仕事で毎日エブリイを走らせていると、送風口から出る風の勢いが落ちてきたり、エアコンを入れた瞬間に気になるにおいが立ったりする。原因として真っ先に見るのが助手席の奥に入っているエアコンフィルターで、DA17V なら工具を使わずに自分で交換できる部品だ。ただし型式が DA17V と分かっているだけでは、買う製品は1つに決まらない。市販フィルターの適合表記は2022年4月を境に前後で分かれていて、先に確定させるべきなのは車検証の初度登録年月になる。
DA17V のフィルターは2022年4月で前後に分かれる
DA17V は2015年2月から売られている型で、その途中で市販エアコンフィルターの適合表記が切り替わっている。ボッシュが公開している車種別の適合表では、DA17V に設定されている品はサイズ記号「S06」で、適合年式は H27.02-R04.03(2015年2月〜2022年3月)と明記されている。同じ表の R04.04(2022年4月)以降の行には品番が入っていない。販売ページ側の表記も同じで、前期を対象とする製品は対応品番として 95861-68H00 などを挙げ、後期を対象とする製品は「(2022年4月以降)」と明記したうえで 95861-64P40 を挙げている。
つまり前期用と後期用は別の品として売られていて、初度登録年月を見ないと選べない。この記事で扱う4製品を先に一覧にしておく。
| 対象年式 | 製品 | 機能タイプ | 内容量 | 価格(確認時点) |
|---|---|---|---|---|
| 2015年2月〜2022年3月 | ボッシュ アエリスト コンフォート ACM-S06 | 除塵のみ | 1枚 | ¥1,036 |
| 2015年2月〜2022年3月(併記あり) | Autart 活性炭入り(95861-68H00 等対応表記) | 活性炭入り | 2個入り | ¥1,367 |
| 2015年2月〜2022年3月 | ボッシュ アエリスト プレミアム AP-S06 | 抗ウイルス・抗アレル | 1枚 | ¥2,372 |
| 2022年4月以降 | Autart 5層構造 活性炭入り(95861-64P40 対応表記) | 活性炭入り | 1枚 | ¥1,999 |
価格はいずれも Amazon の実売価格を確認した時点の値で、変動する。
前期か後期かを車検証で確定させる
判別に使うのは車検証の「初度登録年月」欄だ。ここが2022年3月以前なら前期側の製品、2022年4月以降なら後期側の製品を選ぶ。中古で買った個体でも車検証さえ手元にあれば確認できるので、記憶や見た目で判断しないほうがいい。
型式欄の記号では判別しない
車検証の型式欄には EBD-DA17V や HBD-DA17V のように排出ガス規制の記号が付く。ボッシュの適合表にも両方の行があり、いずれも装着年月は H27.02 からとなっている。ただしこの記号の切り替わり時期とフィルター適合の境界が一致するかは確認できていないため、判別に使うのは初度登録年月であって型式記号ではない。
DA64V との取り違えに注意する
ひとつ前の型が DA64V で、市販フィルターの販売ページは DA17V と DA64V を併記していることが多い。対応する純正品番も両方が並べて書かれている。中古で買って型式がうろ覚えなら、車検証の型式欄で DA17V か DA64V かを先に確定させておく。
なお DA17V は長く売られた型で、スズキが公表した2026年5月の一部仕様変更の資料によると、フロントデザインの刷新やデジタルスピードメーターの採用を経てこの世代の新車販売が続いてきた。同じ DA17V でも初度登録年月には10年以上の幅がある、という前提で臨むのが正しい。
そもそも何をしている部品なのか
エアコンフィルターは後付けの装備ではない。ボッシュが公開している車種別の適合表では、DA17V の新車装着欄は「標準装備」になっている。新車の時点から入っている消耗品で、交換すれば元の状態に戻るだけの部品だ。
位置は助手席側のグローブボックスの奥。グローブボックスを外すとフィルターを収めたケースが現れる関係で、ダッシュボードを分解する必要はない。
デンソーがカーエアコン用フィルターの解説として示しているところでは、エアコン作動中に車内・車外から取り込まれる空気はこのフィルターを通過し、花粉やチリ・ホコリが車室内へ入るのを抑制する。活性炭層を持つ製品はその層が排ガス臭などのにおいを軽減し、抗ウイルス加工を施した製品はフィルターに付着した特定のウイルスを99.9%減少させるとしている。
交換の目安は1年前後で見ておく
スズキの販売会社が公式サイトで案内しているところでは、交換時期は「約1年」。1年も使うと埃や小さな虫の死骸などが溜まることがある、という理由が添えられている。このページに走行距離の目安は書かれていない。
デンソーがカーエアコン用フィルターの解説として示しているところでは、運転距離に比例して目詰まりが進み通風性能が低下していくとされ、注記で「1年は日当たり利用距離から算出した交換推奨想定期間」と説明されている。1年という数字は、日々どれだけ走るかを前提に距離から逆算した期間ということになる。DA17V の交換作業を扱う整備店の記事では、目安を「約一年もしくは一万キロ」としている。
3つの案内はいずれも1年前後で一致しているので、迷うなら1年で切ればいい。
においや風量で気づく前に替える
フィルターが汚れてくると、風量が弱くなったり、においの原因になったりする。エアコンの効きが悪い・においが気になるという症状はフィルターを疑う入口になるが、症状が出てから動くのでは遅い。車検や季節の変わり目など毎年必ず来る時期に紐づけておくほうが忘れにくい。商用バンのように走行距離が伸びやすい使い方なら、1年より早く目安の距離に達することもある。
買う前に見る順序を決めておく
見る順序は、①年式適合 ②機能タイプ ③内容量 ④価格。①を飛ばして価格や機能から入ると、安く買えても付かないという結果になりうる。逆に①さえ合っていれば、あとは使い方と予算で決めてよい。
機能タイプは3段階
ひとつめは除塵だけを行うタイプで、花粉やチリ・ホコリを止めるのが役割。ふたつめは活性炭層を加えたタイプで、除塵に加えて排ガス臭などのにおいを軽減する。みっつめは抗ウイルス加工やアレル物質の抑制まで加えた上位タイプになる。ボッシュのアエリストではコンフォートが除塵タイプ、フレッシュが抗菌・抗ウイルスタイプ、プレミアムが抗ウイルス・アレル物質抑制タイプにあたる。
仕事で毎日乗る商用バンなら活性炭入り以上を選びたい。花粉症の家族を乗せる機会があるなら上位タイプ。においは気にならず花粉やホコリだけ止めたいなら除塵タイプで足りるし、価格も抑えられる。活性炭入りかどうかは、販売ページのタイトルや説明に「活性炭入り」「脱臭」「消臭」と書かれているかで見分けられる。「除塵タイプ」とだけ書かれている製品は活性炭層を持たない。
「5層構造」「PM2.5対応」の読み方
こうした表記は出品者やメーカーが自社製品の説明として書いているもので、第三者機関の試験値として示されているものではない。層の数が多いほど必ず性能が高いと読むのではなく、活性炭層があるか、抗ウイルスや抗アレルまで謳っているか、という機能の有無で読むほうが実態に合う。
前期用3点・後期用1点を比べる
前期(2015年2月〜2022年3月)向け
費用を最優先するならボッシュのアエリスト コンフォートで足りる。除塵タイプで活性炭層は持たないので、においへの効果は期待できない。花粉とホコリを止めるだけでいいという割り切りができる人向けだ。
ボッシュ アエリスト コンフォート ACM-S06 除塵タイプ(2015年2月〜2022年3月の DA17V 向け)
においまで対処したいなら活性炭入り。DA17V/DA17W と DA64 系を併記し、対応品番として 95861-68H00 等を挙げている製品で、2個入りのため1回の購入で2回分を確保できる。交換目安が1年前後であることを踏まえると、次回分を先に持っておく買い方になる。毎日乗る商用バンなら、価格差の小さいこれが基準になる1点だ。
Autart 活性炭入りエアコンフィルター 2個入り(DA17V・DA64 対応表記/95861-68H00 等に対応)
抗ウイルスとアレル物質の抑制まで求めるならアエリスト プレミアム。同じ S06 サイズの上位タイプで、適合年式の表記は前期側に限られる。
ボッシュ アエリスト プレミアム AP-S06 抗ウイルス・抗アレルタイプ(2015年2月〜2022年3月の DA17V 向け)
後期(2022年4月以降)向け
初度登録年月が2022年4月以降なら、上の3点は対象外になる。販売ページが「(2022年4月以降)」と年式を明記し、対応品番として 95861-64P40 を挙げている製品を選ぶ。活性炭入りで、5層構造・PM2.5対応・高集塵タイプという表記が付いているが、これは販売ページ側の説明であって試験値ではない。
Autart 5層構造 活性炭入りエアコンフィルター(2022年4月以降・95861-64P40 対応表記)
なお、前期用として売られている品を2022年4月以降の車に使えるとは書けない。ボッシュの適合表は2022年4月以降に品番を設定しておらず、使えるという根拠がないためだ。
交換の手順と向きの落とし穴
ボッシュの適合表では、DA17V の交換難易度は最も易しい区分(☆ひとつ)に分類されている。
手順
- 助手席のグローブボックスを開けて中身を出す
- グローブボックスの両側を内側に押しながら手前に引いて外す
- 奥にあるフィルターケースのカバーを、爪を押しながら外す
- 古いフィルターを引き抜く
- 新しいフィルターを同じ向きで差し込む
- カバーとグローブボックスを戻す
ダッシュボードを分解する工程は無い。
向きは抜く前に控える
取り付け向きは製品ごとに表記の意味が違う。フィルターの縁に上向きを示す表記が印刷されている製品と、風の流れる方向を矢印で示している製品があり、両者は矢印の向きが逆になる。確実なのは、古いフィルターを抜く前に向きを写真に撮るか印を付けておくこと。そのうえで製品に付属する説明書の指示に従う。向きを逆に入れても物理的には入ってしまうので、抜いた後で悩んでも手掛かりが残らない。
戻した後の確認
グローブボックスが元どおり開閉するか、フィルターケースのカバーが浮いていないか、エアコンを回して風量が戻っているかを見る。カバーが確実に閉まっていないと、フィルターを通さない空気が回り込む。
姉妹車の名前でも同じ品が見つかる
DA17V 用として売られているエアコンフィルターは、販売ページ上でマツダ スクラムバン DG17V、日産 NV100クリッパー DR17V、三菱 ミニキャブバン DS17V にも共通で適合すると表記されている。同じ車体を各社が自社ブランドで売っているためで、エブリイの名前で在庫が見つからないときは姉妹車の名前で探すと同じ品に行き着く。
よくある質問
前期用のフィルターを2022年4月以降の車に付けてもよいか
勧められない。ボッシュの適合表では2022年4月以降の行に品番が設定されておらず、前期用が付くという根拠がない。初度登録年月が2022年4月以降なら、後期対応と明記された製品を選ぶ。
2022年4月に何が変わったのか
スズキが公表した2022年4月の一部仕様変更の資料では、バックアイカメラ付ディスプレイオーディオ装着車のメーカーオプション設定、4AT車への停車時アイドリングストップシステム追加、PC と JOIN へのスズキ セーフティ サポート標準装備、JOIN へのディスチャージヘッドランプ標準装備、ラゲッジルームランプの LED 化が挙げられている。この一覧にエアコンや空調に関する記載はない。市販フィルターの適合表記が2022年4月で分かれているのは事実だが、その理由をスズキの公表資料から説明することはできない。時期が一致している、というところまでが言えることだ。
自分で替えるか、店に頼むか
工具を使わずグローブボックスを外すだけで届く位置関係なので、自分で行えばかかるのは部品代だけで済む。店に頼めば部品代に工賃が加わる。作業自体はボッシュの適合表でも最も易しい区分に置かれている。時間が取れないなら車検や点検のついでに頼めばいい。
フィルターを外したまま走ってもよいか
抜いた状態で放置しない。取り込む空気が濾されないままエアコン内部へ入ることになる。風量が落ちたからといって外して済ませる対処にはしない。
エアコンのにおいはフィルター交換だけで消えるか
においの原因がフィルターの汚れなら軽減するが、消えると断定はできない。活性炭層を持つ製品は排ガス臭などのにおいを軽減するとされているものの、送風経路側に原因がある場合は交換だけでは届かない。
まとめ
まず車検証の初度登録年月を見て、2022年3月以前なら前期、2022年4月以降なら後期と決める。そのうえで機能タイプから候補を1つに絞り、注文前に販売ページの適合表記が自分の年式レンジを含んでいるかを最後に確認する。この順番なら買い直しにはならない。
前期なら除塵だけのアエリスト コンフォート、活性炭入りで2枚組の製品、抗ウイルス・抗アレルまでのアエリスト プレミアムの3択。後期なら95861-64P40 対応と明記された製品を選ぶ。交換目安は1年前後なので、車検や季節の区切りに合わせて回していけばいい。
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