キャンプ場の砂利道や雪の残る駐車場に入るとき、フロンクスの下回りにもう少し余裕が欲しくなる。見た目をSUVらしく寄せたいときも含めて、フロンクスならショックアブソーバーはそのままで、コイルスプリングを替えるだけで車高を少し上げられる。選ぶ分かれ目は、車検証の型式が2WDのWDB3Sか4WDのWEB3Sかと、メーカーが公表している上げ幅と注意事項の範囲だ。
フロンクス用のリフトアップスプリングは2社・4品番
フロンクス専用のリフトアップスプリングは、モンスタースポーツの「ハイトアップスプリングセット」と、アゲサスの「リフトアップサス」の2社が出している。メーカー記載の上げ幅は、モンスタースポーツが前後約20mm(参考値)、アゲサスが約1インチ(25.4mm)。2社とも、実際の上がり方は車両の個体差などで変わるとしている。
どちらも2WD(WDB3S)用と4WD(WEB3S)用で品番が分かれているので、まず自分の車の型式で候補を2つに絞る。
| 型式 | 駆動方式 | モンスタースポーツ | アゲサス |
|---|---|---|---|
| WDB3S | 2WD | 520520-7910M | ag-wdb3s |
| WEB3S | 4WD | 520520-7920M | ag-web3s |
迷ったら、適合年式と取り付け後の調整まで製品ページに書いてあるモンスタースポーツが段取りを組みやすい。上げ幅を少しでも大きく取りたいならアゲサスだが、年式の適合は買う前に販売店へ確かめる。
フロンクスの型式と足回りの基本
スズキは、日本で売るフロンクスについて、タイヤ・コイルスプリング・ショックアブソーバーなどを国内の路面向けに調整したと説明している。リフトアップスプリングへの交換は、このうちコイルスプリングを社外品に替える作業だ。
型式と駆動方式の見分け方
フロンクスの型式は4AA-WDB3Sと4AA-WEB3Sの2つ。車両重量は4AA-WDB3Sが1,070kg、4AA-WEB3Sが1,130kgで、部品メーカーの適合表ではWDB3Sを2WD、WEB3Sを4WDとして扱っている。
スズキは2024年10月16日に国内でフロンクスを発売した。2WDは前輪駆動で、4WD車は日本国内専用仕様。4WD車には「スノーモード」「グリップコントロール」「ヒルディセントコントロール」の3つの走行モードがある。ボディーサイズは全長3,995mm×全幅1,765mm×全高1,550mm、最小回転半径は4.8mだ。
純正のタイヤと最低地上高
スズキの販売店の紹介記事では、純正タイヤのサイズは195/60R16 89H。ホイールはスズキの発表で16インチアルミホイールとされている。
最低地上高は、自動車情報サイトに載った主要諸元(2WD・6AT)で170mm。4WD車の値は今回の資料では確かめられなかったので、ここには書かない。
リフトアップスプリングの選び方
1. 型式で2WD用か4WD用かを決める
最初に決めるのは駆動方式だ。車検証の型式がWDB3SかWEB3Sかを確かめ、その型式の品番を選ぶ。選べるのは自分の型式に合った品番だけと考えてよい。モンスタースポーツのガイドも、車検証と製品の適合表を必ず確認するよう案内している。
2. 上げ幅を比べる
記載上はアゲサスの約25.4mmが、モンスタースポーツの約20mmより少し大きい。どちらもメーカーが示す目安なので、数mmの差にこだわるより、次の注意事項の範囲で選ぶほうが後で困らない。
3. バネレートの表記を読む
バネレートは、モンスタースポーツがN/mmとkgf/mmの併記、アゲサスがkg/mmで書いている。数値は下の比較表にまとめた。純正スプリングのバネレートは今回確かめられていないので、純正からどれだけ変わるかは比べられない。数値だけで乗り心地を決めつけず、メーカーの説明とあわせて読む。
4. 注意事項の書かれ方を確かめる
製品ページに書いてある注意事項の範囲は2社で違う。範囲が広いほど、取り付けを頼む前に作業先と確認できる材料が増える。違いは比較表の下にまとめた。
モンスタースポーツ ハイトアップスプリングセット
フロンクス専用のコイルスプリングで、フロント・リヤの4本セット。コイルスプリングのみの交換で前後約20mm車高が上がる(参考値は前+20mm・後+20mm)。バンプラバーは純正品を無加工で使う。
車高の変化量は、6AT・2WD・燃料満載・乗員なしのフロンクスを基準にした参考値だ。グレード・駆動方式・車両の個体差・タイヤ外径などで変わると、メーカーは注記している。
モンスタースポーツの製品ページでは、2WD用と4WD用は装着したときにどちらも同じくらいの車高になるよう、バネレートを別々に設定している。フロンクス向けガイドでは、車高が上がって重心が高くなることを考えてバネ特性を調整し、最低地上高の増大と安定感の両立を目指したとしている。
販売ページの商品説明では、「車高、ハンドリングを質感高くまとめ、フロンクスをよりSUVらしくワイルドに仕立てる」ハイトアップスプリングと紹介している。商品説明の品番と適合も、メーカーの製品ページと一致する。
2WD用(WDB3S)
品番は520520-7910M。適合はスズキ フロンクスの型式WDB3S・年式24.10〜(1型〜)・エンジンK15C+W06A・6AT。
MONSTER SPORT ハイトアップスプリングセット フロンクス WDB3S(2WD)用 520520-7910M
4WD用(WEB3S)
品番は520520-7920M。適合はスズキ フロンクスの型式WEB3S・年式24.10〜(1型〜)・エンジンK15C+W06A・6AT。
MONSTER SPORT ハイトアップスプリングセット フロンクス WEB3S(4WD)用 520520-7920M
アゲサス リフトアップサス
アゲサスの公式サイトでは、リフトアップスプリングを専門にするメーカーで、「気軽にチョイ上げ」をコンセプトにしていると説明している。上げ幅は純正ショックのストロークを考えて約1インチから約1.5インチに設定し、バネレートは純正並みから数%増に抑えて乗り心地への影響を小さくした、という考え方だ。フロンクス用は2WD用・4WD用とも約1インチ(25.4mm)アップ。販売ページの商品説明では、キャンプやアウトドア、雪道対策にも向くリフトアップスプリングとして紹介している。
メーカーの製品ページにも、販売ページの商品名と商品説明の箇条書きにも、適合年式・セット内容・アライメント調整の要否の記載が無い。型式だけでなく年式との適合も、購入前に販売店に確かめる。
製品ページには次の注意書きがある。
- 車高のアップ量は車両の個体差で多少違う
- 車両の状態によっては構造変更が必要な場合があり、40mm以上の変化がある場合は構造変更の手続きが必要な場合がある
- 装着後はライトの光軸の確認と調整を勧める
- 車高の変化で国土交通省の直前側方運転視界基準に抵触する可能性があり、その場合はミラー・カメラ・ドライブレコーダーなどで視界を確保する対策が必要になる
- 2インチ以上のリフトアップでは、ブレーキホースなどの補機類の交換が必要な場合がある
2WD用(WDB3S)
品番はag-wdb3s。適合は型式WDB3S・駆動方式2WD。
agesus リフトアップサス フロンクス WDB3S(2WD)用 1インチアップ
4WD用(WEB3S)
品番はag-web3s。適合は型式WEB3S・駆動方式4WD。製品ページでは本体カラーを半艶ブルーグリーンとしている。
agesus リフトアップサス フロンクス WEB3S(4WD)用 1インチアップ
2社4品番の比較表
| 商品 | 対応型式 | 品番 | 上げ幅(メーカー記載) | バネレート(フロント/リヤ) | 適合年式の記載 |
|---|---|---|---|---|---|
| モンスタースポーツ 2WD用 | WDB3S(2WD) | 520520-7910M | 前後約20mm(参考値) | 22.25N/mm(2.27kgf/mm)/29.01N/mm(2.96kgf/mm) | 24.10〜(1型〜) |
| モンスタースポーツ 4WD用 | WEB3S(4WD) | 520520-7920M | 前後約20mm(参考値) | 21.95N/mm(2.24kgf/mm)/32.14N/mm(3.28kgf/mm) | 24.10〜(1型〜) |
| アゲサス 2WD用 | WDB3S(2WD) | ag-wdb3s | 約1インチ(25.4mm) | 3.2kg/mm/4.0kg/mm | 記載なし |
| アゲサス 4WD用 | WEB3S(4WD) | ag-web3s | 約1インチ(25.4mm) | 3.0kg/mm/4.0kg/mm | 記載なし |
注意事項の範囲は、モンスタースポーツが適合年式・アライメントと光軸の調整・LEDヘッドライトのオートレベリングの初期設定・安全機能への影響・保証の扱い・車検対応まで記載している。アゲサスは光軸の確認と調整・構造変更が必要な場合・直前側方運転視界基準を記載し、適合年式・アライメント・車検対応の記載は無い。
上げ幅の記載はアゲサスが大きく、注意事項の範囲はモンスタースポーツが広い。取り付け後の調整まで製品ページの記載どおりに段取りしたいならモンスタースポーツ、上げ幅を優先して年式の確認を販売店に頼めるならアゲサス、という分け方になる。
車検と構造変更の考え方
軽微な変更の範囲
国土交通省の案内では、車両の高さなどが変わる改造をしたときは構造等変更検査を受ける。ただし、自動車部品を付けたときに寸法と車両重量が一定の範囲内(高さは±4cm)の場合や、指定部品を溶接・リベット以外の方法で付けた場合は、軽微な変更として諸手続きが要らない。軽微な変更でも保安基準に適合している必要があり、それはユーザーの責任で管理する、としている。
2社の記載上の上げ幅(約20mm・約25.4mm)は、この±4cmより小さい。ただし実際の高さは個体差や同時に付ける部品で変わる。取り付け後の高さと保安基準への適合は、作業先の整備工場で確かめてもらう。
メーカーの記載の違い
モンスタースポーツは、この製品を「保安基準適合で車検にも対応」と記載している。ただしこれは道路運送車両法の保安基準(平成28年2月時点)に関わる該当部位の参考データで、指定の取り付け・調整方法で使う場合に限る。同時に付けるエアロ・排気系パーツとの組み合わせや部品の経年変化によってはこの限りではない、という条件つきだ。
アゲサスには車検対応の記載が無く、先に挙げたとおり、車両の状態によっては構造変更が必要な場合があると書いている。
取り付けと取り付け後の調整
作業は専門店に頼む
足回りは安全や法規に関わる部品で、モンスタースポーツのガイドは、経験の有無にかかわらず専門店への相談・取り付けを勧めている。純正LEDヘッドライト装備車は、オートレベリングの初期設定に専用ツール「SUZUKI-SDTⅡ」が要る。依頼先がその作業まで受けられるかを先に確かめる。
アライメントと光軸の調整
モンスタースポーツは、取り付けの際に適正なアライメント(サイドスリップ)調整と光軸調整が必要としている。取り付け後に確かめることは次の3つ。
- アライメント(サイドスリップ)の調整
- ヘッドライトの光軸調整(純正LEDヘッドライト装備車はオートレベリングの初期設定も)
- タイヤ・ホイールまわりと最低地上高の確認
モンスタースポーツのガイドも、車高を変えた後は見た目だけでなく、タイヤ・ホイール・アライメント・最低地上高なども確認するとしている。アゲサスはアライメントの要否を書いていないので、作業先に判断してもらう。ホイールも替える予定なら、寸法を先に見ておく。
安全装備への影響
モンスタースポーツは、衝突被害軽減ブレーキなどの安全機能について、この製品の装着による影響は考慮していないとし、車高の変化で制御や作動に影響が出る可能性があると注記している。取り付けを頼むときに、この注記を作業先へ伝えておく。
ほかのパーツとの組み合わせ
モンスタースポーツのガイドでは、ホイールや足回りの適合条件は、車高・タイヤ・アライメント・車両の個体差・装着サスペンションなどで変わる場合があるとしている。すでに付けている他社製エアロやマフラー、サスペンションとの組み合わせでも、条件が変わる場合がある。
使い方にも前提がある。モンスタースポーツは、重量物の運搬や後席フル乗車での常用(シビアコンディション)や商用は想定していないと記載している。自動車メーカーが定める保証の対象外になること、予告なく仕様変更・製造中止する場合があることも書かれている。
よくある質問
車検は通る?構造変更は要る?
記載上の上げ幅は軽微な変更の高さの範囲に収まるが、どの車でも必ず通るとは言えない。取り付け後の実車で、整備工場に高さと保安基準への適合を見てもらう。
4WD車にも付けられる?
2社とも4WD(WEB3S)用の品番がある。モンスタースポーツは520520-7920Mで、適合は型式WEB3S・年式24.10〜(1型〜)・エンジンK15C+W06A・6AT。アゲサスはag-web3sで、適合は型式WEB3S・駆動方式4WDだが、適合年式の記載が無いので、年式との適合は購入前に販売店に確かめる。2WD用と取り違えないよう、車検証の型式で確かめる。
ショックアブソーバーは純正のままでいい?
2社ともスプリングを替えて車高を上げる製品だ。モンスタースポーツはコイルスプリングのみの交換で上がるとし、アゲサスは純正ショックのストロークを考えて上げ幅を決めたと説明している。
衝突被害軽減ブレーキに影響はある?
影響が無いとは言い切れない。モンスタースポーツは、車高の変化で制御や作動に影響が出る可能性を注記している。
取り付けた後に何を調整する?
アライメント(サイドスリップ)と光軸の調整だ。純正LEDヘッドライト装備車は、オートレベリングの初期設定まで含めて作業先に頼む。
まとめ:買う前の確認リスト
- 車検証の型式はWDB3S(2WD)かWEB3S(4WD)か
- 上げ幅は約20mm(モンスタースポーツ)と約25.4mm(アゲサス)のどちらを取るか。どちらも目安の値
- アゲサスを選ぶなら、年式の適合を販売店に確かめたか
- 純正LEDヘッドライト装備車なら、オートレベリングの初期設定まで受けられる専門店を決めたか
- エアロやマフラーなど、すでに付けている部品を作業先に伝えたか
価格は変わるので、商品リンクの先で確かめてから選ぶ。カスタム全体の計画や費用、車中泊での使い方は次の記事にまとめている。
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