パッソ M700A のタイヤ交換でよくある見落としは、ジャッキを当てる位置をネットの写真や前に乗っていた車の感覚で決めてしまうことだ。位置の答えは、自分の車の製造時期に当たる取扱書の図にある。そこで指定部位を確かめてから車を上げ、ナットは車を下ろしてから規定トルクで本締めし、走ったあとに増し締めをする。
パッソ M700A のタイヤ交換で先に押さえること
トヨタの公式FAQ(タイヤ交換の方法)は、ジャッキを取扱書に記載の指定部位にセットして車体を持ち上げるよう案内している。FAQのページそのものにはジャッキ位置の図も数値も無く、ジャッキの位置も締め付けトルクも、取扱書に記載のものに従うという扱いだ。作業は地面が固く平らな場所で行い、外すタイヤの対角線上のタイヤに輪止めをする。
最終的な答えは手元の取扱書にある。そのうえで、ネットで拾える手掛かりは次の2つになる。
- ジャッキアップポイントの目印: 姉妹車ブーンを社用車にしている自転車店のブログ(年式・型式の記載なし)は、側面の左右にある小さな切り込みを車載ジャッキ用の目印として紹介している。M700A で同じかは取扱書の図で確かめる(後の節で詳しく書く)。
- 締め付けトルク: MYGラボはパッソ M700系(2WDのM700A・4WDのM710A)のホイールナットの締付トルクを103N·mとしている。メーカーの資料ではないので、取扱書の値と照らして使う。
対象の車と純正のタイヤ・ホイール
ここで扱うのは3代目パッソのうち2WDのM700Aだ。中古車販売のガリバーの車種カタログでは、M700A のモデルの販売期間は2016年4月〜2023年10月となっている。
取扱書は製造時期別に6冊ある
トヨタが公開しているパッソの取扱書の一覧では、2016年4月以降のパッソの取扱書が製造時期別に6冊に分かれている。
- 2016年4月〜2017年2月
- 2017年3月〜2018年9月
- 2018年10月〜2021年3月
- 2021年4月〜2022年3月
- 2022年4月〜2022年7月
- 2022年8月〜2023年10月
ジャッキの指定部位と締め付けトルクは、自分の車の製造時期に当たる冊で確かめる。別の時期の冊で済ませない。
純正のタイヤとホイールの寸法
| 項目 | 値 | 出典と範囲 |
|---|---|---|
| タイヤサイズ | 165/65R14 79S | MYGラボ。掲載グレード(X系・MODA系)の純正として1種類 |
| タイヤサイズ | 165/65R14 | タイヤワールド館ベストのサイズ表。3代目(M700/M710A・2016年4月〜) |
| タイヤサイズ | 165/65R14(前後とも) | ガリバーの車種カタログ。MODA(2019年10月〜2021年4月・型式5BA-M700A・FF) |
| ホイールサイズ | 14×5.0J+35 | MYGラボ。パッソ M700系の純正(M700AとM710Aで同じ値) |
| PCD・穴数 | 100mm・4穴 | 同上 |
| ハブ径 | 54mm | 同上 |
タイヤ販売店のタイヤワールド館ベストのサイズ表では、3代目パッソの13・15・16・17インチの欄に純正サイズの記載は無く、185/55R15などは「適応サイズ」としての掲載だけだ。インチアップのサイズは純正サイズとして扱わず、装着できるかは販売店で確かめる。
作業の前に車載品と道具を確かめる
車載品は自分の車で確かめる
車載品は車種や時期で違いがある。作業を始める前に、ジャッキ・ジャッキハンドル・ホイールナットレンチ・応急用タイヤまたはパンク修理キットが自分の車のどこに在るかを見ておき、使い方を製造時期に当たる取扱書で確かめておく。
参考になる例はある。姉妹車ブーンを社用車にしている自転車店のブログでは、そのブーン(年式・型式の記載なし)の車の後方に、車載ジャッキ・ジャッキを回すハンドル・けん引金具・空気入れ(コンプレッサー)・パンク補修キットが装備されていたという。具体的な収納場所の記載は無く、パッソ M700A の全車・全年式で同じ装備かは確かめられていない。
ダイハツの販売会社(ダイハツ千葉販売)の店舗ブログは、パンク修理キットの搭載位置はトランクルームの下か助手席の足元のフロア下で、車種によって異なるとしている。2022年のキャンバスやマイナーチェンジ後のタントのように、ジャッキが付いていない車種もあると紹介している(パッソについての記載は無い)。修理キットは接地面に釘やねじが刺さった程度の軽いパンクの応急修理用で、使った場合は必ずタイヤ交換が要る。
荷室の使い方そのものは
にまとめている。
ジャッキと工具の向き不向き
- 車載ジャッキ(パンタジャッキ): 先の自転車店のブログは、応急用程度で安定性が低い道具としている。四隅を1か所ずつ上げるので、4輪を替えるなら4回の上げ下げになる。
- フロアジャッキ: 前後をまとめて上げられることがあるが、M700系パッソでは前側のポイントに届かなかった例がある(次の節で詳しく書く)。ジャッキの届く距離を作業前に確かめる。
- トルクレンチ: JAFの解説は、規定トルクで締めるにはトルクレンチを使うとし、車に積んでおくと便利としている。
夏タイヤとスタッドレスの4輪を毎シーズン自分で替えるなら、車載ジャッキだけで回すより、前側まで届くことを確かめたフロアジャッキとトルクレンチをそろえたほうが作業の見通しが立つ。パンクに備えるだけなら、車載品の場所と使い方を知っておくことが先だ。
ジャッキポイントの見つけ方と当て方
車載ジャッキで使う側面のポイント
姉妹車ブーンを社用車にしている自転車店のブログ(年式・型式の記載なし)は、ジャッキアップポイントを側面4か所と底面2か所の計6か所と紹介している。車載ジャッキで使うのは側面の4か所で、左右の小さな切り込みが目印だという。車体から出ている縦線を車載ジャッキの切り込みに合わせると、ジャッキが回らずに安定するとしている。
このブログには年式の記載が無い。M700A で同じ位置・同じ目印かは、取扱書の図で確かめてから当てる。
フロアジャッキで使う前後のポイント
同じブログは、油圧ジャッキなどで上げる前方・後方のポイントは取扱書に記載があり、分かりやすい加工がされているとしている。
一方、M700系パッソのオーナーの整備記録(2018年11月の作業)では、フロアジャッキで前後2輪ずつ上げようとしたところ、前側のジャッキアップポイントがエンジンの後ろ側で遠く、手持ちのフロアジャッキでは届かなかった。そのオーナーは前輪を油圧式のパンタジャッキで1輪ずつ上げ、後輪はフロアジャッキで上げて交換している。
フロアジャッキを使うなら、前側のポイントまでジャッキの先が届くかを、上げる前に車の横から確かめる。届かないからといって、手前の別の部分で代用しない。
指定部位以外に当てない
乗りものニュースの記事は、ジャッキは取扱書に載っているジャッキアップポイントなど車体を持ち上げられる部分にかけるもので、ほかの部分にかけると車体の重みで車を壊す可能性があるとしている。ジャッキだけで車を支えると、ジャッキが外れたときに挟まれる危険もある。リジッドラック(車体を支える台)を使うのが望ましく、用意できない場合は交換用のタイヤとホイールを車体の下に置いて備えるとしている。
タイヤ交換の手順
7段の流れ
JAFの解説(パンク時に応急用タイヤへ替える手順)をもとに、流れを7段に分ける。
- 周囲の安全を確かめ、ほかの車の邪魔にならない場所に止める
- 交換するタイヤから見て対角のタイヤに輪止めを置く
- ホイールキャップがあれば外し、ホイールナットをわずかに緩める
- 指定のジャッキアップポイントにジャッキを当て、タイヤが路面から少し浮く高さまで上げる
- ナットを外してタイヤを付け替える
- ナットを付け、タイヤがぐらつかなくなるまで2〜3回に分けて仮締めする
- 車体を地面に下ろし、ジャッキを外してから本締めする
各段で守ること
- 止めたら: 乗りものニュースの記事は、パーキングブレーキを確実にかけ、シフトをパーキングに入れ、輪止めをかけてから始めるとしている。
- 緩めるとき: 先の自転車店のブログも、ナットは必ずジャッキで上げる前に緩め、本締めは車を下ろしてから行うとしている。トヨタの公式FAQは、レンチを足で踏んで回さないことを注意点に挙げている。
- 上げている間: 同じブログは、車体の下に頭や体を入れないこと、車載のパンタジャッキは油圧機能が無く長さも足りないので、下回りの作業のために車を上げる用途には使わないことを挙げている。
- 走行直後: トヨタの公式FAQは、ホイールやブレーキが高温になっているので、やけどに注意するとしている。
作業時間は、同じブログの目安で1輪約15分・4輪で約1時間。寒い時期は暖かい日中に作業するのがよいとしている。
ナットの締め方と締め付けトルク
締める前の清掃と手での仮締め
トヨタの公式FAQの手順では、使用中のホイールに合った専用のホイールナットを使い、ナットとホイールの接触面とネジ部の汚れを拭き取ってから取り付ける。ナットにつぶれ・亀裂・錆があれば販売店で点検を受ける。まず手で仮締めし、引っかかりがあれば販売店で点検を受ける。乗りものニュースの記事も、ナットをはめる前に内側に息を吹きかけるなどして、異物を噛み込まないようにするとしている。
対角線の順で2〜3回に分けて締める
トヨタの公式FAQは、取扱書の順序(対角線の順)で2〜3回に分けて締め付け、最後に規定のトルクで締めるとしている。乗りものニュースの記事は、ナットは地面に近い位置から対角線の順に締め、車を下ろした後にトルクレンチで規定トルクに締めて完了としている。
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説は、トルクレンチでまず規定トルクの約半分で各ナットを仮締めし、その後に規定トルクで締め上げるやり方を紹介している。ナットが4本のホイールは十字型に対角線の順で締める。MYGラボの値ではパッソ M700系の純正ホイールは4穴なので、この十字型の順が当てはまる。
締め付けトルクの値と出典の扱い
MYGラボは、パッソ M700系(2WDのM700A・4WDのM710A)のホイールナットの締付トルクを103N·mとしている。姉妹車ブーンを社用車にしている自転車店のブログ(ブーン/パッソとして紹介・年式の記載なし)も、ホイールの指定トルクを103N·mとしている。2つの値はそろっているが、どちらもメーカーの資料ではない。自分の車の取扱書の値と照らしてから使う。
JAFの解説は、無理に締め付けるとボルトが破損する場合があるとしている。トルクレンチが無い場合は、できるだけ早くガソリンスタンドや整備工場で規定トルクの本締めをしてもらう。
交換後の増し締めと異常のサイン
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説は、整備工場やタイヤ販売店の多くが、タイヤ交換後50〜100km走行したあたりでのホイールナットの増し締めを勧めているとしている。ナットが緩むと、最悪の場合は走行中にホイールが外れることもある。
緩む理由と締めすぎの害
同じ解説によると、走行中の車重・回転・温度変化・段差の衝撃で座面がずれ、締まり具合が変わることがある。ネジ部や接触面のゴミ・砂・錆は、正しく締まらない原因(偽のトルク)になる。締めすぎもよくない。ネジ山のつぶれ、ホイールスタッドの伸び、ブレーキローターやハブの歪みにつながる。規定トルクは車種ごとに異なる、ともしている。
実際にナットが動いた例
先の自転車店のブログは、交換後100km走ったらトルクレンチで増し締めを確かめるよう勧めている。筆者の例では、16か所のナットのうち6か所が約5度動いたという。仮締めと本締めを手順どおりにしても、走れば動くことがあると見ておく。
異常を感じたら
トヨタの公式FAQは、交換後に普段と違う音がするなどの異常を感じたら、すぐに販売店へ相談するよう勧めている。
社外ホイールに替えるときの注意
社外ホイールは、前の表のPCD・穴数・ハブ径(MYGラボによるパッソ M700系の純正の値)と照らしてから選ぶ。
ナットは、トヨタの公式FAQのとおり使用中のホイールに合った専用のものを使う。MYGラボの適合データには、ナットのネジ径・ピッチ・座面の形・二面幅は載っていない。ナットの規格は、手元の出典では断定できない。ホイールを買う店で、そのホイールに合うナットを確かめる。
M700系パッソのオーナーの整備記録では、純正のスチールホイールから社外のアルミホイールに替える際に、用意しておいたハブリングを取り付けている。ハブリングが要るかも、ホイールを買う店で一緒に確かめておく。
タイヤのサイズも変えるなら、前の節のとおり、インチアップのサイズは純正サイズとして扱わずに販売店で装着できるかを確かめる。
自分で作業しない選択肢
乗りものニュースの記事は、年に2回程度しか作業しないなら、費用と安全面の両方からディーラーや整備工場、カー用品店に任せるのがおすすめとしている。トヨタの公式FAQも、作業に自信がない場合は販売店やガソリンスタンドに依頼することを勧めている。道具をそろえるのは、増し締めまで自分で回す気があるときでいい。
パンクのときは事情が違う。JAFの解説は、工具や応急用タイヤが無い場合や、整備に不慣れで自信がない場合は、無理をせずJAFに任せるよう案内している。応急用(テンパー)タイヤはあくまで応急用で、パンクしたタイヤは早めに修理し、修理できなければ交換する。
ダイハツの販売会社の店舗ブログも、スペアタイヤへの履き替えにはジャッキが要り、スペアタイヤが無ければレッカーでサービス工場へ運ぶとしている。応急処置ができない・対処が分からないときは、JAFや任意保険のロードサービスを使う。
よくある質問
ジャッキポイントはどこにある?
姉妹車ブーンを社用車にしている自転車店のブログ(年式・型式の記載なし)では、側面4か所と底面2か所の計6か所とされ、車載ジャッキは側面の左右の小さな切り込みが目印だ。M700A で同じかは、製造時期に当たる取扱書の図で確かめる。
締め付けトルクはいくつ?
MYGラボはパッソ M700系(2WDのM700A・4WDのM710A)で103N·mとしているが、メーカーの資料ではない。取扱書の値と照らして使う。
増し締めはいつする?
コンチネンタルの解説では、整備工場やタイヤ販売店の多くが交換後50〜100km走行したあたりを勧めている。トルクレンチで規定トルクを確かめる。
フロアジャッキは使える?
M700系パッソのオーナーの整備記録では、後輪はフロアジャッキで上げられたが、前側のポイントはエンジンの後ろ側で遠く、手持ちのフロアジャッキが届かなかった。前後2輪を同時に上げられるとは考えず、届く距離を作業前に確かめる。
車載ジャッキが見当たらないときは?
パッソ M700A の全車・全年式で同じ装備かは確かめられていない。製造時期に当たる取扱書で車載品の有無と場所を確かめ、無ければ店に頼むか、JAFや任意保険のロードサービスを使う。
まとめ
まず、やり方を1つに決める。車載ジャッキで1輪ずつ替えるか、前側まで届くことを確かめたフロアジャッキとトルクレンチで替えるか、店に任せるかだ。決めたら、製造時期に当たる取扱書(M700A は6冊のうちの1冊)で、ジャッキの指定部位と締め付けトルクを最終確認してから作業に入る。
- ジャッキは取扱書の指定部位に当て、地面が固く平らな場所で対角線上のタイヤに輪止めをする
- ナットはホイールに合った専用のものを使い、汚れを拭き取って手で仮締めしてから、対角線の順で2〜3回に分けて締める
- 本締めは車を下ろしてから規定トルクで行い、走ったあとに増し締めをする

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