アルトのエアコンフィルターを探すと、アルトワークスやターボRS向けの情報が先に出てくることが多い。標準グレードやバンに乗っているのにワークス用の解説をそのまま頼りにして、自分の型式が対応表に入っているか確かめずに買ってしまう。これがこの部品でいちばん起きやすい取り違えだ。実際のアルトは8代目と9代目をまたいで同じ形状のフィルターがカバーされており、迷う軸は活性炭を使うかどうかの1点に絞れる。
用途で決まる2択と、アルトで選べる4製品
選び方は単純だ。窓ガラスの汚れにくさと集塵を優先するなら活性炭なし、車内の臭いや外から入る排気ガスの臭いを抑えたいなら活性炭入り。どちらが上位という関係ではなく、何を優先するかで決める。
| 製品 | 活性炭 | 商品ページの対応表示 | Amazon実売価格(確認時点) |
|---|---|---|---|
| エムリットフィルター D-110 | なし | HA36系・HA37/97系 | 1,953円 |
| ONLY ONE 5層 活性炭 | あり | HA37S・HA97S(2021年12月以降) | 1,280円 |
| AUTO SPEC 5層 活性炭入り | あり | HA36S ほかスズキ車共通 | 1,114円 |
| 活性炭配合 半年保証付き | あり | アルトワークス HA36S・V | 1,100円 |
価格はAmazonで確認した時点の実売価格で、変動する。全世代を1製品でまたぎたいなら1つ目、型式が決まっていて臭い対策を優先するなら2つ目以降から選ぶ。
エムリットフィルター D-110 アルト用(HA36系・HA37/97系対応・活性炭なし)
ONLY ONE アルト HA37S・HA97S用 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター
AUTO SPEC アルト HA36S対応 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター
活性炭配合 アルトワークス HA36S系対応 エアコンフィルター(あんしん半年保証付き)
車検証で自分のアルトの型式を確かめる
買う前にやることは1つだけ。車検証の「型式」欄を見て、HA36S・HA36V・HA37S・HA97Sのどれが書かれているかを控える。頭に付く3BA・5AAといった記号は排出ガス規制などの識別記号なので、適合を見るときはハイフンより後ろを読む。
車種資料とスズキの新型アルト発売時の発表によると、世代の区切りは次のとおり。8代目は2014年12月22日発売で、セダンがHA36S型、バンがHA36V型。日本市場向けの生産は2021年11月26日に終わっている。9代目は2021年12月10日に発表され、同月22日に発売された。9代目はR06A型エンジンとエネチャージの組み合わせに加えてR06D型エンジンとマイルドハイブリッドを積み、WLTCモード燃費27.7km/Lとされている。型式はマイルドハイブリッドを積まないA・LがHA37S型、HYBRID S・HYBRID XがHA97S型に分かれる。
中古で買って車検証が手元にない状態なら、2014年12月から2021年11月までの登録は8代目、2021年12月以降なら9代目という目安が使える。スズキ純正部品の適合確認では年式・車両型式・エンジン型式・車台番号・型式指定番号の提示を求められることがあるので、判断に迷うならこれらを控えて販売店に聞くのが早い。
純正品番と社外品の互換表示をどう読むか
スズキの純正用品情報では、カーエアコン用クリーンエアフィルター(高機能タイプ)の品番が99000-79AJ3、本体価格が3,630円とされている。新開発の帯電不織布ろ材で、2.5μm粒子を約90パーセント、1.0μm粒子を約60〜65パーセント、0.3μm粒子を約30〜35パーセントキャッチするという数値も示されている。社外品の性能表示を読むときの物差しになる。
やっかいなのは社外品側の品番表記だ。メーカーおよび流通各社の適合表では、参照する純正品番として95860-74P00・95860-59S00・99000-79AJ3が併記されていることが多い。95860-74P00はHA36S用として広く流通し、95860-59S00はHA36V・HA36S・HA37S・HA97Sを含む適合表で使われている。どちらが新しくどちらが旧品番かは販売店ごとに表記が割れていて確定できないので、品番の一致ではなく、製品の適合表に自分の型式と年式が載っているかで判断する。マツダ系の品番(1A04-61-148など)が並んでいることもあるが、これはキャロルなどOEM供給車と部品を共有しているための表記で、間違いではない。
選び方の基準を5つに整理する
適合
車検証で確認した型式が、製品の適合表に載っているかを見る。アルトは世代をまたいで同じ形状がカバーされているので選択肢は広いが、製品ごとに対応表示の範囲は違う。表示に自分の型式がなければ、たとえ形が同じでも選ばない。
活性炭の有無
活性炭入りは臭いの成分を吸着する。車内にこもる臭いや、渋滞で前の車の排気が入ってくるのが気になるならこちら。活性炭を使わない設計は集塵と防汚に振ってあり、窓ガラスの汚れにくさや通気を優先する人向けだ。
除塵性能
花粉やPM2.5をどこまで捕まえるかは製品で差が出る。基準になるのは前述したスズキ純正用品の公表値で、社外品の「5層構造」「PM2.5対応」という表示はその水準を狙った設計だという目安として読む。横並びの試験データがあるわけではない。
抗菌・防カビ
スズキ販売店の整備解説では、フィルターの役割としてチリ・ホコリ・花粉・PM2.5の除去や脱臭に加えて、抗菌・抗ウイルス機能が挙げられている。梅雨から夏の湿気が多い時期や、小さな子どもを乗せることが多いなら、この軸の優先度は上がる。
価格と交換頻度
エアコンフィルターは1年ほどで替える消耗品だ。高機能な1枚を何年も使うより、毎年無理なく買える価格帯を選んだほうが車内の空気はきれいに保てる。自分で交換すれば工賃はかからず、フィルター代だけで済む。
全世代を1枚でまたぐなら活性炭なしのD-110
エムリットフィルターのD-110は、商品ページの表記ではスズキ アルトのHA36系とHA37/97系の両方に対応するとされている。8代目でも9代目でも同じものを買えばよい、という点がこの製品を選ぶ理由になる。参照品番は95860-74P00・99000-79AJ3・95860-59S00。
作りの説明も出ている。メーカーの株式会社エムリットは愛知県名古屋市に本社を置き、2013年から国内生産で販売している。多層構造技術MLIT(Multi Layer Integration Technology)を採用し、テイジン製の不織布素材マイティトップIIと、静電気を帯びた特殊形状の繊維を組み合わせて微細な粒子を捕らえるという構成だ。
活性炭を使わない代わりに、商品名で訴求されているのは「ガラスが汚れにくい」こと。脱臭を捨てて集塵と防汚を取る設計なので、車内の臭いが今の悩みなら次の節の活性炭入りを選んだほうがいい。逆に、内窓の油膜っぽい汚れが気になるタイプならこれが噛み合う。
エムリットフィルター D-110 アルト用(HA36系・HA37/97系対応・活性炭なし)
活性炭入りは型式に合わせて選ぶ
臭い対策を優先するなら、自分の型式に対応表示のあるものを選ぶ。3つとも活性炭を配合した層構造タイプで、価格帯も近い。
9代目(HA37S・HA97S)ならONLY ONE
商品名でスズキ アルトのHA37S・HA97S、2021年12月以降を対象と表示している互換品。5層構造に活性炭を配合し、脱臭と抗菌をうたう。現行アルトで型式が決まっているなら、対応表示が世代を絞ってある分だけ選びやすい。参照品番にマツダ系の1A04-61-148が並ぶのはOEM供給車との部品共有によるもので、心配しなくていい。
ONLY ONE アルト HA37S・HA97S用 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター
8代目の標準グレード(HA36S)ならAUTO SPEC
商品名でHA36Sを含む複数のスズキ車に対応すると表示している互換品。5層構造で活性炭入り、PM2.5除去をうたっている。ジムニーやスペーシアと共通の製品として売られており、価格を抑えつつ脱臭も欲しい人向けだ。
AUTO SPEC アルト HA36S対応 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター
ワークス・ターボRS・バンを含むHA36系なら保証付きを
商品名でアルトワークスのHA36S系を対象とし、参照純正品番95860-74P00と99000-79AJ3を併記したうえで、あんしん半年保証を付けた活性炭配合品。互換品を買うときに保証の有無を気にするならこれになる。ワークスやターボRS前提のカスタムを含めた選び方は専用記事に譲る。
活性炭配合 アルトワークス HA36S系対応 エアコンフィルター(あんしん半年保証付き)
交換時期は距離より期間で管理する
目安は情報源によって少し幅がある。スズキは純正用品の案内で1年または12,000km、JAFの解説では1年ごとまたは走行距離10,000kmごとのいずれか早い方、スズキ販売店の整備解説では1年または走行距離10,000km〜15,000kmとしている。共通するのは、期間なら1年、距離なら1万km台前半という水準だ。
アルトは日常の足として使われて年間走行距離が短い個体も多いので、距離を待つより1年で区切ったほうが実態に合う。距離に届いていなくても、次の症状が出たら替えどきだと考えていい。スズキ販売店の整備解説では、目詰まりで風量が弱くなる、燃費が悪化する、フィルターにカビが生えて車内が臭う、窓が曇りやすくなるといった変化が挙げられている。JAFも、エアコンの効きの低下と燃費への影響、悪臭やカビの発生、花粉やカビの胞子によるアレルギー症状のおそれを挙げている。
工具なしで終わる交換手順
JAFの解説によれば、国産車の多くはエアコンフィルターが助手席グローブボックスの奥にある。アルトのHA36Sも同じで、実際に交換したオーナーの作業記録では、グローブボックスを外すと白い樹脂カバーが現れ、その蓋を開けるとフィルターを引き出せると記録されている。
- グローブボックスの中身をすべて出す。
- グローブボックスを外す。作業記録では下のフック2箇所で止まっており、少し力を入れてこじるようにすると外れるとされている。
- 奥の白い樹脂カバーの蓋を開ける。
- 古いフィルターを引き抜く。
- 新しいフィルターを、向きを合わせて差し込む。
- 蓋を閉じ、グローブボックスを元に戻す。
取り外しも蓋の開閉も爪を手で外すだけで、工具はいらない。HA36Sの作業記録では難易度が初級、作業時間が30分以内に分類され、本人は5分もかからずに終わったと記している。整備の経験がなくても取りかかれる部類の作業だ。
つまずきやすい4点を先につぶす
向きを逆に入れると本来の性能が出ない。フィルターメーカーの取付ガイドでは、UPやTOPの矢印は矢印の指す側が表で、取り付けたときに矢印が上を向くのが正しいとされている。一方でAIR FLOWの矢印は空気の流れる方向を示すもので、取り付け後に下向きになるのが正しい。表示の読み方が製品で違うので、付属の説明書の指示に従う。
外したフィルターを掃除して使い回すのはやめたほうがいい。JAFは掃除ではなく交換が基本とし、掃除機や水洗いでは汚れを十分に落とせず、無理に掃除するとかえって目詰まりや異臭の原因になるおそれがあると説明している。
新品にしても臭いが消えないこともある。スズキ販売店の整備解説ではフィルターの役割の1つにエバポレーターの保護が挙げられており、熱交換器側にカビが繁殖していればフィルターを替えただけでは臭いは残る。改善しないならエアコン内部の洗浄を整備工場に相談する切り分けになる。
最後に、品番だけを見て決めないこと。前述のとおり品番表記は販売店ごとに割れているので、判断は適合表の型式表記に置く。
自分で替えるか、頼むか
JAFは交換費用の目安をおおむね1,000円から15,000円としている。これはフィルター代と工賃を合わせた金額で、選ぶ製品と依頼先によって幅が出る。自分で交換すれば工賃はかからず、かかるのはフィルター代だけだ。純正用品の高機能タイプが本体価格3,630円なので、社外品を選べばもう少し抑えられる。年1回の維持費として見れば負担は小さい。
よくある質問
HA36S用として売られているフィルターを9代目のHA37S・HA97Sに使えますか
スズキ純正部品の適合表では、1つの純正品番の適合車種欄にHA36V・HA36S・HA37S・HA97Sが揃って掲載されており、形状としては世代をまたいでカバーされている。ただし製品ごとに対応表示の範囲は違うので、その製品の適合表に自分の型式が入っているかは必ず見る。
交換の頻度はどれくらいが妥当ですか
期間なら1年、距離なら1万km台前半が各社の示す水準で、早く到達したほうを基準にする。走行距離が伸びないアルトなら、期間で区切って年1回にしておくと管理しやすい。
外したフィルターを掃除して使い回せますか
JAFは掃除ではなく交換が基本としている。消耗品と割り切って新品に替える。
新品に替えても車内の臭いが取れないときは
エアコン内部の熱交換器にカビが繁殖している可能性がある。フィルター交換で改善しないなら、エアコン内部の洗浄を整備工場に相談する。
まとめ
まず助手席グローブボックスの奥を開けて、いま付いている現物を見てほしい。汚れ具合と向きの表示を実車で確かめておけば、買ってからの作業で迷わない。そのうえで車検証の型式欄を控える。
選ぶ軸は2つだけだ。窓の汚れにくさと集塵を取るならエムリットフィルターのD-110で、8代目も9代目もこれ1枚で済む。臭い対策を取るなら型式に合わせて、9代目はONLY ONE、8代目の標準グレードはAUTO SPEC、ワークスやバンを含むHA36系は保証付きの活性炭配合品を選ぶ。あとは1年ごとに替えるだけでいい。
エムリットフィルター D-110 アルト用(HA36系・HA37/97系対応・活性炭なし)
ONLY ONE アルト HA37S・HA97S用 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター
AUTO SPEC アルト HA36S対応 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター
活性炭配合 アルトワークス HA36S系対応 エアコンフィルター(あんしん半年保証付き)
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