真夏の午後、屋根のない駐車場に数時間置いた MM53S に戻ると、ダッシュボードは手のひらを乗せていられないほど熱を持っている。軽ハイトワゴンはフロントガラスが立っていて面積も大きく、日射が正面から入りやすい。サンシェードで手当てできる範囲は決まっていて、MM53S で選択が分かれるのは年式による適合の違いと、専用設計か汎用品かの2点だ。
使い方が決まればサンシェードは絞れる
毎日の通勤や買い物で使うなら、着脱にかかる時間がそのまま使い続けられるかどうかを決める。週末にたまに使う程度なら、置き場所に困らない収納形状を先に見ていい。車中泊や仮眠で外からの視線まで遮りたいなら、フロント1枚では足りず全窓セットになる。
| 商品 | 方式 | 価格(Amazon実売価格・確認時点) | 向く使い方 |
|---|---|---|---|
| 趣味職人 MM53S タイプ | マグネット式 | 3,980円 | 毎日使う |
| 趣味職人 ワイヤーサンシェード Mサイズ | ワイヤー式 | 2,580円 | 毎日使う・費用を抑える |
| MegaDefend 傘型パラソル | 傘型 | 2,459円 | たまに使う |
| 趣味職人 シームレスライト | 吸盤式・全窓10枚 | 9,800円 | 車中泊・仮眠 |
価格は変動するので、上の金額は確認した時点の目安として見てほしい。方式ごとの長短は選び方の節で、商品ごとの中身は後半で扱う。
MM53S はどんな世代の軽ハイトワゴンか
マツダの発表資料によると、3代目フレアワゴンとフレアワゴン カスタムスタイルは2017年12月22日に発表され、2018年2月8日に発売された。型式は DAA-MM53S で、マツダが公開しているリコール情報にも車名フレアワゴン/型式 DAA-MM53S として記載がある。2018年12月26日にはタフスタイルが加わり、いずれも型式は MM53S だ。サンシェードの適合表でも標準・カスタムスタイル・タフスタイルはまとめて扱われることが多い。4代目の発売は2023年12月25日なので、MM53S は6年ほど売られた1世代をまとめて指す呼び方になる。
公開されている車種情報によると、車体寸法は全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,785mm、ルーフレールを装着した HYBRID XS とタフスタイルは全高1,800mmとされる。軽自動車の枠いっぱいの背丈と立ったフロントガラスが、駐車中に日射を受ける面積の大きさにそのまま出る。
マツダが公開しているリコール情報には、フレアワゴンをスズキがマツダへ供給している旨の記載がある。ベース車は2代目スズキ・スペーシアで、車体は共通の設計を持つ。ただし、これはスペーシア用として売られている商品がそのまま MM53S に付くという意味ではない。判断の材料になるのは商品ごとの適合表だ。
2020年の一部改良でフロントガラス上部が変わった
マツダが一部改良を発表した際の資料では、2020年9月3日の改良で夜間歩行者検知機能付きの「デュアルカメラブレーキサポート」が全車に標準設定され、フロントガラス上部に設置した2個のカメラが前方の車両や歩行者を検知する、と記載されている。発売当初の2018年2月時点は「デュアルセンサーブレーキサポート」で、改良前のカメラが何個だったかはマツダの資料に記載がない。ここでも個数は断定しない。
この違いが出るのが、専用設計の全窓セットの品番だ。ある全窓セットの製品説明には「2020年8月のマイナーチェンジで単眼カメラがデュアルカメラに変更されました。本製品はマイナーチェンジ後の車両対応品となっております。マイナーチェンジ前の車両の場合、ご購入時、ご連絡頂ければ『単眼カメラ』専用の商品に変更させて頂きます」と明記されている。単眼カメラという言い方は出品者の記載であってメーカーの表現ではないが、同じ MM53S でも年式によって選ぶ品番が変わる商品が実在する、という事実は動かない。
やることは単純で、買う前に自分の車のフロントガラス上部を見て、カメラの数と形の見当をつける。判断がつかなければ販売元に自車の年式を伝えて確認する。なお改良時期について、この製品説明は2020年8月と書いているがマツダの発表は2020年9月3日で、両者は一致しない。ここでは2020年の一部改良とだけ書いておく。
下がるのは主にダッシュボードの表面温度
JAF が実施した真夏の車内温度テストでは、次の測定値が出ている。2012年8月22日・23日に埼玉県戸田市の駐車場で、晴れ・外気温35度・正午から4時間、ミニバン5台の室温を25℃に揃えて始めた条件での結果だ。
| 条件 | 車内最高 | 車内平均 | ダッシュボード最高 |
|---|---|---|---|
| 対策なし(黒) | 57℃ | 51℃ | 79℃ |
| 対策なし(白) | 52℃ | 47℃ | 74℃ |
| サンシェード装着 | 50℃ | 45℃ | 52℃ |
| 窓を3cm開ける | 45℃ | 42℃ | 75℃ |
| エアコン作動 | 27℃ | 26℃ | 61℃ |
読み方が肝心で、サンシェードで大きく下がったのはダッシュボードの表面温度(79℃→52℃)であり、車内空気の平均温度は51℃から45℃にとどまる。サンシェードは意味がないという言い方が出てくるのは、この差の非対称が理由だろう。期待していいのは、乗り込んだ直後のダッシュボードやハンドルの熱さが和らぐこと、内装の日焼けと劣化を抑えられること、エアコンが効き始めるまでの体感が変わることだ。車内が涼しくなる道具ではない。またこの数値は2012年にミニバンで測ったもので、軽ハイトワゴンのフレアワゴンで同じ値が出る保証はない。JAF はエンジン停止から15分程度で熱中症の危険な水準に達するとも示している。
選ぶ前に決めておく4つの基準
方式で決める
マグネット式はサンバイザーや車体側に磁石で留める。着脱が速く、傘型のように骨が内装に当たらない。ワイヤー式はリング状のフレームを広げて使い、ひねって小さくたたむ。安価な製品が多い一方、たたみ方に慣れが要る製品もある。傘型は車内で傘を開くように広げるので取り付け動作がほとんど不要だが、たたむと棒状になるため置き場所を選ぶ。吸盤式の全窓セットは目隠しとしては最も効くが、枚数が多く着脱に時間がかかり価格帯も上がる。毎日ならマグネット式かワイヤー式、たまに使うなら傘型、車中泊なら全窓セットという対応になる。
専用設計か汎用品か
専用設計品は車種と型式のガラス形状に合わせて型紙が作られるため隙間が出にくく、ルームミラーやカメラの位置に切り欠きが用意される。汎用品はサイズ展開の中から近いものを選ぶ形で、上下左右に余りや隙間が出やすい代わりに安い傾向がある。注意すべきは、商品タイトルに車名や型式が入っていても専用設計とは限らない点だ。実際に「本商品は汎用品です。表題に記載している車種に対する専用品ではありません」と製品説明に明記している商品がある。「MM53S/MM42S」と複数世代をまとめた記載や、「汎用機種 に適し」と断りながら車名を掲げる商品も混在する。読むのはタイトルではなく製品説明の適合欄とサイズ表記だ。
汎用品ならガラスを実測する
汎用品には「サイズは選択式です、必ずフロントガラスのサイズをご確認下さい」と注記し、大サイズ 横145cm×縦80cm、小サイズ 横140cm×縦70cm という展開を示す商品がある。運転席側から助手席側までの幅と上下の高さを自分で測ってから選ぶ。小さすぎて隙間が空く失敗と、大きすぎてピラーに当たる失敗はどちらも実測で避けられる。
収納場所と干渉を先に確かめる
軽自動車では収納サイズが実質的な決め手になる。フレアワゴンは室内高こそあるが、ドアポケットやグローブボックスの容量は限られる。置き場所が決まらないサンシェードは後席や荷室に転がったまま使われなくなる。買う前に置く場所を決めてからサイズを見たい。あわせてルームミラーとドライブレコーダーとの干渉も確認する。傘型はガラスの曲面差で両端に隙間が生じる場合があり、MM53S に適合するとしている傘型商品の製品説明にも、取り付け後にフロントガラスの両側に隙間が生じる場合がある旨の注記が出品者自身の言葉で入っている。
フロントガラス用のおすすめ3点
趣味職人 MM53S タイプ(マグネット式)
製品説明には、重さ72gで使用時の約2%まで小さく収納できる点を UA日本記録認定で達成したこと、30D極細糸を用いた日本縫製であること、高密度遮光生地により紫外線と日差しを99%遮断すること、サンバイザーに磁石ベルトを装着してネオジム磁石で固定する方式であることが記載されている。傘式と違って柄や骨がダッシュボードや内装に当たらず、ドライブレコーダーにも対応する。形状記憶フレームを芯にして巻き取るだけで収まり、広げればフレームが自動で復元する。毎日着脱して手のひらサイズで置いておきたいなら、この一本で話が終わる。
趣味職人 サンシェード フレアワゴン/フレアワゴンカスタム MM53S タイプ(マグネット式・72g)
趣味職人 ワイヤーサンシェード Mサイズ
シェードを広げてフロントガラスに合わせ、上部を磁石で固定する方式。光を反射する多層構造の生地で、約180gの軽量設計、使用後はワイヤーフレームをひねって折りたたみ付属の収納袋に入れられる、と製品説明にある。ただし同じ製品説明の適合欄には「本商品は汎用品です。表題に記載している車種に対する専用品ではありません」と明記されている。商品名に MM53S と入っていても専用設計ではない実例そのものだ。費用を抑えたい人には現実的な選択肢で、隙間の少なさを最優先するなら別の選択になる。
趣味職人 フレアワゴン MM53S カスタム 対応 フロント ワイヤーサンシェード 単品 Mサイズ
MegaDefend 傘型パラソル
製品説明には適用車種として「マツダ・フレアワゴン 3代目 MM53S型 2018年2月-2023年」が明記されている。傘型なので開くだけで使え、事前の取り付けが要らない。上部中央に切れ目があるためルームミラーやドライブレコーダーに干渉せず、駐車中もドライブレコーダーが撮影を続けられる。閉じて収納バッグに入れればドアのサイドポケットやグローブボックスに収まる。断熱層数と UVカット率はタイトルと製品説明で表記が食い違っているため、ここでは数値を出さない。週末だけ使う人や、装着に手間をかけたくない人向けだ。
MegaDefend 車用サンシェード マツダ フレアワゴン 3代目 MM53S型 傘型パラソル
車中泊で目隠しまで欲しいなら全窓セット
趣味職人のシームレスライト サンシェードは、製品説明の適合車種にフレアワゴン MM53S/フレアワゴンカスタム MM53S/フレアワゴンタフスタイル MM53S が挙げられている。商品内容はフロントガラス1枚、サイドドアガラス2枚、ピラーガラス2枚、スライドドアガラス2枚、クォーターガラス2枚、リアガラス1枚の合計10枚。簡易吸盤で脱着し、シボ加工で収納時のシワが目立ちにくいとされる。
価格帯はフロント単体から一段上がるので、暑さ対策だけが目的なのか、外からの視線を遮ることまで求めるのかを先に決めたい。この製品説明にも2020年の改良前後で対応品が分かれる旨の注記があり、年式の確認が効いてくるのはまさにこの全窓セットだ。フロントは既に持っていてリア側だけ欲しい場合には、スライドドアガラス2枚・クォーターガラス2枚・リアガラス1枚という構成の商品もある。
趣味職人 シームレスライト サンシェード フレアワゴン MM53S カスタム 対応(全窓10枚セット)
使い方と、走り出す前に必ず外す理由
マグネット式は付属の磁石ベルトをサンバイザーに付けておき、駐車のたびにシェードを広げて留める。外すときは引きはがして巻き取るだけだ。ワイヤー式は広げてガラスに合わせ、上部を磁石で固定する。しまうときはフレームをひねって二重・三重の輪にして袋へ入れる。傘型は運転席側から車内で開き、ミラー部分の切り欠きの向きを合わせる。吸盤式の全窓セットは前後左右で形が違うので、初回に貼る位置を覚えておくと2回目以降が速い。
そして、どの方式でも走り出す前に必ず外す。道路運送車両の保安基準第29条では、前面ガラスと側面ガラスは運転者の視野を妨げないものとして告示で定める基準に適合しなければならないと定められ、同条ではこれらの窓ガラスに、整備命令標章・検査標章・保安基準適合標章・自動車損害賠償保障法の保険標章等として列挙されたもの以外が装着され、貼り付けられ、塗装され、または刻印されていてはならないとも定められている。この「必ず外す」動作が苦にならない方式を選べるかどうかが、結局は使い続けられるかを分ける。吸盤跡がガラスに残ることや、傘型の骨が内装に当たって傷になることも、日々の扱いで避けられる範囲の話だ。
よくある質問
スペーシア用と書かれたサンシェードはフレアワゴンに使えるか
マツダが公開しているリコール情報にあるとおりフレアワゴンはスズキから供給される OEM 車で、MM53S のベースは2代目スペーシアにあたる。車体は共通の設計を持つが、それは個々の商品が MM53S での適合を保証していることとは別の話だ。使えるかどうかは商品ごとの適合表で確かめる。
カスタムスタイルやタフスタイルでも同じものが使えるか
標準・カスタムスタイル・タフスタイルはいずれも型式が MM53S で、サンシェードの適合表でも3つを並べて記載する商品が多い。フロントガラス周りに関しては同じ商品を検討して差し支えない。ただしタフスタイルはルーフレール装着で全高が異なる仕様があるため、ルーフに関わる装備では区別が要る。
自分の MM53S が2020年の改良前か改良後か分からないときは
車を降りてフロントガラスの上部を見て、カメラの数と形を確かめるのが最初の一手になる。それでも判断がつかなければ、車検証の初度登録年月を控えたうえで販売元に伝え、どちらの品番になるかを確認する。全窓セットには改良前の車両向けへ変更に応じる旨を製品説明に書いている商品もある。
サンシェードを使えば車内は本当に涼しくなるのか
JAF の測定でサンシェード装着時に大きく下がったのはダッシュボードの表面温度で、車内空気の平均温度の下がり幅は限られていた。涼しくするための道具というより、乗り込んだ直後の熱さと内装の日焼けを抑えるための道具と考えたほうが、買ったあとの落差がない。
走行中に付けたままにしてもよいか
だめだ。前面ガラスと運転席側面ガラスは運転者の視野を妨げないことが求められ、装着物にも保安基準で制限がある。サンシェードは駐停車中に使うものとして扱い、走り出す前に外す。
まとめ
まず実車のフロントガラス上部を見て、カメラの数と形を自分の目で確かめてほしい。年式が曖昧なら車検証の初度登録年月を添えて販売元に確認すれば、全窓セットの品番選びで迷わずに済む。そのうえで、毎日使うなら着脱と収納の速いマグネット式かワイヤー式、たまに使うなら開くだけの傘型、車中泊で視線まで遮るなら全窓セットという分け方になる。商品タイトルの車名ではなく製品説明の適合欄を読む習慣がつけば、汎用品を専用設計と勘違いする失敗も減る。効果として見込めるのはダッシュボードやハンドルの熱さの軽減と内装の日焼け抑制であって、車内の空気そのものが涼しくなるわけではない、という前提だけは持っておきたい。
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