lへ増えます。

車中泊の観点では、この上下がそのまま段差の大小に化けます。床面を上段にセットすると、倒した後席の背もたれ面との高さが近づき、段差が小さくなります。逆に下段は容量重視のモードで、段差は拡大します。 デッキボード付きのヤリスなら、寝る前に上段へ入れ替えるだけでマットに求める厚みが変わります。

なお、E-Four(4WD)車のカーゴ容量は209Lにとどまり、2WDのデッキボード非装着車の270Lより小さくなります。床下の余裕が少ないぶん、畳んだマットや寝袋を床下に隠しておくといった収納の逃げ道が使いづらい点は、購入前に見込んでおきます。

段差はどこにできて、何を埋めるのか

「後席を倒すと荷室開口部までフラットになる」と紹介されることの多いヤリスですが、体を横たえると凹凸ははっきり分かります。段差の場所を先に特定しておくと、埋めるべき厚みが決まります。

段差ができる3か所

第一が、荷室の床面(デッキボード面)と、倒した背もたれの背面との継ぎ目です。デッキボードを下段にしていると117mmぶんの落差がそのまま出てきます。

第二が、座面と背もたれの折れ目です。背もたれを前に倒しても座面は残るため、腰から背中にかけて当たる位置に稜線ができます。トヨタ公式のヘルプブックも、この部分について「座面と背もたれの段差にクッションを置き、足元をダンボールやタオルで埋めると、足を下ろさず休む事ができる」と対処法を示しています。

第三が、後席の足元です。ここは大きく落ち込んだ空洞になっており、同じ公式資料が「後席足元のスペースは、かなり広いため、ダンボールやクッションで埋めるにはたくさん用意する必要がある」と、はっきり手間の大きさを認めています。ヤリスの段差対策は「マット1枚で全部平らにする」のではなく、荷室の面はマットで、座面の稜線はクッションで、足元の空洞は詰め物で、と役割を分けるのが正攻法です。

公式が挙げている小ワザ

ヘルプブックには、ヘッドレストを反転させて差し込むと頭部分が水平になり楽に就寝できる、という記述もあります。倒した背もたれの上でヘッドレストが枕代わりの平面をつくるという発想で、追加の出費なしにできる調整です。前席をリクライニングして寝るスタイルについても、「前席のリクライニングはそれほど水平にならないが、足元に荷物を置けば身長170cm前後の人まで就寝可能」とされています。

後席の倒し方と、やってはいけないこと

寝床づくりの手順そのものは短時間で終わります。ただし取扱説明書に明記された禁止事項が2つあり、ここを外すと安全にかかわります。

倒す手順

トヨタの取扱説明書に沿うと、リヤシートの背もたれを前に倒す手順は次の流れです。

  1. パーキングブレーキをかけ、フロントシートを前方に移動させる
  2. リヤ中央席のシートベルトのバックルを格納する
  3. リヤのヘッドレストを最下位まで下げる
  4. ロック解除レバーを引きながら、背もたれを前方に倒す

戻すときは背もたれを起こして固定し、シートを前後に軽くゆさぶって固定を確認します。取扱説明書は、レバーの赤色が見えていない状態が固定完了のサインだと説明しています。シートベルトを挟み込んだまま戻さないことも、あわせて書かれています。

走行中にやってはいけない2つのこと

取扱説明書の警告は明快です。ひとつは「走行中にリヤシートを操作しない」こと。もうひとつが「倒した背もたれの上やラゲージルームに人を乗せて走行しない」ことです。フラット化した荷室は停車して眠るための空間であって、そこに人を寝かせたまま移動するのは想定されていません。 出発前に背もたれを起こす、という一手間を習慣にしておきます。

身長別・ヤリスで成立する3つの寝方

トヨタ公式のデータをレイアウトに落とすと、選択肢は3つに整理できます。自分の身長と同乗者の人数で決めます。

ラゲージ就寝(身長160cm以内・最大2名)

後席を両側とも倒し、荷室から後席背面までを一続きの寝床にするパターンです。公式資料では身長160cm以内なら2名までとされています。床面の幅は最大1,153mmなので、2名なら1人あたり約57cm。肩幅ぎりぎりの計算になり、横向きで寝る前提です。マットは135cm×115cm級の1枚もの、または60cm幅程度のマットを2枚並べる形が収まります。

助手席+ラゲージの併用(身長170cm・2名)

トヨタが170cm対応として挙げているのがこの形です。助手席のシートをリクライニングし、運転席後ろの後席だけを前に倒します。すると助手席側に1名、荷室から倒した後席にかけての縦長スペースにもう1名、という配置になります。6:4分割の恩恵をそのまま使うレイアウトで、運転席側は触らないので、荷物を積んだままでも成立するのがこのパターンの強みです。 ソロで身長170cm前後なら、この縦長スペースを1人で占有すると足を伸ばせます。

フロントシートリクライニング泊(設営ほぼゼロ)

ヘルプブックがヤリスの「おすすめスタイル」として挙げているのが、前席をリクライニングして寝る方法です。荷室に手を付けないので設営時間はほぼゼロ。ただし前席の背もたれは水平近くまでは倒れないため、足元に荷物を置いて脚の高さを稼ぐという補正が要ります。仮眠や、荷物を降ろしたくない移動中の休憩にかみ合う選択肢です。

マットのサイズと厚みをどう決めるか

寸法と段差が分かったところで、マットの仕様に落とし込みます。ヤリスの場合、決めるべき変数は幅・厚み・分割の3つです。

幅は115cmが上限、実質は100cm前後で考える

荷室幅は最大1,153mmですが、これはタイヤハウスの上まで含めた最大値です。床面レベルで実際にマットを敷ける幅は1,000mm前後、荷室の開口部はさらに狭く900mm程度まで絞られます。115cm幅のマットは「入るが、タイヤハウスに乗り上げる部分がある」前提で選ぶのが安全で、平らな面だけを使いたいなら幅100cm以下に抑えます。 2名で寝るなら、幅60cm級のシングルマットを2枚並べる構成のほうが、積み下ろしも寝返りの独立性も扱いやすくなります。

厚みは5cmが下限、段差を残すなら8cm以上

ヤリス専用マットの厚みは50mm(5cm)で、これに別体の段差解消マットを組み合わせる設計になっています。つまり専用品ですら「5cmの面材+段差用の詰め物」という二段構えです。汎用のインフレーターマットで済ませる場合は、段差をマット単体で吸収させることになるため、厚みは8cm以上が目安になります。デッキボードを上段にできるグレードなら段差そのものが小さくなるので、5〜8cmでも十分に成立します。

分割式かどうかで積みっぱなしの可否が変わる

ヤリスの荷室は後席を起こすと630mmしかありません。マットを積んだまま日常使いするなら、丸めて自立する分割式・ロール式が現実的です。1枚もので135cm×115cmといったサイズを選ぶと、収納時のかさが荷室の大半を食います。週末だけ積むのか、常時積みっぱなしにするのかで、ここは分かれます。

車種専用マット・ベッドキットという選択肢

汎用マットで組むか、ヤリス専用設計を買うか。2026年7月時点で確認できる専用品は次のとおりです。

製品 仕様 価格(税込)
SHINKE(Field Strike)ヤリス専用 車中泊マット 135cm×115cm・厚み50mm・段差マット(87cm×110cm)付属・PUレザー/硬綿ポリエステル 31,900円
シークレットベース ヤリス車中泊ベッドキット(フラットマン400) シングルスタイル/ダブルスタイルの2構成 シングル39,300〜43,230円/ダブル49,300〜54,230円

専用品の価値は、寸法合わせに悩まなくていい点と、段差用のパーツが最初から付いてくる点にあります。SHINKEのマットに87cm×110cmの段差マットが同梱されているのは、まさに前述した「座面と背もたれの折れ目」「足元の空洞」を埋めるためのものです。汎用マット1枚では届かない段差を、専用品は最初から別部材で解いている——ここが2〜3万円の価格差の中身です。 一方で、年に数回しか使わない、身長が160cm以下でラゲージ就寝で足りる、といった条件なら、幅60cm級のインフレーターマット2枚と手持ちのクッションでも寝床は成立します。

マットの次に効く装備

寝床が平らになると、次に眠りを妨げるのは光と温度と空気です。ヤリスは全高1,500mm前後で室内高1,190mm、キャンピング仕様の背高ミニバンのような余裕はないため、装備は最小限を効かせる方向で選びます。

目隠しは、フロントガラスとリヤの3面を塞げるサンシェード類が基本になります。プライバシーの確保だけでなく、朝日で強制的に起こされるのを防ぐ効果が大きい部分です。換気は、対角にある2枚の窓を数センチずつ開けて空気の通り道をつくると結露が減ります。虫の季節は網戸タイプの窓カバーが要ります。電源については、ヤリスにはアクセサリーソケット(DC12V・120W)が備わりますが、エンジン停止中の連続使用は避け、ポータブル電源を持ち込むのが安全側の判断です。

よくある質問

ヤリスで大人2人は寝られますか

寝られます。トヨタ公式の資料では、助手席とラゲージを併用すれば身長170cmの大人2名、荷室だけを使う場合は身長160cm以内なら2名とされています。ただし荷室の幅は最大1,153mmで、2名だと1人あたり約57cmです。ゆとりを求めるなら、1名はフロントシートのリクライニング泊に回すほうが快適に眠れます。

マットの厚みは何cmを選べばいいですか

デッキボードを上段にセットできるグレード(Z標準、G・Xはオプション)なら5〜8cm、デッキボードがない車や下段のまま使う場合は8cm以上を目安にします。ヤリス専用マットは厚み50mmですが、これは段差解消用の別マットとセットで使う前提の数値です。マット1枚で完結させたい場合ほど、厚みを積む必要があります。

後席を倒したまま人を乗せて走ってもいいですか

いけません。トヨタの取扱説明書は「倒した背もたれの上やラゲージルームに人を乗せて走行しない」と明記しており、走行中にリヤシートを操作することも禁じています。フラット化した荷室は停車中に眠るための空間です。出発前に背もたれを起こし、レバーの赤色が見えていないことを確認してから発進します。

ヤリスクロスやGRヤリス用のマットは流用できますか

荷室寸法が異なるため、そのままの流用は避けます。ヤリスクロスはSUVボディで荷室が明確に広く、GRヤリスは3ドアで開口部と後席まわりの形状が違います。適合表に「ヤリス(10系・KSP210/MXPA10/MXPA15/MXPH10/MXPH15)」と書かれているものを選ぶのが確実な方法です。

まとめ|ヤリスの車中泊は「助手席まで使う」が前提

ヤリスの荷室は後席を両側とも倒しても床面が約1,333mm×1,153mm、つまり133cm×115cmしかありません。この寸法で足を伸ばして眠れるのは身長160cmまでで、170cm級が横になるにはトヨタ公式が示すとおり助手席まで巻き込んだレイアウトが要ります。段差は3か所(デッキボード面と背もたれの継ぎ目・座面と背もたれの折れ目・後席足元の空洞)に分かれて出るため、マット1枚で平らにしようとせず、面材と詰め物を分担させるのが近道です。デッキボード付きなら寝る前に上段へ入れ替える、それだけで必要なマット厚は下がります。専用マットの135cm×115cmという寸法が示すとおり、ヤリスの寝床は「短いが、組み方で成立する」空間です。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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