X7 G07 の車輪交換で抜けやすいのは、エアサス装着車でジャッキを当てる前に車高調整を切る操作だ。BMW の取扱説明書(X7 の 2023年版・米国向け)では、この操作をジャッキアップ前の準備の最後に置いている。ジャッキは交換する車輪にいちばん近いホイールハウスの脇の長方形のくぼみに差し込み、車載ジャッキは故障時の応急用として使う。
ジャッキポイントの位置と持ち上げる前の約束
取扱説明書では、ジャッキポイントは交換する車輪にいちばん近い位置(ホイールハウスの脇)にあり、ジャッキを差し込む長方形のくぼみになっている。位置は図で示されていて、文字の説明は「示された位置にある」だけなので、正確な位置は自分の車の取扱説明書の図で確かめる。
持ち上げる前に守ることは次の3つだ。
- エアサス装着車は、ジャッキアップの前に車高調整を切る(操作は後の節)
- 車載ジャッキは車輪交換のために車を短時間持ち上げるためだけの物で、ほかの車や荷物を持ち上げない
- 持ち上げている間は車の下に寝そべらない・走行可能な状態にしない
取扱説明書は、ジャッキを伸ばすときにホイールハウスの脇のジャッキポイントに差し込まれていることを確かめ、持ち上げている間は車に横から力を加えたり急に引っ張ったりしないよう書いている。
自分で替える場面と店に任せる場面
取扱説明書では、車両メーカーが用意するジャッキは故障したときの車輪交換のための物で、夏タイヤと冬タイヤの履き替えのような頻繁な使用には向いていない。使うのは、故障時に応急用タイヤかスペアタイヤへ替えるときだけとしている。季節の履き替えのように前もって予定できる交換は、整備工場やタイヤ店に任せるのが取扱説明書の趣旨に合う。
また取扱説明書は、走行中に空気圧が失われても、ランフラットタイヤやタイヤ修理キットを使っているときは、すぐに車輪を替えなくてよいことがあるとしている。
車輪交換の道具や応急用タイヤの有無は車の装備で違う。日本仕様の X7 G07 に車載ジャッキ・応急用タイヤ・ランフラットタイヤが付いているかは、ここで使った出典では確かめられていない。作業の前に、荷室の床下と自分の車の取扱説明書で、道具と応急用タイヤの有無を見ておく。必要なら、ジャッキなどの車輪交換に合う工具はアクセサリーとして正規または有資格のサービス工場で手に入る。
手順の出典は BMW の X7 の 2023年版の取扱説明書(米国向けの版)だ。年式や仕向け地で装備や手順の細部が違う場合があるので、自分の車の取扱説明書とも照らす。
用意する工具とホイールボルトの仕様
用意するもの
取扱説明書の手順に出てくる物は次のとおり。
- ジャッキ(装備されていれば車載の物)
- ラグレンチ(ホイールボルト用のレンチ)
- ロックボルトのアダプター
- 輪止めか代わりになる物
- 三角表示板
- 校正されたトルクレンチ(交換後の締付の確認用)
ボルトの規格とロックボルト
海外のタイヤ・ホイール販売店の適合データ(G07・2018〜2025年の頁)では、X7 G07 のホイールはナットではなくボルトで留める方式で、ねじの径とピッチは M14×1.25、ボルトの配置(PCD)は 5×112、ハブ径は 66.6mm だ。
ロックボルト(盗難防止のホイールボルト)は、コードの合ったアダプターでしか回せない。アダプターは車載工具の中か、その近くの収納にある。インパクトレンチはロックボルトを傷めることがあるので、ロックボルトの緩め・締めはラグレンチだけで行う。
ジャッキアップ前の安全の準備
停める場所と車の固定
取扱説明書の順に並べると次のようになる。
- 交通から安全な距離をとり、硬く滑らない地面に停める
- ハザードランプを点ける
- パーキングブレーキをかける
- 前輪がまっすぐになるまでハンドルを回し、ハンドルロックをかける
- ギアに入れるか、セレクターレバーを P にする
- 交通の状況が許せば同乗者を全員降ろし、ガードレールの外側など危険の無い所にいてもらう
- 必要なら三角表示板や非常灯を適切な距離に置く
- 装備に応じて、車輪交換セットと(必要なら)応急用タイヤを車から出す
- 車が転がらないように追加で固定する
- ホイールボルトを半回転緩める
- エアサス装着車は車高調整を切る
雪・氷・タイルの上ではジャッキが滑ることがある。できれば平らで硬く、滑らない地面を選ぶ。ジャッキの下に木のブロックなどの台を敷くと耐荷重が下がるので、ジャッキの下に物を敷かない。
輪止めの置き方
平らな所では、交換する車輪と対角の位置にある車輪の前と後ろに、輪止めか代わりになる物を置く。緩い下り坂では、前後両方の車軸の車輪の適切な側に、輪止めや石を置く。
エアサスの車高調整を切る操作
取扱説明書は、車高調整(セルフレベリング)を車輪交換やけん引のときに停止できるとしている。操作は、センターコンソールの車高調整のロッカースイッチを前に押すか後ろに引いたまま、約7秒保持する。スイッチの LED が消えれば車高調整は停止、点灯していれば作動中だ。
作動の条件として、すべてのドアを閉めておく。ドアを開けると車高の上げ下げは中断する。車高が変わるときに体を挟むおそれがあるので、操作するときは車の周りとホイールハウスの周りに人や物が無いことを確かめる。
停止した車高調整は、走り出して約10km/hを超えると自動で再び作動する。交換後に戻す操作を忘れても、走り出せば元に戻る。
ジャッキの当て方と持ち上げる高さ
取扱説明書の手順は次の6段階だ。
- 片手でジャッキを持ち、もう片方の手でジャッキのハンドル(レバー)を握る。手や指を挟むおそれがあるので、この手の位置はジャッキを使っている間は変えない
- 交換する車輪にいちばん近いジャッキポイントの長方形のくぼみにジャッキを差し込む
- ハンドルを時計回りに回してジャッキを伸ばす
- ジャッキに荷重がかかったら支えていた手を離し、片手でハンドルを回し続ける
- ジャッキの足がまっすぐ伸び、ジャッキポイントの真下で直角になっていることを確かめる(伸ばした後にも確かめ直す)
- ジャッキの底が地面に全面で着き、交換する車輪が地面から最大3cm浮くまで持ち上げる
車輪が固着して外れないときは、持ち上げた状態で無理に横から力を加えたり引っ張ったりせず、サービス工場に外してもらう。
車輪の付け外しと締付トルク
外して付ける順
- ホイールボルトを外す。ロックボルトは、アダプターを当てて緩めて外し、アダプターを外す
- 車輪を外す
- 新しい車輪(または応急用タイヤ)を当て、少なくとも2本のボルトを対角の順に手で締める
- 残りのボルトも手で締め、すべてのボルトを対角の順に十分に締める。ロックボルトはアダプターを当て(合わなければアダプターを回して合わせ)、締めてからアダプターを外して片付ける
- ジャッキのハンドルを反時計回りに回してジャッキを縮め、車を下ろす
- ジャッキを外して元の場所に片付ける
締付トルクとボルトの注意
取扱説明書では、ホイールボルトの締付トルクは 140Nm(101 lbs ft) で、対角の順に締める。ロックボルトも同じ 140Nm だ。海外のタイヤ・ホイール販売店の適合データも、G07(2018〜2025年の頁)のホイールの締付トルクを 140Nm としている。
取扱説明書は、合わないホイールボルト(1部品構成〈single-section〉のボルトなど)は緩んだり外れたりするおそれがあるとし、車両メーカーがその種類のホイールに適すると認めた2部品構成(two-section)のボルトだけを使うよう書いている。純正ではないアルミホイールでは、ホイールに付属のボルトを使う必要がある場合がある。
交換の後にすること
取扱説明書では、交換の後に次のことをする。
- ホイールボルトを対角の順に 140Nm で締める
- 必要なら、傷んだ車輪を荷室に積む
- 早めにタイヤの空気圧を確かめ、必要なら直す
- パンク警告(フラットタイヤモニター)を再初期化するか、タイヤ空気圧モニターをリセットする
- 校正されたトルクレンチで、ボルトが締まっていることを確かめる
- 最寄りの正規または有資格の工場へ行き、傷んだタイヤを新しくしてもらう
4のメニューの名前や操作の順は、自分の車の取扱説明書で確かめる。
応急用タイヤの取り出し方と走り方
取扱説明書では、応急用タイヤと車輪交換セットは荷室の床板の下にある(装備されている車の場合)。取り出しの順は次のとおり。
- 3列目の背もたれを倒す
- 荷室の床板をいちばん上まで上げ、固定されたことを確かめる
- 両側の留め具を外してカバーを取る
- 荷物ベルトを留め具の所で緩める(外しきらない)
- 締めベルトをスペアタイヤの上から外す
- 必要なら下側のテールゲートを開ける
- 応急用タイヤを工具の入れ物ごと収納の皿から出す
応急用タイヤは、傷んだタイヤ・車輪を直すまでの一時用で、付けるのは1本だけだ。制動時の安定性が下がり制動距離が延びるので、控えめに走り、80km/hを超えない。応急用タイヤの空気圧も定期的に確かめる。荷室の使い方は次の記事にまとめてある。
履き替え前に見ておくタイヤサイズの目安
海外(欧州市場)のタイヤ・ホイール販売店の G07(2018〜2025年)の適合データに載るタイヤサイズの例は次のとおり。欧州市場のグレード構成の値で、日本仕様のグレードごとの標準サイズは確かめられていないので、自分の車のタイヤの側面の表示で確かめる。
| ホイール径 | 前 | 後 |
|---|---|---|
| 21インチ | 285/45ZR21(9.5J×21) | 285/45ZR21(9.5J×21) |
| 22インチ | 275/40ZR22(9.5J×22) | 315/35ZR22(10.5J×22) |
| 23インチ | 275/35ZR23(9.5J×23) | 315/30ZR23(10.5J×23) |
21インチは前後同じサイズ、22インチは前後で幅の違う組み合わせだ。23インチは、2022年以降の改良型(LCI)の頁にだけ載っている。
よくある質問
エアサスの車高調整を切らずにジャッキアップしてよい?
切ってから持ち上げる。取扱説明書は、エアサス装着車はジャッキアップの前に車高調整を切るよう書いている。操作は「エアサスの車高調整を切る操作」の節を見てほしい。
車載ジャッキで夏タイヤと冬タイヤを履き替えてよい?
勧めない。取扱説明書では、車両メーカーが用意するジャッキは故障時の車輪交換のための物で、頻繁な使用には向いていない。季節の履き替えは整備工場やタイヤ店に頼む方がよい。
ホイールボルトの締付トルクは?
取扱説明書の値で 140Nm(101 lbs ft)、ロックボルトも同じで、対角の順に締める。
ロックボルトのアダプターはどこにある?
車載工具の中か、その近くの収納にある。コードの合ったアダプターでしか回せないので、出先で困らないよう作業の前に場所を確かめておく。
パンクしたらすぐに車輪を替える必要がある?
ランフラットタイヤやタイヤ修理キットを使っているときは、すぐに替えなくてよいことがある、と取扱説明書は書いている。日本仕様の X7 G07 にどの装備が付いているかは確かめられていないので、自分の車の装備で判断する。
まとめ
まず車検証で型式と初度登録年月を確認し、手元の取扱説明書がその車のものかを照らす。そのうえで要点は4つだ。
- ジャッキは、交換する車輪にいちばん近いホイールハウスの脇の長方形のくぼみに差し込む(正確な位置は取扱説明書の図で見る)
- エアサス装着車は、持ち上げる前に車高調整を切る
- ホイールボルトとロックボルトは、取扱説明書の値の 140Nm で対角に締める
- 車載ジャッキは故障時の応急用で、季節の履き替えは店に任せる
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