デイズ B43W の異音は、ブレーキを踏んだとき・エンジン付近・曲がるとき・段差を越えるとき・速度とともに大きくなるとき、のどの場面で鳴るかで疑う部位を絞れる。そのうえで、どの場面の音も「様子見でよい音」と決めつけず、早めに点検を受けるのが基本だ。日産と JAF の故障診断の案内に沿って、場面ごとに疑う部位と放置したときのリスク、整備工場への伝え方を順に見ていく。
音が出る場面ごとに疑う部位の早見表
日産の故障診断は症状を「走るとき(エンジンから異音)」「曲がるとき」「止まるとき(ブレーキを踏んだとき)」に分け、JAF の故障診断も「エンジン付近」「ハンドルを回した際」「走行中のタイヤ付近」に分けて原因を挙げている。ここではそれに、自動車雑誌のウェブ版などの解説が挙げる「段差を越えるとき」「速度とともに大きくなる」を加えた5つの場面で整理した。
| 音が出る場面 | 音の例 | 疑う部位の候補 |
|---|---|---|
| ブレーキを踏んだとき | キーキー・シャーシャー | ブレーキパッドの摩耗、ローターの摩耗や異物の噛み込み |
| エンジン付近 | キュルキュル・ガラガラ・排気音が大きい | ベルトの滑り、エンジンオイルの不足や潤滑不良、マフラーの損傷 |
| 曲がるとき・ハンドルを回したとき | ギシギシなど | ドライブシャフトのゴムカバーの劣化、ハンドル機構の異常、タイロッドエンドの摩耗 |
| 段差を越えるとき | コトコト・ゴトゴト・ギシギシ | サスペンションアームのゴムブッシュ、ショックアブソーバーなど足回りの部品 |
| 速度とともに大きくなる | ゴォー・ゴロゴロ | ハブベアリングの劣化、タイヤの異物 |
JAF の案内はエンジン付近・ハンドルを回した際・走行中のタイヤ付近の異音のどれも「点検が必要な状態」とし、日産の案内もブレーキ・ベルト・ドライブシャフトのゴムカバー・マフラーのどれについても、放置すると大きなトラブルや走行の支障になりうるとしている。表のどの音も、早めに点検を受ける前提で読んでほしい。
B43W の構成を知って音の出どころを考える
B43W は2019年3月からの現行型デイズの型式で、車両型式は 5BA-B43W。日産の環境仕様書(2026年7月発行)では、5BA-B43W の原動機は BR06 で、ターボと SM21 モーターの記載はなく、変速機は CVT だ。中古車のカタログの掲載値でも、エンジン型式は BR06、変速機はエクストロニック CVT(無段変速機)、燃料は無鉛レギュラーガソリンとある。
中古車のカタログの B43W S グレードの掲載値(2020年8月〜2022年9月、2024年6月〜2026年7月の掲載期間)では、駆動方式は FF(前輪駆動)、ブレーキは前がディスク式・後ろがドラム式(リーディングトレーリング)、サスペンションは前がマクファーソン式・後ろがトーションビーム式、タイヤは前後とも 155/65R14 だ。同じ掲載値では、アイドリングストップが「あり」、ABS と横滑り防止装置は標準になっている。
S 以外のグレードと、2019年3月〜2020年7月・2022年10月〜2024年5月の掲載期間の値は確かめていない。 自分の車の仕様は、車検証や取扱説明書、販売会社で確かめてほしい。
ブレーキを踏んだときのキーキー・シャーシャー
キーキーはパッドの残りが少ない知らせ
日産の全車種共通の故障診断の案内では、ブレーキを踏んだときに「キーッ キーッ」と鳴る異音はブレーキパッドが残りわずかになったことを知らせるもので、そのままではブレーキの大きなトラブルになりかねない、としている。日産のメンテナンスの案内(全車種共通)も、ブレーキパッド(ディスクパッド)の点検・交換の目安を「残厚 5mm または 30,000km 走行ごと」とし、放っておくとブレーキを踏むとタイヤ付近からキーキー音がする、としている。
自動車雑誌のウェブ版の解説では、キーキーはパッドやローターの摩耗のほか、ローターとパッドの間に異物が噛み込んでも起こりうるとしている。
シャーシャーは摩耗インジケーターの音かもしれない
同じ解説では、「シャーシャー」という音は、パッドが一定の厚さ以下になるとローターに触れる薄い金属片(摩耗インジケーター)の音の可能性があるので、すぐに整備工場へ、としている。早ければパッドの交換とローターの軽い研磨で済むが、パッドの裏板がローターに当たるとローターの交換が要ることがある、ともしている。シャーシャーが聞こえたら、日を置かずに整備工場へ持ち込むのがよい。
後ろのブレーキの音は別に考える
B43W は、中古車のカタログの S グレードの掲載値(2020年8月〜2022年9月、2024年6月〜2026年7月の掲載期間)で前がディスクブレーキ・後ろがドラムブレーキだ。ここまでのパッドの摩耗を音で知らせる説明はディスクブレーキのパッドの話で、後ろのドラムブレーキからの音の出方や摩耗の知らせ方は、この記事の出典では確かめていない。後ろから音がする気がするときも、前と同じ仕組みと決めつけずに点検で確かめてもらう。
エンジン付近のキュルキュル・ガラガラと排気音
キュルキュルはベルトの滑り
日産の故障診断の案内では、エンジンからの異音の原因の1つに「ベルト類の劣化」を挙げている。エンジンから各補機類に動力を伝えているベルトが劣化してスリップを起こしていることが考えられ、放置するとベルトが切れて、そのベルトで駆動されている装置がはたらかなくなる、という。JAF の故障診断の案内でも、エンジン付近のキュルキュル音はベルトが滑っている可能性があり、点検が必要な状態としている。
日産のこの案内は全車種共通の書き方で、B43W のエンジンのベルトの本数・かけ方・どの装置を回しているかは、この記事の出典では確かめていない。ベルトが切れたときに何がはたらかなくなるかは、点検のときに整備工場で聞いてほしい。
ガラガラはエンジンオイルの不足や潤滑不良
JAF の故障診断の案内では、エンジン付近から「ガラガラ」と音がする場合、エンジンオイルの不足や潤滑不良が起きている可能性があり、点検が必要な状態としている。状況によっては、潤滑不良や冷却不良でエンジンが焼き付き(金属同士の摩擦部分が加熱して溶けて固着すること)、エンジンがかからなくなることもあるという。ガラガラは放置せず、すぐ点検に出したい音だ。 オイル交換の時期と量は次の記事にまとめている。
排気音が大きくなったらマフラーの損傷
日産の故障診断の案内では、エンジンからの異音の原因に「マフラーの損傷」も挙げている。マフラーの消音部の損傷で排気ガス漏れを起こし、排気音が十分に消音されていない可能性があり、放置すると損傷がひどくなって排気音がさらに大きくなったり、マフラーが脱落したりする可能性もある、としている。
曲がるとき・ハンドルを回したときの音
ドライブシャフトのゴムカバーの劣化
日産の全車種共通の故障診断の案内では、曲がるときに異音がする原因の1つに「ドライブシャフトゴムカバーの劣化」を挙げている。エンジンの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトを保護しているゴムカバーの劣化による、ジョイント部の損傷が考えられ、放置すると走行に大きな支障をきたしかねない、としている。
ハンドル機構やタイロッドエンドの異常
JAF の故障診断の案内では、ハンドルを回した際の異音はハンドル(ステアリング)機構に異常が起きている可能性があり、異常があるとハンドル操作が行えなくなる可能性があって走行は大変危険、としている。ハンドル操作時の振動やハンドルが重いといった症状が起こる場合もあるという。
自動車雑誌のウェブ版の解説では、ハンドルを切ったときの音はドライブシャフトのジョイント部やタイロッドエンドの摩耗が考えられ、放置するとハンドルの反応が遅れて「思ったほど曲がらない」感じになり、重大な事故につながりかねないとしている。自動車情報サイトの解説では、タイロッドエンドはボールジョイントを覆うゴムのブーツが破れて中のグリースが漏れると、ハンドルを切ったときなどに「ギシギシ」と鳴ることが多い、としている。ハンドルまわりの音は曲がる操作そのものにかかわるので、点検を後回しにしない。
段差でのコトコト・ゴトゴト・ギシギシ
コトコト・ゴトゴトはブッシュやショックアブソーバー
自動車雑誌のウェブ版の解説では、段差を越えるときに足回りから「コトコト」「ゴトゴト」と音がする場合、サスペンションアームのゴムブッシュの劣化やそのガタ、ショックアブソーバー(ダンパー)の寿命が考えられる、としている。
日産の故障診断の案内では、乗り心地が悪くなった・走っているときにクルマが安定しない場合の原因に「サスペンション減衰装置のオイル漏れ」を挙げ、放置すると直進安定性が悪くなったりタイヤの偏摩耗が起こったりする、としている。音と一緒に乗り心地の変化を感じたら、その様子も点検のときに伝えたい。
音の変わり方で進み具合をつかむ
自動車情報サイトの解説(車種を限らない一般の解説)では、スタビライザーのブッシュやリンクは左右の傾きで常に負荷を受けて消耗しやすく、初めは「ギシギシ」、進むと「カタカタ」「ガタガタ」と鳴る、としている。ショックアブソーバーは消耗すると「ゴトゴト」と鳴り、乗り心地やハンドリングの変化でも気づけ、アッパーマウントは劣化してガタが出るとはっきりした「ゴトゴト」音になる、という。音が出ているのは消耗している証なので早めの交換を、ショックアブソーバーと同時の交換が効率的、ともしている。
この解説は一般の話で、B43W の足回りの部品の構成は、前に挙げたカタログの掲載値(サスペンションの形式)より先は確かめていない。ギシギシがカタカタに変わってきたら、消耗が進んだ合図と見て点検に出すとよい。
速度とともに大きくなるゴォー・ゴロゴロ
ハブベアリングを解説した記事(車種を限らない一般の解説)では、ハブベアリングが劣化すると走行中に「ゴォー」というタイヤのロードノイズに近い音や「ゴロゴロ」という音が出るとし、車速が上がるにつれて大きくなる場合や、ハンドルを切ると音が変わる場合にハブベアリングを疑う、としている。原因は使い続けるうちのグリースの劣化とそれによるベアリングの摩耗で、前輪は転舵も受け持つので負担がかかりやすく、縁石への乗り上げなども負担になるという。
同じ記事では、ガタの確かめは車体を持ち上げて行い経験が要るので整備工場に頼むのがよく、国産車に多い圧入タイプは調整できないので早めの交換を勧めている。放置するとベアリングが焼き付いて走行不能になることも考えられる、としている。
JAF の故障診断の案内では、走行中にタイヤ付近から異音がする場合、タイヤに異物が刺さっていたり走行関係の部品が傷んでいたりと発生源は多岐にわたり、複数の原因が考えられるので点検が必要な状態、としている。ロードノイズに近い音は聞き分けにくいので、どの速度で大きくなるかを覚えておき、確かめは整備工場に任せたい。
点検に出す前にやることとリコールの確かめ方
音を記録して整備士に伝える
自動車雑誌のウェブ版の解説では、点検に出す前に次のことを勧めている。
- 日常点検を習慣にする
- 少しでも異音を感じたら、いつ・どこで鳴ったかを記録する(録音しておくのも有効)
- 整備士には、音がどこからしているか、どんなタイミング(ブレーキ時・曲がるとき・段差・速度)で聞こえたかを伝える
- 不安を感じたら自己判断せず、整備のプロに相談する
早見表の5つの場面に当てはめてメモしておくと、整備士に伝える中身がそのまま揃う。
車台番号でリコールの対象かを確かめる
日産のリコール情報のページでは、車台番号で検索して、その車がリコール・改善対策・サービスキャンペーンの対象かを確かめられる。対象車の製作期間は購入した時期とは異なる場合があるとしているので、年式だけで判断せず車台番号で確かめる。対象車には販売会社から郵送や訪問で案内がある、としている。
日産の故障診断の案内は、どの症状でも修理・交換は販売会社で行うとし、定期点検を受けることで消耗品による故障を未然に防ぐこともできる、としている。音が出る前から定期点検を欠かさないことが、異音の予防にもつながる。
よくある質問
ブレーキのキーキー音は放っておいてよい?
放っておかない。日産の案内がブレーキパッドの残りが少なくなった知らせとしている音なので、鳴り始めたら点検に出す。シャーシャーに変わっていたら、なおさら急ぎたい。
異音がしたまま走ってもよい?
様子見でよい音と決めつけず、早めに整備工場か販売会社で点検を受ける。走っている途中でハンドルやブレーキに異常を感じたら、安全を確かめてから救援を呼ぶ。
B43W がリコールの対象かはどう確かめる?
日産のリコール情報のページで、車台番号から調べる(手順はリコールの確かめ方の節)。B43W の個別のリコールの件名や内容はここでは確かめていないので、対象かどうかは必ずそのページで見てほしい。
ハブベアリングの音は自分で確かめられる?
気づくところまではできる。走りながら、速度やハンドルを切ったときの音の変わり方を覚えておく。ガタの確かめは整備工場に任せる。
まとめ
まずは音が出た場面を1つに絞って疑う部位の見当をつけ、そのうえで整備工場の点検と、日産のページでの車台番号によるリコールの確かめで最後の確認をする、という順で動くとよい。ブレーキならパッド、エンジン付近ならベルト・エンジンオイル・マフラー、曲がるときならドライブシャフトのゴムカバーとハンドル機構、段差なら足回りのブッシュやショックアブソーバー、速度とともに大きくなる音ならハブベアリングが候補になる。どの音も、早めに点検を受ける前提は変わらない。
B43W のほかの記事もあわせて確かめてほしい。

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