XM にドライブレコーダー(ドラレコ)を付けるとき見落としやすいのが、フロントガラス上部にある運転支援用のカメラだ。ルームミラーの裏あたりは撮りやすい位置だが、場所によってはそのカメラの視界にかかるので、保安基準の範囲とあわせて位置を決める。配線はピラーのエアバッグに、電源は駐車監視を使うかどうかに気をつけて選べば、自分でやる範囲と店に任せる範囲も決めやすい。
XM のドラレコ取り付けで先に押さえる4つのこと
- 位置:国土交通省の案内では、ドラレコは保安基準で定められた位置(フロントガラス上部から20%以内の範囲など)に付ける。BMW Japan の発表では XM はカメラとレーダーを使う運転支援システムを標準装備しているので、ルームミラー裏側周辺で、そのカメラの視界に入らない場所を選ぶ。
- 配線:電源コードは天井の内張りに押し込みながら助手席側のピラーまで隠し、ピラーから足元へ下ろす。
- 電源:シガーソケット型・2芯ケーブル型・3芯ケーブル型の3種類があり、駐車監視を使うなら常時電源が要る。
- エアバッグ:ケンウッドの取付手順では、ピラー内にエアバッグがある車は配線方法によってエアバッグが正しく動作しない恐れがあるとして、販売店への相談を案内している。
迷ったら、ピラーの中の配線とヒューズからの電源取りは店に任せるのが筋だ。どこまで自分でやるかの境目は後半で示す。
取り付け前に知っておく XM の前提
BMW Japan の発表(2023年1月18日)では、XM は同日から全国の正規ディーラーで販売を始め、納車は2023年4月からの予定とされた。右ハンドル・AT 仕様だ。発売時の発表では、4.4L V型8気筒ツインパワーターボエンジン(最高出力489PS)に電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドで、システム・トータルの最高出力は653PS、最大トルクは800Nm、電気だけで約90km走れる(欧州仕様値)とされた。
くるまのニュースによると、BMW ジャパンは2025年10月17日にラインアップを改定し、標準モデル「XM」と上級グレード「XM Label」の2本立てを XM Label に一本化した。改定後の XM Label は4.4L V8 ツインターボ(585馬力)に197馬力のモーターを組み合わせた PHEV で、システム最高出力748馬力・最大トルク1000Nm。
ドラレコの取り付けに関わるのは次の2点だ。
- 運転支援:BMW Japan の発表では、パーキング・アシスト・プロフェッショナル(時速35km以下で走った最大200mのルートを記憶し、同じルートを後退で戻る機能)も標準装備とされた。フロントカメラの位置は、運転支援のカメラを基準に決める。
- 車体の大きさ:全長5110mm×全幅2005mm×全高1755mm、ホイールベース3105mm(くるまのニュースの2025年10月の改定を伝える記事)。リアカメラの配線の長さに効いてくる。
車内の部品の型番を調べるなら、次の記事も参考になる。
後付けの前に、BMW の純正機能の有無を確かめる
Car Watch の報道(2019年11月)では、BMW は「パーキング・アシスト・プラス」用の車両前後左右の車外カメラをドライブレコーダーとして使える機能を、BMW コネクテッド・ドライブ・ストアで車両購入後に追加できる形で販売を始めた。発表時の対象は3シリーズ(パーキング・アシスト・プラス装着車のみ)・7シリーズ・8シリーズ・X5・X7の5車種で、2023年発売の XM はこの対象に入っていない。
BMW Japan の XM の発表にも「ドライブ・レコーダー」の語は無く、XM で BMW の車外カメラを使うドラレコ機能が使えるかどうか・標準で付いているかどうかは確かめられていない。後付けのドラレコを買う前に、車両の設定画面か BMW の正規ディーラーで、その機能の有無と記録の範囲を確かめておくと、二重の投資を避けやすい。
フロントカメラの取り付け位置
保安基準で決まっている範囲
国土交通省の案内では、ドラレコは運転者の視界を妨げないよう、保安基準で定められた位置(フロントガラス上部から20%以内の範囲など)に付ける。MOTA の解説では、付けてよい範囲は「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」または「車室内後写鏡(ルームミラー)により遮へいされる前面ガラスの範囲」とされる。All About の解説は、これを守らないと道路運送車両の保安基準第29条(窓ガラス)に違反すると説明している。
運転支援のカメラと検査標章を避ける
範囲の中では、ルームミラー裏側周辺で、衝突被害軽減ブレーキ用のカメラの視角に入らない場所が最適とされ、車体中央からの景色を撮れることも望ましい。検査標章(車検ステッカー)に重ねないことと、自動ブレーキ用カメラの視界を妨げないことも必要だ。XM は運転支援にカメラを使うので、フロントガラス上部にあるそのカメラの視界を避けて位置を決める。次の仮止めの段階で、カメラの位置を目で見ながら詰めていけばよい。
道具の準備と仮止め
準備する道具の例は、ドライバー、内張りはがし、結束バンド、マスキングテープ、ガラスクリーナー。開封したら、カメラ、microSDカード、ブラケット、ケーブルがそろっているかを確かめる。
作業の流れは次のとおり。
- 取付ブラケットをテープで仮止めして、位置を仮決めする
- カメラをつないで電源を入れ、映像を見ながら角度を調整する(2人での作業がすすめられている)
- 配線する
- ガラスを清掃してから、両面テープでガラスに固定する
ケンウッドの取付手順では、ブラケットの両面テープは非常に強力で、一度貼ると貼り直しが難しいとされる。貼り直すと粘着力が落ちて走行中に外れるおそれがあるので、仮止めの段階で位置を十分に検討しておく。
フロントの配線の通し方
天井の内張りに沿わせる
取付ブラケットに電源コードを通して先端を約5cm出し、天井の内張り(ルーフライニング)の中へ押し込みながら、ブラケット上部から助手席側のピラーまで隠していく。コードが落ちてくるときは、市販のスポンジテープ(厚さ1〜1.5mm程度)を一部に巻いて太くすると落ちにくい。多くの車は手で押し込めるが、一部の車では難しい場合がある。
助手席側ピラーとエアバッグ
ピラーに手を付ける前に、エアバッグの位置を確かめる。ケンウッドの取付手順では、サイドエアバッグなどピラー内にエアバッグがある車では、配線方法によってエアバッグが正しく動作しない恐れがあるとして、該当する場合は販売店に相談するよう案内している。助手席エアバッグが作動する範囲にも配線しない。
オーストラリアの諸元サイト carsales の装備一覧では、XM(2025年・Label)に前席(1列目)と後席(2列目)のヘッドエアバッグが挙がっている。オーストラリア仕様の資料なので、日本仕様の配置の詳細は取扱説明書か販売店で確かめ、迷うときはピラーまわりの作業を販売店に相談する。
ピラー部分の収め方には、次のような方法がある。
- ピラーのカバーを外して隙間にコードを収め、下から出す(All About)
- ピラー内に通らないときは、両面テープ付きの配線止め(コードクリップ)で固定する。クリップはガラス面ではなくピラーに貼る(ケンウッド)
- 念入りにするなら、フロントガラス上部 → ピラーの樹脂カバー内部 → ピラー下部 → 内張り内部の順に通す(CARPRIME)
足元とシートレールの処理
ドアの開閉で電源コードが挟まれないよう配線止めなどで固定し、余分なコードは助手席のカーペットの下(奥)に隠して、電源を取る位置まで配線する。前後に動く助手席のレールなどにコードが挟まれないよう注意し、余ったコードは結束バンドなどで軽くまとめる。最後にマットの下を通して仕上げる方法もある。
マットを敷き直すついでに、フロアマットを見直すなら次の記事も参考になる。
電源の取り方
ドラレコの給電方式は主に3種類ある。
| 給電方式 | 電源の取り方 | 補足 |
|---|---|---|
| シガーソケット型 | ソケットに差すだけ | 配線が目立つため増設ソケットを使うのが一般的 |
| 2芯ケーブル型 | ヒューズボックスの ACC(アクセサリー)から取るのが一般的 | ヒューズからの電源取りの作業が要る |
| 3芯ケーブル型 | 黄色の線をバッテリー(常時電源)につなぐ | 通常は ACC 電源で動き、エンジン OFF を検知すると駐車監視モードに移ってバッテリーの電源を使う |
シガーソケットから取る
最も簡単で特別な知識が要らない一方、コードが見えたり抜けたりすることがある。初めての人はソケットを使うか、専門業者に頼むのが無難とされる。XM を自分で作業するなら、まずはこの方式から考えるとよい。
ヒューズボックスから取る
ヒューズボックスやオーディオ配線から取る電源は、見た目がすっきりして給電も安定する。ただし専門知識が要り、誤るとヒューズが切れたり他の電装品に影響したりする。ベストカーWeb の解説による取り方は次のとおり。
- 検電テスターで、エンジン OFF では通電せず ACC で通電するヒューズを選ぶ
- ECU やエアバッグにつながるヒューズは使わない
- アースは、塗装や樹脂部分を貫通しているネジ山を選ぶ(塗装は電気を通さない)
- 確かめのために長時間アクセサリーモードにしておくと、バッテリーが上がるので注意する
ACC の入れ方は車によって違い、DIY での電源取りが難しい車両もある。作業は自己責任だ。XM のヒューズボックスの位置・電源を取れるヒューズ・12V バッテリーの位置は確かめられていないので、ベストカーWeb の解説がすすめるとおり、購入したディーラーなどに「電源が取れるヒューズ」を聞いてから作業するか、取り付けを店に任せる。
駐車監視を使うときの常時電源
駐車監視を使うには、エンジン停止中も通電する常時電源が要る。シガーソケットなどの ACC 電源だけでは足りない。常時電源はヒューズ(配線)から取る方法が紹介されていて、上の表の3芯ケーブル型がこの使い方にあたる。
常時電源とアクセサリー電源を取り違えると、バッテリー上がりを起こす。本体の内蔵バッテリーで監視する方式もあるが、持続時間が短く、発火の懸念も指摘されている。駐車監視が欲しいなら、常時電源の配線まで含めて店に頼むのが確実だ。
リアカメラの取り付け位置と配線
リアのドラレコは追突、あおり運転、後退時の接触事故の記録に役立つ。ただしリアカメラだけでは前方の事故を撮れないので、前後2カメラの製品にすると両方向をカバーできる。
リアガラスのどこに付けるか
一般にはリアガラスの中央上部に付ける。熱線(電熱線)に重ねて貼ると、熱で両面テープの粘着力が弱まり外れるおそれがあるので、熱線を避けた位置を選ぶ。
荷室までの配線の通し方
配線は助手席側の足元に沿って後方へ通し、リアのウェザーストリップの中を通して荷室へ回す。余ったケーブルは結束バンドとクッションテープでまとめる。内張りやドアパネルの中に隠すには工具と技術が要るので、そこまでやるなら専門業者がすすめられている。
XM は全長5110mm の大柄な車体なので、運転席まわりから荷室・リアガラスまで内装に沿って回せるだけの、リアカメラ用ケーブルの長さが要る。購入前に製品のリアカメラ用ケーブルの長さを確かめ、配線経路に沿って余裕があるかを見ておく。
一般的な手順ではリアカメラの配線を天井の内張りに押し込んで後ろへ回すこともある。ただ、BMW Japan の発表では、XM の後席のルーフ・ライニング(天井の内張り)の表面には立体感のある彫刻的なデザインが施され、照明と組み合わせた造りになっている。その天井に配線を押し込めるかどうか・照明の配線との関係は確かめられていないので、後席の天井に沿わせる経路は無理に押し込まず、取り付け店や販売店に相談する。
荷室の使い方とあわせて配線の取り回しを考えるなら、次の記事も参考になる。
自分でやる範囲と店に頼む判断
自分でやるなら、シガーソケットからの給電で、天井の内張りへの押し込みと、ピラーに貼る配線止めでの固定までにとどめる。次のどれかに当たるなら、店に任せたほうがよい。
- ピラー内のエアバッグの有無や位置に迷う
- ヒューズから ACC や常時電源を取りたい(専門知識が要り、誤ると他の電装品に影響する)
- リアカメラの配線を内張りやドアパネルの中に隠したい
依頼先は、ディーラーとカー用品店なら本体の販売と取り付けをまとめて頼める。整備工場や出張サービスは本体の持ち込みが前提になる。部品代のほかに工賃がかかる。
XM で販売店に聞いておきたいのは、車外カメラを使うドラレコ機能の有無、電源を取れるヒューズ、ピラーまわりのエアバッグの位置、後席の天井に配線を通せるか、の4つだ。点検やオイル交換で販売店に行くときにまとめて聞くと手間が少ない。
よくある質問
シガーソケットの電源で駐車監視はできる?
シガーソケットなどの ACC 電源だけでは足りない。エンジン停止中も通電する常時電源が要り、駐車監視モードを持つ3芯ケーブル型の製品を、ヒューズ(配線)から取った常時電源につなぐ方法が紹介されている。取り違えるとバッテリー上がりを起こすので、自信がなければ店に頼む。
XM に純正のドラレコ機能はある?
確かめられていない。Car Watch の報道では、2019年に BMW が車外カメラをドラレコとして使う機能を販売した際、発表時の対象は5車種で、2023年発売の XM は入っていなかった。車両の設定画面か BMW の正規ディーラーで有無を確かめてから、後付けを選ぶ。
リアカメラの線はどこを通す?
一般的には助手席側の足元に沿って後方へ通し、リアのウェザーストリップの中を通して荷室へ回す。XM の後席の天井に沿わせる経路は、押し込めるかどうかが確かめられていないので、選ぶ前に店に相談する。
フロントガラスのどこまで付けてよい?
国土交通省の案内では、保安基準で定められた位置(フロントガラス上部から20%以内の範囲など)に付ける。その範囲の中で、検査標章と運転支援のカメラの視界を避けた場所を選ぶ。
まとめ
最初にやることは、実車の運転席に座ってフロントガラス上部を見上げ、運転支援のカメラと検査標章の位置を確かめて、ドラレコを置ける場所の当たりを付けることだ。あわせて車両の設定画面で、車外カメラを使うドラレコ機能が無いかを見ておく。そのうえで車検証を手元に用意して販売店に問い合わせると、話が早い。
- 位置:国土交通省の案内する保安基準の範囲(フロントガラス上部から20%以内の範囲など)で、運転支援のカメラの視界を避ける
- 配線:天井の内張り → 助手席側ピラー → 足元。ピラー内にエアバッグがある車は販売店に相談する(ケンウッドの取付手順)
- 電源:初めてならシガーソケット。XM の電源を取れるヒューズは確かめられていないので、ヒューズから取るなら販売店に聞く
- 純正機能:XM で車外カメラを使うドラレコ機能が使えるかは確かめられていない
灯火まわりの部品もあわせて確かめておくなら、次の記事へ。

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