ZR-V の車高調は、車検証の型式で候補が決まる。ガソリン FF の RZ3 ならラルグス SpecS、e:HEV FF の RZ4 なら RS-R ベストアイ上下仕様を選べばいい。前者は車高を下げる設定、後者は純正付近を基準に上下へ調整する設定で、同じ車高調でも性格がはっきり違う。4WD の RZ6 は、今回の2本の適合欄に載っていない。
型式で選ぶ ZR-V の車高調:RZ3 はラルグス、RZ4 は RS-R
| 型式 | 中身 | 候補 | 車高の考え方 |
|---|---|---|---|
| RZ3 | ガソリン・FF | ラルグス SpecS | 下げる |
| RZ4 | e:HEV・FF | RS-R ベストアイ上下仕様 BIJH330M | 純正付近から上下に調整 |
| RZ6 | e:HEV・4WD | 今回の2本は適合欄に無し | メーカーや販売店に問い合わせ |
2本とも、ZR-V の FF の1つの型式だけが適合欄に載っている。ラルグスの適合表では SpecS は RZ3、RS-R の取扱販売店の掲載ではベストアイ上下仕様は RZ4 だ。RZ3 用を RZ4 に、RZ4 用を RZ3 に流用できるとはどちらにも書かれていないので、型式違いの品は最初から候補に入れない。4WD の人は、型式を伝えて各メーカーや販売店に適合を問い合わせることになる。
ラルグス 全長調整式車高調キット SpecS(ZR-V RZ3 2WD用)
RS-R 車高調 ベストアイ 上下仕様 BIJH330M(ZR-V RZ4用)
自分の ZR-V の型式を確かめる
型式と中身の対応
中古車カタログの諸元では、5BA-RZ3 がガソリン車(L15C・1.5L 直列4気筒ターボ・CVT)の FF、6AA-RZ4 が e:HEV(LFC エンジン+モーター)の FF、6AA-RZ6 が e:HEV の 4WD(カタログの表記は FULL4WD)だ。車検証の型式欄を見れば、どれに当たるかすぐ分かる。
ZR-V は2022年11月17日に発表され、2023年4月21日に発売された。発売時は 2.0L 直噴エンジンと2モーター内蔵の電気式 CVT を組み合わせた「スポーツ e:HEV」と、1.5L 直噴 VTEC TURBO エンジン+CVT のガソリン車の2本立てで、それぞれの X と Z に FF と 4WD があった。
同じカタログの諸元で確認した3グレード(RZ3 の Z、RZ4 の e:HEV X 特別仕様車ブラックスタイル、RZ6 の e:HEV Z 特別仕様車ブラックスタイル)は、どれも前マクファーソン式・後マルチリンク式で、最低地上高 190mm、全高 1620mm。車両重量は RZ3 の Z が 1490kg、RZ4 の e:HEV X 特別仕様車が 1560kg、RZ6 の e:HEV Z 特別仕様車が 1630kg と、型式で差がある。
2026年3月の一部改良
2026年3月27日発売の一部改良で、パワートレーンは e:HEV に統一された。価格表に並ぶのは e:HEV X・e:HEV Z と、e:HEV Z の特別仕様車(BLACK STYLE・CROSS TOURING)の FF と 4WD で、ガソリン車の行は無い。発表に足まわり・車高の変更の記載は無いが、2本とも年式欄は「2023/04〜」で終わりの記載が無いだけで、改良後の車への適合を明記したものは確認できていない。新しい年式の人は、型式と年式を伝えて確かめてから注文する。
ZR-V の車高調の選び方
型式と駆動方式
最初に見るのは型式と駆動方式。ZR-V の車高調は RZ3・RZ4・RZ6 の型式ごとに作られているので、ここが合わなければほかの比較は意味が無い。
下げ幅と車高の基準
次に、車高を下げたいのか、純正付近の高さで足まわりを好みに変えたいのかを決める。ラルグス SpecS は下げる方向だけの設定、RS-R ベストアイ上下仕様は「アップ&ダウン仕様」で純正付近を基準に上下へ動かす設定だ。SUV らしい車高を残したいなら後者の考え方が合う。
バネレートと減衰調整
バネレートはメーカーで表記が違い(ラルグスは「6k」、RS-R の販売店掲載は「kg/mm」)、車重も型式で違う。数値の大小だけで乗り心地の良し悪しは決められないので、比べるときは減衰の段数と調整のしやすさもあわせて見る。ラルグス SpecS は32段、RS-R ベストアイは伸縮同時36段だ。
保証とオーバーホール
ラルグス SpecS は出荷日から2年間の保証でオーバーホールに対応する。RS-R ベストアイは製品保証が1年間または1万km で、推奨レートを選んだ場合の乗り心地保証がある。長く使うつもりなら、保証の長さと手入れの窓口も選ぶ材料になる。
ガソリン FF(RZ3)向け:ラルグス SpecS
適合と掲載値
ラルグスの SpecS 適合表で ZR-V の行は、型式 RZ3・駆動方式 2WD・2023年4月以降の1件だけだ。直営ショップの商品名も「ホンダ ZR-V RZ3 2WD SpecS 車高調キット」。お客様都合の返品・キャンセルは受け付けていないので、注文前の型式確認は必ず済ませる。
| 項目 | 掲載値 |
|---|---|
| バネレート | 前 6k・後 5k |
| スプリング自由長 | 前 180mm・後 220mm |
| 車高設定範囲(参考値) | 前 712〜753mm・後 732〜771mm |
| ダウン量(参考値) | 前 -42〜-1mm・後 -48〜-9mm |
| アッパーマウント | 前後ともマウントレス |
| 減衰調整の位置 | 前はアッパーマウント上部のダイヤル固定式、後はタイヤハウス内の円盤型 |
| 保証 | 出荷日から2年間(製品に入っている品質保証書とオンライン保証登録が必要) |
SpecS 全体は単筒式・正立式のダンパーで、減衰力は32段階調整。全長調整式なので、車高を下げてもストローク量が変わらない。防錆塗装と ID62 のスプリングを使い、オーバーホールにも対応する。適合は300車種以上。ロアブラケットは純正基準で作られ、純正ショックと交換してそのまま装着できると説明されている。
ダウン量の読み方
ラルグスの車高データは、地面からフェンダーアーチ上端までの距離が基準で、ダウン量は純正車高を0とした調整幅の表記だ。車高設定範囲とダウン量は開発車両を元にした参考値で、個体差や組付け条件で誤差が出ることがある。出荷時は仮組みで初期車高は決まっていない。最低車高の掲載値は調整の限界で、その車高で走れるとは限らないから、現車で確かめながら高さを決める。
ラルグス 全長調整式車高調キット SpecS(ZR-V RZ3 2WD用)
e:HEV FF(RZ4)向け:RS-R ベストアイ上下仕様
適合と掲載値
RS-R の取扱販売店の掲載では、ベストアイ上下仕様 BIJH330M の適合はホンダ ZR-V・型式 RZ4・2023年4月以降・FF で、グレード欄は e:HEV Z(2000 HV)。適合詳細には「フロントショック差し込み径φ53.8」とある。RS-R 公式サイトの車種別適合は確認できていないので、ここの適合と数値はすべて販売店の掲載による。
| 項目 | 販売店の掲載値 |
|---|---|
| 推奨車高 | 前 +5〜0mm・後 +10〜+5mm |
| 推奨調整幅 | 前後とも +30〜-20mm |
| 最大調整幅 | 前 +40〜-30mm・後 +30〜-20mm |
| バネレート | 前 8.0kg/mm・後 7.0kg/mm |
| 減衰力調整 | 前後とも36段 |
| そのほか | 前後とも全長調整可、フロントキャンバー調整あり、リア車高調整はネジ式、リア純正アッパーマウント再使用 |
販売店の掲載では、最大調整幅は物理的な数値で走行できることを保証するものではなく、推奨範囲を超えるとタイヤやアームがボディに干渉するおそれがあると注意している。
グレード欄が e:HEV Z なので、e:HEV X や特別仕様車の人は購入前に RS-R か販売店で確かめる。
上下仕様と推奨仕様の違い
同じ RZ4 用には、下げる向けの推奨仕様(品番 BIH330M)も販売店に掲載がある。こちらは推奨車高が前後とも -30〜-35mm、推奨車高調整幅が前 -10〜-55mm・後 -15〜-60mm、バネレートが前 9.0kg/mm・後 7.0kg/mm だ。上下仕様は推奨車高が正の値で、備考に「アップ&ダウン仕様。」とあるから、純正付近からやや高い側を基準に上下へ調整する仕様と読める。ただし符号の意味は掲載に説明が無いので、実際の高さは購入前に RS-R か販売店で確かめておく。
ベストアイの製品仕様と保証
RS-R のベストアイ製品案内によると、ダンパーは単筒式(本体は内径 φ40 のスチールボディ、ストラット式は φ46)で、減衰力は伸縮同時36段調整(一部車種除く)。全長調整式で、ローダウンしてもストローク量が変わらない。スプリングは各車種3種類のバネレートから選べ(一部車種除く)、推奨以外のレートではカタログ表記より車高差が出ることがある。
乗り心地保証は推奨レートが対象で、取付後1週間以内の申し入れなら返品を受ける。上下仕様 BIJH330M にそのまま当てはまるかは掲載から読み取れないので、当てにするなら注文前に聞いておく。製品保証は1年間または1万km の間のオイル漏れとネジ固着が対象で、取扱説明書の注意事項を守った使用が前提だ。
RS-R 車高調 ベストアイ 上下仕様 BIJH330M(ZR-V RZ4用)
2本の違いを表で比べる
| 項目 | ラルグス SpecS | RS-R ベストアイ上下仕様 BIJH330M |
|---|---|---|
| 適合(型式・駆動) | RZ3・2WD | RZ4・FF(グレード欄 e:HEV Z) |
| 車高の考え方 | 下げる方向だけ | 純正付近から上下に調整 |
| バネレート | 前 6k・後 5k | 前 8.0kg/mm・後 7.0kg/mm |
| 減衰調整 | 32段(前は上部ダイヤル・後はタイヤハウス内) | 伸縮同時36段 |
| 保証 | 出荷日から2年間 | 1年間または1万km |
| 掲載元 | ラルグスの適合表・直営ショップ | RS-R の製品案内・取扱販売店 |
| Amazon実売価格(2026年10月11日確認時点) | ¥115,830 | ¥185,092 |
型式が決まれば選ぶ品も決まるので、この表は「選んだ品がどういう性格か」を確かめるために使う。価格は変動するので、注文時の表示で確かめる。
車検と構造変更で気をつけること
最低地上高の基準
自動車技術総合機構のよくある質問によると、車高を低くした乗用車などの最低地上高は、空車状態で測った値が次の3つのそれぞれ以上でなければならない。
- 自動車下面の全面で 9cm
- 軸距の半分に 0.04 を掛けて 4cm を足した値(ホイールベース 250cm なら 9cm)
- 前軸より前・後軸より後の張り出し距離に 0.11 を掛けて 2cm を足した値(50cm なら 7.5cm)
ZR-V の最低地上高はカタログ値で 190mm だが、車高調で下げればここも下がる。掲載のダウン量はフェンダーアーチ上端の高さの変化の参考値で、下げた後の最低地上高そのものではない。下げたら空車状態で実車を測り、基準を満たしているか確かめる。
同機構は、部品は付ける車や付け方で基準に合わなくなる場合があるので、「車検対応」の表示がある部品でも、表示によって保安基準に適合しているとは扱わないとしている。ラルグスのよくある質問も、ブレーキラインやセンサー類が固定され最低地上高などの基準を満たしていれば基本的に支障は無いとしつつ、合否は検査官の判断で合格を約束するものではないとしている。
指定部品と構造変更
自動車技術総合機構によると、指定部品は使用者の好みで追加・変更されることが多く、安全や公害防止の面で支障が無いとされる部品で、ボルトや接着剤などで付けるなら車検証の記載変更の手続きは要らない。国土交通省の案内では、主な指定部品の例(機能的部品)に「ショック・アブソーバ」「ストラット式ショック・アブソーバ」が挙がっている。
指定部品を溶接・リベット以外で付けた場合や、付けた後の寸法・重量が許容範囲(普通自動車で長さ ±3cm・幅 ±2cm・高さ ±4cm・車両重量 ±100kg)に収まる場合は、軽微な変更の扱いになる。ただしどちらでも、付けた後の車が保安基準に適合している必要があり、その管理は使用者の責任とされている。
取付後にやること
4輪アライメント調整
ラルグスのよくある質問では、分解や車高の変化でホイールアライメントがずれると直進しにくくなることがあり、4輪ホイールアライメント調整が必要としている。車高を変えたら、4輪アライメント調整までを作業の一部として考える。
本締めと増し締め
RS-R は、出荷時は取扱説明書記載の推奨車高で組んであるが、車両に付けて寸法が決まったら必ず規定トルクで本締めし、ロアシート・ロックシートは車体の負荷が掛からない状態で増し締めするよう案内している。ラルグスは、車重が掛かった状態(1G)での増し締めは専門知識が要り危険なので知識のある専門店で行うよう、また車重が掛からない状態(0G)でブッシュ部を増し締めするとゴムブッシュに負荷が掛かったまま固定され、異音の原因になることがあると案内している。取付と本締めは専門店に任せるのが前提だ。
減衰の合わせ方と純正部品
RS-R は減衰調整の推奨位置を特に定めておらず、中間・フルソフト・フルハードをそれぞれ試して好みに合わせるよう案内している。乗り心地が合わないとき、ラルグスはプリロード・減衰の段数・ストローク量を確かめるよう勧めている。外した純正部品は、RS-R の案内どおり大切に保管しておく。
電子制御ダンパーの有無
ラルグスの直営ショップは、アダプティブショックアブソーバー(電子制御ダンパー等)付きの車両では警告灯が点灯するので、別途キャンセラーなどの対策が必要と案内している。自分の ZR-V に電子制御ダンパーが付いているかは、購入前に販売店で確かめる。
長く使うための手入れと異音
ラルグスは、街乗り中心ならオーバーホールを走行3万km で推奨し、異音が無くても定期的に行うよう案内している。不具合が出てからでは部品が劣化して再利用できない場合がある。RS-R は乗り心地に変化を感じたらオーバーホールを勧めていて、ダンパー部は泥や砂を嫌う精密部品だとしている。ロックシート・ロアシートは長く放置すると固着するので、定期的に緩めて潤滑剤を塗る。
ラルグスが挙げる異音の例は次のとおり。
| 音 | 原因の例 | 対処 |
|---|---|---|
| 常にコトコト・ガタガタ | ダンパー各部のネジの緩み | アッパーマウントのナットを規定トルクで増し締め |
| ゴリゴリ・ガリガリ | 車体・ホイール・スプリングとの干渉、異物の混入 | 点検とクリアランスの確保 |
| マンホールに乗り上げたときのザッザー | アライメントのずれ | 4輪アライメント調整 |
RS-R は、コトコト音は部品のリフレッシュで改善し、使い方によってはショック内部の経年劣化で出ることがあるとしている。異音を消そうとスプリングに潤滑スプレーを使うのは控える。スプリングが滑ってかえって異音が出たり、ゴム製品が劣化したりすると RS-R は注意している。車高調以外の音も含めて原因を絞りたいときは、次の記事が役に立つ。
タイヤ・ホイールやほかのカスタムとあわせて考える
ZR-V の純正タイヤサイズは、カタログで確認した3グレードとも前後 225/55R18。ホイールやタイヤを替える予定があるなら、車高調と同じ時期に決めておくと、干渉や車高の確認を1回で済ませられる。サイズや PCD・オフセットの確認、ほかのカスタムの費用感は次の記事で整理している。
よくある質問
4WD の ZR-V に付く車高調はある?
今回の2本はどちらも FF の型式だけが適合欄に載っていて、RZ6 などの 4WD は含まれていない。4WD 用は、型式を伝えてメーカーや販売店に問い合わせて探す。
ガソリン車用を e:HEV に付けられる?
付けられるとはどちらのメーカー側にも書かれていない。e:HEV の FF なら、RZ4 の適合欄に載っている品から選ぶ。
e:HEV X でも RS-R の RZ4 用は付く?
販売店掲載のグレード欄は e:HEV Z だけで、X に付くかは掲載からは分からない。X の人は注文前に問い合わせる。
車高調を付けても車検に通る?
「車検対応」の表示があっても、それだけで合格が決まるわけではない。下げた後の最低地上高などを満たしているかで決まり、合否は検査官が判断する。
どこまで下げられる?
掲載の最低車高や最大調整幅は調整の限界で、その高さで走れることを示す値ではない。実際の下限は、現車で干渉と最低地上高を確かめて決める。
まとめ
- まず車検証で型式と初度登録年月を確認する
- RZ3(ガソリン FF)はラルグス SpecS。下げる方向の車高調
- RZ4(e:HEV FF)は RS-R ベストアイ上下仕様 BIJH330M。純正付近から上下に調整する車高調
- 4WD は今回の2本の適合欄に無いので、型式を伝えて問い合わせる
- 取付後は4輪アライメント調整と、空車状態での最低地上高の確認まで済ませる
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