軽トラックのエアコンから土っぽい臭いがしてきたら、まず疑うのはエアコンフィルターだ。ここでやりがちなのが、カタログで拾った純正品番だけを頼りに注文するという買い方。ハイゼットトラックは型式と年式でフィルターの設定が分かれるうえ、品番の表記はカタログによって割れている。S500P/S510Pなら、確認する軸は3つで足りる。
S500P/S510Pで選べるのは3タイプ
流通している交換用フィルターは、性格で3つに分けると比べやすい。臭い対策を狙った活性炭入りの単品、標準の仕様に戻す純正交換タイプの単品、そしてエンジン用エアクリーナーとまとめたセットだ。
| 商品 | 性格 | 価格(確認時点) |
|---|---|---|
| INEX 活性炭入り(1個) | 臭いが気になる人向けの単品 | ¥980 |
| KADOTAWORKS 純正交換タイプ | 標準の仕様に戻す単品 | ¥1,150 |
| INEX フィルター+エアクリーナー | 2点をまとめて替えるセット | ¥2,380 |
価格はAmazonの実売価格を確認した時点のもので、変動する。買う前に確かめたいのは型式がS500PかS510Pであること、初度登録が2014年9月以降であること、実車にエアコンが装着されていることの3点。この3つが揃っていれば、上の3タイプはどれも候補に入る。逆に、純正品番を合わせただけで注文するやり方は勧めない。理由は後述する。
自分の車に合うかを確かめる
型式はS500Pが2WD、S510Pが4WD
ダイハツが公開しているハイゼットトラックの主要諸元表では、現行型は「3BD-S500P」「3BD-S510P」として記載されている。S500Pが後2輪駆動の2WD、S510Pがパートタイム4WDで、全長3,395mm・全幅1,475mm・ホイールベース1,900mmは共通。エアコンフィルターは2WDと4WDで設定が分かれることはなく、どちらも同じ品を使う。
エンジンも同じ諸元表でKF型の1種類だけ。水冷直列3気筒12バルブDOHCの658ccで、最高出力34kW(46PS)/5,700rpm・最大トルク60N・m(6.1kgf・m)/4,000rpmの自然吸気仕様が載る。ターボの記載はない。商品説明に「NA車・ノンターボ用」と書かれていても、この車種はそこに当てはまる。
2014年9月より前の型式には設定がない
交換用フィルターの適合表を見ると、ハイゼットトラックはS500P・S510P(エンジン型式KF-DE・2014年9月〜)に適合品の設定がある。一方、同じ車名でもS200C/S200P/S210C/S210P(2002年1月〜2007年12月)と、S201C/S201P/S211C/S211P(2007年12月〜2014年9月)は、いずれも「設定無」だ。車名が同じでも、2014年9月より前の型式には交換用フィルターそのものが用意されていない。 車検証の型式欄を先に見ておきたい。
初期型にはエアコンが付いていない仕様がある
ダイハツが公開しているハイゼットトラックの主要装備一覧表によると、現行のハイゼットトラックはマニュアルエアコンとスーパークリーンエアフィルターがどちらも全グレード標準装備になっている。ジャンボ エクストラからスタンダードまで、2WD/4WD・CVT/5MTのすべての組み合わせが標準装備の区分に入る。ただしこれは2026年3月現在の一覧表の内容だ。
初期型にあたる2016年9月版の取扱説明書では、「エアコン装着車」「ヒーター装着車」という区分で説明が書き分けられており、当時はエアコンを装着しない仕様が存在した。エアコンがなければフィルターも存在しない。中古で手に入れた個体なら、冷房のスイッチがあるかどうかを実車で見てから注文する。
純正品番だけで選ぶと外す理由
部品カタログ各社の表記を横断して見ると、S500P/S510P(2014年9月〜)向けとして88568-B2030を掲げ、08975-K2004・08975-K9004を併記するカタログがある一方、同じS500/S510向けとして88568-B2070を挙げるカタログもある。案内される番号が資料によって違う。
さらに88568-B2030は、ミライースLA300/LA310(2011年9月〜)やハイゼットカーゴS321V/S331V(2017年11月〜)にも同じ品番として載っている。ダイハツ車で広く共通化された番号であって、ハイゼットトラック専用ではない。
つまり品番は照合の手がかりに留めて、最終判断は車検証の型式と初度登録年で下すのが確実だ。商品ページに書かれた品番は、適合車種の記載を裏付ける材料として使えばいい。
選び方の基準は3つ
ろ材の種類
ダイハツの取扱説明書には「クリーンエアフィルター」と「スーパークリーンエアフィルター」という2つの区分があり、後者は花粉などより細かい粉じんを除去するものと説明されている。現行型に標準装備されているのは後者だ。市販品ではこれに加えて、活性炭を組み込んで臭い対策をうたうものがある。窓を開けて走る場面が多く、排気や砂ぼこりの臭いが気になるなら活性炭入り、標準の状態に戻したいだけなら純正交換タイプという分け方でいい。
交換1回あたりの費用
エアコンフィルターは20,000kmごと、条件によっては10,000kmごとに替える消耗品だ。仕事の足として距離を走る軽トラックほど、1枚あたりの価格と入手のしやすさが積み上がって効く。高機能なものを目安を超えて使い続けるより、目安どおりに替えられる価格帯を選ぶ方が理にかなう。
単品かセットか
エアコンフィルターとエンジン用エアクリーナーを組み合わせた商品もある。両方の交換時期が近いなら、まとめて注文したほうが手間は減る。ただしエアクリーナー側には自然吸気車向けといった別の適合条件が付く場合があるので、商品説明の適合表記を見ておく。
S500P/S510P適合のおすすめエアコンフィルター3点
臭いが気になるなら活性炭入りの単品
INEX エアコンフィルター 活性炭入り S500P/S510P ハイゼットトラック用(1個)
S500P/S510Pの2014年9月以降を適合として明記した活性炭入りの単品。価格は¥980。20,000kmごとの交換を面倒がらずに続けたいなら、この価格帯が現実的だ。臭いの感じ方には個人差があるので、まず1枚入れてみて次回の判断材料にするという買い方もできる。
標準の仕様に戻すなら純正交換タイプ
KADOTAWORKS エアコンフィルター 純正交換タイプ S500P/S510P・ハイゼットカーゴ対応
純正交換タイプの単品で、価格は¥1,150。商品名にハイゼットトラックS500P/S510Pとハイゼットカーゴ S321V/S331Vの両方が並び、純正品番の記載もある。前述のとおり品番は他車と共通なので、決め手はあくまで型式の記載のほうだ。余計な機能を足さず、今付いているものと同じ役割の品に入れ替えたいときに選ぶ。
エアクリーナーも替えるならセット
INEX エアコンフィルター+エアクリーナー セット S500P/S510P ハイゼットトラック用
エアコンフィルターとエンジン用エアクリーナーのセットで、価格は¥2,380。商品説明に「NA車ノンターボ」とあるが、S500P/S510PのエンジンはKF型の自然吸気1種類なので条件は満たす。車検や点検のタイミングで消耗品をまとめて片付けたいときに向く。
交換時期の目安と、早めに替えるサイン
ハイゼットトラックの取扱説明書には、交換の目安は20,000kmごとと書かれている。ただし大都市や寒冷地など交通量や粉じんの多い地区、山岳地・丘陵地など地域により花粉が多い地区では10,000kmごととされている。この数値はクリーンエアフィルター装着車・スーパークリーンエアフィルター装着車のどちらにも同じ値で示され、2016年9月版から現行版まで変わっていない。
農道や造成地に入る使い方をしているなら、距離が20,000kmに届いていなくても短い側の目安で考えたほうがいい。取扱説明書も、エアコンの風量が減ったときは目詰まりが考えられるとして交換を促している。2016年9月版はこれに加えて、ガラスが曇りやすくなったときも目詰まりのサインとして挙げている。走行距離のメモより先に、この2つの変化のほうが気づきやすい。
交換手順はグローブボックスを外すところから
取扱説明書に載っている手順は次のとおり。
- エンジンスイッチを“OFF”にする
- グローブボックスを外す。左側面を内側に押して上部のツメを外し、右側面も同じように押して上部のツメを外し、下部のツメを外す
- フィルターカバーの固定を解除し、矢印の方向にずらして抜く
- 古いフィルターを引き出し、新しいものと交換する。このとき「↑UP」マークの矢印が上を向くように取り付ける
- 取り付けは外したときと逆の手順で行い、フィルターカバーは所定の部分に入れてから取り付ける
取扱説明書は、フィルターカバーを矢印方向に動かすときにツメへ無理な力が加わらないよう注意を促している。動きが渋いと感じたら力を足すのではなく、固定が本当に外れているかを見直す。古いフィルターを抜くときに汚れている面と向きを見ておくと、新品を入れる向きで迷わない。
なお2016年9月版の取扱説明書には自分で交換する手順の記載がなく、フィルターの交換はダイハツサービス工場に相談するよう案内されていた。初期型に乗っていて手順の記載が見当たらない場合は、この違いによるものだ。
やってはいけない3つのこと
ひとつ目は、フィルターを抜いたまま走ること。取扱説明書は、フィルターを装着せずにエアコンを使うと故障の原因になることがあるとして、必ず装着するよう明記している。新品が届くまでの数日だけ、という運用もメーカーの想定外だ。
ふたつ目は、外したフィルターを洗って使い回すこと。取扱説明書は交換するタイプであるとしたうえで、水洗いやエアブローによる清掃をしないよう記載している。
みっつ目は、品番だけで注文すること。理由は前に述べたとおりだ。
あわせて頭に入れておきたいのが、臭いの出どころはフィルターだけではないという点。取扱説明書は、エアコン使用中に車室内外のさまざまな臭いが装置内に取り込まれて混ざり合い、吹き出し口からの風に臭いがすることがあると説明し、始動時の臭いを抑えるために駐車時は外気導入にしておくことをすすめている。新品に替えても臭いが引かないときは、この使い方も試す価値がある。
よくある質問
自分のハイゼットトラックにエアコンフィルターは付いている?
現行型なら主要装備一覧表で全グレード標準装備になっている。判断が必要なのは初期型のほうで、2016年9月版の取扱説明書にエアコン非装着の仕様が書き分けられている以上、エアコンそのものが付いているかを実車で見るのが先になる。冷房が効く車なら、グローブボックスの奥にフィルターが入っている。
ハイゼットカーゴ用のフィルターを流用できる?
「ハイゼットカーゴ用」という括りで選ぶのは避けたい。適合表ではハイゼットカーゴのS321V・S331V・S321Wは2017年11月以降のみ設定があり、それ以前は「設定無」になっている。同じダイハツの軽商用車でも車種と年式で設定が変わる。ただし商品によってはハイゼットトラックとハイゼットカーゴの両方を適合車種として明記しているものがあり、その記載があるなら問題ない。
フィルターを掃除して使い回してもいい?
取扱説明書が明確に否定している。水洗いもエアブローも不可で、交換するタイプだと書かれている。手を掛けて延命するより、目安どおりに新品へ替えるほうが早い。
交換しないままだとどうなる?
目詰まりが進むと風量が落ちる。取扱説明書もこれを交換のサインとして挙げている。冷房の効きが悪いと感じてエアコン本体を疑う前に、フィルターを見たほうが安上がりだ。
まとめ
買う前に確認するのは次の3点。
- 車検証の型式がS500PまたはS510Pであること
- 初度登録が2014年9月以降であること(それより前の型式には設定がない)
- 実車にエアコンが装着されていること(初期型は非装着の仕様がある)
そのうえで、交換の目安は20,000kmごと、粉じんや花粉の多い地区では10,000kmごと。品番は照合の手がかりにとどめて、最終判断は型式と年式で下す。
3点の選び分けはこうなる。臭いを抑えたくて交換頻度も落としたくないなら活性炭入りの単品、標準の状態に戻したいだけなら純正交換タイプ、エアクリーナーの交換時期も近いならセット。どれもS500P/S510Pの2014年9月以降を適合として挙げている品だ。
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