商談テーブルで見積書を前にしながら、頭のなかで家族の荷物を積み込んでいる人は少なくない。2026年7月16日に発売される4代目エルグランド(E53型)は16年ぶりの全面刷新で、荷室の前提そのものが先代から入れ替わった。最大の変更点は3列目シートで、先代E52の床下収納式からサイド跳ね上げ式へ切り替わり、床の深さを荷物のために使えるようになっている。一方でメーカーは荷室容量のリットル値を公表していないため、積み方の設計は確定しているボディ寸法と構造から組み立てることになる。
新型の荷室で確定していること
先に、荷物の積み方を左右する事実だけを並べておく。数字が独り歩きしやすい時期なので、確認できた範囲と、まだ分からない範囲を分けて把握しておくと買い物で迷わない。
| 荷室まわりの項目 | 新型エルグランド(E53) |
|---|---|
| 3列目シートの格納方式 | サイド跳ね上げ式(先代の床下収納式から変更) |
| 3列目を格納したときの荷室 | 背の高い大きなラゲッジスペースが出現する |
| 電動バックドアのスイッチ | 開口部の左右両端に配置 |
| 乗車定員 | 全グレード3列7人乗り |
| 駆動方式 | 全車 e-POWER × e-4ORCE(4WD) |
| 荷室容量(リットル) | 公表なし |
3列目が床下収納からサイド跳ね上げ式へ
新型で最も大きい変更が、3列目シートの格納方式だ。実車取材の記事では、3列目シートは床下収納ではなく跳ね上げ式に変更となった、と明記されている。先代E52は3列目を荷室の床下へ落とし込む方式で、床の下に大きな空洞をあらかじめ空けておく必要があった。新型はシートを左右の壁側へ持ち上げて留める方式に変わり、その空洞を確保しておく前提が消えている。
3列目を「床に落とし込む」必要がなくなったことが、新型の荷室を理解する鍵になる。先代のつもりで収納アイテムを選ぶと、床の使い方から噛み合わなくなる。
床の深さが荷物のために空いた
格納方式の変更で、床下に確保していた空間が荷物側に回る。実車を見た媒体は、跳ね上げ式の3列目を格納すれば背の高い大きなラゲッジスペースが出現する、と表現している。床が深いほど、スーツケースやゴルフバッグを寝かせずに立てて積める余地が増え、同じ床面積でも積める量が変わってくる。
高さ方向に余裕がある荷室は、積み方の自由度が上がる反面、荷物が倒れやすい。深さを活かすなら、荷物同士を寄せて隙間をなくす積み方が前提になる。
電動バックドアのスイッチは開口部の左右両端
新型は電動パワーバックドアのスイッチを、開口部の左右両端に配置している。荷物を抱えたまま車体の左右どちら側から回り込んでも、体の近い側のスイッチへ手が届く。閉じる操作で車体の後ろに立ち尽くす時間が短くなるので、雨の日の積み下ろしで効いてくる配置だ。
数値で押さえるボディと積み下ろし環境
荷室そのものの寸法は未公表でも、ボディ側の数値は公式カタログで出そろっている。積み下ろしの場所と動線は、この数値だけで決められる。
カタログ値の早見表
| 項目 | 新型エルグランド(E53)のカタログ値 |
|---|---|
| 全長 | 4,995mm |
| 全幅 | 1,895mm |
| 全高 | 1,975mm(プロパイロット2.0装着車は1,970mm) |
| ホイールベース | 3,000mm |
| 最小回転半径 | 5.8m |
| 乗車定員 | 7名 |
| WLTCモード燃費 | 16.8km/L |
| 燃料タンク容量 | 67L |
全長4,995mm・全幅1,895mmは、先代から全長が30mm、全幅が45mm伸びた寸法だ。数字の伸びは小さいが、全高は160mm高い1,975mmになっている。荷室の話としては、この全高の伸びがそのまま室内の高さ方向の余裕につながる。
全高1,975mmが積み下ろし場所を決める
全高1,975mmは、全高制限のある機械式の立体駐車場に収まらない高さで、積み下ろしの場所は平面か自走式の駐車場が前提になる。自宅のカーポートや車庫の入口に梁がある場合、屋根の上へルーフボックスを足す計画は、その時点で成立しない可能性が高い。荷物を増やしたいときの拡張先は、屋根の上ではなく車内側に求めることになる。
取り回しの面では最小回転半径5.8mが効く。狭い駐車場でバックドアを開けるだけの後方スペースを取るには、切り返しの回数を減らせる位置に頭から入れておくと荷下ろしが楽になる。
公表されていない数値は自分で測る
日産は新型の荷室容量をリットル値で公表していない。先代E52の公式サイトは、9インチのゴルフバッグを最大6セット、ベビーバギーは2台、30Lのクーラーボックスも2個積めるという積載の目安を示していたが、これは先代の数字だ。格納方式が変わった新型にそのまま当てはめる根拠はない。
納車時か展示車で、メジャーを持って測っておきたいのは次の3か所になる。
- 開口部の幅と高さ(バックドアを全開にしたときに荷物が通る実効寸法)
- 3列目使用時の床面の奥行き(背もたれの根元からバックドア開口まで)
- 荷室の床から天井までの高さ(積み上げの上限)
この3つの数値があれば、コンテナやスーツケースが入るかどうかを店頭で判断できる。カタログの数字を待つより早い。
サイド跳ね上げ式3列目の使いこなし
跳ね上げ式は、床下収納式とは操作も運用も違う。積み込みの前に、この違いを体で覚えておくと荷室の設計が一段速くなる。
跳ね上げると荷室がどう変わるか
3列目を左右の壁側へ跳ね上げて固定すると、床面の高さを一定に保ったまま、前後方向の長い荷室が現れる。床が平らなまま伸びるので、コンテナを前後に並べたり、長尺物を寝かせたりする積み方が組みやすい。キャンプ道具のように箱を並べる荷物との相性がよい構成だ。
跳ね上げで削られるのは「幅」
跳ね上げ式で意識したいのは、シートが左右の壁を占有する点だ。床の面積は増えるが、荷室の左右幅は跳ね上げたシートのぶんだけ狭くなる。畳んだシートの厚みが左右から張り出すため、幅いっぱいに広い箱を置く積み方は成立しにくい。
対策は単純で、幅の広い1個より、幅の狭い箱を2個並べるほうが収まりがよい。買い物の段階から、荷室の左右幅ではなく「シートを跳ね上げた後に残る幅」で考えておくと外さない。
跳ね上げたシートの張り出しは、床から一定の高さより上で効いてくる。床面に近い位置では幅を使えても、腰から上の高さでは左右が絞られる、という二段構えの空間になる。背の高い箱を左右に並べるより、低い箱を床面に敷き詰め、その上へ軽い荷物を重ねるほうが空間を余さず使える。
先代の床下収納との運用差
床下収納式は、収納すれば床が完全にフラットになる代わりに、シートを起こす作業が重かった。跳ね上げ式は片側ずつ独立して操作できるため、3列目を片側だけ跳ね上げて、残り片側に人を乗せる使い分けが取りやすい。4人乗車で長尺物を運ぶ日は、この片側跳ね上げが最も現実的な解になる。
一方で、跳ね上げたシートは荷室の中に居座り続ける。先代のように床下へ消えるわけではないので、シートに荷物を立てかける・ぶつけるといった扱いは避けたい。トリムやシート表皮を傷めれば、そのまま査定に出る。
乗車人数別の積み方
同じ荷室でも、乗る人数で最適解が変わる。人数ごとの型を持っておくと、出発前に迷わない。
7人乗車の日(3列目を使う)
3列目を起こしたままだと、荷室の前後方向は限られる。そこで高さ方向を使う。スーツケースは寝かせず立てて積み、隙間に柔らかいバッグを詰める。新型は床が深く使える構成なので、立てて積む発想が先代より通りやすい。
人数分の手荷物をすべて荷室へ持ち込まないのも要点になる。センターコンソール奥のマグネット式Qi充電スペースが2基あるなど、車内側の小物の置き場は用意されている。細かい荷物は2列目の足元や車内の収納へ分散させ、荷室はかさばる物のために空けておく。
5人以下の日(3列目を跳ね上げる)
5人以下で出かける日は、出発前に3列目を跳ね上げておく。荷物が少ないからと起こしたままにしておくのが、最ももったいない使い方になる。跳ね上げた状態なら、キャンプ道具ならコンテナ2〜3個とテント、寝袋、椅子といった構成が現実的な積載量だ。
荷物は重い物を床の前方(2列目の背もたれ側)へ寄せ、軽い物を上に重ねる。急ブレーキで前へ飛ぶ経路を、荷物自身と2列目の背もたれで塞いでしまう考え方だ。
跳ね上げ操作は片側ずつ独立しているため、荷物の量に応じて左だけ、あるいは両側、と段階を選べる。納車後に一度、両側を跳ね上げた状態で自宅の荷物を積み込んでみると、どこまで入るかの感覚が手に入る。旅行当日にその確認を済ませようとすると、出発前の玄関先で荷物を並べ直す羽目になる。
長尺物・大物を積む日
長尺物は2列目の状態で積み方が決まる。2列目は格納式アームレストを標準装備し、2列目から3列目へのウォークスルーを狙った設計になっている。中央に通路を作れる構成なら、細長い荷物は中央を通して前方へ逃がすと安定する。
荷物の先端が前席の背もたれを越えないように積むのは、どの車でも同じだ。前方へ突き出した荷物は、急制動で乗員の頭部付近まで届く。長尺物は床面に寝かせ、前後をロープで結んで一体化させてから走り出す。
荷室を仕切って使う
荷室が広いほど、荷物は走行中に動く。積むだけでなく、動かないように区切る手当てまで含めて荷室の設計になる。
床を守る(ラゲッジマット・トレイ)
深さのある荷室は、濡れた道具や汚れたレジャー用品を放り込む使い方に流れやすい。防水のラゲッジトレイを1枚敷いておくと、こぼれた水や砂を車体側へ回さずに受け止められる。滑り止め加工のあるタイプなら、コンテナの横滑りも同時に減らせる。
マットは、床面だけを覆う平板タイプか、縁に立ち上がりのあるトレイ形状かで用途が分かれる。濡れた道具や園芸用品を積む頻度が高いなら、立ち上がりのあるトレイ形状のほうが後始末は短く済む。荷室を寝室として使う車中泊寄りの運用なら、平板タイプで段差を作らないほうが快適に眠れる。
区画する(コンテナ・ボックス)
荷室の左右幅は跳ね上げたシートのぶん狭くなるため、大きな箱1個より小さめの箱を並べるほうが収まる。折りたたみコンテナを2〜3個で荷室を区切り、そのなかに小物を収める方式にすると、走行中の物音が消える。中身が見えるタイプを選ぶと、荷室を開けてから探す時間も減る。
箱の高さは、跳ね上げたシートの張り出しに当たらない範囲へ抑える。荷室の床から測ってシートの下端より低い箱を選べば、左右いっぱいまで押し込める。走行中に箱が動くのは、箱と箱のあいだに指1本ぶんの隙間が残っているときだ。その隙間には畳んだブランケットやレジャーシートを差し込み、面で押さえて動きを止める。
上へ逃がす(天井・シートバック)
全高が伸びて高さ方向に余裕がある新型は、上方向の活用が効く。天井付近にネットを張って軽い荷物を逃がす、シートバックにポケットを吊るして小物を移す、といった手当てで床面が空く。ただし天井側へ重い物を置くのは避ける。重心が上がるほど、コーナーでの挙動に効いてくる。
発売直後にアクセサリーを選ぶときの注意
新型は発売されたばかりで、社外品の適合表がまだ整っていない時期にある。ここで買い方を間違えると、返品と再購入で二重の出費になる。
先代E52用の荷室アイテムは形が合わない
床下収納式から跳ね上げ式へ変わった以上、荷室の床形状と側面の形は先代と別物になる。E52用として売られているラゲッジマットやトレイは、新型E53の床には合わない前提で考える。「エルグランド用」という車名だけの表記は、世代まで保証していない。
「新型対応」の表記だけで買わない
新型対応をうたう製品でも、実車の採寸を経ていない見込み生産の品が混ざる時期だ。購入前に、E53型の年式・型式での適合確認が取れているか、返品条件があるかを確認しておく。先に測った開口部と床面の寸法があれば、商品ページの寸法表と突き合わせて自分で判断できる。
純正・ディーラーオプションの確認先
純正アクセサリーは、日産の公式カタログとディーラーオプションのラインアップが正本になる。荷室系の品目は車種専用設計で床形状に合わせて作られるため、発売直後の時期は最も外れが少ない選択肢になる。価格は社外品より高くなりがちなので、まず純正で床を守り、区画や仕切りは汎用品で足す組み立てが現実的だ。
よくある質問
新型エルグランドの荷室容量は何リットルですか?
2026年7月時点で、メーカーは新型エルグランド(E53)の荷室容量をリットル値で公表していない。先代E52の公式サイトは9インチのゴルフバッグを最大6セット、ベビーバギー2台、30Lのクーラーボックス2個という積載の目安を示していたが、3列目の格納方式が変わった新型にその数字をそのまま当てはめる根拠はない。展示車や納車時に開口部・床面の奥行き・天井までの高さを実測しておくと、収納アイテムの選定で迷わない。
3列目シートは先代のように床下へ収納できますか?
できない。新型は3列目が床下収納式ではなくサイド跳ね上げ式へ変更されており、シートは荷室の左右へ持ち上げて固定する方式になる。そのぶん床下に空洞を確保する必要がなくなり、荷室の深さを荷物のために使える構成に変わった。
先代E52用のラゲッジマットは新型でも使えますか?
床の形状が変わっているため、E52用の荷室アイテムは新型E53に適合しない前提で考える。車名だけの「エルグランド用」表記は世代を保証しない。購入前に対応年式・型式の記載を確認し、実測した寸法と商品の寸法表を突き合わせる。
3列目を使ったままゴルフバッグは積めますか?
新型は床の深さを荷物に使える構成のため、3列目使用時でも立てて積む余地は先代より広い。ただしメーカーからセット数の公表はなく、キャディバッグの長さやヘッドの高さで結果が変わる。実車の開口部高さと床面奥行きを測り、手持ちのバッグの寸法と照合するのが確実な手順になる。
新型エルグランドは立体駐車場で積み下ろしできますか?
全高1,975mm(プロパイロット2.0装着車は1,970mm)のため、全高制限のある機械式立体駐車場には収まらない。積み下ろしは平面駐車場か、高さ制限のない自走式駐車場を前提に計画する。ルーフボックスによる積載拡張も、車庫やカーポートの高さを先に確認してからになる。
まとめ:跳ね上げ式を前提に荷室を組み立て直す
新型エルグランドの荷室は、3列目がサイド跳ね上げ式へ変わったことで性格が変わった。床下に空洞を残す必要がなくなり、床の深さを荷物のために使える。立てて積む、深さを活かす、という発想が先代より通る構成になっている。
実務で押さえる点は多くない。5人以下の日は先に3列目を跳ね上げておく。荷物は幅の広い1個ではなく、狭い箱を2個並べる。重い物は床の前方へ寄せ、軽い物を上に重ねる。全高1,975mmだから積み下ろしは平面駐車場を選ぶ。そして荷室容量が未公表である以上、開口部・奥行き・高さの3か所を自分で測ってから収納アイテムを買う。この5つを守れば、発売直後の情報が薄い時期でも荷室の前で立ち往生することはない。

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