BMW X6 の F16 でタイヤを替えるときは、X6 の取扱説明書(英語版)の案内どおり、交換する車輪にいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみにジャッキを差し込んで上げ、ホイールボルトは車を降ろしてから対角の順に140N·mで締める。これが作業の軸だ。加えて F16 は、純正19インチのホイールが前後でオフセット違いの形で適合データに載っているので、外したホイールは元の位置に戻す。準備から交換後のリセットまで、順に見ていく。
ジャッキポイントと締め付けトルクの要点
BMW の X6 の取扱説明書(英語版。型式の記載は無い)では、ジャッキポイントの位置を図で示したうえで、交換する車輪にいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみにジャッキを差し込むよう案内している。ジャッキポイントは車輪のハウス(タイヤの収まる部分)のそばにあり、ジャッキを上げるときはそのくぼみに差し込まれていることを確かめる、とも書いている。位置は図でしか示されていないので、自分の車の取扱説明書の図で確かめてから当てる。
締め付けトルクは140N·mだ。ホイールの適合データの F16 の行(全グレード共通の記載)も、取扱説明書(英語版)も同じ値で、取扱説明書は101 lb ft を併記し、ボルトを対角の順に締めるよう書いている。F16 のホイールはナットではなく、ホイールボルト(ラグボルト)で留める形式になっている。
F16 のホイールとボルトの諸元
世代の見分け方
F16 は X6 の2代目で、2014〜2019年の世代だ(車種データのサイトとホイールの適合データによる)。前の E71(後期は2012〜2014年)と、次の G06(2019年〜)とは別の世代になる。境の2014年と2019年の車は、どちらの世代かを確かめてから作業する。
ボルトと取り付けの寸法
| 項目 | ホイールの適合データの F16 の行(全グレード共通の記載) |
|---|---|
| 留め方 | ホイールボルト(ラグボルト) |
| ボルトのねじ | M14×1.25 |
| PCD | 5×120(5穴) |
| ハブ径 | 74.1mm |
| 締め付けトルク | 140N·m |
純正のタイヤとホイールのサイズ
ホイールの適合データの F16 の純正(OEM)の行では、19インチは次のとおりだ。
| グレード | 前 | 後 |
|---|---|---|
| xDrive30d・xDrive35i・xDrive40d・xDrive50i | 255/50ZR19 107W(9J×19 ET48) | 255/50ZR19 107W(9J×19 ET18) |
| M50d | 255/50ZR19 107W(9J×19 ET48) | 285/45ZR19 111W(10J×19 ET21) |
xDrive30d・xDrive35i・xDrive40d・xDrive50i は前後とも255/50ZR19 でも、ホイールは前 ET48・後 ET18 とオフセットが違う。 M50d は前後でタイヤサイズも違う。同じデータには20インチ・21インチの前後違いの組み合わせ(例 275/40R20 と 315/35R20)も載っている。自分の車のサイズは、タイヤの側面の表示で確かめる。
作業の前に確かめること
車載工具とジャッキの有無
取扱説明書(英語版)は、装備によって交換の工具と、必要なら応急用タイヤを車から出す、と書き分けている。ランフラットタイヤやパンク修理キットの車では、空気が抜けてもすぐに交換しなくてよい場合があり、交換の工具は必要なら販売店で用品として手に入る、とも書く。ジャッキや工具が積まれているかは車ごとに違うので、作業の日より前に自分の車で確かめておく。 荷室の使い方は
にまとめている。
ランフラットタイヤとスペアタイヤ
取扱説明書(英語版)は、ランフラットタイヤの車について、安全のためランフラットタイヤだけを使うこと、パンクのときのスペアタイヤは無いことを書いている。ランフラットタイヤは空気が完全に抜けても条件付きで走り続けられ、タイヤの側面に RSC の印がある。パンク修理キット(Mobility System)は、小さな傷を内側から一時的にふさぐものだ。ランフラットか、スペアや応急用タイヤが積まれているかは装備で違うので、タイヤの側面と荷室で確かめる。
ロックボルトのアダプター
特別な符号(コーディング)が付いたホイールボルトは、符号に合うアダプターでだけ外せる。取扱説明書(英語版)では、アダプターは車載工具の中か、その近くの収納にある。パンクしてから探すことにならないよう、置き場所を先に見ておく。
作業する場所と輪止め
車は交通から離れた、固く滑りにくい地面に止める。取扱説明書(英語版)は、車が転がらないよう追加で固定することを勧めている。平らな場所なら、交換する車輪と対角の位置にある車輪の前と後ろに輪止め(石など代わりになる物でもよい)を置く。下り坂では、前と後ろの両方の車輪の下に、転がる向きと逆の側から輪止めを置く。
ジャッキアップの手順
取扱説明書(英語版)の流れを順に並べる。
- ハザードランプを点け、パーキングブレーキをかけ、セレクトレバーを P にする
- 輪止めを置く
- 車輪が地面に着いているうちに、ホイールボルトを少しだけ緩めておく
- 交換する車輪にいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみに、ジャッキを差し込む
- ジャッキのハンドルを時計回りに回して伸ばし、ジャッキの足が地面に対して垂直に、ジャッキポイントの真下に立っていることを確かめる
- ジャッキの底面全体が地面に着いた状態で、交換するタイヤが地面から少し離れるところまで上げる
上げるのはタイヤが地面から少し離れるところまでで、それ以上は上げない。 ジャッキを使っている間は、片手でジャッキを支え、もう片方の手でハンドルを回す、という手の位置を変えない。
持ち上げている間にしてはいけないこと
取扱説明書(英語版)は、車載ジャッキを交換のために短い時間だけ車を持ち上げる道具としていて、次のことをしないよう書いている。
- 車の下に入る
- エンジンをかける
- ジャッキの下に台を挟む
- 持ち上げている間に横から力をかけたり、急に引いたりする
- ほかの車や荷物を持ち上げるのに使う
車が上がっている間は、体を車の下に入れない。 作業は、できるだけ平らで固く、滑りにくい場所で行う。
ホイールの外し方・付け方と本締め
取扱説明書(英語版)の外し方と付け方は次の順だ。
- 緩めておいたホイールボルトを外し、ホイールを外す
- 付けるホイール(または応急用タイヤ)を当て、少なくとも2本のボルトを対角の順に手で締める
- 残りのボルトも手で締め、全部のボルトを対角の順に締め込む
- ジャッキのハンドルを反時計回りに回して、車を降ろす
- 降ろした後、ボルトを対角の順に140N·mで締める
- 較正されたトルクレンチで、ボルトが締まっていることを確かめる
本締めは車を降ろしてから、トルクレンチで140N·mに合わせる。 ロックボルトは、必要ならアダプターを回してボルトに合わせて締め、締めたらアダプターを外してしまう。
取扱説明書(英語版)は、メーカー純正以外の軽合金ホイールを付けるときは、そのホイールに付属するボルトを使う必要がある場合がある、とも書いている。社外ホイールに替えるなら、ボルトがそのホイール用かを確かめる。
交換した後の確認
取扱説明書(英語版)は交換の後に、次の機会に空気圧を確かめて直すこと、ランフラットタイヤの再初期化と、タイヤ空気圧の監視(TPM)のリセットをすることを挙げている。リセットの操作は装備で違うので、自分の車の取扱説明書の手順に従う。
空気圧の指定は取扱説明書の空気圧の表にまとめてあり、タイヤサイズや積む荷物で変わる。点検の目安は月に2回と、長い距離を走る前だ。自分の車の表示と取扱説明書の値に合わせる。
前後の入れ替えと夏冬の履き替えの注意
前後の入れ替え
取扱説明書(英語版)は、走り方によって前と後ろでタイヤの減り方が違うことがあり、減りをそろえるために前後のタイヤを組ごとに入れ替えられる、入れ替えた後は空気圧を確かめて直す、と書いている。ただし前後でタイヤやリムの寸法が違う車では、前後の入れ替えを認めていない。
F16 の純正19インチは、前後同じ255/50R19 の組み合わせでも、オフセットが前 ET48・後 ET18 の形で適合データに載っている。前後を入れ替える前や、外したホイールを付け直すときは、ホイールの刻印や販売店で前用か後用かを確かめ、外した位置どおりに戻す。同じ BMW の SUV の手順は
でも扱っている。
夏冬の履き替えをするとき
取扱説明書(英語版)は、車載ジャッキは頻繁に使う前提で作られていない(例として夏用から冬用への履き替え)とし、故障のときに応急用やスペアのタイヤを付けるためだけに使うよう書いている。毎年の履き替えは、タイヤ店や整備工場に頼むなど、車載ジャッキに頼らない方法を取る。
履き替え用に別のホイールを用意するなら、照らしどころは次のとおりだ。
- PCD 5×120・ハブ径74.1mm・ボルトのねじ M14×1.25(F16 の適合データ)
- 純正のタイヤサイズ(多くのグレードで255/50R19。M50d は後ろが285/45R19)
- 前後の位置(前後でオフセットが違う純正の組み合わせがある)
- ボルト(社外ホイールは、そのホイール用のボルトが要る場合がある)
よくある質問
締め付けトルクはいくつ?
140N·mだ。ホイールの適合データの F16 の行(全グレード共通の記載)と、X6 の取扱説明書(英語版)の値がそろっている。車を降ろしてから対角の順に、トルクレンチで締める。
スペアタイヤは積まれている?
装備で違う。取扱説明書(英語版)は、ランフラットタイヤの車にはパンクのときのスペアタイヤは無いと書いている。タイヤの側面の RSC の印と荷室で、自分の車を確かめる。
ロックボルトのアダプターはどこにある?
取扱説明書(英語版)では、車載工具の中か、その近くの収納にある。締めた後はアダプターを外してしまっておく。
前後のタイヤを入れ替えてもいい?
前後でタイヤやリムの寸法が違う車では、取扱説明書(英語版)は入れ替えを認めていない。F16 の純正19インチは前後でオフセットが違う形で載っているので、入れ替える前に前用か後用かを確かめる(詳しくは前後の入れ替えの節)。
まとめ
まず実車で、いま付いているタイヤの側面のサイズと RSC の印、ホイールの刻印(前用か後用か)、荷室のジャッキと工具の有無を見る。車検証で2014〜2019年の F16 かを確かめるのは、その次でよい。
- ジャッキは、取扱説明書(英語版)の案内どおり交換する車輪にいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみへ。位置は図で確かめる
- ボルトは車を降ろしてから、対角の順に140N·m
- 純正19インチは前後でオフセットが違う形で適合データに載っているので、外した位置どおりに戻す
- 交換の後は空気圧を確かめ、ランフラットの再初期化と TPM のリセットをする
同じ F16 のほかの作業は、次の記事にまとめている。

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