ラッシュ(J200E・J210E)のナビ環境は個体ごとの差が大きい。走行中に使えない純正ナビ付きの車もあれば、古いディーラーオプションナビやオーディオレスのまま流通している車もある。ただ、選び方はどの個体でも「純正メーカーオプションナビを部品で拡張する」か「200mm窓口に社外2DINナビを載せ替える」かの2ルートに収束し、どちらに進むかは年式と今のナビの種類で決まる。機種を探す前に、まず自分の個体がどちら側かを確定させるのが近道だ。
ナビ選びは「純正の拡張」か「社外2DINへの換装」の2ルート
先に全体図を示す。メーカーオプションナビ用パーツの適合表では、ラッシュのメーカーオプションナビは2006年1月〜2010年6月に設定されていたG-BOOK対応HDDナビ(ナビ型番26017)だけで、2010年7月〜2016年3月は「メーカーオプション設定なし」と明記されている。一方、取付キットメーカーが公開しているラッシュ用の取付情報では、オーディオ取付口は年式を問わず「200mm窓口付車」に分類され、オーディオレス車も同じ区分に入る。つまり純正ナビを拡張できるのは2010年6月までのHDDナビ搭載車だけで、それ以外の個体はすべて社外2DINナビへの換装ルートだ。
| 今のナビの状態 | 進むルート | 使う部品 |
|---|---|---|
| メーカーオプションのG-BOOK対応HDDナビ付き | 純正ナビを拡張 | テレビ&ナビキット(TN-117系)/外部入力アダプター(ADP-10系) |
| ディーラーオプションナビ・社外ナビ付き | 社外2DINナビへ換装 | 取付キット(NKK-Y50D) |
| オーディオレス | 社外2DINナビを新設 | 取付キット(NKK-Y50D) |
200mm窓口の考え方や必要な配線は、ほかのトヨタ車と共通する部分が多い。判断材料として次の記事も使える。
自分のラッシュがどちらのルートかを判定する
ラッシュは2006年1月17日発売のコンパクトSUVで、型式は2WD(FR)がJ200E、フルタイム4WDがJ210E。エンジンは3SZ-VE型 直列4気筒DOHC 1495cm3だ。取付キットメーカーが適合対象として扱う範囲も2006年1月〜2016年3月のJ200E・J210Eで、中古で流通する個体はほぼこの中に収まる。駆動方式はナビ選びに関係しないので、判定に使うのは年式とナビの種類の2つでいい。
年式で見る
標準装備ナビやメーカーオプションナビの適合は、車種・型式・年式で確認する方式で、これらは車検証から読み取れる。メーカーオプションナビの設定があるのは2010年6月までで、2010年7月以降の個体には設定自体が無い。つまり2010年7月以降の車にナビが付いていればディーラーオプションか社外品、付いていなければオーディオレスであり、いずれも換装ルート側だ。
画面まわりの型番で見る
2010年6月以前の個体でナビが付いている場合は、液晶画面の周囲を確認する。NまたはDから始まるナビ型番が記載されていればディーラーオプションナビで、メーカーオプションナビ向けのパーツは適合しない。メーカーが案内している適合確認の手順でも、標準装備ナビ・メーカーオプションナビは車検証の車種・型式・年式で、ディーラーオプションナビ・社外ナビは画面まわりのナビ型番で確認する、と役割が分かれている。年式と画面まわりの両方を見れば、自分の個体がメーカーオプションHDDナビ付き・ディーラーオプションか社外ナビ付き・オーディオレスのどれなのかは確定できる。
テレビ&ナビキットで走行中の操作制限を外す(拡張ルート)
メーカーオプションのG-BOOK対応HDDナビが付いた個体で、地図や案内には不満が無いなら、まず候補になるのがテレビ&ナビキットだ。テレビ&ナビキットのメーカー商品情報では、TN-117系はラッシュJ200E・J210Eの2006年1月〜2010年6月に搭載されたG-BOOK ALPHA トヨタ純正メーカーオプションHDDナビ向けのハーネスキットで、取り付けると走行中にテレビとDVDが見られるようになり、ナビ操作もできるようになる。スイッチはパネル取付タイプ(サイズSとL)と貼り付けタイプから選べる。今回取り上げるTN-117HWは、スイッチが貼付タイプで発色が白の仕様だ。
前提として押さえておきたいのは、走行中のテレビ視聴やナビ操作は同乗者のための機能だということ。運転者は運転に集中する必要がある。後席や助手席に家族を乗せる時間が長い車ほど、効き方が大きい部品だと考えればいい。
ケーズシステム TN-117HW ラッシュ J200E・210E用 テレビ&ナビキット(貼付タイプスイッチ・白)
テレビキットで操作制限を外す仕組みは、他のトヨタ車でも共通している。仕組みから知りたい場合は次の記事が使える。
外部入力アダプターで純正ナビに映像入力を足す(拡張ルート)
同じG-BOOK対応HDDナビ搭載車で、走行中の操作よりも「つなげる機器を増やしたい」が主目的なら外部入力アダプターだ。メーカーオプションナビ用パーツの適合表では、ADP-10はラッシュの2006年1月〜2010年6月・ナビ型番26017のG-BOOK対応HDDナビに適合し、取付場所はTVモニター裏側。地デジ・ワンセグチューナーやDVDプレーヤーといった映像機器を純正ナビにつないで再生できるようにする部品だ。
長さは3種類あり、ADP-10が全長1m、ADP-10-2が全長2m、ADP-10-5が全長5m。端子はいずれもRCAオスで、1mと2mにはメス変換プラグが付属する。選び分けは機器の置き場所で決まる。モニター裏に収まる範囲で完結するなら1m、グローブボックスやコンソール側まで引き回すなら2m以上が扱いやすい。余った長さは内装の中で処理することになるから、機器の設置場所までの距離を先に測っておきたい。
ケーズシステム ADP-10 ラッシュ純正メーカーオプションナビ対応 外部入力アダプター 全長1m
取付は、接続先に差さっている車両側コネクタを一度抜き、アダプターのコネクタと差し替える方式。適合表に記載のない車種やナビに装着した場合、正常に機能しないだけでなく故障の原因になるとメーカーが明記しているので、年式とナビ型番の確認を飛ばしてはいけない。
社外2DINナビへの換装は200mm窓口と専用キットが前提(換装ルート)
2010年7月以降の個体、ディーラーオプションナビ付き、オーディオレスの車はこちらだ。取付キットメーカーが公開しているラッシュ用の取付情報では、2006年1月〜2016年3月のJ200E・J210Eのオーディオ取付口は「200mm窓口付車」に分類される(オーディオレス車も含む)。車両側の開口は200mmワイド。市販の社外ナビは幅180mmの2DIN(または1DIN+1DIN)を収める形で、開口との幅の差を埋める車種別の取付キットを併用して取り付ける。
取付キットメーカーの製品情報では、ラッシュ用のキットはNKK-Y50D。互換品としてKK-Y45DⅡとUA-Y50Dが挙げられており、互換製品の適合は販売元の案内で確認するよう注記されている。NKK-Y50Dには左右のパネル、電源/フロントスピーカー用コネクター(10P)、リアスピーカー用コネクター(6P)、車速用配線コネクター(5P)、アンテナ電源用変換コード、固定用のネジ類(M5×8が4本、φ5×10タッピングが4本、M4×5が2本)が入っていて、取付口まわりの部材と車種別配線が1箱にまとまっている。
ナビ本体の機種は、幅180mmの2DIN機であることを前提に選ぶ。個別の機種が自分の車に付くかどうかは、各ナビメーカーの適合検索と販売店での確認で確定させる。年式で配線事情が変わる車種や、同じ2DINワイド系の車の選び方は次の記事が参考になる。
換装で効いてくる配線の注意と制約
キットがあっても、配線まわりでつまずく余地は残る。取付情報に挙がっている注意点を先に押さえておく。
- 車速信号は付属の車速用配線コネクター(5P)で車両側とつなぐ
- 社外ナビ側のアンテナ電源端子がJEITA以外(平端子)の場合は、付属のアンテナ電源用変換コードを使う
- 橙/白線はイルミネーション電源で、イルミネーション電源の入力が無いナビでは接続しない。接続しない端子は絶縁処理する
- ギボシ端子は最後まで差し込み、コネクターはカチッと鳴るまで差し込む
もうひとつ大きいのがステアリングスイッチだ。NKK-Y50Dにステアリングリモコン用の配線は付属しないから、キット単体では純正ステアリングスイッチの操作は社外ナビへ引き継がれない。使い続けたい場合は、対応部品の要否と自分の年式・グレードでの可否を、機種を決める前に販売店で確認しておく。取付キットメーカー自身も、取付には専門知識と経験が必要なこと、別途加工が必要になる場合があること、販売店で現車を見て取付可否を判断してもらうことを注意事項として挙げている。
取付作業の流れと、自分でやるか任せるかの分かれ目
作業の流れ
取付情報に沿うと手順はこう進む。シフトをNに入れてキーをOFFにし、輪止めをかけ、バッテリーのマイナス端子を外すところから始める。センターパネルはフック11箇所で留まっており、配線コネクター4本を外して取り外す。続いてエアコンユニット3点、純正ブラケット左右の順に外す。社外ナビに純正ブラケットとキット付属パネルを重ねて固定したら、車速用(5P)・リアスピーカー用(6P)・電源/フロントスピーカー用(10P)の各コネクターとアンテナプラグ変換コードを接続。はめ込んだら純正ネジで左右を固定し、センターパネルとエアコンユニットを戻して完了だ。取り外した純正ネジは再使用するので保管しておく。
安全手順と依頼の判断
作業前後の安全側の決まりも取付情報に明記されている。車両は最低2輪に輪止めをする。バッテリーはマイナス端子を外してから作業し、マイナス端子とプラス端子を接触させない。はめ込み後はマイナス端子を仮接続して動作確認し、問題が無ければ本締めする。
フック11箇所のパネル脱着から配線接続まで工程は多く、メーカーが専門知識と経験を求める作業だ。内装の脱着に慣れていないなら、キットとナビを用意して取付は販売店・業者に任せる判断が現実的だ。現車を見てもらえば、加工の要否や取付可否もその場で確定する。
拡張と換装、どちらに投資するかの判断基準
分岐の最後は投資判断だ。基準は4つに整理できる。
- 今のナビの地図・案内が実用に足りているか
- かかる費用と作業量をどこまで許容できるか
- スマホ連携や地図更新をどれだけ重視するか
- 自分の個体で適合が確定しているか
地図と案内が現役で使えていて出費を抑えたいなら、純正ナビを残したまま機能を足す拡張が噛み合う。スマホ連携や新しい地図が主目的なら、拡張では届かないので換装に進む。そしてどちらのルートでも最後の決め手は「自分の個体で適合が確定しているか」だ。適合表とキット商品情報の線引きどおり、テレビ&ナビキットや外部入力アダプターが使えるのは2006年1月〜2010年6月のG-BOOK対応HDDナビ装着車だけで、2010年7月以降の年式・オーディオレス車・ディーラーオプションナビ装着車は対象外。この線引きを外れた組み合わせは、最初から選択肢に入らない。
よくある質問
2010年7月以降のラッシュでもテレビキットや外部入力アダプターは使えるか
使えない。メーカーオプションナビ用パーツの適合表では、対象は2006年1月〜2010年6月のG-BOOK対応HDDナビ(ナビ型番26017)装着車に限られる。2010年7月以降はメーカーオプションナビの設定自体が無いので、ナビ環境を変えたければ社外2DINナビへの換装ルートで考える。
自分のナビがメーカーオプションかディーラーオプションかを見分ける方法は
液晶画面の周囲を見る。NまたはDから始まるナビ型番が記載されていればディーラーオプションナビで、メーカーオプションナビ向けのパーツは適合しない。メーカーが案内している適合確認の手順では、標準装備ナビ・メーカーオプションナビは車検証の車種・型式・年式で、ディーラーオプションナビ・社外ナビは画面まわりのナビ型番で確認する、と分かれている。
社外ナビに替えると純正のステアリングスイッチはどうなるか
取付キットNKK-Y50Dにステアリングリモコン用の配線は付属しないので、キット単体では操作は引き継がれない。純正スイッチを使い続けたい場合は、対応部品の要否と自分の年式・グレードでの可否を販売店で確認してから、ナビの機種と部品構成を決める。
適合表に無い年式やナビに取り付けたらどうなるか
正常に機能しないだけでなく、故障の原因になるとメーカーが明記している。特に外部入力アダプターは車両側コネクタを差し替える取付方式だから、適合しない組み合わせで流用する選択肢はない。購入前に車検証の年式・型式と画面まわりのナビ型番の両方を確かめておく。
まとめ:ルートは年式とナビの種類で決まっている
ラッシュ(J200E・J210E)のナビ選びは、機種比較の前に個体の判定で決まる。2006年1月〜2010年6月のG-BOOK対応HDDナビ装着車なら、テレビ&ナビキットTN-117系や外部入力アダプターADP-10系で純正ナビを拡張するルート。2010年7月以降の年式、オーディオレス車、ディーラーオプションナビ装着車なら、200mm窓口に取付キットNKK-Y50Dを使って社外2DINナビを載せるルートだ。どちらに進むにしても、車検証の年式・型式と画面まわりのナビ型番で適合を確定させてから部品を注文する。迷ったら販売店で現車を見てもらい、取付可否と加工の要否まで確認しておけば、買い直しは避けられる。
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