ワゴンRのエアコンフィルターは、世代で品番が分かれる。MH35S・MH55S・MH85S・MH95S の現行世代と、MH34S・MH44S の先代では別の品番で、形状も共通ではない。ここを取り違えると、届いた箱を開けてから付かないと気づくことになる。交換の目安はスズキが1年または12,000kmと案内していて、作業そのものは工具なしでグローブボックスを外すだけで終わる。まずは車検証で型式を確認するところから始めてほしい。
現行世代と先代で品番が分かれる
自分の型式がどちらのグループかを先に確定させる。
| 世代(型式) | 対応年式 | 代表的な純正品番 |
|---|---|---|
| MH35S・MH55S・MH85S・MH95S | 2017年2月〜 | 95860-74P00 |
| MH34S・MH44S | 2012年9月〜2017年2月 | 95860-72M01 |
エアコンフィルターの適合表でも、この2つは別のグループとして扱われている。現行世代は2017年2月から始まり、新しいエンジンを積む MH95S が2020年1月に加わった。先代の MH34S・MH44S は「全車標準」の注記つきで、2012年9月から2017年2月までの区切りになっている。
部品流通各社が公開している適合品番データでは、デンソーのクリーンエアフィルター DCC7010(製品番号 014535-3710)が「ワゴンR 車両型式 MH35、MH55/年式 17.2〜/全車」に対応し、純正品番として 95860-74P00 と、ディーラーオプションの 99000-79AJ3 が併記されている。先代にはこれとは別の DCC7009(製品番号 014535-3070)が設定されていて、参考純正品番は 95860-72M01(資料によっては 95860-72M00 の表記もある)。現行世代向けの品を先代に流用することも、その逆もできない。
交換の目安は、スズキが公式サイトで案内している1年または12,000km。喫煙車については通常より早めの交換をすすめると明記されている。
注文前に助手席側のグローブボックスを開けて確認する
ワゴンRのエアコンフィルターは、助手席側グローブボックスの奥に入っている。注文ボタンを押す前に、次の3点だけ実車で見ておくと買い間違いがほぼ消える。
- 車検証で型式(MH35S など)と初度登録年月を確認する
- グローブボックスを外して奥の白い部分を見て、フィルターが実際に入っているか、印字されている矢印やUP表示がどちら向きかを確かめる
- フィルターの手前にカバー(差し込み口のフタ)が付いているかを見る
フィルターカバーが無い個体がある
3点目が見落とされやすい。スズキ車の適合表には、フィルターカバーが無い場合は挿入口をカッターで切り取ってフィルターを装着し、カバーは純正品を取り寄せてほしいという注意書きが付いている。つまり、カバーが備わっていない個体が存在する。同じ適合表では MC11S から MH34S・MH44S までの行に「全車標準」の注記があるのに対し、MH35S 以降の行にはその注記が無い。どのグレード・年式が該当するかまでは資料から特定できないので、実車の奥を目で見て確かめるのが確実。
純正品番が1つに定まらない
現行世代を調べると 95860-74P00 のほかに 95860-59S00 も出てくる。後者はハスラー、アルト、イグニス、スペーシア、ジムニー、ジムニーシエラ、ラパン、ワゴンR、クロスビーの適合として流通しているスズキ純正品番で、同世代のスズキ軽が使う共通形状のフィルターが複数の品番で出回っている状態にある。「ワゴンRの純正品番はこれ1つ」と言い切れる状況ではないので、確実を期すなら車台番号でディーラーに照会するか、外した実物の寸法と形状を突き合わせる。
車種をまたいだ交換手順は
にまとめてある。
選ぶときに見る3つの軸
対応型式さえ合っていれば、あとはこの3つで決まる。
ろ材の構成
ホコリと花粉を取る除塵層だけの製品、活性炭を加えてにおいに対処する脱臭タイプ、抗菌・抗ウイルス加工まで載せた高機能タイプ、という段階があり、そのまま価格帯の差になる。スズキが高機能タイプの説明で挙げているのも、花粉や微細なホコリの除去と、抗ウイルス・抗菌・脱臭の3つ。使い始めのにおいが気になるなら活性炭入り、花粉やPM2.5が主目的なら除塵層の説明を読む、という選び分けでいい。
風量
ろ材を厚く高機能にするほど、通気抵抗の問題が出やすくなる。デンソーは帯電不織布のろ材について空気の流れを損なわずに微粒子を捕らえると述べ、エムリットはメーカー公式情報でフィルター性能と風量確保の両立を掲げている。軽自動車で送風の勢いを落としたくないなら、集塵性能の数字だけでなく風量に触れているかを見る。
年間コスト
交換の目安が1年である以上、エアコンフィルターは毎年買い替える消耗品として考えるのが自然だ。参考として、スズキ純正用品の高機能タイプ 99000-79AJ3 は3,630円と案内されている。社外の互換品はこれより低い価格帯で流通しているので、性能の上振れを狙うより、無理なく毎年替えられる価格で選ぶ考え方も十分に成り立つ。
4製品を横並びで比べる
現行世代向けが3点、先代向けが1点。価格はAmazonの実売価格で、確認時点の値。変動するので目安として見てほしい。
| 製品 | 対応型式 | ろ材の性格 | 価格(確認時点) |
|---|---|---|---|
| ONLY ONE | MH35S・MH55S・MH85S・MH95S | 活性炭入り5層構造・脱臭・抗菌 | 1,280円 |
| エムリットフィルター | MH35/55/85/95 | 抗菌繊維+帯電加工・風量確保 | 1,450円 |
| HooMoo | MH35S・MH55S ほかスズキ車共通 | 特殊5層構造・活性炭入り | 1,097円 |
| CARLIFE | MH34S・MH44S | 活性炭入り | 1,290円 |
いずれもメーカーが公表している説明であって、横並びで実測した結果ではない。先代に乗っているなら、迷わず一番下の1点を見ればいい。
現行世代 MH35S/MH55S/MH85S/MH95S 向けの3点
においまで含めて標準的に選ぶなら ONLY ONE
MH35S・MH55S・MH85S・MH95S 向けとして設定され、純正品番 95860-74P00 に対応する互換品として案内されている。活性炭入りの5層構造で、脱臭と抗菌を売りにしている。現行世代でどれか1つと言われたら、まずこれを候補の中心に置く。エアコンを入れた瞬間のにおいが気になっている読者に一番向く。
ONLY ONE ワゴンR MH35S/MH55S/MH85S/MH95S 用 活性炭5層 エアコンフィルター
送風の勢いを落としたくないなら エムリットフィルター
スズキ ワゴンR(MH35/55/85/95)向けに設定された車種専用品。メーカー公式情報では、抗菌繊維、PM2.5を捕集する特殊形状の繊維、帯電加工を組み合わせたフィルターとされ、素材から加工まで日本製と記載がある。フィルター性能と風量確保の両立を掲げるブランドなので、集塵と送風のどちらも譲りたくない場合の選択肢になる。層数や活性炭の有無は公式サイトで確認できなかったため、ここには書かない。
エムリットフィルター ワゴンR MH35/55/85/95 専用 エアコンフィルター
価格を抑えたいなら HooMoo
ワゴンR MH35S・MH55S のほか、ジムニー JB64/JB74、アルト HA36S、ハスラー MR52S/MR92S、スペーシア MK53S、イグニスなど、同じ形状のスズキ車をまとめてカバーする互換品で、特殊5層構造をうたう。共通形状の車種が多いぶん流通量があり、今回の4点では最も低い価格帯。家族で複数のスズキ車に乗っているなら、まとめて替えるのに都合がいい。
HooMoo スズキ車用 特殊5層 エアコンフィルター ワゴンR MH35S/MH55S 対応
同じ形状を共有する車種の記事も用意している。
と
も、品番の考え方は同じ流れになる。
先代 MH34S/MH44S はこの1点
先代は現行世代と品番も形状も別なので、上の3点は使えない。CARLIFE社のスズキ用エアコンフィルターは、ワゴンR・ワゴンRスティングレーの H24.9〜H29.1(MH34S・MH44S)を明示した活性炭入りの互換品で、年式表記が自分の車と一致するかを箱の説明で照合できるのが選びやすい点だ。
CARLIFE スズキ ワゴンR MH34S/MH44S 用 活性炭入り エアコンフィルター
純正用品を選ぶ、整備工場に頼む
社外の互換品ではなく純正側で揃える道もある。スズキは純正用品として「カーエアコン用クリーンエアフィルター(高機能タイプ)」を設定していて、ワゴンR向けの品番は 99000-79AJ3、価格は3,630円と案内されている。適合車種にはアルト、スペーシア各種、ワゴンRスマイル、ハスラー、ラパン、ジムニー、ジムニーシエラ、ジムニーノマド、クロスビーが並ぶ。車両側に付いているフィルターを取り外して装着する位置づけで、追加で挟むものではない。
うたわれている性能は、花粉や微細なホコリの除去と、抗ウイルス・抗菌・脱臭の3つ。PM2.5については2.5μm粒子を約90%、1.0μm粒子を約60〜65%捕らえるとしている。参考までに、デンソーの上位グレード「クリーンエアフィルター プレミアム」の製品情報では、アレルゲンが2時間で80%以上減少、スギ花粉減少度84%、生菌数を1/100以下に減少といった数値が示されている。これは高機能タイプ一般が何を根拠にそう名乗っているかの参考値で、今回の4製品の実測値ではない。
グローブボックスを外すのが不安なら、点検や車検のときにディーラーや整備工場へ一緒に頼むのが早い。工賃は依頼先で変わるため、金額はここでは書かない。
交換手順は工具なしで数分
現行世代の手順は、部品を注文する前に読んでおくと段取りが見える。
- グローブボックスを開け、両サイド2か所にあるストッパーのツメを内側に押し込んで外す
- 付け根の左右2か所のはめ込み部分を、片方ずつ引っ張って取り外す
- 奥に現れたフィルター格納部で、フィルターカバーのロックのツメを指で外してカバーを開ける
- 古いフィルターを引き出す
- 新しいフィルターを、UPマークを前面に、矢印が上向きになるように挿入する
- カバーとグローブボックスを逆の順で戻す
工具は不要で、慣れれば数分で終わる作業とされている。5番の向きだけは間違えやすいので、古いフィルターを抜く前に矢印の向きを見ておく。カバーが付いていない個体に当たった場合は、そのままでは入らない。差し込み口の切り取りとカバーの取り寄せが必要になるので、無理に押し込まず整備工場へ相談したほうが早い。
取り付け作業をまとめて済ませたいなら
も同じ日にできる。
替えどきの見分け方
目安は1年または12,000km。デンソーはこの1年について、1日あたりの利用距離から算出した交換推奨想定期間だと注記していて、走行距離に比例してチリやホコリで目詰まりを起こし、通風性能が低下していくと説明している。つまり、同じ1年でも走る人ほど早く来る。
体感の側では、送風の勢いが以前より落ちた、エアコンを入れたときのにおいが気になる、といった変化がきっかけになる。ただし送風の弱さやにおいはフィルター以外にも原因がありうるので、替えれば必ず解消するとは言えない。判断がつかないときは、デンソーもすすめているとおりディーラーやカーショップで点検してもらうのが確実だ。車内で喫煙するなら、1年を待たずに前倒しでいい。
よくある質問
純正品番が 95860-74P00 と 95860-59S00 の2つ出てくるのはなぜか
同世代のスズキ軽が共通形状のフィルターを広く使っていて、複数の品番で流通しているため。どちらか一方が誤りというわけではない。自分の車の指定品番を確定させたいなら、車台番号を伝えてディーラーに照会するのが最短になる。
グローブボックスの奥にフィルターが入っていなかったらどうするか
カバーごと備わっていない個体に当たった可能性が高い。この場合は樹脂を切る加工とカバーの取り寄せが要るので、自分で進めず整備工場に見てもらったほうがいい。フィルター自体は同じ型式向けの品でよく、買い直しにはならない。
社外の互換品でも問題ないか
純正品番への対応をうたう互換品は、その品番の形状に合わせて作られている。ただし互換品は純正部品そのものではないし、純正と同じ性能だと言い切れる根拠もない。今回挙げた性能はいずれもメーカーの説明で、こちらで実測して比べたものではない。
MH23S など旧型のワゴンRはどう探せばよいか
適合表では MH23S が2008年9月から2012年9月、MH21S・MH22S が2003年9月から2008年9月で区切られ、いずれも備考は「全車標準」。世代ごとに品番が変わるので、旧型は自分の型式で改めて品番を確認する。型式別の部品探しは
の考え方と同じ手順になる。
向きを間違えて入れてしまったらどうなるか
UPマークと矢印の向きが逆でも物理的には収まってしまう。ろ材は方向を決めて設計されているので、気づいたらグローブボックスを開けて入れ直す。工具は要らないので数分で直せる。
まとめ
現行世代の MH35S・MH55S・MH85S・MH95S なら、においまで対処したい人は ONLY ONE、送風の勢いを重視するならエムリットフィルター、価格を抑えたいなら HooMoo。先代の MH34S・MH44S は年式表記が一致する CARLIFE の1点でいい。どれを選ぶにしても、車検証で型式と初度登録年月を確認し、グローブボックスの奥を開けてフィルターとカバーの有無を見てから注文する。1年に1回替える消耗品なので、続けられる価格の製品を選ぶのが結局は長持ちする。
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