M4 のホイール選びで起きやすい間違いは、「M4用」とだけ書かれた中古品を、先代 F82 用と気付かずに選んでしまうことだ。F82 は 5×120 で、G82 は 5穴・PCD112mm・ハブ径66.5mm なので、そのままでは付かない。まず G82 の規格と純正のサイズを押さえ、純正のインセットは出典で値が分かれる点も含めて、社外ホイールやスペーサーの選び方まで順に見ていく。
M4 G82 のPCD・ハブ径・純正サイズの早見表
ホイールメーカー BBS の適合表は、M4 (G82) 用の FI-R Evo(FI206・FI207・FI213)をどれも 5/112.0・中心の穴66.5 と載せている。海外のホイール適合データ(Koleso)も、G82/G83(2021〜2024年と、2024年からの改良型)を 5×112・ハブ径66.5mm としている。G82 は5穴・PCD112mm・ハブ径66.5mm と覚えておけばよい。
| 項目 | 値 | 確かめた出典 |
|---|---|---|
| 穴数・PCD | 5穴・112mm(5×112) | BBS の適合表・Koleso |
| ハブ径 | 66.5mm(66.6mm と書く出典もある) | BBS の適合表・Koleso |
| 留め方・ネジ | ボルト留め・M14×1.25 | Koleso |
| タイヤ(日本仕様のコンペティション。FR は2021年1月〜2022年1月、M xDrive は2022年1月のカタログ) | 前 275/35R19・後 285/30R20 | ガリバー・グーネットのカタログ |
| 前19・後20インチの純正ホイール | 前 9.5J×19・後 10.5J×20 | Koleso・Original Räder 24 |
| その純正のインセット | 前後とも ET20 とする出典が多い。前 ET22・後 ET21 とする出典もある | Koleso・Original Räder 24/Cencal Motorsport |
ナットではなくボルトで留める形で、ネジの規格は海外のホイール適合データ(Koleso)では M14×1.25 だ。インセットの値が分かれる理由と確かめ方は、後の「純正の前後サイズとインセットの読み方」で扱う。
対象の M4(G82)と日本仕様のタイヤサイズ
G82 の年式と改良型
海外のホイール適合データ(Koleso)では、M4 の G82/G83 の世代の生産は2021〜2024年で、販売地域に日本を含む。2024年からは改良型(G82/G83 LCI、2024〜2025年)として別のページに載るが、PCD・ハブ径・ネジの値は同じだ。
日本仕様のタイヤサイズ
ガリバーの車種カタログでは、2021年1月〜2022年1月の生産分の M4クーペ コンペティションは型式 3BA-52AZ30・FR・8速 AT で、タイヤサイズは前 275/35R19・後 285/30R20。グーネットのカタログでは、2022年1月の M4クーペ コンペティション(3BA-52AZ30・FR)と、M4クーペ コンペティション M xDrive(フルタイム4WD・トレッド前1615mm・後1605mm・全幅1885mm)も同じ前 275/35R19・後 285/30R20 だ。どちらのカタログにもホイールの幅とインセットの行は無い。
ガリバーの車種カタログのアルミホイールの欄には、同じページのタイヤサイズと合わないインチの記載があるので、ホイールの径はタイヤサイズの側で読む。日本仕様のベースの M4クーペ(6速MT)と、2024年からの改良型の日本仕様のサイズは、ここで挙げた出典では確かめられていない。自分の車のサイズは、今付いているタイヤの側面の表示と車検証で確かめる。
海外の18・19インチとの違い
海外のホイール適合データ(Koleso)では、2021〜2024年の M4・M4 Competition・M4 Competition xDrive の OEM は前 9.5Jx18 ET20(275/40ZR18)・後 10.5Jx19 ET20(285/35ZR19)だ。19・20インチの組み合わせ(前 9.5Jx19 ET20・275/35ZR19、後 10.5Jx20 ET20・285/30ZR20)は M4 CSL の OEM で、M4 Competition の欄にも OEM の印の無い行として並ぶ。改良型では M4 Competition xDrive の OEM が前 9.5Jx19 ET20(275/35ZR19 100Y)・後 10.5Jx20 ET20(285/30ZR20 99Y)、M4 と M4 Competition の OEM は前 9.5Jx18 ET20・後 10.5Jx19 ET20 となっている。
日本仕様のコンペティションのタイヤサイズは19・20インチの行と同じで、海外の OEM の18・19インチの組み合わせとは違う。海外の情報を読むときは、どのグレードの行かを見分ける。
PCD・インセット(オフセット)・ハブ径の意味
PCD と穴数
Motor Fan のホイールの基礎の解説では、P.C.D を「ボルト穴の中心を結んでできた円の直径を表す」と説明している。G82 なら、5つのボルト穴の中心を結ぶ円の直径が112mm ということだ。
インセットとオフセット(ET)
Motor Fan の解説では、インセットはホイールの中心線から取り付け面までの距離で、従来のオフセットを置き換えた呼び名とし、取り付け面が中心線より外側ならプラス、内側ならマイナスとしている。CARPRIME のインセットの解説も、リム幅の中心線から取り付け面(ホイール穴の裏面)までの距離とし、インセットならホイールはタイヤハウスやフェンダーの中に、アウトセット(マイナス側)なら外へ突出すると説明している。ET の表記もこの値を指す。
幅についても、CARPRIME の解説は、標準ホイールと同じインセットのままリム幅を広げると、タイヤはタイヤハウスの中で外側にも内側にも広がるとしている。Motor Fan の解説では、リム幅はホイールの横幅で、数値が大きいほど幅も広い。
ハブ径(センターハブ)
CARPRIME のハブリングの解説では、車輪の中心にあるセンターハブはホイールを付けるときに中心を出す役割を持ち、純正ホイールはセンターハブにぴったり合うハブ径になっているとしている。G82 のハブ径は、BBS の適合表と海外の適合データで66.5mm だ。
純正の前後サイズとインセットの読み方
前19・後20インチの前後異径
日本仕様の M4(G82)コンペティションは、前が19インチ・後が20インチで、ホイールの幅(9.5J と 10.5J)もタイヤの幅(275 と 285)も前後で違う。前後を入れ替えて使う形ではないので、社外ホイールも前用・後用の組み合わせで選ぶ。BBS の G82 用も Front Only と Rear Only に分かれている。
ET20 とする出典・ET22/ET21 とする出典
海外のホイール適合データ(Koleso)は、改良型の M4 Competition xDrive の OEM と、2021〜2024年の M4 CSL の OEM を、どちらも前 9.5Jx19 ET20・後 10.5Jx20 ET20 と載せている。ドイツの純正ホイール販売店 Original Räder 24 の商品ページも、M4 G82 G83(2021年〜)用の純正ホイール(スタイリング 825 M)を「9.5 x 19 ET 20 | 10.5 x 20 ET 20」、タイヤを 275/35 R19 と 285/30 R20 の順で載せている(前・後の明記は無い)。
一方、米国の BMW パーツ販売店 Cencal Motorsport の解説は、G82 M4 のコンペティションの純正を前 19×9.5 ET22・後 20×10.5 ET21 と書いている。どれも BMW の資料ではなく、国内のカタログにはインセットの記載が無い。社外ホイールとの差を計る前に、今付いているホイールの表示か BMW 正規ディーラーで自分の車の値を確かめる。
目安の範囲の読み方
海外のホイール適合データ(Koleso)は、G82/G83 の各行にインセットの目安の範囲を18〜22mm と載せている。これはそのサイトが載せる目安で、BMW が定めた許容の範囲や車検の基準ではない。
タイヤそのものの交換やジャッキアップの位置は、次の記事にまとめてある。
先代 M4(F82)との違い
APEX Wheels の正規取扱店 RK-ONLINE の適合ガイドは、F80/F82/F83 を 5×120・ハブ径72.56mm、G80/G82/G83 を 5×112・ハブ径66.6mm と載せ、E系・F系は 5×120、G系は 5×112 と説明している。PCD もハブ径も違うので、F82 用のホイールやスペーサーは G82 にそのままでは付かない。 中古品や通販で「M4用」とだけ書かれた品は、どの世代用かを先に確かめる。
BBS の G82 用で純正との差を読む
前用・後用で分かれる
ホイールメーカー BBS の適合表は、FI-R Evo の「BMW M3 (G80) / M4 (G82)」用を次のように載せている。
| 品番 | 前後 | サイズ | インセット | 重さ |
|---|---|---|---|---|
| FI206 | 前用(Front Only) | 19×9.5 | 15 | 7.9kg |
| FI207 | 後用(Rear Only) | 20×10.5 | 15 | 8.7kg |
| FI213 | 前用(Front Only) | 20×9.5 | 10 | 8.2kg |
どれも 5/112.0 で中心の穴は66.5。同じページは、適合リストに記載の無い車種への装着を厳禁とし、純正ボルトを使うサイズはボルトが付属しないとしている。G82 のハブに合わせて作られたホイールは純正ボルトのまま付ける前提のものが多く、Original Räder 24 の商品ページもボルトは付属せず原則として元の純正ホイールのボルトを使えると書き、RK-ONLINE の適合ガイドも純正ボルトで装着できるとしている。
純正との差の計算の目安
幅が同じなら、インセットの差の分だけホイール全体が外へ(純正より小さいとき)または内へ(大きいとき)動く。純正を前 9.5J×19 ET20・後 10.5J×20 ET20 とすると、FI206 と FI207 は約5mm、FI213 は約10mm 外へ出る計算だ。FI213 は前も20インチになるので前のタイヤのサイズも変わるが、どのサイズにするかは出典では確かめられていない。純正を Cencal の解説の前 ET22・後 ET21 とすると、FI206 は約7mm、FI207 は約6mm 外へ出る。
リムの縁やタイヤのふくらみは含まない計算なので、フェンダーとの隙間は実車で測る。どのグレード・年式・ブレーキでもキャリパーと当たらないかまでは、この表からは読み取れない。
ブレーキで決まるインチの下限
カーボンセラミックブレーキの車
APEX Wheels の正規取扱店 RK-ONLINE の適合ガイドは、カーボンセラミックブレーキを G80/G82 のオプションとし、フロントが400mm・6ポットのため 19インチ以上が必要で、18インチは装着できない と書いている。純正のブレーキでホイールの最小のインチが決まるので、自分の車がカーボンセラミックブレーキ付きかを車両の仕様で確かめる。
スチールブレーキの車で18インチにするとき
同じガイドは、スチールブレーキの G80/G82/G87 では、18インチ(18×10.5 ET18)は装着できるがキャリパーとの隙間が非常に小さく、フロントに5mmのスペーサーが必須だとしている。日本仕様のコンペティションは前19インチなので、18インチにするのはインチダウンにあたる。ブレーキとの隙間は、ホイールのメーカーの適合表で確かめる。
インセットや幅を変えたときのはみ出しと干渉
外に出すとき(インセットを小さく)
幅が同じなら、インセットを純正より小さくすると、ホイールはその差の分だけ車体の外側へ出る。G82 の純正(前後とも ET20 とする出典が多い)より小さいインセットのホイールは、はみ出しに近づく。
内に入れるとき(インセットを大きく・幅を広く)
インセットを大きくする・幅を広げると、ホイールの内側やスポークの裏がブレーキキャリパーやサスペンションに近づく。レスポンスのスペーサーの解説でも、スペーサーはキャリパーキットやサスペンションとの干渉を避ける目的で使われるとしている。APEX Wheels の正規取扱店 RK-ONLINE の適合ガイドは、G80/G82/G83 などに向けた幅広のサイズ(フロントの ET22〜28、10.5J 以上)は、キャンバー調整・フェンダー加工・スペーサーが前提になる場合があると書いている。純正より幅の広いホイールでは、その前提があるかをホイールのメーカーや販売店に確かめ、BBS の表のように車種と前後を名指しする適合表か、取付店の M4 G82 への装着の実績で隙間を判断する。
はみ出しの決まり
乗りものニュースの記事は、2017年6月22日から、ハンドルを直進にした状態でタイヤ中心から前方30度・後方50度の範囲で、10mm未満のはみ出しが許可されたとし、許可の対象はタイヤのみでホイールは対象外 と書いている。改正の前は、その範囲で回転部分が直上の車体より少しでも出ると違法だった。
同じ記事は「クルマの製造年月日を問わず」と書いているが、国土交通省の告示の原文と対象の範囲は出典で確かめられていない。G82 でどこまでなら車検に通るかは断定できないので、外へ出すときははみ出しの量を実車で測り、車検を受ける整備工場や検査場に確かめる。
スペーサーとボルトの考え方
厚みとインセットの関係
レスポンスのスペーサーの解説では、ホイールスペーサーはハブ面とホイールの間に入れるアルミの板で、ホイールの取り付け位置を外側へずらせるとし、いわゆるツライチにしたいときや干渉を避けるときに使うとしている。厚みの分だけインセットを小さくしたのと同じ向きに働くので、純正を ET20 とすれば5mm で ET15 相当になり、BBS の FI206・FI207 と同じくらいの位置だ。10mm なら ET10 相当になる。
同じ解説は、スペーサーの使用は基本的に合法で、ホイールがボディから突出していないことが条件としつつ、ディーラーや一部の陸運支局では車検に抵触すると言われることもあり、検査官の判断が異なるのでなんとも言えないとも書いている。
ロングボルトと座面
レスポンスの解説は、スペーサーが厚いほどホイールにかかるボルトの長さが短くなると注意し、RK-ONLINE の適合ガイドも、スペーサーを入れる場合は厚みに応じたロングボルトが必要だとしている。G82 はボルトで留める形なので、スペーサーを入れるなら厚みに合ったロングボルトに替える。 同じガイドは、BMW 純正ボルトの座面を60度テーパー(コニカル)としているが、BMW の資料では確かめられていない。純正ボルトの長さも出典に無いので、長さと座面はスペーサーやホイールのメーカーの指定に従い、分からなければ取付店か BMW 正規ディーラーに確かめる。
締め付けと増し締め
締め付けトルクは、海外のホイール適合データ(Koleso)が G82/G83 の値として140Nm と載せているが、BMW の取扱説明書や BMW の資料では確かめられていない。作業の前に車両の取扱説明書か BMW 正規ディーラーで確かめ、トルクレンチで締める。スペーサーやホイールを替えた後は、しばらく走ってから増し締めをして緩みを確かめる。レスポンスの解説では、ハブとホイールの間に挟む一般的なスペーサーは増し締めが簡単にでき、ワイドトレッドスペーサーはホイールを外さないと増し締めができないとしている。
作業の手順は、タイヤ交換の記事も合わせて読んでほしい。
社外・中古ホイールを選ぶときの確認の順
- 穴数とPCD(5穴・112mm)
- ハブ径(ホイール側が66.5mm より小さいと付かず、大きいときはハブリングで中心を合わせる)
- 前後それぞれのインセット(自分の車の純正値からの差で、どれだけ外・内へ動くか)
- 幅(純正は前 9.5J・後 10.5J。同じインセットで幅を広げると外にも内にも広がる)
- ブレーキ(カーボンセラミックブレーキの車は19インチ以上。スチールブレーキでも18インチはキャリパーとの隙間が小さい)
- ボルト(M14×1.25・長さ・座面をホイールやスペーサーの指定に合わせる)
- フェンダーからのはみ出し
- 世代(先代 F82 用は PCD もハブ径も違う)
ハブリングで中心を合わせる
CARPRIME の解説では、ハブリングはセンターハブとホイールの穴の径の差を埋めるリングで、ドイツ車などのホイールボルトの形ではハブ側で中心を出さないとホイールを付けることさえ一苦労し、無いと高速走行時にホイールがぶれることがあるとしている。中心の穴が66.5mm より大きい社外ホイールでは、ホイールのメーカーが指定するハブリングで中心を合わせる。 BBS の G82 用(中心の穴66.5)や、車種専用のハブ径で作るとする APEX の BMW 用のように G82 のハブ径に合わせたホイールなら、ハブリングは要らない。
ハブ径の表記の揺れ
RK-ONLINE の適合ガイドと Cencal Motorsport の解説は G80/G82 のハブ径を 66.6mm、BBS の適合表と Koleso は 66.5 と書く。差は0.1mm で、同じハブを指す表記の違いとして読み、社外ホイールの中心の穴やハブリングの寸法は、そのホイールのメーカーの指定で確かめる。
純正のインセットやブレーキの仕様が分からないとき、自分で判断できないときは、実車でフェンダーとの隙間と足回り・ブレーキとの干渉を確かめたうえで、ホイールのメーカーや取付店、BMW 正規ディーラーに M4(G82)への装着の実績を聞くのが確実だ。
よくある質問
先代F82のホイールは付く?
そのままでは付かない。F82 は 5×120・ハブ径72.56mm、G82 は 5×112・ハブ径66.5mm(66.6mm の表記もある)で、PCD もハブ径も違う。スペーサーも同じだ。
18インチにできる?
カーボンセラミックブレーキの車は、RK-ONLINE の適合ガイドでは19インチ以上が必要で18インチは装着できない。スチールブレーキの車でも、同じガイドは18×10.5 ET18 はキャリパーとの隙間が非常に小さく前に5mmのスペーサーが必須としている。まずブレーキの種類を確かめる。
ハブリングは必要?
中心の穴が66.5mm より大きい社外ホイールなら、メーカー指定のハブリングで中心を合わせる。BBS の G82 用のように G82 のハブ径で作られたホイールなら要らない。
純正のインセットはET20?
前 9.5J×19・後 10.5J×20 を前後とも ET20 とする出典(Koleso・Original Räder 24)が多いが、Cencal Motorsport の解説は前 ET22・後 ET21 と書く。どれも BMW の資料ではないので、今付いているホイールの表示か BMW 正規ディーラーで確かめる。
締め付けトルクは?
海外のホイール適合データ(Koleso)は140Nm と載せるが、BMW の資料では確かめられていない値だ。取扱説明書か BMW 正規ディーラーで確かめてから締める。
まとめ
社外ホイールは、候補を1本に絞ってから、そのホイールのメーカーの適合表に M4 (G82) の前用・後用の行があるかを確かめる順で進めると早い。
- G82 は5穴・PCD112mm・ハブ径66.5mm で、ボルトのネジは Koleso の値で M14×1.25
- 国内のカタログ(FR は2021年1月〜2022年1月、M xDrive は2022年1月)で確かめられる日本仕様の M4クーペ コンペティションは、前 275/35R19・後 285/30R20 の前後異径
- 前 9.5J×19・後 10.5J×20 の純正のインセットは ET20 とする出典が多いが、ET22・ET21 とする出典もある
- 変えるときはブレーキによるインチの下限、はみ出し、ボルトの長さを確かめる
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