2026年7月に発売されたE53型の新型エルグランドは、第3世代のe-POWERを積むミニバンだ。前後のドラレコを付ける作業は一般的な取り付け手順で進められるが、判断が分かれるのは電源をどこから取るかと、駐車監視をどう使うかだ。フロントカメラの位置には保安基準の決まりがあり、e-POWER車の12Vバッテリーには日産の案内がある。この2つを押さえてから手を動かせば、やり直しの少ない取り付けになる。
E53のドラレコ取り付けは4つの工程で進める
対象は新型エルグランドのE53型だ。日産の公式のよくあるご質問は「エルグランド(2026/07~・E53型)」と表記し、日産は2026年7月16日に発売した(2025年のJapan Mobility Showで先行公開したモデル)。
ドラレコメーカーのケンウッドの取付手順では、作業を次の4つに分けている。
- 取付位置の仮決め(ブラケットを仮止めして位置を決める)
- 角度調整(電源を入れた状態でブラケットの角度を合わせる)
- 配線(電源コードを車に取り付ける)
- 両面テープの貼り付け(ブラケットをガラスに固定する)
両面テープは粘着力がとても強く、貼り直すと粘着力が落ちて走行中に外れるおそれがある。だから貼るのは最後、位置は十分に検討してからが鉄則だ。フロントカメラはフロントガラスの上から本体を含めて20%以内に収める決まりがあり、詳しくは位置の決め方の節で扱う。電源はe-POWER車ならではの注意があるので、駐車監視の節もあわせて読んでほしい。
作業前に確かめるE53の装備
E53はe-POWERの4WD(e-4ORCE)
E53型は第3世代のe-POWERを搭載し、発電用エンジンは発電に特化した専用設計のZR15DDTeだ。発売時のニュースリリースの価格表に載るグレードは「X e-4ORCE」と「G e-4ORCE」の2つで、どちらも4WD(e-4ORCE)。このほかに、新型エルグランドをベースにしたカスタムカー「AUTECH」「AUTECH LINE」「VIP」「ステップタイプ」も発売された。ドラレコの作業では、電源の状態の切り替えと12Vバッテリーの扱いにe-POWERが関わる。
プロパイロットの装備とカメラ周り
E53型のX e-4ORCEは「プロパイロット」が標準で、オプションでナビリンク機能・渋滞時ハンズオフモード・車線変更支援機能付きのプロパイロットを選べる。G e-4ORCEはこのナビリンク機能付きが標準で、メーカーオプションで「プロパイロット2.0」を選べる。つまり価格表の2グレードはどちらもプロパイロットを標準で備える。
ケンウッドの取付手順は、貼り付け前の確認項目に「運転支援システムや車両の他の装備を妨げていないか」を挙げている。E53型の車両側カメラやセンサーの正確な位置・範囲は、公開資料では確認できていない。ドラレコ本体と配線がそれを遮らない位置を、実車と取扱説明書で選ぶ。
取扱説明書と実車で確かめること
- フロントガラス上部の車両側カメラ・センサーの位置
- 12Vの電源ソケット(シガーソケット)の位置と数。発売時のニュースリリースには、12Vの電源ソケットやUSB電源の記載が無い(記載があるのはグレード別設定の100V AC電源)
- ヒューズボックスの位置、ドラレコに使えるヒューズ(アクセサリー系・常時電源系)、ヒューズの形。これらは公開資料では確認できていない
100V AC電源をドラレコの電源にする方法は、ここでは扱わない。
用意する道具と部品
ケンウッドの取付手順が挙げる道具は次のとおり。
- メジャー(約1.5m程度の巻尺。窓ガラスの長さを測る)
- 仮固定用のテープ(養生テープやセロハンテープ)
- ガラスクリーナー
- 結束バンド
- 配線止め(両面テープ付きのコードクリップ)
- 厚さ1〜1.5mmのスポンジテープ(天井から配線が飛び出す場合)
ヒューズから電源を取るなら、通電を調べる検電テスター(ベストカーWeb)と、端子を付ける電工ペンチ(エーモンの解説)も用意する。
フロントカメラの位置の決め方
保安基準の「上部20%以内」
国土交通省の案内では、ドラレコは運転者の視界を妨げないよう保安基準で定められた位置に付けるものとされ、その位置を「フロントガラス上部から20%以内の範囲など」としている。ケンウッドの取付手順はこれを本体を含めて20%以内とし、外れると車検に適合しないと注記している。All About のカーメンテナンスの解説では、守らなければ道路運送車両の保安基準第29条(窓ガラス)、細目告示第195条に違反するとしている。
助手席側のルームミラー周りが目安
ケンウッドは、助手席側のルームミラー周辺で、雨の日を考えてワイパーで拭える位置を勧めている。あわせて、ルームミラーやサンバイザーの操作に支障がないか、検査標章(車検シール)と重ならないか、テレビアンテナや他の電装品から十分離れているかも確認項目に挙げる。エーモンの解説も、運転席から見てルームミラーに隠れる範囲を目安にしている。
ワイパーの拭き取り範囲を確かめるときは、ワイパーの記事も参考になる。
メジャーで測って仮止めする
車を水平で安全な場所に移し、メジャーで窓ガラスの長さを測って、取付の下限にテープで印を付ける。おおよその位置が決まったらブラケットの両端をテープで仮固定し、裏紙はまだ剥がさない。仮付けのまま走行はしない。電源を入れて映像を見ながらブラケットの角度を合わせる。
フロントガラスにサンシェードを広げて使うなら、本体の位置と一緒に選び方も見直しておくとよい。
フロントカメラの配線の通し方
天井の内張りに押し込む
ケンウッドの手順では、ブラケットに電源コードを通して5cmほど出しておき、天井の内張り(ルーフライニング)に押し込んで隠す。途中でコードが落ちてくるなら、厚み1〜1.5mm程度のスポンジ材をコードに巻いて部分的に太くする。そのままブラケット上部から助手席側のピラーまで内張りの中を通す。All About の解説も、無理に押し込まないよう注意している。
ピラーとエアバッグの注意
ケンウッドの取付手順は、ピラー内にエアバッグがある車では配線方法によってエアバッグが正しく動作しない恐れがあるとして、購入した販売店に事前に相談するよう求めている。ピラー内に通らない場合は配線止めでコードを固定し、クリップはガラス面ではなくピラーに貼る。助手席エアバッグが作動する範囲には配線しない。All About の解説では、ピラーカバーが外れない場合は市販のテープで固定してもよいとしている。
E53型のピラー内にエアバッグがあるかどうかと、その位置は公開資料では確認できていない。ピラーの内張りを外す前に、取扱説明書のエアバッグの説明と販売店で確かめる。
ドアとシートレールで挟まない
ピラーから足元へは、ドアを開け閉めしてもコードが挟まれないよう配線止めで固定する。余分なコードは助手席カーペットの下(奥)に隠し、電源を取る位置まで通す。前後に動く助手席のレールにコードを挟まないようにし、余りは結束バンドで軽くまとめる。
電源の取り方3通りと選び方
グーネットピット編集部の解説では、電源の取り方はシガーソケット・ヒューズボックス・オーディオ(ナビなど)の裏の3通りだ。
| 取り方 | 手間 | 注意 |
|---|---|---|
| シガーソケット | プラグを挿すだけ | 配線が見えやすく、引っかかると抜けることがある |
| ヒューズボックス | 専門知識が要る | 誤るとヒューズが飛ぶ恐れがある |
| オーディオの裏 | 専門知識が要る | 誤るとヒューズが飛ぶ恐れがある |
同解説は、整備の知識が無い人にはシガーソケットを勧めている。初めてなら、実車で12Vの電源ソケットの位置を確かめたうえでシガーソケットから取り、配線を隠したくなったらヒューズからの電源へ進む順が無理がない。
シガーソケットから取る
いちばん手軽な方法だが、ベストカーWebの記事も電源コードが見えてしまう点を短所に挙げている。E53の車内の12Vの電源ソケットの位置と数を実車で確かめてから、コードの長さと通し道を決める。
ヒューズボックスから取る
ベストカーWebの記事では、検電テスターのワニ口クリップをアース側に、針をヒューズ側に当てて通電を調べる。まずエンジンを切った状態で各ヒューズを調べて通電しているものを除き、次にアクセサリーの状態にして、新たに通電したものを探す。「アクセサリー」や「ラジオ」のヒューズが見つかればよく、「ECU(コンピュータ)」「A/BAG(エアバッグ)」と書かれたものは避ける。長時間アクセサリーの状態にしておくとバッテリーが上がるので注意する。
この記事はエンジン車の言い方で書かれている。E53はパワースイッチで操作するe-POWER車なので、各状態にするスイッチ操作は取扱説明書で確かめる。E53のヒューズボックスと使えるヒューズは、先に書いたとおり取扱説明書のヒューズの配置の説明と実車で確かめてから部品を選ぶ。
アースはボディの金属に
車はボディ全体をマイナス側に使っているので、ボディから出ているネジ山やボルトにアース線をつなぐ。塗装は電気を通さないため、塗装や樹脂の部分を貫通していない金属のネジ山を選ぶ(ベストカーWeb)。エーモンの解説では、電源ソケットのマイナス線(黒色線)にクワ型端子を付けてアースしている。
配線を切らずに隠しソケットを足す
配線を見せずに仕上げたいなら、ヒューズボックスからACCまたはIG電源を取り出し、隠しソケットを増やす方法がある(エーモンの解説)。これならドラレコ付属のプラグ付き電源コードを切らずに使える。ケンウッドの製品の挿入紙にも「加工配線の禁止」が記載されているので、付属の電源コードは切らない。部品の個数やサイズは車種と取り付け方で変わる。
e-POWERのE53で駐車監視を使うときの注意
e-POWER車の12Vバッテリーの役目
日産の公式のよくあるご質問では、e-POWER車の12Vバッテリーは、e-POWERシステムの始動と、オーディオやライトなど電装部品への電源供給に使われる。システムが始動している状態なら、12Vバッテリーへはリチウムイオンバッテリーから、DC/DCコンバーターで電圧を下げて電源を供給する。そのうえで日産は「12Vバッテリーあがりを防止するため、電装品はe-POWERシステムが始動している状態でお使いください」と案内している。E53型も第3世代のe-POWER車だ。
駐車監視は止めている間も電力を使う
くるまのニュースの記事では、駐車監視は車を止めた後も一定時間監視を続け、振動を感知した前後を録画・保存するので、監視中もセンサーやデータ保存のために待機電力を使う。電力を使い切るとバッテリー上がりを起こす可能性がある。
電圧の監視と監視時間を確かめる
製品によっては、電圧が低くなると駐車監視を自動でオフにする機能がある。E53で駐車監視を使うなら、電圧低下で監視を止める機能の有無と監視時間の設定を確かめ、監視時間を短めにすることも考える。日産の案内がシステム始動中の使用を前提にしている以上、ここは控えめに設定しておくのが筋だ。
リアカメラの取り付けと配線
リアカメラは上部中央・熱線を避ける
グーネットピット編集部の解説では、リアカメラは一般的にリアガラス中央辺りの上部に付ける。上部なら運転中の後方の視界を妨げにくく、映像の歪みも抑えられる。リアガラスの黒い横線(熱線)と重ねると、熱で両面テープの粘着力が落ちてはがれる恐れがある。後方カメラだけでは前方の事故を撮れないので、選ぶなら前後2カメラのタイプだ。
床下からバックドアへ通す
同解説では、本体とリアカメラをつなぐコードを助手席の足元から後席の足元へ通し、内張りを外すのが不安ならフロアカーペットの下を通す。バックドア側は開口部のゴム(ウェザーストリップ)を外して中に押し込み、ドアの開け閉めで挟まれないよう固定する。
E53型はオートバックドアのスイッチを、バックドア中央部に加えて車体後方の両側(Dピラー)にも配置している。コードを固定するときは、これらのスイッチの操作を妨げない場所を選ぶ。
両面テープでの貼り付けと動作確認
貼る前に脱脂する
ケンウッドの手順では、仮付けしたブラケットを外す前にガラスの外側へ養生テープを貼って位置の印を付け、取付箇所の汚れ・油分をクリーナーで取り除く。本体をブラケットに挿し、剥離紙を取って決めた位置に貼り、台座をガラスに向けて強く押さえてから配線をつなぐ。All About の解説も、清掃の後に手の油分が付かないようにし、空気が入らないようぴったり貼るとしている。
映像は2人で確かめる
グーネットピット編集部の解説では、映像の確認は画面を見る人とカメラの向きを合わせる人の2人で行うとよい。コードは結束バンドやケーブルクリップで束ね、クッションテープを巻くと振動による異音を抑えられる。
取り付け後に車内の音が気になったときは、異音の見分け方の記事で原因を切り分けられる。
自分で付けるか、店に頼むか
グーネットピット編集部の解説では、依頼先はカーディーラー・カー用品店・自動車整備工場・出張取り付けサービスの4種類だ。整備工場と出張取り付けは、本体を自分で買ってから頼む形になる。機種選びから相談したいならカーディーラーかカー用品店が向く。配線を内張りの内側やドアパネル内に通す方法は専門知識と道具が要るので、プロへの依頼が無難とされている。
ベストカーWebの記事も、ヒューズの判断に自信がなければディーラーなどに確認するよう勧めている。ヒューズとピラーの2つで迷ったら、そこだけでも日産の販売店に聞くのが近道だ。
よくある質問
ドラレコはフロントガラスのどこまでに付けてよい?
国土交通省の案内では、フロントガラス上部から20%以内の範囲などとされている。ケンウッドの取付手順はこれを本体を含めて20%以内としている。
シガーソケットとヒューズ電源はどちらがよい?
整備の知識が無いならシガーソケットが手軽だ。配線を隠したいならヒューズボックスから取る方法になるが、専門知識が要る。E53型では12Vの電源ソケットとヒューズボックスの位置を実車で確かめてから決める。
e-POWERのE53で駐車監視は使える?
駐車監視は止めている間も電力を使う。日産はe-POWER車の電装品をシステム始動中に使うよう案内しているので、E53型で使うなら電圧低下で監視を止める機能と監視時間の設定を確かめる(駐車監視の節を参照)。
リアカメラの位置にも決まりはある?
グーネットピット編集部の解説では、後方カメラの位置は法律で決まっていない。「上部20%以内」の決まりは、国土交通省の案内ではフロントガラスについて示されたものだ。
ライトなどほかの電装の交換も考えているなら、バルブ型番の記事もあわせて見ておきたい。
まとめ
最初にやるのは、E53型の運転席に座って現物を見ることだ。フロントガラス上部の車両側カメラの周り、12Vの電源ソケットの位置、ヒューズボックスの場所を実車で確かめ、そのあと取扱説明書のヒューズとエアバッグの説明を読む。
- フロントカメラは、フロントガラスの上から本体を含めて20%以内に収める
- 配線は天井の内張り→ピラー→足元の順に通し、ピラー内のエアバッグは販売店に確かめる
- 電源は手軽さならシガーソケット、配線を隠すならヒューズから。付属の電源コードは切らない
- E53型はe-POWER車。駐車監視を使うなら電圧の監視と監視時間を確かめる

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