真夏の駐車場に戻ってドアを開けた瞬間の熱気、あるいは車中泊で夜に外から中が見えるかどうか。サンシェードを探す理由はだいたいこの2つに分かれる。通販の検索結果には車種名の入った製品が何種類も並ぶが、13,500円の専用設計品と1,980円の汎用品が同じ画面に混ざっていて、値段の差が何の差なのかは商品名だけでは分からない。分かれ目は、覆う範囲・固定方式・そして車種名が入っているだけの汎用品か本当の専用設計品かの3つだ。
用途別に見た4製品の位置づけ
まず対応を先に置く。詳しい根拠はこの下の各節で扱う。
| 用途 | 製品(品番) | 構成 | 価格 |
|---|---|---|---|
| 駐車中の日差し対策(フロント側だけでよい) | 趣味職人 プライバシーサンシェード フロント(01s-f011-fu) | 3枚 | 13,500円 |
| 車中泊の目隠しまで(全窓) | 趣味職人 クラフトシェード 専用(09s-f011-sa) | 6枚 | 5,980円 |
| 毎日着脱する・収納を小さくしたい | 趣味職人 マグネット式(14s-f011-fu) | フロント1枚 | 3,582円 |
| 費用を抑えたい(採寸できる人) | RAIDOU 汎用サンシェード | フロント1枚 | 1,980円 |
価格はいずれもAmazonの実売価格を2026年8月27日に確認した値で、変動するので購入時に必ず現在の表示を見ること。
趣味職人 プライバシーサンシェード キャロル HB36S系 フロント(01s-f011-fu)
趣味職人 クラフトシェード キャロル HB36S系 専用 全窓6枚セット(09s-f011-sa)
趣味職人 マグネット式サンシェード キャロル HB36S系 フロント(14s-f011-fu)
RAIDOU サンシェード キャロル HB36S フロント用(汎用品・サイズ選択式)
買う前に、車検証で型式を確認する
キャロルという車名は世代をまたいで使われている。マツダの公式サイトの取扱説明書一覧では、HB36S は発売年月2015年1月からの区分として扱われ、対象車台番号は HB36S-100001~ および HB36S-200001~ と示されている。ひとつ前の世代は HB25S・HB35S として別区分になっている。
その後、マツダは2021年12月23日のニュースリリースで、キャロルを全面改良して2022年1月中旬から発売すると発表した。同じリリースには、安全面で「ガラスエリアを拡大し、視界を広くした」と書かれている。窓そのものの寸法・形状が変わったということだ。
これは製品側にもそのまま出ている。趣味職人の公式オンラインショップでは、同じプライバシーサンシェードのフロントセットでも、キャロル HB36S系用の商品コードが 01s-f011-fu、新型の HB37S/97S型用が 01s-f024-fu と分かれている。セット内容はどちらもフロントガラス1枚+サイドドアガラス2枚で同じなのに、品番は別だ。車名だけで選ばず、車検証の型式欄が HB36S かどうかを見てから注文する。
車種名が入っていても専用設計とは限らない
ここが一番の落とし穴になる。商品名に車種名と型式が入っていることと、その車種の専用設計であることは別だ。見るべきなのは商品説明の適合欄で、汎用品は販売ページ自身がそう書いている。
RAIDOU の製品ページには「※サイズは選択式です、必ずフロントガラスのサイズをご確認下さい」「※専用設計ではなく汎用品です」とある。趣味職人のワイヤーシェード(17s-f011-fu)にも「本商品は汎用品です。”表題に記載している車種”に対する専用品ではありません。」と明記されている。汎用品が悪いのではなく、現車を測ってサイズを選ぶ前提の製品だということだ。
一方の専用設計品は、メーカー公式ページで適合車種欄に「★キャロル HB36S ※他グレードも上記適合車種とおなじガラス形状であれば装着可能です。」と書かれている。適合はグレード名ではなくガラス形状で決まる、というのがメーカーの説明になる。
ただし専用設計でも隙間ゼロにはならない。趣味職人は注意事項で「1.0cm〜1.5cm程度の縫製誤差が生じます」と述べ、デメリットとして「フロンガラスは湾曲しているためサンシェードのフィッティングが不安定です。隙間、シワが出やすくなっておりますので予めご了承ください。」(原文ママ)とも書いている。完全に光を遮断し外から見えなくなるわけではない、という注記もある。
レーダーブレーキサポート装着車は上端が短くなる
HB36S 向けの専用設計品には、運転支援装置との干渉についてのメーカー注記がある。趣味職人の公式ページと販売ページのどちらにも、適合車種欄に「※「レーダーブレーキサポート装着車」の場合、 フロントガラス中央部分にセンサーが装着されているためサンシェードが浮いて上部両端が短くなります。」と記されている。装着車では上端の収まりが変わる前提で買うということだ。この注記は同じメーカーの新型 HB37S/97S型のページには書かれておらず、同じ車名でも世代で条件が違うことの裏づけにもなっている。
吸盤式にはもうひとつ前提がある。趣味職人は、フロントガラスには点検シールやTVアンテナが貼られていて吸盤が吸着しにくいため、吸着位置に別売のベースシールを貼るか、シール類の位置を変更してほしいと案内している。ドライブレコーダーについても「本製品はドライブレコーダー対応品ではありません。」と明記があり、上から覆いかぶせて装着できる場合はあっても、それを理由にした申し出は受けられないとしている。
固定方式は着脱の頻度と収納場所で決める
方式に優劣はない。どれくらいの頻度で着け外しするか、外したものをどこに置くかで決まる。
吸盤式
ガラス面に簡易吸盤で貼り付ける。面で覆えるのが利点で、プライバシーサンシェードとクラフトシェードがこれにあたる。前述のとおり吸着面の下準備が要る。付きにくいときの対処としてメーカーが案内しているのは、吸盤の表面に水分を含ませること、吸盤が変形している場合は熱いお湯に数分つけて形を戻すこと、外すときはつまみ部分を引き上げて空気を入れること。
マグネット式
サンバイザーに磁石ベルトを装着して吸着させる方式。販売ページの記載では「サンバイザーに磁石ベルトを装着するだけの簡単セットアップ」とされ、傘式と違って柄や骨がダッシュボードや内装に当たらないとも書かれている。毎日着け外しするならこの方式が一番速い。
ワイヤー式
ワイヤーフレームをひねって小さく折りたたみ、付属の収納袋に入れる。趣味職人のワイヤーシェード(17s-f011-fu)は前述のとおり汎用品扱いで、車種専用ではない。
覆う範囲でセットの枚数が変わる
駐車中の日差しと熱の対策が目的なら、フロント側だけで足りる。夜に外からの視線を遮りたい、つまり車中泊で使うなら後席とリアまで必要になる。目的を決めてから枚数を選ぶのが順序として正しい。
趣味職人のプライバシーサンシェードは、キャロル HB36S系ではフロント側とリア側が別売になっている。フロント(01s-f011-fu)がフロントガラス1枚+サイドドアガラス2枚、リア(01s-f011-re)が後部座席ドアガラス2枚+リアガラス1枚という構成で、それぞれのページに「別途販売しております」と案内がある。対してクラフトシェード(09s-f011-sa)は、フロントガラス1枚/サイドドアガラス2枚/後部座席ドアガラス2枚/リアガラス1枚の6枚が最初から入っている。
それぞれの製品で気をつけること
専用設計のフロント+サイド3枚(01s-f011-fu)
メーカー公式ページで適合車種・セット内容・注意事項・素材まで確認できるのがこの製品の位置づけになる。公式ページは、特殊生地で光を遮ること、防水生地とクッション素材を使っていること、簡易吸盤で脱着できること、キャロル HB36S系専用に設計されていて窓枠にフィットすることを挙げている。ただし同じページに前述の縫製誤差と湾曲による不安定さも書かれているので、「専用設計=完璧に密着」という期待では買わないほうがいい。生地は縫製が日本製で、小松精練の生地と軽量特殊ウレタンフォームを使うと記載されている。
全窓6枚セット(09s-f011-sa)
車中泊向けならこれ。販売ページは全面セットで車1台をこれ1つでカバーできるとし、使わないときは折りたたんで収納できるとしている。リアハッチには装着のコツがあり、「室内側ハイマウントストップランプとガラスの僅かな隙間にサンシェードを挟み込むように左右へ動かしながら装着します」と案内されている。フロント側の適合欄には、プライバシーサンシェードと同じレーダーブレーキサポート装着車の注記が付く。
軽量マグネット式(14s-f011-fu)
販売ページの記載では、重量72g、使用時の約2%まで小さく収納でき、フレームを芯にして巻き取るだけで収納できるとされている。高密度遮光生地により紫外線と日差しを99%遮断、という表示も同じくページ上の記載で、試験規格や測定条件は示されていない。ドライブレコーダーにも対応するという記載があり、この点は同じメーカーの吸盤式と扱いが逆になっている。
汎用品(RAIDOU)
サイズ選択式で、販売ページの記載では大サイズが横145cm×縦82cm、小サイズが横140cm×縦70cm。遮光率99%という表示もページ上のもので、条件の記載はない。買う前にすることは1つで、フロントガラスの横幅(左右の端で最も広いところ)と縦の高さを実際に測ってからサイズを選ぶ。製品が大きすぎれば端が余って折り返しになり、小さすぎれば隙間から光が入る。なお、キャロル HB36S のフロントガラス寸法はマツダの公式サイトに公表値が見当たらないため、この記事で車体側の寸法を数値では示せない。採寸は現車で行うしかない。
温度はどこまで下がるのか
サンシェードの効果について引用できる公表データは、JAF のユーザーテスト「真夏の車内温度」になる。2012年8月22日・23日、埼玉県戸田市の駐車場で、晴れ・気温35度、ミニバン5台を正午から4時間測定したもので、公表値は対策なし(黒)が車内最高57℃・車内平均51℃・ダッシュボード最高79℃、サンシェード装着が50℃・45℃・52℃、エアコン作動が27℃・26℃・61℃。
注意したいのは JAF 自身の結論で、「サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない。」と述べている。ミニバン5台での測定であってキャロルでの実測ではないし、サンシェードは車内を涼しくする道具ではない。ハンドルやシートの焼けを抑える道具として考えるのが実態に合う。
装着したまま走ってよいのか
前面ガラスと側面ガラスへの装着物を制限しているのは、道路運送車両の保安基準第29条の第3項と第4項だ。第3項は自動車(被牽引自動車を除く)の前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く。)について、運転者の視野を妨げないものとしてひずみ・可視光線の透過率等の基準に適合しなければならないと定め、第4項はその窓ガラスに装着・貼り付け・塗装・刻印してよいものを整備命令標章や検査標章などに限って列挙している。
国土交通省の「不正改造の具体例」では、前面ガラス等に装飾板を装着した状態での可視光線透過率が70%未満のものは不可とされ、規制の対象は被牽引自動車以外のすべての自動車だと示されている。いずれも「装着した状態」での透過率を問題にしている。
そして製品側は、趣味職人が注意事項で「駐車時に使用するものです。走行中は視界のさまたげになりますので絶対にご使用にならないでください。」と明記している。サイドでもリアでも、走り出す前にすべて外す。これが答えで、迷う余地はない。
よくある質問
新型キャロル(HB37S/HB97S)用は HB36S に使えるか
流用できるとは書けない。マツダは2022年1月中旬発売の全面改良でガラスエリアを拡大したと発表しており、趣味職人も HB36S系を 01s-f011-fu、HB37S/97S型を 01s-f024-fu と品番で分けている。メーカーが分けている以上、型式に合った品番を選ぶ。
フロントだけで足りるか、全窓が要るか
駐車中の日差しと熱の対策だけならフロント側の3枚で足りる。夜に車内で過ごす、外からの視線を遮りたいという用途なら後席とリアまで覆う6枚セットになる。判断基準は暑さ対策か目隠しかの1点でよい。
吸盤が付かないときはどうするか
メーカーの案内では、吸盤の表面に水分を含ませると効果的とされている。それでも付かない場合、吸着位置に点検シールやTVアンテナ、リアハッチの熱線などがあるはずなので、別売の吸盤用ベースシールを設置する。届いた吸盤が梱包で変形しているときは、熱いお湯に数分つけて形を戻してから使う。
ドライブレコーダーが付いていても使えるか
製品によって違う。趣味職人のプライバシーサンシェードはドライブレコーダー対応品ではないとメーカーが明記しており、上から覆いかぶせて装着できる場合はあっても保証の対象外という扱いになる。同じメーカーでもマグネット式(14s-f011-fu)は販売ページでドライブレコーダーに対応すると記載している。買う前に製品ごとの記載を見る。
同じ品番なのに別のブランド名で売られているのはなぜか
出品名義が違うだけで中身が同じ場合がある。クラフトシェード(09s-f011-sa)は趣味職人名義と別名義の商品ページが並んでいて、説明も価格も同じだった。見た目には別商品に見えるので、比較するときは品番で見分ける。
同じ軽自動車のサンシェード選びは、車種が違っても考え方は共通している。
まとめ
選ぶ順序は3段階でいい。車検証で型式が HB36S かを確認する、商品説明の適合欄を読んで専用設計か汎用品かを見分ける、覆う範囲と固定方式を用途に合わせて決める。この順で見れば、車種名が入っているだけの製品を専用設計だと思い込んで買う失敗はなくなる。
駐車中の日差し対策でフロント側をきちんと覆いたいなら専用設計の3枚セット(01s-f011-fu)、車中泊まで見るなら全窓6枚のクラフトシェード(09s-f011-sa)、毎日着け外しするなら軽量なマグネット式(14s-f011-fu)、費用優先で採寸できるなら汎用品。レーダーブレーキサポート装着車のフロント上端の件だけ、注文前にもう一度思い出しておきたい。
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