6代目ワゴンRのフロアマットは、型式が合っていても運転席側が合わないことがある。スズキ自身が純正マットの設定をAT(CVT)車用とMT車用に分けており、現行モデルには5MTが残っているためだ。買う前に確定させるのは型式とAT/MTの2点で、素材や価格を見るのはその後でいい。ここでは市販4点を、この2点と素材・セット構成で並べて整理する。
先に確定させる2点と、市販4点の位置づけ
フロアマット選びには順序がある。最初に型式が合うか、次にAT(CVT)車用かMT車用かを確定させ、この2つを満たした候補の中から素材・セット構成・価格で決める。素材や価格から入ると、気に入った商品が自分の車に合わないという行き止まりに突き当たる。
スズキが公開しているワゴンRのアクセサリー情報を見ると、純正フロアマットの適用は「ZL(5MT車)MT車用」と「ZL(CVT車)、ZX(CVT車用)」に分けて記載されている。メーカー自身がAT/MTで設定を分けているということは、社外品でも同じ区別が効くということだ。
今回取り上げる4点を、商品ページに書かれている範囲で並べるとこうなる。
| 商品 | 対応型式(商品ページ表記) | AT/MT | 素材 | セット構成 |
|---|---|---|---|---|
| Aviles AT車用 | MH35S・MH55S・MH85S・MH95S | AT車用 | 商品名に記載なし | 商品名に記載なし |
| Aviles MT車用 | MH35S・MH55S・MH85S・MH95S | MT車用 | 商品名に記載なし | 商品名に記載なし |
| CARTIST | MH35S・MH55S | 記載なし | TPE素材 | 4点セット |
| エコノミシリーズ | MH35S・MH55S・MH85S・MH95S | AT車用(全グレード共通) | 商品名に記載なし | 1台分 |
MT車に乗っているなら候補は実質1つに絞られる。AT車なら3点から素材とセット構成で選ぶ形になる。
自分のワゴンRの型式を確かめる
6代目の型式表記の読み方
スズキが公開している歴代モデルの資料では、6代目ワゴンRは2017年発売で、記載されている型式はMH55SとMH35Sの2つ。一方、市販のフロアマットは「MH35S MH55S MH85S MH95S」という並びで対応を示していることが多い。商品ページに並ぶ型式のうち1つが自分の車検証の型式と一致していれば、その世代向けとして作られた商品だと判断できる。
メーカー資料では型式がDBA-MH35S、DAA-MH55Sのように接頭の記号付きで書かれている。車検証の型式欄も同じ書き方なので、商品ページの表記と照合するときは接頭記号を外した4〜5文字の部分を見ればいい。
車検証で見る場所
型式は車検証(自動車検査証)の「型式」欄に書かれている。フロアマットは型式に加えてトランスミッションの別も効くので、車検証や車両の装備からAT(CVT)車かMT車かもあわせて確認しておく。この2点が確定してから商品ページの対応表記と突き合わせる。
なお6代目は2020年1月20日発売の一部仕様変更で、新開発のR06D型エンジン(NA車)と新開発CVTを組み合わせたパワートレインに切り替わっている。ただしこの変更がフロアマットの形状に及んだという記載は、公式資料では確認できていない。年式で装備が違う点は中古車を買った人が把握しておく話にとどめ、マット選びの判断材料としては型式とAT/MTを使う。
「ワゴンRスマイル」は別モデル
メーカー資料上、ワゴンRスマイルは2021年に登場した別モデルで、型式はMX91SとMA81S。名前は近いがワゴンR(MH系)とは車体が違うため、適合も別物になる。検索結果に混じって出てくることがあるので、商品ページの型式表記が自分の車検証と一致しているかで判断する。
過去の世代を確認したい人のために、メーカー資料に載っている対応も挙げておく。初代が1993年9月でCT21S、2代目が1998年でMC21S/MC11S、3代目が2003年でMH21S、スティングレーが2007年でMH22S、4代目が2008年でMH23S、5代目が2012年でMH34S、6代目が2017年でMH55S/MH35Sとなっている。
AT(CVT)車用とMT車用でマットが違う理由
運転席の足元はペダルの配置が変わる。MT車にはクラッチペダルが増えるため、運転席側のマットの形状もそれに合わせて変わる。スズキのアクセサリー情報が純正マットの適用をMT車用とCVT車用に分けているのは、この違いによるものだ。
スズキの発表によると、現行ワゴンRのグレードはZLとHYBRID ZXで、トランスミッションは5MTとCVTの両方が用意されており、ZLには2WD 5MTの設定がある。軽自動車のMT設定は減っているが、ワゴンRには今も残っている。つまり「軽だからどうせATだろう」という前提で商品を選ぶと、MT車のオーナーは高い確率で外す。
社外品にも同じ区別がある。AvilesのワゴンR用フロアマットは、商品ページの記載で対応型式がMH35S/MH55S/MH85S/MH95Sとなっており、AT車用とMT車用が同じ型式のまま別品番で用意されている。型式が合っていることを確認しただけで注文に進むと取り違えが起きるのは、この構造のためだ。
純正と社外品は何が違うのか
価格とラインナップ
純正フロアマットは2種類ある。〈リップル〉は適用がZL(CVT車)とZX、〈ノーブル〉は適用がZL(5MT車)のMT車用とZL(CVT車)・ZXのCVT車用。素材はどちらもジュータンで、色はブラック。スズキのアクセサリー情報では、確認した時点でリップルが22,770円、ノーブルが15,840円と案内されている。価格は改定されうるので、買うときは販売店の案内で確かめてほしい。
純正が示している設計と品質基準
スズキは純正フロアマットについて、フロアにぴったり合うサイズで設計しており、留め具の位置も車種に合わせて調整してあるためずれにくいと説明している。車種専用設計の価値は、見た目の収まりよりも留め具の位置が合っていることのほうにある。あわせて、難燃性や耐久性が自社の品質基準を満たすことも明記されている。マットの種類によっては抗アレルゲン・抗菌・防臭・防ダニ・消臭といった効果があり、種類や設定は車種によって異なるとも説明されている。
ここで押さえておきたいのは、これらがすべて純正品についての説明だという点だ。社外品が同じ基準を満たすという意味ではない。
どちらを選ぶかの考え方
純正は留め具位置の調整と品質基準がメーカーから明示されている。社外品は価格帯が広く、防水を打ち出した樹脂系など純正にない選択肢がある一方で、品質や適合の根拠は商品ページの記載に依存する。どちらが優れているかという話ではなく、何を根拠にして買うかが違う。内装の質感を揃えたい、根拠をメーカーに置きたいなら純正。使い方に合わせて素材を選びたい、費用を抑えたいなら社外品、という分け方が実際的だ。
適合の次に見る3つの軸
素材
大きくジュータン系と樹脂・ゴム系に分かれる。ジュータン系は純正が採用している素材で、内装になじみ足触りが良い方向。樹脂・ゴム系(TPEなど)は水や泥を弾く方向で、雨天の乗り降りが多い、仕事で使う、子どもが飲み物をこぼす、といった使い方と相性が良い。上下関係はなく、車をどう使うかで決まる。
セット構成
商品によって、1台分をうたうものと、4点セットのように枚数で示すものがある。運転席だけ替えたいのか車内全体を新しくしたいのかで必要な構成が変わるので、何枚入りでどの席の分が含まれるかを注文前に見ておく。
固定できるか
見落とされやすいが、実は最も重要な軸がこれだ。車両側の留め具の位置に穴やフックが合っていて、マットがずれないこと。敷いたときにずれる、めくれるという状態は、使い勝手ではなく安全の問題になる。
車名の記載がない汎用サイズのマットは、寸法が近くても留め具の位置に対応していないことがある。留め具で固定できないマットは走行中にずれる可能性があり、国土交通省が固定を求めていることとも噛み合わない。価格差だけで汎用品に流れず、自分の型式に対応した車種専用設計のものを選びたい。
6代目ワゴンRに使える市販フロアマット4点
先に断っておくと、今回確認した4点はいずれも商品説明文が取得できず、根拠にできるのは商品名に書かれている仕様だけだった。厚み、固定方式の具体、裏面の滑り止め加工、抗菌や消臭の有無は確認できていない。そこが決め手になる人は、商品ページで現物の記載を自分で見てほしい。
Aviles AT車用 — CVT車で型式が幅広く合うもの
商品ページの記載で、対応型式はMH35S/MH55S/MH85S/MH95S、区分はAT車用。色は3色から選べる構成で、掲載されているのはブラック。スズキ純正品ではなく互換品であることが商品名に明記されている。型式の並びが広く、6代目のCVT車なら候補に入れやすい1点。
Aviles ワゴンR フロアマット AT車用(MH35S/MH55S/MH85S/MH95S)
Aviles MT車用 — 5MT車はこちら
対応型式はAT車用と同じMH35S/MH55S/MH85S/MH95Sだが、区分がMT車として別品番になっている。こちらも互換品であることが商品名に書かれている。5MTのワゴンRに乗っているなら、型式が同じでも選ぶのはこの品番。同一シリーズでAT/MTが分かれているという事実が、選び分けが必要なことをそのまま示している。
Aviles ワゴンR フロアマット MT車用(MH35S/MH55S/MH85S/MH95S)
CARTIST — 水や泥を落としたい使い方に
商品ページの記載で、対応型式はMH35S/MH55S、対応年式は2017年2月から現行、素材はTPE素材で、4点セット。記載されている特徴は防水、滑り防止、耐汚れ、車種専用設計。ジュータン系ではなく樹脂系を選びたい場合の候補になる。対応型式がMH35SとMH55Sの2つに限られるので、そこだけは車検証と照合してから進めたい。
CARTIST ワゴンR フロアマット TPE素材 4点セット(MH35S/MH55S)
エコノミシリーズ — まず1台分を揃えたいとき
商品ページの記載で、対応型式はMH35S/MH55S/MH85S/MH95S、区分はAT車用で全グレード共通、構成は1台分、色はブラック。ブランド表記はノーブランド品。中古車でマットが付いてこなかった、傷んだマットをとりあえず全席分入れ替えたい、という場面に向く。
ワゴンR フロアマット 1台分 エコノミシリーズ AT車用(MH35S/MH55S/MH85S/MH95S)
国土交通省が求めているフロアマットの使い方
フロアマットは内装品であると同時に安全部品でもある。国土交通省は、使い方が適切でない場合について、アクセルペダルがフロアマットに引っかかり車の急加速につながる不具合が発生することがあると説明している。
そのうえで求められているのは3つ。フロアマットを確実に固定して使うこと、重ね敷きをしないこと、運転前に正しく固定されているか確認すること。このうち一番やりがちなのが重ね敷きだ。古いマットが敷いてある上に新しいマットを重ねる、冬用のマットを追加する、といった使い方は避ける。買い替えるときは必ず元のマットを外してから敷く。
運転前の確認は、新品を敷いた直後だけの話ではない。掃除でマットを外した後や洗車の後も、元の位置に戻って固定されているかを見る習慣にしておきたい。
交換の手順と、届いてから最初に確認すること
作業自体は難しくない。純正フロアマットの取付時間はスズキの案内で0.1hとされている。専用の工具も要らず、敷いて留め具に合わせるだけの短い作業だ。
手順は次の順で進める。
- 車検証で型式とAT(CVT)/MTの別を確認し、対応する商品を用意する
- 今敷いてあるマットを取り外す
- フロアに落ちている砂やゴミを掃除機で取り除く
- 車両側の留め具の位置に合わせて新しいマットを敷き、留め具にはめて固定する
- 運転席に座ってアクセルとブレーキを踏み込み、マットが動かないか、ペダルの動きを妨げないかを確認する
5番目まで終えて初めて交換完了と考えてほしい。届いた日にここまでやっておけば、サイズや形が違っていた場合も早く気づける。
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よくある質問
MH85SやMH95Sと書かれた商品は、MH35Sに使えるのか
商品ページに並んでいる型式のどれか1つが自分の車検証の型式と一致していれば、その世代向けとして販売されている商品だと読める。今回の4点のうち3点はMH35Sを含む並びで表記されている。ただしグレードや年式による差異まで検証したわけではないので、最終的な適合の確認は商品ページで自分の型式表記を見て判断してほしい。
ワゴンRスマイル用のフロアマットは流用できるのか
流用できると考えないほうがいい。ワゴンRスマイルは型式MX91S/MA81Sの別モデルで、車体が異なる。どちらの向きの流用についても可否を検証した資料はないため、車検証の型式に対応した商品を選ぶ。
AT車用とMT車用を間違えて買ってしまったらどうなるのか
運転席側の形状が合わないことになる。ペダルまわりの切り欠きや留め具の位置がずれると、固定できないか、ペダル操作に干渉する。無理に敷いて使うのではなく、正しい区分の品番に交換する。注文前に商品名や選択肢の「AT車」「MT車」の表記を確認するのが唯一の防ぎ方だ。
汎用サイズのフロアマットではだめなのか
寸法が近くても、車両側の留め具の位置に対応していない場合がある。固定できないマットは走行中にずれる可能性があり、国土交通省が固定を求めていることと相容れない。価格差を理由に汎用品を選ぶ判断は勧めない。
ジュータンとTPEはどちらを選べばよいのか
車の使い方で決まる。街乗り中心で内装の見た目を揃えたいならジュータン系、雨天の乗り降りが多い、砂や泥が入る、飲み物をこぼす可能性があるならTPEなどの樹脂系。今回の4点ではCARTISTがTPE素材と明記されている。
まとめ
まず車に乗り込んで、いま敷いてあるマットの状態と留め具の位置を見てほしい。何枚敷いてあるか、留め具がいくつあるかが分かれば、必要なセット構成の見当がつく。そのうえで車検証を開き、型式とAT(CVT)/MTの別を確認する。
商品を選ぶのはその後だ。型式とAT/MTの2点を満たした候補の中から、使い方に合う素材とセット構成、そして予算で決める。スズキ自身が純正マットの設定をAT車用とMT車用で分けている以上、社外品でもこの区別は外せない。
敷いた後に守ることは1つだけ。古いマットの上に重ねず、留め具で固定して使うこと。ここだけは価格や見た目の好みに関係なく、全員に共通する。
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