カローラツーリングのタイヤを自分で交換するとき、最初の分かれ道は2つある。車に積まれているのが応急用タイヤかタイヤパンク応急修理キットか、そしてその車がいつ生産されたかだ。前者でジャッキ類が積まれているかどうかが分かれ(2022年10月以降の版の取扱書の記載)、後者で見るべき取扱書の版が分かれる。自分の車がどちら側かを確かめてから、ジャッキをかける位置、外し方と締め方、締め付けトルクへ進む。
ジャッキをかける位置とナットの締め付けトルク
先に答えをまとめておく。
- 車載ジャッキは、2022年10月以降の版の取扱書の図が示す「ジャッキセット位置」にかける。
- ガレージジャッキは、2022年10月以降の版の取扱書の「ジャッキポイントの位置を確認する」の図の位置にかける。
- トヨタの取扱説明書の2022年10月以降の各版によると、ZWE219W・ZWE215W・MZEA17W のホイールナットの締め付けトルクは 103N・m(1050kgf・cm)。 2019年9月〜2022年9月に生産された車は、その車の版の取扱書で確かめる。
- 同じ各版の取扱書によると、タイヤパンク応急修理キット装着車には、スペアタイヤ・ジャッキ・ジャッキハンドル・ホイールナットレンチが積まれていない。
ジャッキの位置はどちらも図でしか示されていないので、作業の前に自分の版の取扱書の図を開いておく。
自分の車は応急用タイヤ装着車か修理キット装着車か
2022年10月以降の版の取扱書は、パンクしたときの項目を「応急用タイヤ装着車」と「タイヤパンク応急修理キット装着車」の2つに分けている。どちらの道具も、取り出すときはまず荷室のデッキボードを開く。作業を始める前にデッキボードを開けて、自分の車がどちらかを見ておく。
応急用タイヤ装着車の工具
2025年9月以降のハイブリッド車の版の取扱書では、備え付けの工具はジャッキ・応急用タイヤ・ジャッキハンドル・ホイールナットレンチ・けん引フック。荷室の収納の配置にはタイプAとタイプBの2通りがある。ジャッキは緩めて外し、しまうときは締めてトレイに押し付ける。応急用タイヤはデッキボードを開き(タイプAはデッキアンダーボックスも外し)、留め具を外して取り出す。
修理キット装着車の工具
2022年10月以降の版の取扱書によると、修理キット装着車のジャッキ・ジャッキハンドル・ホイールナットレンチは工場出荷時には積まれていないが、トヨタ販売店で購入できる。季節のタイヤを自分で付け替えたいなら、まずここをそろえることになる。
トヨタの公式サイトのグレードのページでは「価格はタイヤパンク応急修理キット付の価格です」と注記していて(2026年10月に確認)、装備の詳しい設定は主要装備一覧表で確かめるよう案内している。どのグレードで応急用タイヤを選べるかは、このページには書かれていない。
型式と取扱書の版の対応
型式の一覧
トヨタの中古車カタログのモデル一覧による型式は次のとおり。
| モデルの期間 | 型式 | 種類 |
|---|---|---|
| 2019年10月〜2022年10月 | ZWE211W | ハイブリッド・FF |
| 2019年10月〜2022年10月 | ZWE214W | ハイブリッド・4WD |
| 2019年10月〜2022年10月 | ZRE212W | ガソリン・FF |
| 2019年10月〜2022年10月 | NRE210W | ガソリン・FF・6MT |
| 2019年10月〜2022年10月(特別仕様車の一部) | MZEA12W | ガソリン・FF |
| 2022年10月以降 | ZWE219W | ハイブリッド・FF |
| 2022年10月以降 | ZWE215W | ハイブリッド・4WD |
| 2022年10月以降(2025年5月までのモデル) | MZEA17W | ガソリン・FF |
MZEA12W は2020年6月の2000リミテッドと2021年4月のアクティブライドの型式。モデル一覧では、2025年5月以降のモデルは ZWE219W と ZWE215W だけになっている。
取扱書の版と確かめた範囲
取扱書は生産年月とガソリン車・ハイブリッド車の別で版が分かれていて、2022年10月以降の生産分はデジタル版(ガソリン車2版・ハイブリッド車5版)、2019年9月〜2022年9月の生産分は PDF 版(ガソリン車・ハイブリッド車それぞれ4版)がある。ここで示す値と手順は、2022年10月〜2024年3月のハイブリッド車、2024年4月〜2025年4月のガソリン車、2025年9月以降のハイブリッド車の3つの版で確かめた。
2019年9月〜2022年9月に生産された車(ZWE211W・ZWE214W・ZRE212W・NRE210W・MZEA12W)の締め付けトルクとジャッキセット位置は、今回の調べでは確かめていない。 車に積まれている取扱書か、トヨタの取扱説明書のサイトの PDF 版で、生産年月に合う版を見てほしい。トヨタも、ジャッキの位置と締め付けトルクは車両の取扱書で確かめるよう案内している。
ジャッキポイントは車載ジャッキとガレージジャッキで別
車載ジャッキのジャッキセット位置
2022年10月以降の版の取扱書では、車載ジャッキは図が示す「ジャッキセット位置」にかける。ジャッキ頭部の凹み部がジャッキセット位置の中央あたりに軽くあたるまで、ジャッキを手で回して高さを合わせる。位置は図で示されていて、本文の字では場所を説明していない。 自分の版の取扱書の図で確かめてからかける。
2025年9月以降のハイブリッド車の版は、備え付けのジャッキをタイヤ交換とタイヤチェーンの取り付け・取り外し以外に使わないこと、その車専用なので他の車に使ったり他の車のジャッキを使ったりしないことも求めている。
ガレージジャッキのジャッキポイント
2022年10月以降の版の取扱書の「ガレージジャッキ」の項では、ガレージジャッキ(フロアジャッキ)で持ち上げるときは「ジャッキポイントの位置を確認する」の図の位置にセットする。図はフロント側と、リヤ側(FF車と4WD車で別の図)に分かれている。取扱書は「正しい位置にセットしないと、車両が損傷したり、けがをするおそれがあります」と警告し、ガレージジャッキに付属の取扱説明書に従うよう求めている。
乗りものニュースの記事では、ジャッキはジャッキアップポイントなど車体を持ち上げられる部分にかけるもので、それ以外にかけると車体の重さで車を壊してしまう可能性があるとしている。ジャッキだけで支えていると外れて車が落ちたときに挟まれる危険があり、持ち上げたらリジッドラック(ジャッキスタンド)をかけ、用意できないときは保険として交換するタイヤ・ホイールを車体の下に置いておく、とも解説している。
作業前の準備と輪止めの位置
地面が固く平らで安全な場所に車を移し、パーキングブレーキをかけ、シフトレバーを P に入れ、ハイブリッドシステム(ガソリン車はエンジン)を止めて、非常点滅灯をつける。走行した直後はディスクホイールやブレーキのまわりが高温で、触れるとやけどをするおそれがある。
輪止めは、外すタイヤの対角線上のタイヤにかける。取扱書の表は次のとおり。
| 外すタイヤ | 輪止めをかける位置 |
|---|---|
| 左側前輪 | 右側後輪のうしろ |
| 右側前輪 | 左側後輪のうしろ |
| 左側後輪 | 右側前輪の前 |
| 右側後輪 | 左側前輪の前 |
揃えるものは次の4つ。工具が無いときや自信が無いときは、無理をせずロードサービスを呼ぶ。
- ジャッキ・ジャッキハンドル・ホイールナットレンチ(修理キット装着車は販売店で購入できる)
- 輪止め(トヨタ販売店で購入できる)
- 規定のトルクで締められるトルクレンチ
- 車の下にもぐるときのジャッキスタンド
タイヤを外す手順
- 輪止めをする。
- スチールホイールのときだけ、ホイールキャップを外す。ホイールナットレンチを切り欠き部に差し込み、傷がつかないよう先端に布などを巻いておく。
- ナットを約1回転緩める。
- ジャッキ頭部の凹み部がジャッキセット位置の中央あたりに軽くあたるまで、ジャッキを手で回す。
- ホイールナットレンチをジャッキハンドルに組み付ける。
- タイヤが地面から少し浮くまで車体を上げる。
- ナットをすべて外し、タイヤを取り外す。地面に置くときはホイールの表面を上にする。
ナットを緩めるのは、車体を上げる前の手順3。 ジャッキで支えている間は、次のことをしない。
- ジャッキで支えた車の下に体を入れる(もぐって作業するならジャッキスタンドを使う)
- 支えた状態でハイブリッドシステム(ガソリン車はエンジン)を始動する、車を走らせる
- 車内に人を乗せたまま持ち上げる
- ジャッキの上や下に物を置く
- タイヤ交換に必要な高さを超えて持ち上げる
車を下げるときは周りの安全を確かめ、人がいれば声をかける。
タイヤを付けてナットを締める手順
- ホイールの接触面の汚れをふき取る。汚れがあると走行中にナットが緩むおそれがある。
- タイヤを取り付け、ナットのテーパー部がシート部に軽くあたるまで、ガタつかない程度に手で仮締めする。スチールホイールもアルミホイールも同じ。
- 車体を下げる。
- ホイールナットレンチで、図の番号順にナットを2、3度に分けて締め付ける。
- 工具・ジャッキ・外したタイヤをしまう。
ナットまわりで守ることは4つ。
- ナットは必ずテーパー部を内側にして付ける。 逆向きだとホイールが壊れて外れるおそれがある。
- ねじ部にオイルやグリースを塗らない。付いていたらふき取る。
- そのホイール専用のナットを使う。
- ボルトやナットのねじ部、ホイールのボルト穴に潰れや亀裂があれば、販売店で点検を受ける。
トヨタのよくあるご質問では、手で仮締めして引っかかりがあれば販売店で点検を受けること、ナットは対角線の順番で2〜3回に分けて締め、最後に取扱書のトルクで締めること、レンチを足で踏んで使わないこと、交換後に普段と違う音などの異常を感じたらすぐ販売店に相談することを案内している。
締め付けトルクの確かめと増し締め
取扱書は、タイヤを交換したあと速やかに締め付けトルクを確かめるよう求めている。JAF の解説では、力任せに締めるとボルトが破損するおそれがあるので、規定トルクを指定できるトルクレンチを車に積んでおくと便利だとしている。トルクレンチが無いときは、本締めのあと、なるべく早くガソリンスタンドや整備工場で規定トルクでの締め付けを頼む。
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、交換後に 50〜100km を目安に走ってから、ホイールナットを増し締めする。 初めの走行で車体の重さや回転、温度変化、段差の衝撃によってナットの座面がずれ、緩むことがあるからだ。ねじ部やホイールとの間にゴミ・砂・サビがあると、締めたつもりでも正しく締まらない「偽のトルク」が起き、締めすぎもネジ山のつぶれやスタッドの伸びを招くとしている。
応急用タイヤで走るとき・修理キットで直すとき
応急用タイヤの決まり
2022年10月以降の版の取扱書(ZWE219W・ZWE215W・MZEA17W)は、応急用タイヤについて次のように決めている。
- 80km/h 以上の速度で走らない。
- タイヤチェーンを付けない(車体にあたって損傷するおそれがある)。
- 標準のタイヤより車高が低くなるので、段差に注意する。
- 応急用に限って使い、できるだけ早く通常のタイヤに交換する。
- 同時に2本以上使わない。他の車に使わない。
- 急加速・急ハンドル・急ブレーキを避ける。
2025年9月以降のハイブリッド車の版では、応急用タイヤを付けていると正確な車速を検出できない場合があり、ABS・ブレーキアシスト・VSC・TRC・EPS・PCS・レーダークルーズコントロール・LTA・LDA などが正常に作動しなくなるおそれがあるとしている(装備の有無はグレードやオプションで異なる)。同じ版では、雪道や凍結路で前輪がパンクしたら、後輪を応急用タイヤに交換し、外した後輪をパンクした前輪の位置に付けて、タイヤチェーンは前輪に付ける。
修理キットで直せないパンク
2025年9月以降のハイブリッド車の版の取扱書では、修理キットで応急修理できるのは、くぎやネジなどが刺さった程度の軽いパンク。次のときは応急修理できない。
- タイヤに 4mm 以上の切り傷や刺し傷がある
- タイヤ側面など接地面以外に穴や損傷がある
- 空気圧が足りないまま走ってタイヤが損傷している
- タイヤがホイールから明らかに外れている
- ホイールが破損している
- 2本以上パンクしている、または1本に2か所以上の傷がある
刺さったくぎやネジは抜かずに修理する。修理したらただちに約5km を 80km/h 以下で走って補修液を広げ、その後は急な操作を避けて、約100km 以内・80km/h 以下でトヨタ販売店まで走る。
季節のタイヤの付け替えで気をつけること
指定空気圧の表
トヨタの取扱説明書(2025年9月以降のハイブリッド車の版)の「タイヤについて」によると、空気圧の表に載るタイヤと指定空気圧は次のとおり。グレードとサイズの対応は今回の調べでは確かめていない。自分の車の指定空気圧は運転席側のラベルで確かめ、空気圧はタイヤが冷えているときに点検する。
| タイヤサイズ | 前輪の指定空気圧 | 後輪の指定空気圧 |
|---|---|---|
| 195/65R15 91H | 250kPa(2.5kg/cm2) | 240kPa(2.4kg/cm2) |
| 205/55R16 91V | 220kPa(2.2kg/cm2) | 210kPa(2.1kg/cm2) |
| 215/45R17 87W | 220kPa(2.2kg/cm2) | 210kPa(2.1kg/cm2) |
同じ版では、応急用タイヤの指定空気圧は 420kPa(4.2kg/cm2)。
付け替えのときに守ること
付け替えのときに守ることも、2025年9月以降のハイブリッド車の版の取扱書が決めている。
- 4本とも同じメーカー・銘柄・トレッドパターンで、摩耗の差が無いタイヤを使う。
- サマー・オールシーズン・冬用のタイヤを混ぜない。ラジアル・バイアスベルテッド・バイアスプライも混ぜない。
- 他の車で使っていたタイヤや使用歴の分からないタイヤは使わない。
- メーカー指定サイズ以外のタイヤやホイールを使わない。タイヤ・ホイール・ホイールナットを替えるときは販売店に相談する。
- タイヤローテーションは5,000kmごとに行い、そのあと指定空気圧に調整する。
タイヤの点検は法律で義務付けられていて、見るのは空気圧・亀裂や損傷・溝の深さ・異常な摩耗の4つ。外したタイヤをしまう前にも、この4つを見ておくとよい。サイズとホイールの詳しい話は次の記事にまとめてある。
よくある質問
修理キット装着車でジャッキはどうする?
2022年10月以降の版の取扱書(ZWE219W・ZWE215W・MZEA17W)では、修理キット装着車のジャッキ・ジャッキハンドル・ホイールナットレンチはトヨタ販売店で購入できる。季節のタイヤを自分で付け替えるなら先にそろえておき、パンクのときは修理キットで直せる傷かどうかを先に見る。
トルクレンチが無いときは?
本締めのあと、なるべく早くガソリンスタンドや整備工場で規定トルクで締めてもらう。季節ごとに自分で付け替えるなら、規定トルクを指定できるトルクレンチを1本持っておくほうが、店へ寄る手間が省ける。
2019〜2022年式の締め付けトルクは?
2019年9月〜2022年9月に生産された車(ZWE211W・ZWE214W・ZRE212W・NRE210W・MZEA12W)の値は、今回の調べでは確かめていない。103N・m は2022年10月以降の版(ZWE219W・ZWE215W・MZEA17W)で確かめた値なので当てはめず、生産年月に合う版の取扱書を見る。
応急用タイヤで高速道路を走れる?
2022年10月以降の版の取扱書(ZWE219W・ZWE215W・MZEA17W)が決めているのは、80km/h 以上の速度で走らないこと。高速道路を走るなら、この速度を超えないことが前提になる。応急用に限って使うタイヤなので、まずは通常のタイヤに戻せる所まで向かう。
雪道で前輪がパンクしたらチェーンは?
2025年9月以降のハイブリッド車の版の取扱書では、チェーンを前輪に付けられるよう、後輪を応急用タイヤに回し、外した後輪を前輪の位置に付ける。応急用タイヤにはチェーンを付けない。
まとめ:作業の前に確かめること
- デッキボードを開け、応急用タイヤ装着車か修理キット装着車かを見る(2022年10月以降の版の取扱書では、修理キット装着車にジャッキ類は積まれていない)
- 自分の車の生産年月に合う取扱書の版を手元に置く
- ジャッキセット位置とガレージジャッキのジャッキポイントを、その版の図で確かめる
- 輪止めは外すタイヤの対角にかけ、ナットは車体を上げる前に緩める
- ナットは車体を下げてから図の番号順に締め、2022年10月以降の版(ZWE219W・ZWE215W・MZEA17W)なら 103N・m で確かめる
- タイヤメーカーの目安に沿って、50〜100km 走ったら増し締めする
ほかの手入れやパーツ選びは、次の記事で扱っている。

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