球切れに気づいて売り場に立つと、ヤリス用の棚には「10系」と一括りにした表示が並ぶ。KSP210は1.0Lガソリン・2WD専用の型式で、設定されるグレードはGとXの2つしかない。ここまで分かればヘッドランプがハロゲンかLEDかはほぼ決まり、買うバルブも決まる。トヨタの取扱説明書(ヤリス・ガソリン車)が自分で交換できるとしているのは5か所だ。
灯火別のバルブ規格一覧
トヨタの取扱説明書に載るのはワット数と「バルブタイプ:HIR2」までで、T10やT20といった口金の呼び方はバルブメーカーの適合表側にある。両方を重ねると次のようになる。
| 灯火 | 規格・ワット数 | 交換の区分 |
|---|---|---|
| ヘッドランプ(ハロゲン仕様) | HIR2・55W | 自分で交換できる |
| 車幅灯(ハロゲン仕様) | T10・5W | 自分で交換できる |
| フロントウインカー(バルブタイプ) | T20ピンチ部違い・21W | 自分で交換できる |
| リヤウインカー(バルブタイプ) | T20ピンチ部違い・21W | 自分で交換できる |
| 番号灯 | T10・5W | 自分で交換できる |
| フォグランプ | L1B(純正LED) | 販売店で交換 |
| バックランプ | LW5B(純正LED)1個 | 販売店で交換 |
| リヤインテリアランプ | T10×31・8W | 取扱説明書に区分の記載なし |
| ラゲージルームランプ | T10・5W | 取扱説明書に区分の記載なし |
| 尾灯・制動灯・ハイマウントストップランプ・サイドウインカー | 電球の設定なし(LED) | 販売店で交換 |
取扱説明書が「ご自身で交換できます」として挙げるのは、車幅灯・フロントウインカー・ヘッドランプ・番号灯・リヤウインカーの5か所。いずれも(バルブタイプ)と断ってある。同じ節には、破損のおそれがあるので販売店での交換をすすめる但し書きも付く。
電球かLEDかの線引きは、仕様表の注記「表に記載のないランプはLEDを採用しています」がメーカー側の答えになる。
KSP210という型式が指す車
KSP210は1KR-FE(1.0Lガソリン)・FFの型式だ。取扱説明書の車両仕様表にはKSP210・MXPA10・MXPA15の3型式が載り、1.0LはKSP210だけ、MXPA10とMXPA15は1.5LのM15A-FKS、AWDはMXPA15にしかない。2026年4月の主要諸元表でも1.0L・2WDの車両型式は5BA-KSP210-AHXGKと5BA-KSP210-AHXNKの2つで、KSP210に4WDは存在しない。
グレードは2026年2月時点でZ・G・X・Uの4つ(UはKINTO専用)だが、1.0Lの設定があるのはGとXだけ。サフィックスはGがAHXGK、XがAHXNKで分かれる。発売当初(2019年12月の主要諸元表)はG・X・X“Bパッケージ”の3グレードだった。
バルブメーカーの適合表はどこも「R2.2(2020年2月)〜/MXPH・MXPA10・15・KSP210」を1つの区分として扱っていて、KSP210だけを切り出した行はない。IPFの適用表はハイブリッドのMXPH14・MXPH17も同じ行に含めている。つまり口金の規格は排気量では分かれない。
ハロゲンかLEDかはグレードで決まる
3灯式フルLEDヘッドランプ(マニュアルレベリング機能付)+LEDターンランプ+LEDクリアランスランプは、トヨタ公式のグレード別主な標準装備比較表ではZに標準、GとUにメーカーオプション、Xには設定がない。フルLEDリヤコンビネーションランプとセットのメーカーオプションで、価格は82,500円(消費税抜き75,000円)。標準側の呼称は「プロジェクター式ハロゲンヘッドランプ(マニュアルレベリング機能付)」だ。
ここでKSP210の事情が効く。Zは1.5L専用、Uにも1.0Lの設定がない。KSP210でヘッドランプがLEDになるのはGにメーカーオプションを付けた個体だけで、Xは全車ハロゲン。中古で買ってグレードしか分からなくても、Xと分かった時点でヘッドランプ・車幅灯・前後ウインカーは電球と確定できる。
オプションはセットなので、ヘッドランプをLEDにすると車幅灯(クリアランスランプ)とフロントウインカー、リヤウインカーまで一緒にLEDへ移る。取扱説明書がこの4か所すべてに(バルブタイプ)と(LEDタイプ)を併記しているのはそのためだ。LED専門店のウインカー用商品も、対応車種を「ハロゲンヘッドランプ車」と書いてLEDヘッドランプ装着車を非対応にしている。
ヘッドランプはHIR2の1種類だけ
ハロゲン仕様のヘッドランプバルブはHIR2の12V55W。日星工業(POLARG)の適合表はロービーム欄にHIR2・12V55Wを記載してハイビーム欄を「-」とし、fcl.も同じくハイビームは空欄、LIGHT COLLECTIONは「設定なし」と明記している。IPFの適用表も片方の欄だけが埋まる形だ。ハイビーム専用のバルブは設定されておらず、用意する規格はHIR2の1種類で足りる。LED仕様のヘッドランプには、どの適合表も交換用バルブの品番を出していない。
規格名が合っていても製品の外形で入らないことはある。小糸製作所は、既発売のLED VホワイトHIR2タイプ(アクア/ヴィッツハイブリッド専用・品番P832510)について、バックカバー一体型のためヤリスとC-HRには装着できないと案内している。HIR2という表示だけでなく、車種対応の記載まで見る。なお日星工業の適合表がロービームに併記する「KOITOノーマル球 製品No 0-35」も小糸製作所の製品番号だ。
ウインカーはT20ピンチ部違い
前後とも取扱説明書の値は21Wで、適合表の口金はT20ピンチ部違い・12V21Wのアンバー。ただし前後どちらも(バルブタイプ)と(LEDタイプ)に分かれるので、LEDヘッドランプのオプション車は交換の対象外になる。
日星工業(POLARG)の適合表はフロントの適合品番を「7-29 or 7-32」と2通り併記し、リヤも「LED or T20ピンチ部違い」で品番は同じ2通りだ。同じ「T20ピンチ部違い」という呼び方でも中身が分かれるため、呼称だけで選ばず品番か現車のバルブ形状まで合わせる。
21Wの電球をLEDに替えると消費電力が大きく下がり、車両側が球切れと判断して点滅が速くなることがある。抵抗を追加するか、LED対応のウインカーリレーに替えるか、抵抗内蔵の製品を選ぶかのいずれかで対処する。前だけ、後ろだけの交換でも起きる。
車幅灯・番号灯・室内灯のT10
車幅灯と番号灯
どちらも適合表ではT10、取扱説明書のワット数は5Wで一致する。注意したいのは取扱説明書の車幅灯の行が「ハロゲンヘッドランプ装着車」に限定されている点で、LEDヘッドランプのオプション車はクリアランスランプもLEDになり、交換対象から外れる。適合表側はこの分岐を書き分けていないので、表の値だけを見て買うと外す。
室内灯
日星工業(POLARG)の適合表では、フロントがLED、ミドルがT10×31で12V8W、リア(ラゲッジ)がT10で12V5W。取扱説明書のリヤインテリアランプ8W・ラゲージルームランプ5Wと一致する。トヨタ公式の主要装備一覧表も照明の欄を「ルームランプ(バルブ)・フロントパーソナルランプ(LED)」と書き分けていて、電球が入るのは中央と荷室側の2か所だと分かる。
フォグのL1BとバックランプのLW5B
この2か所は純正LEDでありながら、ユニットを外さずバルブだけ差し替えられる規格を持つ。フォグランプはL1Bで、IPFの適用表とfcl.の適合表が形式をL1Bと記載し、LIGHT COLLECTIONは「LED(L1B)」と表記する。日星工業(POLARG)は「LED」とだけ書いて規格名までは出していない。白と黄色を切り替えられるタイプの製品もある。
L1Bには但し書きが2つ付く。IPFとfcl.はどちらも純正バイカラーLEDフォグランプ装着車は装着不可とし、fcl.はさらに「フォグランプ装着車に限り取付可能」と書いている。型式5BA-KSP210・令和2年3月登録の実車で純正LEDフォグランプ装着車が確認されているので設定自体はあるが、バンパーにフォグが埋まっているかを先に見る。
バックランプ(後退灯)はLW5Bで、fcl.は「タイプA(LW5B) 1個」、LIGHT COLLECTIONは「LED(LW5B 1個)」と記載する。個数はどちらも1個。ただしタイプの呼称は資料によって食い違いがあるため、規格名と個数までを控えて、タイプの別は購入前に販売元へ確認したい。トヨタ公式の主要装備一覧表では、LEDバックアップランプ(リヤバンパー埋込式)が全車標準装備だ。
なお取扱説明書は、フロントフォグランプと後退灯を販売店で交換する側に分類している。適合表に交換用バルブの規格があっても、メーカーは自分で作業する前提を置いていない。
販売店で交換する灯火
取扱説明書の「トヨタ販売店で交換が必要な電球」は11項目だ。ヘッドランプ(LEDタイプ)、車幅灯(LEDタイプ)、LEDデイライト、フロントフォグランプ、サイドウインカー、フロントウインカー(LEDタイプ)、リヤウインカー(LEDタイプ)、尾灯、制動灯、後退灯、ハイマウントストップランプ。グレードやオプションによる装備の有無がある旨の注記も付く。
尾灯・制動灯・ハイマウントストップランプ・サイドウインカーは、どの仕様を選んでもバルブ交換の対象にならない。トヨタ公式の主要装備一覧表でもLEDバックアップランプとLEDハイマウントストップランプは全車標準で、リヤコンビネーションランプは標準がLEDテール&ストップランプ、メーカーオプションでフルLEDになる。オプションで変わるのはリヤウインカーが電球かLEDかという部分だけだ。
買う前に確認する順番
まず車検証で型式がKSP210であることと初度登録年月を見る。次にグレードで絞る。Xならハロゲンで確定、Gならメーカーオプションの有無で分かれる。消灯した状態でヘッドランプのレンズを外から見て、奥に口金付きの電球が見えればバルブタイプ、基板や導光体が見えればLEDタイプだ。オプションのLEDヘッドランプはLEDクリアランスランプが組み合わせになるので、ランプ内に細く光る帯があるかも手掛かりになる。最後は取扱説明書の手順どおりにソケットを外し、電球の根元の刻印を読んで確定させる。
日星工業(POLARG)の適合表には、年式・型式・タイプ・グレードが一致していても特別仕様車等の条件で記載と異なる場合があるので、購入前に車両に装着されている電球の形状・定格との一致を確認するように、という但し書きが付く。「or」で2通り併記されている箇所についても現車確認を求めている。LIGHT COLLECTIONの適合表にも同じ趣旨の注記がある。適合表は候補を絞る道具で、最後の答えは現車が持っている。
作業時の注意も取扱説明書に書いてある。消灯直後は高温になっているので冷めてから触る。電球のガラス部は素手で触らず、やむを得ず持つときは乾いた清潔な布などを介して油脂や水分を付けない。電球と固定部品はしっかり取り付ける(不十分だと発熱や発火、内部への浸水による故障、レンズ内の曇りにつながる)。ヘッドランプはソケットを軽くゆすってぐらつきがないこと、点灯させて取り付け部から光がもれていないことまで見る。
よくある質問
ヘッドライトはH4ですか
違う。ハロゲン仕様のヘッドランプはHIR2で12V55W、取扱説明書の記載も「バルブタイプ:HIR2」だ。H4と書かれた商品は別の車種向けになる。
ハイビーム専用のバルブはありますか
無い。日星工業・fcl.・LIGHT COLLECTION・IPFのいずれもハイビーム欄が空欄、「-」、「設定なし」で、ハイビーム専用の品番は出ていない。ヘッドランプで買う規格はHIR2だけだ。
自分のKSP210がハロゲンかLEDか、どう見分けますか
グレードが先だ。XならLED仕様は存在しないのでハロゲンで確定する。Gの場合はメーカーオプションの装着次第なので、消灯した状態でランプの中を見て、電球の口金が見えるか基板や導光体が見えるかで判断する。
1.5Lやハイブリッド用と書かれた商品は使えますか
バルブメーカーの適合表はKSP210もMXPA10・15もMXPHも同じ区分で扱っているので、口金の規格という意味では同じ行を読むことになる。ただし商品側は「ハロゲンヘッドランプ車」に限る、ハイブリッド車は非対応、といった書き方をしているものがある。分かれるのは排気量ではなくヘッドランプの仕様だ。
GRヤリス用のバルブは流用できますか
できない。GRヤリス(GXPA16/MXPA12)はどの適合表でも別の行で、IPFの適用表には適合不可の注記が付く。ヤリスクロス(MXPJ1#・MXPB1#)も年式区分から別扱いになっている。
まとめ
KSP210で買うものは、ヘッドランプがHIR2(ハロゲン仕様のみ)、前後ウインカーがT20ピンチ部違い、車幅灯と番号灯がT10、フォグがL1B、バックランプがLW5Bを1個、室内は中央がT10×31で荷室側がT10。まずグレードでハロゲン仕様かLED仕様かを決めて候補を1つに絞り、その品番をメーカーの適合表と現車の電球で最終確認してから買う、という順番で動けば外さない。
Zがなく、GとXの2グレードしかないKSP210は、車名だけで探すより絞り込みが速い。車検証のグレード欄を見るところから始めればいい。

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