ワゴンRの異音は、音が出る場所と音の種類を組み合わせると原因の見当がつく。JAF の案内では、エンジン付近のキュルキュル音はドライブベルトの滑り、ガラガラ音はエンジンオイルの不足や潤滑不良の可能性が挙げられている。走行に関わる音は見当をつけたら点検に出し、あわせて自分の型式に関係するリコールを車台番号で確かめておく。
音の出る場所と種類で分かる、異音の主な原因
JAF の案内で原因が示されている組み合わせを、場所ごとにまとめた。
| 音が出る場所 | 音の種類・場面 | 考えられる原因(JAF の案内) |
|---|---|---|
| エンジン付近 | キュルキュル音 | ドライブベルトの滑り |
| エンジン付近 | ガラガラ音 | エンジンオイルの不足・潤滑不良 |
| ハンドル | 回したときの音 | ステアリング機構の異常 |
| タイヤ付近 | 走行中の音 | タイヤに刺さった異物・走行関係の部品の傷みなど |
| ブレーキ | 踏んだときの音 | パッドの残量の減りを知らせるパッドウェアインジケーターの音のことがある |
| ワイパー | 作動時のビビり音 | ガラス面の汚れ・はっ水コーティングの影響・ワイパーゴムの劣化 |
| エンジン停止後 | ファンの回転音 | 冷却ファンが回り続けている(一部の車種) |
このうち、エンジン付近・ハンドル・タイヤ付近の音は、JAF がいずれも点検が必要な状態として救援要請を案内している。連絡する前に、まず自分の安全を確保し、今の状況を伝えられるようにしておく。
エンジン付近のキュルキュル音・ガラガラ音
JAF の案内では、エンジン付近の音はガラガラ音かキュルキュル音かで状況が異なるとされる。どちらも点検が必要な状態だ。
キュルキュル音はドライブベルトの滑りのことがある
キュルキュル音は、ドライブベルトが滑っている可能性がある。音の高さや出るタイミングを覚えておくと、点検のときに状況を伝えやすい。
ガラガラ音はオイル不足や潤滑不良のことがある
ガラガラ音は、エンジンオイルの不足または潤滑不良が起きている可能性がある。JAF の案内では、潤滑不良や冷却不良が進むと、金属同士がこすれる部分が過熱して固着し、エンジンが焼き付いて始動できなくなることがある。
オイルの量は日常点検で確かめられる(JAF も日常点検の案内でエンジンオイルの点検方法を紹介している)。ガラガラ音が出たら、オイル量を見たうえで点検を受けるのが先だ。
MH34S はベルトとプーリまわりのリコールを確かめる
MH34S に乗っているなら、ベルトとプーリまわりについてスズキが公表している次のリコールを確かめておきたい。
エンジン補機ベルトのリコール(届出番号 4372)
スズキの公表では、ワゴンR DBA-MH34S の一部(車台番号の範囲ごとに 2013年2月から2014年4月の間に製作された車)が対象で、リコール開始は 2018年11月16日。エンジン補機ベルトの構造が不適切なため一部のベルトで耐久性が不足し、ベルトの共振で破断するとオルタネータとウォータポンプが止まって警告灯が点灯し、最悪の場合は走行中にエンジンが停止して再始動できなくなるおそれがある。
改善措置は、全車両のエンジン補機ベルトを対策品に交換すること。対策済みの車には ID プレートに白色のシールが貼られる。公表ページには異音の記載は無い。
クランクプーリボルトのリコール(届出番号 4761)
スズキの公表では、ワゴンR DBA-MH34S のエネチャージ仕様車の一部(車台番号の範囲ごとに 2012年8月から2016年2月の間に製作された車)が対象で、リコール開始は 2020年6月19日。ねじ谷底の形状が不適切なため耐久性が不足し、締付け軸力が低い場合にボルトが折損してガタが生じ、クランクシャフトの位相角度を正しく検出できずにエンストに至るおそれがある。
改善措置は、全車両のクランクプーリボルトを良品に交換すること(プーリ等に損傷がある場合は、損傷部品を新品に交換したうえで交換)。公表ページには異音や振動などの体感できる症状の記載は無い。
対象かどうかは車台番号で決まる
2件とも公表ページに異音の記載は無いので、音が出ているかどうかで対象かを判断しない。リコールの対象は車台番号の範囲で示され、その範囲には対象外の車両が含まれる場合がある(スズキの公表・国土交通省の案内)。型式や年式だけで決めず、車台番号で確かめる(調べ方は後の節で説明する)。
MH23S でベルトの交換が要ると分かったときの部品
キュルキュル音が出ても、部品を替えれば音が止まると先に決めないほうがいい。まず点検で原因を確かめ、ベルトの交換が要ると分かってから部品を選ぶ。
MH23S で交換が要ると言われたときの一例が、次のセットだ。販売ページの商品説明では、CAPSOL のファンベルトとクーラーベルトの 2 本セットで、ワゴンR MH23S 用のスズキ用の互換品(純正品ではない)。ベルトは三ツ星ベルトのファン用が 4PK870、クーラー用が 4PK710 と記載されている。
| ベルト | 取り付けの条件(販売ページの商品説明) |
|---|---|
| ファンベルト | 純正品番 17521-65H10 または 17521-71J10 のいずれかの取付車両に限る |
| クーラーベルト | 純正品番 49180-70A10・49180-82C00・49181-70A10・49181-70A11・49181-70A12・49181-70A13・49181-82C00 のいずれかの取付車両に限る |
このセットの商品名と商品説明の箇条書きに書かれている対応の型式は MH23S だけで、MH34S や MH55S などほかの型式への対応は、商品名と商品説明の箇条書きのどちらにも記載が無い。MH23S で、付いているベルトの純正品番が上の条件に入るなら、このセットが候補になる。注文の前に、自分の車に付いているベルトの純正品番を確かめておく。
CAPSOL ファンベルト・クーラーベルト 2本セット(ワゴンR MH23S 用・互換品)
ブレーキを踏んだときの音とパッドの減り
JAF のクルマ何でも質問箱では、多くの国産車には、ブレーキパッドの残量が少なくなるとブレーキ時に音で知らせるパッドウェアインジケーターが付いているとされる。自分のワゴンRの装備は、取扱説明書や整備工場で確かめる。パッドが減るとブレーキ液の量も下がり、ブレーキ警告灯が点くことがある。こうした症状が出たら、早めに整備工場で点検・交換を受ける。
同じ案内では、パッドの残量はホイールを外し、ブレーキキャリパーの点検用の窓から目視で確かめる。残量が 2mm 程度以下になったら交換が必要で、そのまま使い続けると制動力が落ち、重大な事故につながるおそれがある。タイヤを外すとブレーキディスクも見えるので、傷などの異常がないかもあわせて見る。前輪はハンドルを左右に切ると点検しやすい。ホイールを外す作業に慣れていなければ、整備工場に任せたほうが早い。
ハンドル操作時・タイヤ付近の音と MH23S 四輪駆動車のリコール
ハンドルを回すと音がする
JAF の案内では、ハンドルを回したときに異音がする場合は、ハンドル(ステアリング)機構に異常が発生している可能性がある。ハンドル機構に異常があると操作ができなくなるおそれがあり、走行は非常に危険とされる。ハンドル操作時の振動や、ハンドルが重くなるといった症状が出る場合もある。
走行中にタイヤ付近から音がする
JAF の案内では、走行中のタイヤ付近の異音は発生源が多岐にわたり、複数の原因が考えられる。例として、タイヤに異物が刺さっている、走行関係の部品が傷んでいる、などが挙げられている。
MH23S 四輪駆動車のトランスファのリコール
スズキの公表では、ワゴンR CBA-MH23S・DBA-MH23S の四輪駆動車の一部が、トランスファのリコール(届出番号 3992・リコール開始は 2017年2月24日)の対象だ。このリコールの対象車全体の製作期間は 2008年9月19日から2009年10月19日までで、車台番号の範囲によって異なる。
トランスファ内のインターミディエイトシャフトの設計が不適切なため、右側ドライブシャフトが正しくはまっていないものがあり、段差乗り越え等の大きな衝撃が加えられた場合、ドライブシャフトが抜け、異音、オイル漏れの発生や加速不良となり、最悪の場合は走行不能や駐車中に車両が動き出すおそれがある。改善措置は、全車両のトランスファ内のインターミディエイトシャフトを対策品と交換すること。MH23S の四輪駆動車で、段差を越えた後から音が出始めたなら、車台番号で対象かを確かめたい。
ワイパー・エンジン停止後のファン・エンジンルームの鳴き声
ワイパーのビビり音
JAF の案内では、ワイパー作動時のビビり音の原因として、ガラス面の汚れ、はっ水コーティングの影響、ワイパーゴムの劣化が挙げられている。対処は次の順番で進める。
- 窓ガラスの汚れを取り除く
- はっ水コーティングをしている場合は、ワイパーゴムにビビり防止剤を塗る
- 改善しなければ、ワイパーゴムのみ、またはワイパーブレード一式を交換する
- 自分での交換が難しい場合は、販売店や整備工場に相談する
エンジンを止めた後もファンの音がする
JAF の案内では、一部の車種では、エンジンを冷却するためエンジン停止後もしばらく冷却ファンが回り続けている。長時間回っている場合は故障の可能性も考えられ、すみやかに販売店や整備工場で点検を受ける。
エンジンルームから猫などの鳴き声がする
JAF の案内では、エンジンルームから猫などの鳴き声がするときは、エンジンをかけるとベルトなどに動物が巻き込まれる場合があるため、エンジン始動はおこなわない。ボンネットなどエンジンルーム付近をやさしくたたいても解決しない場合は、JAF へ救援要請をする。
自分のワゴンRがリコール対象か調べる方法
車台番号でメーカーに確かめる
国土交通省の案内では、リコールの対象になると、ハガキ等で自動車メーカー等から直接通知される。通知が来ない場合や不安がある場合は、メーカーか購入した販売店に相談する。
国土交通省のリコール情報検索でも、車名・メーカー名・型式から調べられる。ただし対象は車台番号の範囲で示され、実際には対象外の車両も含まれることがあるので、個別の車両の確認はメーカーへ問い合わせる。主要メーカーの中には、車検証に記載の車台番号を入力してリコール情報を検索できる仕組みを用意しているところもある。
MH55S の一部が対象の CVT のリコール(届出番号 5189)
スズキの公表では、ワゴンR 4AA-MH55S の車台番号 MH55S-920001 から MH55S-924135 まで(2020年1月6日から2022年6月16日までに製作)が、無段変速機(CVT)のリコールの対象で、リコール開始は 2022年7月22日。CVT コントローラの制御プログラムが適切でないため、高負荷のキックダウン時等にスチールベルトが滑って摩耗粉が発生し、油圧調整弁の動きが悪くなって油圧が不足し、最悪の場合は走行不能に至るおそれがある。
改善措置は、全車両の CVT を点検してベルトの滑りがあると判断された場合は CVT を交換し、全車両の CVT コントローラを対策プログラムに書き換えること(対策済みの車には ID プレートに緑色のシール)。公表ページには異音や警告灯の記載は無い。
不具合を国土交通省に届け出る
国土交通省の自動車不具合情報ホットラインでは、利用者から自動車の不具合の情報を受け付けている。送るのは、車名・車種名・型式・登録番号と、不具合の発生時期・内容・詳しい状況など。個々の情報への回答や調査状況の報告は行っておらず、寄せられた情報はリコールの隠ぺいの防止や欠陥車両の早期発見などの業務に活用される。点検を受けても同じ症状が続くときは、届け出ておく価値がある。
よくある質問
キュルキュル音はベルトを替えれば止まる?
止まるとは限らない。JAF の案内では、キュルキュル音はドライブベルトの滑りの可能性があるとされる段階で、原因はまだ決まっていない。点検で原因を確かめ、交換が要ると分かってから部品を選ぶ。
ブレーキを踏むと鳴るのはパッドの交換時期?
その可能性がある。多くの国産車には、残量の減りを音で知らせるパッドウェアインジケーターが付いているとされる。ブレーキ警告灯が点くこともあるので、音が出始めたら早めに整備工場で残量を見てもらう。
エンジンを止めた後のファンの音は故障?
故障とは限らない。一部の車種では、冷却のために停止後もしばらく冷却ファンが回る。ただ、長時間回り続けるなら点検を受ける。
自分のワゴンRがリコール対象か調べるには?
車検証に記載の車台番号を控え、メーカーか購入した販売店に問い合わせるのが確実だ。国土交通省のリコール情報検索で型式から当たりをつけることもできる。
まとめ:音の場所で見当をつけ、車台番号でリコールを確かめる
まずは車検証で型式と初度登録年月を確認し、あわせて車台番号を控えておく。そのうえで次の順に進める。
- 音が出る場所(エンジン付近・ハンドル・タイヤ付近・ブレーキ・ワイパー・エンジン停止後)と音の種類で、原因の見当をつける
- エンジン付近・ハンドル・タイヤ付近の音は、JAF が点検が必要な状態としている。安全を確保してから点検や救援を頼む
- 型式に関係するリコールは、型式や年式だけで判断せず、車台番号でメーカーか販売店に確かめる
部品の交換は、点検で原因がはっきりしてから考えれば間に合う。
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