パンクで応急用タイヤに替えるときも、スタッドレスタイヤへ入れ替えるときも、90系ヴォクシーのジャッキをかける位置は取扱説明書の図で確かめるのが確実だ。車載ジャッキとガレージジャッキでは図が載っている項が別で、ホイールナットは90系ならガソリン車・ハイブリッド車とも103N・mで締める。ただし、トヨタのヴォクシー取扱説明書によるとタイヤパンク応急修理キット装着車にはジャッキもレンチも積まれていないので、作業の前に装備を見ておく。
ジャッキポイントの確かめ方と押さえておく規定値
この記事は、2022年1月に発売された90系ヴォクシーを扱う。ガソリン車はMZRA90W(FF・前輪駆動)とMZRA95W(4WD)でエンジンはM20A-FKS(2.0L)、ハイブリッド車はZWR90W・ZWR91W(FF)とZWR95W・ZWR96W(4WD)でエンジンは2ZR-FXE(1.8L)だ。ZWR91W・ZWR96Wは2026年4月版の取扱説明書に載っている型式で、2022年1月版ではZWR90W・ZWR95Wになっている。
タイヤ交換の前に押さえることは次の3つだ。
- 車載ジャッキは、取扱説明書の「パンクしたときは(応急用タイヤ装着車)」の項の図が示す「ジャッキセット位置」にかける
- ガレージジャッキ(フロアジャッキ)のジャッキポイントは、取扱説明書の「ガレージジャッキ」の項に別の図で示されている
- 90系のホイールナットの締め付けトルクは、ガソリン車・ハイブリッド車とも103N・m(1050kgf・cm)
そのうえで、トヨタのヴォクシー取扱説明書によると、タイヤパンク応急修理キット装着車にはジャッキもホイールナットレンチも積まれていない。詳しくは次の節で見ていく。
自分のヴォクシーにジャッキと応急用タイヤは積まれているか
90系ヴォクシーには、応急用タイヤ装着車とタイヤパンク応急修理キット装着車がある。応急用タイヤはグレードやオプションなどによって装備の有無があるので、作業の前にデッキボードの下を見て、どちらの車かを確かめる。
応急用タイヤ装着車の工具の場所
取扱説明書の手順は、デッキボードを持ち上げるところから始まる。その下にあるジャッキとツールバッグ(ホイールナットレンチ・ジャッキハンドルなど)は、カバーを外し、固定バンドのフックを外してから取り出す。応急用タイヤは、タイヤカバーと留め具を外して取り出す。
タイヤパンク応急修理キット装着車の場合
トヨタのヴォクシー取扱説明書の、タイヤパンク応急修理キット装着車の項では「タイヤパンク応急修理キット装着車には、応急用タイヤ、ジャッキ、ジャッキハンドル、ホイールナットレンチが搭載されていません。」と書かれている。修理キット装着車でスタッドレスタイヤへの入れ替えなどを自分でするなら、ジャッキとホイールナットを回すレンチを別に用意する必要がある。 ガレージジャッキを使うなら、そのジャッキに付属の取り扱い説明書に従う。
同じ項によると、修理キットで直せるのは、くぎやネジなどが刺さった程度の軽いパンクだ。タイヤ側面など接地面以外の穴や損傷、4mm以上の切り傷や刺し傷、2本以上のタイヤのパンク、1本に2か所以上の傷、ホイールの破損、タイヤがホイールから外れているときなどは応急修理できない。修理したらすぐに約5kmを80km/h以下で走って補修液を広げ、その後は急な操作を避けて、約100km以内・80km/h以下でトヨタ販売店まで走る。
90系ヴォクシーのタイヤサイズ・空気圧・締め付けトルク
取扱説明書のメンテナンスデータの値を、ガソリン車とハイブリッド車に分けて並べる。
ガソリン車とハイブリッド車の値
| 項目 | ガソリン車(MZRA90W・MZRA95W) | ハイブリッド車(ZWR90W・ZWR91W・ZWR95W・ZWR96W) |
|---|---|---|
| 標準タイヤ | 205/60R16 92H(ホイール16×6J)、205/55R17 91V(ホイール17×6J) | 205/60R16 92H(ホイール16×6J)、205/55R17 91V(ホイール17×6J) |
| 標準タイヤの空気圧(前輪・後輪) | 240kPa(2.4kg/cm2) | 240kPa(2.4kg/cm2) |
| ホイールナットの締め付けトルク | 103N・m(1050kgf・cm) | 103N・m(1050kgf・cm) |
| 応急用タイヤ | T135/80D16 101M(ホイール16×4T)、T125/70D17 98M(ホイール17×4T) | T125/70D17 98M(ホイール17×4T) |
| 応急用タイヤの空気圧 | 420kPa(4.2kg/cm2) | 420kPa(4.2kg/cm2) |
空気圧はタイヤが冷えているときの値だ。どのグレードにどちらのサイズが付くかは、取扱説明書のこの表には書かれていない。応急用タイヤを取り付けるときも、締め付けトルクは同じ103N・mと書かれている。
年式と世代による違い
これらの値は、発売時の2022年1月版と、ガソリン車の2025年9月版・ハイブリッド車の2026年4月版の取扱説明書で同じになっている。年式による違いが気になるなら、手元の車の取扱説明書でも確かめてほしい。80系以前のヴォクシーの値は確かめていないので、その車の取扱説明書で値と位置を見る。
純正サイズやホイールの寸法は、次の記事にまとめている。
ジャッキポイントの位置と、かけてはいけない金具
カー情報サイトのカーナリズムや乗りものニュースの記事では、一般論として、ジャッキアップポイントは持ち上げに耐えるよう車体の金属が厚く作られた場所で、ほかの場所にかけると車体下部の金属が曲がったりつぶれたりするおそれがあると解説している。位置は車種によって違うので、どの車でも作業の前に取扱説明書で確かめるのが基本だ。
車載ジャッキを使うとき
車載ジャッキは、取扱説明書の「パンクしたときは(応急用タイヤ装着車)」の項の図にある「ジャッキセット位置」にかける。本文には位置を言葉で説明した記載が無いので、図を見て場所を合わせる。ジャッキは手で回して高さを上げ、ジャッキ頭部の凹み部がジャッキセット位置の中央あたりに軽く当たるところで止める。
ガレージジャッキを使うとき
ガレージジャッキのジャッキポイントは、取扱説明書の「ガレージジャッキ」の項に、車載ジャッキとは別に示されている。図は「フロント側」が1つ、「リヤ側」は「FF車(前輪駆動)」と「4WD車(4輪駆動)」で別々にあり、位置は図だけで示されている。型式でいえば、MZRA90W・ZWR90W・ZWR91WがFF車、MZRA95W・ZWR95W・ZWR96Wが4WD車なので、リヤ側は自分の車の駆動方式の図を見る。
作業はガレージジャッキに付属の取り扱い説明書に従う。取扱説明書は、正しい位置にセットしないと車両が損傷したり、けがをしたりするおそれがあるとしている。
かけてはいけない金具
トヨタのヴォクシー取扱説明書の、パンクしたとき(応急用タイヤ装着車)の項では「車両うしろ側のジャッキアップポイント付近にある金具(図で示す位置)にジャッキをかけないでください。」と注意している。車体が損傷するおそれがあるためで、ガソリン車・ハイブリッド車とも同じ注意だ。
作業前の準備と安全の決まり
持ち上げる前の準備と、持ち上げている間の決まりは、取扱説明書の警告どおりに守る。
停める場所と車の状態
- 地面が固く平らで安全な場所に止める
- パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPに入れてエンジンを止める(ハイブリッド車はハイブリッドシステムを停止する)
- 非常点滅灯を点滅させる
- パワースライドドアやパワーバックドアが付いた車は、挟み込みを防ぐためにパワードアオフスイッチをONにする
- 外すタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかける
ヴォクシーの取扱説明書には、パンクしたタイヤごとの輪止めの位置が表と図で示されていて、輪止めはトヨタ販売店で購入できると書かれている。パンクしたまま走り続けると、短い距離でもタイヤやホイールが修理できないほど傷むおそれがある。
ジャッキで持ち上げている間の決まり
ジャッキで支えた車の下には入らない。 ジャッキで支えた状態でエンジン(ハイブリッド車はハイブリッドシステム)を始動したり、車を走らせたりしない。人を乗せたまま持ち上げず、タイヤ交換に必要な高さ以上に上げない。車の下で作業するときはジャッキスタンドを使う。
乗りものニュースの記事(モータージャーナリストの西川昇吾氏)やカーナリズムでは、ジャッキだけで支えた状態は不安定で、外れると挟まれる危険があるとしている。作業できる高さまで上げたらジャッキスタンド(リジッドラック)で支え、ジャッキスタンドは平らな地面で使う。リジッドラックが無いときは、取り付けるタイヤや外したタイヤを車体の下に置いて、万一の落下に備える方法も紹介されている。
手順1:ナットをゆるめてジャッキアップし、タイヤを外す
走った直後はディスクホイールやブレーキのまわりが熱くなっていて、やけどのおそれがある。触れる前に気をつけてから、取扱説明書の順に進める。
- 輪止めを置く
- 車体を持ち上げる前に、ホイールナットを少し(約1回転)ゆるめる
- ジャッキ頭部の凹み部がジャッキセット位置の中央あたりに軽く当たるまで、ジャッキを手で回す
- ホイールナットレンチをジャッキハンドルに組み付ける
- タイヤが地面から少し浮く程度まで車体を持ち上げる
- ナットをすべて外してタイヤを取りはずす。地面に置くときはホイールの表側を上にする
ガレージジャッキで上げるときは、ガレージジャッキに付属の取り扱い説明書に従って作業し、「ガレージジャッキ」の項の図のジャッキポイントにかける。
手順2:タイヤを付けて、規定のトルクで締める
付けるときも取扱説明書の順に進める。
- ホイールの接触面の汚れをふき取る
- タイヤを取り付け、がたつかない程度まで手でナットを仮締めする
- 車体を下ろす
- ホイールナットレンチで、取扱説明書の図の番号順に2〜3回に分けて締める(締め付けトルクは103N・m)
- 締め付けトルクを速やかに確認する
- 工具・ジャッキ・外したタイヤを片付ける
締める順番
トヨタ公式サイトのよくある質問では、取扱書に書かれた順序(対角線順)で2〜3回に分けて締め、最後に取扱書のトルクで締めるとしている。ヴォクシーの取扱説明書では、この順番が図の番号で示されている。
ナットとレンチの扱い
ナットは必ずテーパー部(先の細くなった側)を内側にして取り付ける。 外側にするとホイールが破損し、脱落するおそれがある。ねじ部にはオイルやグリースを塗らない。締めすぎによるボルトやホイールの損傷や、ナットのゆるみによる脱落を防ぐためで、付いたら拭き取る。
トヨタ公式サイトのよくある質問は、レンチを足で踏んで回さないこと、使用中のホイールに合った専用のナットを使うこと、ナットのねじ部とホイールの接触面の汚れを拭き取ることも挙げている。ナットにつぶれ・亀裂・錆などがあるときや、手で仮締めしたときに引っかかりがあるときは、トヨタ販売店で点検を受ける。
交換したあとの確認と増し締め
力まかせに締めるとボルトを傷めるおそれがあるので、規定トルクで締める。JAFのクルマ何でも質問箱では、締め付けトルクを指定できるトルクレンチを車に積んでおくと便利だとし、トルクレンチが無いときは、できるだけ早くガソリンスタンドや整備工場で規定トルクでの本締めを頼むよう案内している。
タイヤメーカーのコンチネンタルタイヤは、交換後50〜100kmを目安に走ってからホイールナットを増し締めするよう勧めている。走り始めにナットがゆるむことがあり、放置すると走行中にホイールが外れる危険があるためだ。締めるときは、まず規定トルクの半分で各ナットを締め、そのあと規定トルクで本締めする方法を紹介している。
交換のあとに普段と違う音などの異常を感じたら、すぐにトヨタ販売店へ相談する。作業に不安があるときも、販売店やガソリンスタンドに相談すればよい。
応急用タイヤで走るときの注意
90系の取扱説明書は、応急用タイヤを付けているときの決まりを次のように挙げている。
- 80km/h以上の速度で走らない
- 応急用タイヤを2本以上同時に使わない
- できるだけ早く通常のタイヤに戻す
- 急加速・急ハンドル・急ブレーキ・急なエンジンブレーキを避ける
- タイヤチェーンを付けない
- 通常のタイヤより車高が低くなるので、段差に気をつける
装着中は、ABS・VSC・TRC・PCS・LTA・レーダークルーズコントロールなどが正常に作動しないおそれがある(装備はグレード・オプションによる)。4WD車は性能が十分に出ず、駆動系に悪い影響を与えるおそれもある。
スタッドレスへの入れ替えとタイヤ選びで守る決まり
季節ごとにタイヤを入れ替えるなら、取扱説明書の「タイヤについて」の項の決まりを守る。
タイヤとホイールの組み合わせ
- タイヤはすべて同じメーカー・同じ銘柄・同じトレッドパターンで、摩耗差の無いものを使う
- メーカー指定サイズ以外のタイヤやホイールを使わない
- ラジアルタイヤとバイアスタイヤを混ぜて使わない
- 夏用・オールシーズン用・冬用のタイヤを混ぜて使わない
- ほかの車で使われていた物や、使用歴の分からない物は使わない
- 亀裂や変形のあるホイールは使わない
タイヤ・ディスクホイール・ホイール取り付けナットを交換するときは、トヨタ販売店に相談するよう取扱説明書が案内している。
ローテーションと外したタイヤの保管
取扱説明書は、摩耗を均等にして寿命をのばすため、タイヤローテーション(タイヤ位置交換)を5000kmごとに行うよう案内している。タイヤの点検は法律で義務付けられていて、空気圧(タイヤが冷えているとき)・亀裂や損傷・溝の深さ・異常な摩耗を見る。
乗りものニュースの記事(モータージャーナリストの西川昇吾氏)では、外したタイヤは自分の重さで変形しないよう平積みにし、日光や雨の当たらない所で保管するよう勧めている。ゴム製品なので、保管の環境で劣化の進み方が変わるためだ。
新しいタイヤやホイールを選ぶときは、次の記事も参考になる。
自分でやるか、お店やJAFに任せるか
JAFのクルマ何でも質問箱では、近年は工具や応急用タイヤを標準で積まない車も増えているとして、工具や応急用タイヤが無いときや作業に自信が無いときは、無理をせずJAFなどに頼むよう勧めている。季節のタイヤ交換について、乗りものニュースの記事(モータージャーナリストの西川昇吾氏)は、年に2回程度なら自分でやるより、ディーラー・整備工場・カー用品店に任せる方が費用と安全の面で勧められるとしている。
ジャッキスタンドとトルクレンチまでそろえるつもりが無いなら、お店に任せる方がよい。 道具がそろっていて、取扱説明書の図と手順を一度確かめたうえで作業できる人なら、自分で替える選択もある。
よくある質問
修理キット装着車でもスタッドレスに自分で替えられる?
トヨタのヴォクシー取扱説明書によると、修理キット装着車にはジャッキもホイールナットレンチも積まれていないので、車の道具だけでは替えられない。ジャッキとレンチを別に用意し、ガレージジャッキなら「ガレージジャッキ」の項の図のジャッキポイントにかける。
車載ジャッキとガレージジャッキでかける位置は同じ?
同じだと決めつけない。取扱説明書は、車載ジャッキのジャッキセット位置とガレージジャッキのジャッキポイントを、別の項・別の図で示している。使うジャッキの図を見て、ガレージジャッキのリヤ側はFF車か4WD車かで図を選ぶ。
トルクレンチが無いときはどうする?
JAFの案内では、できるだけ早くガソリンスタンドや整備工場で、規定トルクでの本締めを頼む。
応急用タイヤで高速道路を走ってもいい?
90系の取扱説明書の決まりは、高速道路に限らず80km/h以上の速度で走らないことだ。その速度を守り、できるだけ早く通常のタイヤに戻す。
80系ヴォクシーにも同じ値が使える?
この記事の値と手順は90系(2022年1月以降)の取扱説明書によるもので、80系以前は確かめていない。80系の取扱説明書で値とジャッキの位置を確かめてほしい。
まとめ
まずデッキボードの下で装備を確かめ、修理キット装着車ならジャッキとホイールナットを回すレンチを別に用意する。そのうえで使うジャッキを決め、取扱説明書のそのジャッキの図でかける位置を最終確認する、という順番で進めればよい。
- デッキボードの下を見て、応急用タイヤ装着車か修理キット装着車かを確かめる(取扱説明書によると、修理キット装着車にはジャッキもレンチも積まれていない)
- 車載ジャッキは「パンクしたときは(応急用タイヤ装着車)」の項のジャッキセット位置、ガレージジャッキは「ガレージジャッキ」の項の図を見る
- 90系はガソリン車・ハイブリッド車ともホイールナットを103N・mで締め、コンチネンタルタイヤの勧めに沿って交換後50〜100kmを目安に増し締めする

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