夜に駐車場でバックしたとき、後方の照らされ方が思ったより頼りない。室内灯を点けても電球色でくすんで見える。GR86(ZN8)に乗っていてそう感じ、バルブを買い替えようとして規格の選択でいったん手が止まる、という場面はよくある。ZN8は先代の86(ZN6)から設計が変わり、外装の灯火はほぼ純正LEDのユニット一体式になったためだ。トヨタ公式の取扱説明書と各社のバルブ適合表を突き合わせると、オーナーが型番を指定して買える電球は後退灯・リヤフォグランプ・ルームランプの3か所だけに絞られる。
ZN8の灯火別バルブ規格 早見表
GR86(ZN8・2021年10月〜)の灯火を、純正の光源と交換用の電球規格で整理したものが下の表だ。トヨタ公式の取扱説明書「電球(バルブ)の交換」が挙げる販売店交換が必要な灯火と、LED装備車として登録されたバルブ適合表の記載を突き合わせている。
| 部位 | 純正の光源 | 交換用バルブ規格 | ユーザー交換 |
|---|---|---|---|
| ヘッドランプ(ロービーム) | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| ヘッドランプ(ハイビーム) | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| 車幅灯(ポジション) | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| フロント方向指示灯 | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| サイド方向指示灯 | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| リヤ方向指示灯 | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| 尾灯/制動灯 | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| ハイマウントストップランプ | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| 番号灯(ナンバー灯) | LED | 単体バルブなし | 不可(販売店) |
| フロントフォグランプ | 設定なし | — | — |
| 後退灯(バックランプ) | 電球 | T16 | 可 |
| リヤフォグランプ | 電球 | T20(シングル球) | 可(装着車のみ) |
| ルームランプ(フロント/リヤ) | 電球 | T10 | 可 |
表の下3行がバルブを型番で買える範囲のすべてで、ZN8の電球選びはT16・T20・T10の3規格だけで完結する。上の9行は電球がソケットに刺さっている構造ではないため、そもそも適合する型番が存在しない。
交換できる3か所の規格を1つずつ確認する
後退灯(バックランプ)=T16
ZN8の後退灯は、外装でガラス球の電球が残っている数少ない場所だ。適合表でもバックランプの欄にT16が入る。取扱説明書に載る交換手順は、トランク内側のカバーのクリップを3か所取り外し、カバーのツメを外して本体を取り外したうえで、ソケットを左に回して抜くという流れになっている。特殊工具は要らず、内張り剥がしがあれば足りる作業だ。
純正のT16は白熱球のため、LEDに替えると後方の照射が白くなり、バックモニターの映像の見え方も変わる。後退灯は純正の白色の範囲を外れると車検で不利になるため、青みの強い製品や色温度を上げすぎた製品は避け、保安基準適合を明記した製品を選ぶ。取扱説明書は電球のガラス部を素手で触らないことと、消灯直後は高温になるため冷ましてから作業することも注意として挙げている。
リヤフォグランプ=T20のシングル球(装着車のみ)
リヤフォグランプはZN8の全車に付いているわけではない。トヨタ公式の取扱説明書はリヤフォグランプスイッチの項で「グレード、オプションなどにより、装備の有無があります」と明記しており、装備の有無はグレードとオプションの組み合わせで決まる。自分の個体に付いていないなら、バルブを買っても差す場所が無い。
規格はT20だが、ここで取り違えやすいのがシングル球とダブル球の区別だ。リヤフォグに使うのはシングル球のT20で、ストップ/テール用のダブル球とは口金の形そのものが違う。通販の商品名がT20としか書かれていないこともあるため、シングルかダブルかを商品説明で確かめてから注文する。
ルームランプ=T10
室内側には電球が残っている。バルブ適合表では、フロントとリヤのルームランプがいずれもT10だ。T10はウェッジ球のなかで最も流通量が多い規格で、色温度も明るさも選択肢が広い。純正の電球色から白色系に替えるだけで、夜間の車内の印象はかなり変わる。
ルームランプ以外の室内灯(トランクルームランプ、カーテシランプ、バニティランプなど)は、車種別の適合表に個別記載が無いことがある。装備の有無自体がグレードで分かれる部分でもあるため、実車で現物の口金を見てから注文するほうが空振りしない。
T16・T20・T10の表記を正しく読む
数字はガラス管の太さで、口金は別物
T10やT16の数字はガラス管の径を指す。T10はガラス管の径が10Φ、T16は16Φで、T16のほうが太い球になる。ところが小糸製作所が公開している白熱電球(ウェッジタイプ)の一覧を見ると、T10(12V5W)とT16(12V18W)の口金はどちらもW2.1×9.5Dで、ソケットに差し込む部分の形が同じだ。
口金が共通なので、T10のLEDバルブはT16のソケットにも物理的に差さってしまう。差せることと適合することは別で、T10はクリアランスランプやルームランプ用、T16はハイマウントストップランプやバックアップランプ用と、小糸の一覧でも用途が分けられている。ZN8の後退灯には、T16としてバックランプ用に設計された製品を選ぶ。
T20はシングル球とダブル球で口金の記号が違う
小糸の一覧では、T20が定格と用途で2種類に分かれている。ストップ/テール用の12V21/5Wは口金がW3×16Q、バックアップランプ用の12V21Wは口金がW3×16Dだ。前者が2系統を1球でまかなうダブル球、後者が1系統のシングル球にあたる。
ZN8のリヤフォグは単独で点灯・消灯する灯火なので、選ぶのはシングル球側になる。ダブル球は口金の端子構成が異なり、リヤフォグのソケットには収まらない。商品ページで口金の記号まで書いてある製品なら、W3×16Dの表記を目印にできる。
極性のあるLEDバルブは向きを間違えると点灯しない
T10やT16のLEDバルブには極性のある製品がある。ソケットに差す向きが逆だと、配線も球も正常なのに点灯しない。点かないときに初期不良と決めつける前に、一度抜いて180度回して差し直す。これで点灯すれば極性の問題で、製品側に異常は無い。無極性をうたう製品を選べばこの手間は省ける。
ヘッドライトやウインカーに型番が無い理由
取扱説明書は、ヘッドランプ・車幅灯・フロント方向指示灯・サイド方向指示灯・リヤ方向指示灯・制動灯・尾灯/制動灯・番号灯・ハイマウントストップランプについて「数個のLEDで構成されています」と説明し、交換はトヨタ販売店に依頼するよう案内している。ソケットに1個の電球が差さった構造ではなく、レンズとリフレクターとLED基板が一体になったユニットになっている。
そのため、これらの灯火にはバルブという交換部品の単位が存在せず、明るさや色を変えたいならユニットごと社外品に置き換える話になる。GR86/BRZ向けにはシーケンシャルウインカー機能を持つヘッドライトASSYやテールランプASSYが各社から出ているが、価格帯は電球1本とは桁が変わる。費用の見積もりを先に立てておくと、途中で計画が崩れにくい。
フロントフォグランプについては、ZN8にはそもそも設定が無い。バルブ適合表のフォグランプ欄も設定なしとして記載されている。社外のフォグランプキットを組む場合はバンパー側の加工と配線の引き回しが伴うため、バルブ選びとはまったく別の作業として考える。
自分のZN8にリヤフォグが付いているか確かめる
メーター内の橙色の表示灯で判定する
取扱説明書によると、リヤフォグランプはヘッドランプまたは車幅灯が点灯しているときに使用でき、点灯するとメーター内の表示灯が橙色に点る。レバーを操作して点灯し、もう一度操作すると消灯する構造だ。ヘッドランプを点けた状態でレバーを操作しても橙色の表示灯が出なければ、その個体にリヤフォグは装備されていないと判断できる。
装備されていない個体に後付けする場合
装備が無い個体にリヤフォグを追加するなら、ランプユニットとスイッチ、配線側の手配から始まる。T20のバルブだけを買っても点灯するものが無いため、順序としてはユニットの入手が先になる。純正部品での追加とするか社外品で組むかで、必要な部品も工賃も変わる。
社外のLEDリヤフォグへ交換する場合
リヤフォグは赤色で点灯する灯火のため、色を変える方向の改造は車検で不利になる。社外品を選ぶ場合は、保安基準適合やEマーク取得を明記した製品かどうかを確認する。バルブ交換で済ませるか、ユニットごと替えるかで作業量が大きく変わるため、先に自分がどこまでやるかを決めておく。
よくある質問
BRZ(ZD8)用と書かれたバルブはGR86に使える?
GR86(ZN8)とBRZ(ZD8)は共同開発の姉妹車で、灯火の構成とバルブ規格はおおむね共通する。T16やT10のような汎用のウェッジ球であれば、車種名よりも規格の一致を見れば足りる。一方で、ZD8専用設計をうたうユニット交換型の製品(テールランプASSYやリヤフォグユニットなど)は、レンズ形状や装備条件がグレードで分かれる部分に関わるため、形状と適合表記を確認してから買う。
ヘッドライトをもっと明るくしたい。バルブ交換で対応できる?
ZN8のヘッドランプは純正LEDで、バルブ単体の交換はできない。取扱説明書も交換はトヨタ販売店に依頼するよう記載している。明るさを変えたい場合はヘッドライトASSYごとの交換になる。配光や光軸は保安基準に直結する部分なので、取り付け後に光軸調整まで見てもらえる店で作業するのが無難だ。
先代86(ZN6)のバルブ型番はZN8に流用できる?
流用できない。ZN6の前期型はヘッドライトがHIDまたはハロゲンで、D4SやH11、PSX24Wといったバルブが使われていた。ZN8ではこれらの灯火が純正LED化されており、ZN6用として売られているヘッドライト用・フォグ用のバルブは、ZN8には装着する場所そのものが無い。共通するのは後退灯や室内灯といった、電球が残っている部分だけだ。
ウインカーをLED化するとハイフラ(高速点滅)になる?
高速点滅は、電球式のウインカーをLEDに替えて消費電力が下がったときに起きる現象だ。ZN8はフロント・サイド・リヤの方向指示灯がすべて純正LEDで、電球を差し替える構造ではないため、この問題自体が発生しない。ウインカーの見え方を変えたい場合はユニット交換になり、そのときは製品側の仕様に従う。
まとめ|ZN8で押さえるのは3規格だけ
GR86(ZN8)のバルブ選びは、外装のほとんどが純正LEDだという前提から始まる。オーナーが型番を指定して買えるのは後退灯のT16、リヤフォグランプのT20シングル球、ルームランプのT10の3つで、それ以外の灯火はバルブという部品の単位を持たない。リヤフォグはグレードとオプションで装備が分かれるため、買う前にヘッドランプを点けてレバーを操作し、メーター内の橙色の表示灯で自車の装備を確かめる。ヘッドライトやウインカーの見た目を変えたい場合は、バルブ交換ではなくユニット交換の計画に切り替えることになる。3か所の規格さえ押さえておけば、ZN8の電球選びで迷う場面はほとんど無くなる。

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