納車から数か月の新型RAV4で、走り出しにコトコトと軽い打音が返ってきたり、停車中にジーッという作動音が続いたりして、手が止まる場面がある。6代目(60系)の日本仕様はHEVとPHEVだけで構成され、エンジンが止まったまま走る時間が長い。そのぶんモーターやポンプの作動音が耳に届きやすく、仕様どおりの音と故障の前触れが混ざって聞こえる。音の種類・出るタイミング・消える条件の3点さえ控えれば、原因はかなり絞り込める。
音の種類と発生タイミングで原因を絞る早見表
異音の切り分けは、部品名から入らず音の特徴を整理するのが近道になる。次の表は、音の性格と発生条件から発生源を当てるための対応表。
| 音の特徴 | 出るタイミング | まず疑う場所 | 自分でできる確認 |
|---|---|---|---|
| ジー・カチッという小さな電子音 | 始動直後・停車中・降車時 | 電動系の作動音(多くは正常) | 毎回同じ操作で再現するか |
| ゴー・ウォーンと速度に連動する音 | 40km/h以上で大きくなる | タイヤの摩耗、ハブベアリング | 空気圧、偏摩耗、左右差 |
| コトコト・カタカタという打音 | 段差、低速で荒れた路面 | 足回りの締結部、内装、積載物 | 荷室を空にして再現するか |
| キーキー・シャリシャリ | ブレーキを踏んだとき | パッドとディスクの摩耗、異物 | 制動力や踏みしろの変化 |
| ヒューン・シャーというモーター音 | 発進時と減速時 | 駆動用モーターと回生の作動音 | 加減速に完全連動するか |
| ビビリ・軋み | 荒れた路面、寒暖差の大きい朝 | 内装パネルの勘合、後付けパーツ | 手で押さえると止まるか |
表の1行目と5行目は、電動化された新型RAV4では設計どおりの作動音であることが多い。逆に2〜4行目は、放置すると摩耗や損傷が進む側の音になる。音が「速度」「ブレーキ操作」「段差」のどれに連動するかを最初に決めると、点検の当たりが一気に付く。
新型RAV4で正常と判断してよい作動音
6代目RAV4は2025年12月にHEV、2026年3月にPHEVが発売された電動車で、HEVのE-Four車は型式AXAN64、PHEVはAXAP64にあたる。エンジンが停止している時間が長いため、これまでエンジン音に隠れていた制御音が表に出てくる。次の4つは仕様として鳴る音で、単独で出ている限りは点検の対象にならない。
エンジンが唐突にかかる・止まるときの音
HEVもPHEVも、駆動用電池の残量、暖機、エアコンの要求に応じてエンジンを自動で始動・停止させる。停車中に何の操作もしていないのにエンジンがかかり、しばらくして静かに止まる——この繰り返しは制御どおりの動きで、故障ではない。始動と同時に金属的な打音やガラガラという音が重なるときだけ、切り分けの対象になる。
ブレーキから伝わるジャッ・キュッという作動音
電動化されたブレーキは、回生ブレーキと油圧ブレーキを踏力に応じて配分する。停止直前や踏み増した瞬間に、ペダルの奥からジャッ、キュッという短い作動音が伝わるのは、ブレーキアクチュエーターがポンプを動かしているため。ペダルの感触が一定で制動力が変わらないなら、正常な範囲の音になる。
電動パーキングブレーキとオートホールドのモーター音
停車保持やパーキング操作のたびに、リア側からウィーンという短いモーター音が出る。電動パーキングブレーキのモーターが動いている音で、作動と解除の両方で鳴る。音が長引く、解除に時間がかかる、警告灯が同時に点くといった症状が重なるときは点検に回す。
PHEVの充電中・給電中に鳴る低い連続音
PHEV(AXAP64)は駆動用電池が大きく、充電中は電池を冷やすためのファンやポンプが回る。エンジンが止まったまま、充電口付近やリアから低い連続音が続くのはこのため。最大1500Wの外部給電を使っている間も同じ音が出る。エンジン停止中に連続音だけが鳴るのは、電池温度を保つための冷却動作。
エアコン作動中のコンプレッサー音
エンジンが停止していてもエアコンが効き続けるのは、コンプレッサーが電動で駆動されているため。作動と停止のたびに、ダッシュボードの奥から小さなコッという音や、低いうなりが伝わってくることがある。信号待ちでエンジンが止まった瞬間に、その音だけが残って耳に付くのはこのためで、機構としては想定どおりの動き。外気温が高い日にエンジンが頻繁にかかるのも、電池とエアコンの要求に合わせた制御によるもの。
点検が必要な異音の代表パターン
正常な作動音を除いていくと、残るのは摩耗・緩み・損傷に由来する音になる。ここからは発生源ごとに、症状の現れ方と手元でできる見分け方を並べる。
速度に連動するゴー音(タイヤとハブベアリング)
40〜60km/hあたりから大きくなり、速度を落とすと小さくなるゴー、ウォーンという音は、タイヤかハブベアリングが候補になる。タイヤ由来なら、トレッド面を手でなぞったときの段差状の摩耗や毛羽立ちで気づける。ハブベアリング由来のときは、緩いカーブでステアリングを左右に振ると音量が変わるのが手掛かりになる。新型RAV4の純正タイヤは235/60R18や235/50R20といったサイズで、PHEVのZとGR SPORTは235/50R20を履く。扁平率の低い大径タイヤはロードノイズが大きく出やすく、摩耗が進むと音の性格そのものが変わる。空気圧不足のまま高速走行を続けると偏摩耗が進み、タイヤ由来のゴー音は空気圧を戻しても消えない。
段差で出るコトコト音(足回りの締結部と積載物)
低速で段差を越えたときに足元から返るコトコト、カタカタという打音は、サスペンションの締結部、スタビライザーリンク、そして車内の積載物が候補になる。切り分けは荷室を空にして同じ道を走るのが早い。荷物を降ろして消えるなら車体側の異常ではない。登録から日が浅い車では、部品の摩耗よりも締結部のなじみや積載物のがたつきを先に潰す方が話が早い。空荷でも残るコトコト音は、走行を続ける前に点検に出す。
ブレーキのキーキー音とシャリシャリ音
低速でブレーキを踏んだときのキーキーは、パッドとディスクの当たり面で起きる鳴きが多く、雨上がりや冷間時のディスク表面の錆で出ることもある。数回の制動で消えるなら様子見でよい。一方、シャリシャリ、ゴリゴリと砂を噛んだような音が出るときは、パッドの摩耗限界か異物の噛み込みが疑わしい。制動時にペダルが振動する、効きが落ちるといった症状を伴う場合は、その日のうちに点検へ回す。
高速走行で増える風切り音・ヒュー音
80km/h前後から強くなるヒュー、ボーという連続音は、ドアやウェザーストリップの合わせ面、ドアミラーの周り、ルーフ上の突起物が発生源になる。ルーフレールにキャリアやルーフボックスを載せた直後から始まったなら、取り付け位置と隙間を見直す。ドア由来かどうかは、走行中に窓を数センチだけ開けて音の性格が変わるかどうかで見当が付く。ウェザーストリップがめくれていたり、落ち葉のような異物を挟んでいたりすると、ドアの閉まりが甘くなって風切り音の発生源になる。風切り音そのものは機械的な故障ではないが、ドアの建て付けのずれが隠れている場合はドア調整で収まる。
内装のビビリ・軋み
ダッシュボードやドアトリム、荷室のパネルは、温度差で伸縮すると樹脂どうしの勘合部が擦れて軋み音になる。発生箇所は、走行中に同乗者へ手で押さえてもらうと特定しやすい。押さえて止まるなら、その部位のクリップ増し締めやフェルトの追加で収まる。内装の軋みは走行性能に影響しないが、後付けパーツの固定不良が紛れていることがあるので、取り付け履歴を思い出してから触る。
点検に出す前の切り分け手順
工場で最も扱いに困る申告が「たまに鳴る」というもの。再現条件を自分で握っておけば、1回の入庫で原因まで届く。
手順1 音が何に連動するかを1つずつ確かめる
- 停車してパワーをオンにしただけの状態で鳴るか(電動系の切り分け)
- 停車のままエンジンがかかった状態で鳴るか(エンジン由来の切り分け)
- 空いた道で40km/h前後を維持し、アクセルを抜いても鳴り続けるか(駆動系とタイヤの切り分け)
- ブレーキを踏んだときにだけ鳴るか(ブレーキの切り分け)
- 段差やうねりを越えたときにだけ鳴るか(足回りと内装の切り分け)
どの条件で再現したかを控えたら、次は録画する。スマートフォンを固定し、音と同時にメーターの速度が映る角度で撮ると、入庫時の説明が一気に短くなる。文章のメモより、音が入った動画1本の方が原因追跡は速い。
手順2 荷室と車内から順に潰す
ラゲージのフロアボード下、荷室のフック、シートバックのポケット、グローブボックスの中身。積載物のがたつきは、荷室を空にして同じ道を走るだけで切り分けられる。空荷で音が消えたなら、車体側を疑う必要はない。車内の物音を先に消しておくと、残った音の性格がはっきり読み取れる。
手順3 タイヤと足回りの外観を見る
空気圧の指定値は運転席側のドア開口部に貼られたラベルに記載がある。冷間時に4輪を測り、左右差と前後差を見る。トレッド面を手のひらで前後になぞると、片側だけ段差状に摩耗しているのが分かる。社外ホイールに替えているなら、ナットを規定トルクで締め直す。ホイールナットの緩みは異音では済まない領域なので、この確認だけは省かない。
保証で直すための準備とディーラーへの伝え方
新型RAV4は2025年12月発売のため、2026年時点ではほとんどの個体がメーカー保証の期間内にある。トヨタ公式の保証区分では、一般保証は新車登録から3年または走行6万km、特別保証は5年または走行10万kmのいずれか早い方までとなっている。
何が保証で直り、何が対象外になるか
一般保証は電装部品を含むほとんどの部品が対象で、特別保証はエンジン、動力伝達機構、乗員保護装置といった走行と安全に関わる部品を長期間カバーする。ハイブリッド機構(ハイブリッドトランスアクスル、インバーター、駆動用電池、冷却装置など)は特別保証の対象部品に含まれる。一方、タイヤ、ブレーキパッド、ワイパーゴムのような消耗品と、後付けパーツに起因する不具合は保証の対象から外れる。異音の原因が社外パーツ側にあった場合、その調査と修理の費用は自己負担になり得る。
伝え方は「音・条件・時期」の3点でよい
入庫時に渡す情報は3点にまとめる。①音の種類(コトコト、ゴー、キーキーなど擬音で構わない)②再現条件(速度域、路面、ブレーキ操作の有無、暖機前か後か)③いつから始まり、どのくらいの頻度で出るか。車内で録った動画があれば一緒に見せる。症状だけを一言で伝える申告は、再現できず「異常なし」で返ってくる確率が上がる。
再現しないと言われたときの進め方
再現待ちで返ってきた場合は、同じ症状で入庫した履歴を整備記録に残してもらう。症状と日付が積み上がると、メーカー側の技術情報や対策部品と突き合わせやすくなる。担当者に運転してもらうより、自分の運転に同乗してもらう方が再現は早い。再現条件を作れるのはオーナー本人なので、同乗診断を最初に依頼する。
後付けパーツが原因で出る異音
新車の異音では、車両側ではなく取り付けたパーツ側に原因があることがある。異音が始まった時期と、作業した時期が重なっていないかを先に照合する。
ホイール・スペーサー・リフトアップ
インチアップやスペーサーの装着では、ハブとの当たり面や締結の掛かり方が変わり、走行中のコトコト音や振動につながることがある。ハブ径が合わないホイールでセンターが出ていないと、速度に連動する異音になる。純正ハブ径に合うハブリングを使い、ナットの座面形状(テーパーか球面か)を車体側に合わせる。社外ホイールを履かせた後に始まった異音は、まず取り付け精度から疑う。
ドライブレコーダーの配線・内装パーツ
ピラーやルーフライニングに通した配線が遊んでいると、荒れた路面でカタカタと内装を叩く。ドラレコやレーダー探知機の配線は、内張りの中でタイラップやフェルトテープを使って固定してから戻す。荷室のボードやラゲージマットも、寸法が合っていないと軋み音の発生源になる。後付け作業の直後に始まった音は、触った場所から順にたどる。
よくある質問
停車中に突然エンジンがかかるのは故障ですか
故障ではない。HEVもPHEVも、駆動用電池の残量、暖機、エアコンの要求に応じてエンジンを自動で始動・停止させる制御になっている。始動と同時に金属的な打音やガラガラという音が重なる場合にだけ、点検の対象として切り分ける。
走行中のヒューンというモーター音は直せますか
発進と減速に完全に連動するヒューン、シャーという音は、駆動用モーターと回生の作動音で、仕様として出る音になる。加減速と無関係に鳴る、あるいはアクセルを抜いても音量が変わらないときは別の原因なので、再現条件を控えて点検に出す。
ブレーキのキーキー音は放置してよいですか
雨上がりや冷間時に出て、数回の制動で消えるものは、パッドとディスクの表面状態による鳴きで様子見でよい。シャリシャリ、ゴリゴリという音、ペダルの振動、効きの低下を伴うときは、その日のうちに点検へ回す。
異音の修理は新車保証で無料になりますか
原因部品が一般保証(3年・6万km)または特別保証(5年・10万km)の対象で、消耗や後付けパーツに起因しないものであれば、保証の範囲で処置される。タイヤやブレーキパッドなどの消耗品、社外パーツが原因の異音は対象外になる。
50系RAV4の異音の情報はそのまま使えますか
音の切り分け方そのものは共通する。ただし60系はHEVとPHEVのみの構成で、電動系の作動音の出方が違う。ガソリンエンジン車の音を前提にした情報は、そのまま当てはまらない部分がある。
異音が出たまま乗り続けても問題ありませんか
切り分けた結果が電動系の作動音であれば、そのまま乗って支障はない。速度に連動するゴー音、ブレーキのシャリシャリ音、空荷でも残るコトコト音は、摩耗や緩みが進む側の音になるため、早い段階で点検に出す。走行中に音量が急に増した、警告灯が点いた、ステアリングやペダルに振動が伝わるといった変化が重なったときは、その日の運転を切り上げて入庫する。
まとめ
新型RAV4(60系)の異音は、音の種類と連動する操作を切り分けるところから始まる。停車中のジー音、ブレーキアクチュエーターの作動音、電動パーキングブレーキのモーター音、PHEVの充電中に鳴る冷却音、エアコンの電動コンプレッサー音は、設計どおりの音であり点検の必要はない。速度に連動するゴー音、段差でのコトコト音、ブレーキのシャリシャリ音は、タイヤ・足回り・ブレーキの点検対象になる。音が始まった時期と、ホイールやドラレコを取り付けた時期が重なっていないかも、入庫前に照合しておきたい。再現条件を動画で記録してから入庫すれば、保証期間内の車両は一般保証と特別保証の範囲で処置される可能性が高く、原因の特定までの往復も短く済む。

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