車中泊マットの選び方|厚み早見表と必須グッズ5種

当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

道の駅に車を停め、後席を倒して横になる——そこまでは誰でもたどり着く。夜中に何度も目が覚めるかどうかを分けるのは、倒した背もたれと荷室フロアのあいだに残る段差と、朝に向かって落ちていく車内の温度をどう扱ったかだ。荷室の寸法は車種ごとに違っても、マットを選ぶ軸そのものは全車種で共通で、厚み・タイプ・サイズの3つに集約できる。厚みの目安を表で示したうえで、寝床を成立させるグッズと、命に関わる安全の線引きまでを一本の流れでまとめた。

目次

車中泊マットの厚み早見表

車中泊マットで最初に決める数字は厚みになる。厚みは寝心地そのものというより、床の凹凸をどこまで飲み込めるかを決める値で、一晩の成否はほぼここで決まる。市販マットの厚みはおよそ2cmから10cm超まで分布しており、用途別の目安は次のとおり。

厚み 吸収できる凹凸 主な用途 収納時のかさ
2〜3cm ほぼ無し(断熱が主目的) 底冷え防止の下敷き・重ね敷き用 小さい
5cm前後 数mm〜1cm程度のわずかな凹凸 仮眠・シートがほぼ平らになる車の一泊 中程度
8cm前後 数cm級の段差 年数回の車中泊の主力・段差が残る車 大きい
10cm以上 大きな段差と傾斜 連泊・腰や肩の痛みを避けたい人 かなり大きい

厚くするほど失うもの

厚みは増やすほど良い、という単純な話にはならない。厚いマットは収納時にかさばって荷室を占領し、床が上がるぶん天井までの高さが削られる。アウトドア誌ビーパルがキャンピングカーで検証した記事では、室内で座って過ごす時間が長い車について「室内で座って過ごすことの多いキャンピングカーでは、厚みは5cmが限界」と判断している。天井の低い軽自動車やハッチバックほど、厚みは段差を消せる最小値で止めるのが理にかなう——寝るときにしか使わない空間なら厚みを優先し、着替えや食事も車内で済ませるなら天井高を優先する、という切り分けになる。

自分の車で必要な厚みの出し方

必要な厚みは、後席を倒したあとに残る段差の実測値から逆算する。メジャーを荷室フロアに当て、倒した背もたれの上面との高低差を測れば、それが埋めるべき高さだ。段差が1cm以下ならマットの厚みは仮眠向けの5cm前後で足り、3〜4cmの段差が残るなら8cm前後、背もたれが大きく前上がりに傾く車では10cm以上か、後述するかさ上げ材との併用が要る。段差を測らずに厚みだけで選ぶと、たいてい足りない

マットの4タイプと寝心地の違い

厚みが決まったら中身の構造を選ぶ。同じ8cmでも、内部がウレタンか空気かで寝心地も設営の手間もまったく変わってくる。

インフレーターマット(自動膨張式)

バルブを開けると内部のウレタンフォームが復元し、空気を吸い込んで自然に膨らむタイプ。ウレタンが芯として入っているため体重をかけても底付きしにくく、寝返りを打っても大きく揺れない。多くの製品は仕上げにひと息だけ足して硬さを整えれば設営が終わる。難点は収納サイズで、厚み8cmクラスになると丸めても抱えるほどの太い筒になり、軽自動車の荷室へ積みっぱなしにするのは苦しい。手間と寝心地のバランスを取るなら、車中泊マットの標準解はこのタイプになる。

エアマット(空気注入式)

ポンプや電動ブロワーで空気だけを入れるタイプ。クッション材が入っていないぶん収納時は極端に小さく、厚みも空気圧で自在に変えられる。荷室に常備しておく前提なら魅力が大きい。一方で、空気の柱の上に寝る構造ゆえに体圧が分散されにくく、寝返りのたびに揺れる感触が残る。冬は内部の空気が外気で冷えて背中から熱を奪うため、下に断熱用の薄手マットを重ねる前提で考えたい。空気漏れという故障モードを抱えるのもこのタイプで、バルブの品質は価格に素直に出る。

高反発ウレタンマット

空気を使わず、ウレタンフォームの反発力だけで支えるタイプ。敷布団に近い感覚で、設営はただ広げるだけ、撤収は畳むだけで済む。空気漏れが起こり得ないため何年も使い続けられるのが強みだ。三つ折り・四つ折りの製品が多く、折り目を段差の位置に合わせて置けば、折り目そのもので段差を吸収する使い方もできる。弱点は圧縮できないことで、収納時のかさは4タイプ中いちばん大きい。

銀マット・クッションマット(補助用)

アルミ蒸着の薄いマットやジョイント式のクッションマットは、単体で寝床にするには薄すぎる。この2つの役割は下敷きだ。冬の車中泊では金属の床から冷気が上がってくるため、床とマットのあいだにアルミ面を上向きにして1枚挟むと、体温の放射が跳ね返って底冷えが軽くなる。かさばらず安価に手に入るので、メインのマットを決めたあとに足す一枚として持っておくと効く。

荷室を測る3つの数字と段差の埋め方

マット選びの前提になるのが荷室の実測値だ。カタログの荷室容量(L)は天井までの体積であって、人が横になれる床の広さを保証する数字ではない。必要なのは次の3つだけになる。

測るべき3つの数字

1つめは後席を倒した状態での荷室長で、荷室後端から前席の背もたれまでをまっすぐ測る。2つめは荷室幅で、左右のタイヤハウスが張り出す部分の最も狭いところを測る。3つめが段差の高さで、倒した背もたれの上面と荷室フロアの高低差になる。この3つが分かれば、マットの寸法と厚みは自動的に決まる。身長より荷室長が10cm以上短いなら、まっすぐ寝る計画は成立しないため、次の斜め寝か前席側への延長を検討する段階に入る。

長さが足りないときの2つの逃げ道

ひとつは斜めに寝る方法で、荷室の対角線を使えばまっすぐ測ったときより長さを稼げる。もうひとつは助手席を前いっぱいにスライドさせて背もたれを前へ倒し、その背面まで寝床として使う方法だ。前席の背もたれ裏は硬い樹脂で凹凸も多いため、この方法を採るならマットの下にかさ上げ材を入れて面を作るのが前提になる。どちらの場合も運転席側は空けたまま寝るのが基本で、ハンドルとペダルの周りに寝具を広げない。

段差を消すかさ上げ材

マット1枚で吸収しきれない段差は、マットの下に台をつくって先に平面を出す。ホームセンターで買える硬質ウレタンフォームやスタイロフォームは、カッターで切れて水にも強く、加工の自由度が高い。低い場所から順に板を足していき、水平が出たところでマットを載せると、厚み8cmのマットでも大きな段差を持つ車で寝られるようになる。かさ上げ材はマットの上ではなく必ず下に入れる——上に敷くと硬い板の上で寝ることになり、体圧分散が消える。

車中泊を成立させる必須グッズ5種

マットが決まっても、それだけで一晩は越えられない。光・電気・視線・空気・寒暖の5つをどう処理するかで、翌朝の疲れ方が変わってくる。

遮光(サンシェード・カーテン)

夜の駐車場では街灯やヘッドライトが直接窓を突き抜けてくるうえ、車内が明るいと外から寝姿が丸見えになる。フロントガラス用のサンシェードに加え、サイドとリアの窓を覆う手段を用意すれば、光とプライバシーが同時に片付く。吸盤式のシェード、窓枠にはめ込む専用シェード、レールを貼るカーテンのいずれでも成立する。なお、前面ガラスと運転席・助手席の側面ガラスについては、道路運送車両の保安基準(第29条・細目告示第195条)が可視光線透過率70%以上を求めており、フィルムで暗くする方向の対策は車検に直結する。着脱できるシェードやカーテンで処理するのが安全側になる。

照明(LEDランタン・車内LED)

ルームランプを点けたまま過ごすと車のバッテリーを消費し、翌朝エンジンがかからないという事態を招く。電池式やUSB充電式のLEDランタンを1つ持ち込み、車の電源から切り離した光源で夜を過ごすのが安全側だ。天井のアシストグリップに吊るせるタイプなら、荷室を占領せずに手元を照らせる。車のバッテリーは寝るための電源ではないという一線を引いておけば、車中泊で起こるバッテリー上がりのほとんどは避けられる。

電源(ポータブル電源)

スマホの充電だけならモバイルバッテリーで足りるが、冬に電気毛布を使うならポータブル電源の容量計算が要る。メーカーのアンカーが公開している資料では、電気毛布の消費電力はシングルサイズで約40W、ダブルサイズで約60〜80Wとされ、消費電力40Wの電気毛布に対して300Whで約6時間、500Whで約10時間、1000Whで約20時間という目安が示されている。同社は変換ロスがあるため公称容量の80%を実際に使える容量として計算する方法も示している。一晩ぶんの電気毛布を賄うなら500Wh以上が現実的な下限で、2人ぶんや複数泊ならさらに上の容量を見ておきたい。

換気と虫よけ

締め切った車内で一晩を過ごすと、呼気の水分で窓が結露し、空気もこもる。窓を数cm開けておくのが基本になるが、そのままでは虫が入り、雨も吹き込む。ドアバイザーがあれば雨天でも窓を細く開けられ、窓枠に被せるメッシュのウィンドウネットを併用すれば虫の侵入も抑えられる。前後の対角にある窓を少しずつ開けると空気が流れやすい。

寝具(枕・寝袋・電気毛布)

マットの上に載せる寝具は季節で入れ替える。夏はタオルケット1枚で足り、春秋は寝袋やブランケット、冬は寝袋に電気毛布を組み合わせる。枕は自宅のものを持ち込むのがいちばん失敗しないが、かさばるなら空気で膨らませるタイプでも支障はない。冬に効くのは掛けるものより敷くもので、体の下の断熱を厚くするほど体感温度は上がる。

命に関わる3つの落とし穴

車中泊で本当に避けなければならないのは、寝心地の失敗ではなく次の3つになる。

エンジンをかけたまま寝ない

暖房のためにエンジンをかけたまま眠るのが、車中泊で最も危険な行為だ。JAFが実施したユーザーテストでは、マフラーの排気口が雪に埋もれた状態でエンジンをかけると、車内の一酸化炭素濃度は16分後に短時間暴露限度の400ppmまで上昇し、22分後には測定上限値である1,000ppmに達したという結果が出ている。同じテストで運転席の窓を5cmほど開けた条件でも、開始5分で100ppm台に上がり、約40分後には400ppm、その直後に800ppm台まで到達した。窓を開ければ助かるわけではない、という事実がここにある。一方、マフラー周辺を除雪した条件では終始COがほとんど検知されなかった。一酸化炭素は無色無臭で、気づいたときには体が動かない——寝るときはエンジンを切る、これが車中泊の絶対条件になる。

アイドリング・ストップ条例

エンジンを切る理由は安全だけではない。東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(環境確保条例)は、運転者に対し自動車等を駐車または停車するときはエンジンを停止することを義務づけている。同種の条例は千葉県や埼玉県をはじめ多くの自治体にあり、駐車場の設置者にも利用者への周知を求めている。違反そのものへの罰金刑は設けられていないものの、東京都では義務違反者に必要な措置をとるよう勧告し、勧告に従わない場合は違反者の氏名などを公表するとしている。駐車場でエンジンをかけっぱなしにする車中泊は、条例上グレーではなく義務違反の側にある。

エコノミークラス症候群

狭い座席で足を動かさずに長時間過ごすと、足の静脈に血栓ができ、それが肺に飛んで肺塞栓を起こすことがある。厚生労働省は予防として、ときどき軽い体操やストレッチ運動を行う、十分にこまめに水分を取る、アルコールを控える、ゆったりとした服装をしベルトをきつく締めない、かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする、眠るときは足をあげる、という項目を挙げている。座ったまま寝ないための装備がマットである——体を水平に伸ばせる寝床をつくることは、快適さの問題である前に、この症候群を遠ざける手段になる。

車中泊してよい場所とその線引き

装備が揃っても、停める場所を間違えると成立しない。ここは感覚ではなく、公式見解を押さえておく領域になる。

道の駅は仮眠まで

国土交通省は道の相談室で、道の駅を「ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間利用できる休憩施設である」としたうえで、「運転の途中で疲労回復のために車内で仮眠をとるなどしていただくことはかまいません」と明記している。同時に「駐車場など公共空間における宿泊利用は基本的にご遠慮いただいています」とも述べており、仮眠は可・宿泊は不可というのが公式の線引きになる。車外にテーブルや椅子を出す、コンロで調理するといったキャンプ的な振る舞いは、休憩の範囲を明確に超える。個別の道の駅ごとに管理者の判断で禁じている場合もあるため、現地の掲示は必ず読みたい。

宿泊が前提なら有料の場所を選ぶ

一晩を過ごす前提の車中泊なら、RVパークやオートキャンプ場のように宿泊を許可した場所を使うのが筋になる。電源や水場、トイレが整い、料金を払っている以上は気兼ねなく眠れる。無料の駐車場で肩身を狭くして夜を明かすより、結果として睡眠の質は上がる。

よくある質問

車中泊マットは何cmの厚さを選べばいい?

後席を倒したときに残る段差の実測値で決まる。段差が1cm以下なら5cm前後、3〜4cmなら8cm前後、それ以上の段差や傾斜が残る車では10cm以上か、かさ上げ材との併用になる。天井の低い車では厚みを増やすほど室内の圧迫感が強まるため、段差を消せる最小の厚みで止めるのが扱いやすい。

エアマットとインフレーターマットはどちらが快適?

寝心地はインフレーターマットが優る。内部のウレタンが体重を面で受けるため底付きしにくく、寝返りでも揺れが少ない。エアマットは収納が小さく厚みも調整できる反面、空気の上に寝るため体圧が分散されにくく、冬は下からの冷えを拾いやすい。荷室に積みっぱなしにできるなら前者、積載を最小にしたいなら後者という選び方になる。

冬の車中泊にポータブル電源は何Wh必要?

電気毛布を一晩使う前提なら500Wh以上が下限になる。メーカーの目安では消費電力40Wの電気毛布に対し500Whで約10時間とされており、変換ロスを見込んで公称容量の80%で計算するのが安全側だ。2人ぶんの電気毛布や複数泊を想定するなら1000Wh以上を見ておきたい。

道の駅で車中泊すると違法になる?

道の駅での仮眠そのものを禁じる法律はなく、国土交通省も疲労回復のための車内仮眠は差し支えないとしている。ただし宿泊利用は遠慮してほしいというのが同省の見解で、駐車場でエンジンをかけたまま夜を明かす行為は自治体のアイドリング・ストップ条例の義務違反にあたる。合法か違法かの二択ではなく、仮眠の範囲に収めるかどうかで扱いが分かれる。

車中泊マットとグッズ選びのまとめ

車中泊の失敗はほぼ床から始まる。後席を倒して残る段差を測り、それを飲み込める厚みのマットを選ぶ。この順番さえ守れば、車種が軽自動車でもミニバンでも寝床は成立する。マットは寝心地重視ならインフレーター、積載重視ならエアマット、手間の少なさなら高反発ウレタンで、冬はどれを選んでも下に断熱の一枚を足す。グッズは遮光・照明・電源・換気・寝具の5つを一組として揃え、車のバッテリーには手を出さない。そして寝るときはエンジンを切る——JAFのテストが示したCO濃度の上がり方を見れば、この一点だけは妥協する余地がないと分かる。

関連するおすすめ記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

コメント

コメントする

目次