パッソ M700A(3代目・2WD)の荷室は、デッキボードを外して床を一段下げる手と、後席を倒して奥行きを伸ばす手の2つで広がる。ただしどちらも、作業に入る前に自分の個体の仕様を確かめる必要がある。後席の可倒方式は2種類あって倒す操作が押すと引くで正反対だし、デッキボードの下も車によって中身が違うからだ。
荷室を広げる2つの手と、先に確かめること
トヨタの取扱説明書(2016年4月版)では、パッソのリヤシートは折りたためると明記され、一体可倒シートと分割可倒シートの2種類それぞれについて倒し方が別々に載っている。同じ M700A でも後席の可倒方式は1つではない。荷室の床板であるデッキボードも取り外せる作りで、外すと床が一段下がり、背の高い荷物が入る。
自動車情報メディアの実測記事によると、後席を立てた状態の奥行きはおよそ505mm、後席を格納すると約1,410mmまで伸びる。先に確かめるのは、後席のフックが押す仕様か引く仕様か、そしてデッキボードの下がデッキボックスかスペアタイヤかの2点だ。グレード名で決めつけず、手を動かして判別する。
荷室の広さと積める荷物
後席を立てたときと倒したとき
自動車情報メディアの実測記事と、内装を実車で確認した解説記事は、後席を立てた状態の荷室を奥行き505mm・幅1,230mm(最も広い部分)・高さ780mmとしている。後席を格納した状態は奥行き1,410mm・幅1,230mm・高さ780mm。奥行きは約900mm伸びる計算になる。どちらもメーカー公表値ではなく実測値なので、「約」の幅で受け取っておく。
積める量の目安として、後席を立てたままでも引越しで使う160サイズの大型段ボールが積めるとされ、大型のスーツケースも入るとされる。分割可倒シートの車なら、片側だけ倒して長い荷物と乗員を両立できる。
室内長と荷室の奥行きは別物
カタログ諸元の室内寸法は室内長1,975mm・室内幅1,420mm・室内高1,270mm。この室内長はダッシュボード後端から荷室後端までの計測値で、荷室そのものの奥行きではない。車体は全長3,650mm・全幅1,665mm・全高1,525mm、ホイールベース2,490mm、乗車定員5人(2WD・X・CVT、2016年4月〜2018年9月製造の諸元)。5ナンバーのコンパクトカーの枠の中で積み方を考えることになる。
倒しても床は平らにならない
内装を実車で確認した解説記事は、シートを倒して使うときに後部座席と荷室の床のあいだに段差ができる点を弱点として挙げている。長い板や薄い箱は段差をまたぐ形になるため、間に毛布やマットを挟んで水平を作る前提で積み方を組み立てたほうが早い。
デッキボードの外し方と下の作り
外す手順と、やってはいけないこと
取扱説明書の手順は、デッキボードを持ち上げて手前に引いて取りはずす、というもの。工具はいらない。ただし荷物を載せた状態での操作は、指をはさむなど思わぬ事故につながるとして禁じられている。破損を防ぐため、ボードの上に立ったり無理な力をかけたりしないことも注意書きにある。荷物を降ろしてから外すのが前提だ。
デッキボックスがある車とない車
取扱説明書の停止表示板の収納場所の説明では、タイヤパンク応急修理キット装着車はデッキボックスへ、応急用タイヤ装着車はデッキボード下へ、と書き分けられている。前者は仕切りのある小物収納が、後者は応急用タイヤが下に入っている。デッキボックスには星印が付き、グレードやオプションで装備の有無があると明記されている。
トヨタのパッソ特別仕様車カタログ(2022年8月)の注記にも、スペアタイヤを選ぶとタイヤパンク応急修理キットとデッキボックスが非装着になる、とある。スペアタイヤを取るか、床下の小物収納を取るかの二者択一という関係だ。同カタログの主要装備一覧ではモーダ系に6:4分割可倒リヤシート、デッキボックス、タイヤパンク応急修理キットなどが並ぶが、これはモーダ系を対象とした一覧であって、Xシリーズを含む全グレードの標準装備を示すものではない。自分の車の中身は、デッキボードを外して見るのが早い。
後席の倒し方は押すか引くか
倒す前の2つの準備
準備は2つ。1つ目はシートベルトの格納で、リヤ左右席はベルトをベルトハンガーにかける(中央席は取扱説明書の別項の方法による)。2つ目はヘッドレストをいちばん下まで下げること。取扱説明書は、背もたれを倒す前に必ずシートベルトを格納するよう注意している。
操作の条件も決まっている。走行中にリヤシートを操作しない。平坦な場所でパーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPに入れる。可動部や結合部に手や足をはさまないようにする。倒した背もたれや荷室に人を乗せて走らない、子どもが荷室に入らないよう見ておく。取扱説明書が、守らないと重大な傷害または死亡につながるおそれがあるとして挙げている項目だ。
一体可倒は押す、分割可倒は引く
一体可倒シートは、両手で同時にシートバックフックを押して背もたれを前方に倒す。左右2か所のフックを同時に押す形なので、片手だけでは倒れない。分割可倒シートは逆で、シートバックフックを引いて前方に倒す。6:4に分かれているため、片側だけ倒して長い荷物を積みつつ、もう片側を座席として使える。
押して動かないなら引く仕様、引いて動かないなら押す仕様と考えてよい。トヨタ系サブスクのオウンドメディアの解説ではXが一体可倒式・モーダが6:4分割可倒式と説明されているが、Xを分割可倒式と記載する資料もあって一致していない。グレード名で断定せず、フックの操作で見分けるほうが速い。フックは背もたれの肩口にあり、荷室側からでも手は届くが、内装を実車で確認した解説記事はリヤドアを開けて後席側から操作するほうが楽だとしている。荷物を積む前に倒しておくと作業が短く済む。
もとに戻すときの確認
戻す手順は、背もたれを起こして固定し、リヤシートベルトをベルトハンガーからはずす、の2つ。ハンガーにかけたまま走るとベルトを正しく着用できない。戻したあとは、シートを前後に軽くゆさぶって固定を確かめ、シートのあいだにベルトをはさんでいないか見る。半固定のままだと衝突時に背もたれが前へ倒れるおそれがある、と取扱説明書が警告している。
積んではいけないもの、置いてはいけない場所
取扱説明書の積載ルールは、そのまま実用の線引きになる。荷物はできるだけ荷室に積む。運転席の足元、助手席や後席(荷物を積み重ねる場合)、インストルメントパネル、ダッシュボード、フタのない小物入れやトレイには積まない。室内に積んだ荷物はすべて安定させる。ペダル操作の妨げ、視界の妨げ、乗員への衝突を防ぐための線だ。
禁止事項も明快で、燃料が入った容器とスプレー缶は引火のおそれがあるため積まない。シート背もたれより高い物を荷室に積まない——急ブレーキや事故のときに投げ出され、乗員を傷付けるおそれがある。後席を倒して寸法の長い荷物を積むときは、できるだけ前席背もたれの真うしろを避ける。荷室に人を乗せるのも禁じられている。段差の話と合わせると、長物は左右どちらかに寄せ、前席の真後ろを空ける積み方に落ち着く。
荷室まわりの純正用品は先に1つ選ぶ
トヨタの純正用品カタログでは、荷室の床に敷く用品は重ね使いを前提にしていない。設定条件が、ラゲージソフトトレイ=除くラゲージトレイ付車、ラゲージトレイ=除くトランクマット・ラゲージソフトトレイ付車、トランクマット=除くラゲージトレイ付車、と互いを排除する形になっている。3つのうち1つを選ぶ関係なので、買い足しではなく最初に用途を決める。
濡れた物や泥・砂の付いた物を運ぶことが多いなら、防水仕様で外周縁が車内への水滴の浸入を抑える4層ラミネート生地のラゲージソフトトレイか、軟質オレフィン樹脂で拭き取りやすいラゲージトレイ。日常の汚れ防止と見た目の落ち着きを取るなら、水洗いもできるポリプロピレン製のトランクマット(カーペットタイプ)。床以外では、荷室を目隠しして日光からも荷物を守るトノカバー(カバーの上に物は置かない)、バックドアを開けると白色LEDが点灯するラゲージルームランプ(荷室右側に設置・装着に穴あけ加工が必要なので販売店へ頼む)、積み降ろしでバンパー上部をこすりやすいならプロテクションフィルム(リヤバンパー用・L63×W738mmのウレタン製)がある。金額はカタログ自身が販売店で定めると注記しているため、ここでは扱わない。
荷室に載らない小物は車内側へ回す
取扱説明書の収納装備一覧には、助手席シートアンダートレイ(星印)、ドアポケット、ボトルホルダー、アッパーボックス/グローブボックス、アームレストポケット、小物入れ(星印)、カップホルダーの7か所が並ぶ。転がると困る小物はフタ付きの収納へ、荷室は箱物と大物へと分けると、フタのないトレイに物を置かないという積載ルールとも噛み合う。特別仕様車カタログの装備一覧では、モーダ系に助手席アッパーボックス(フタ付)+センタートレイや助手席シートアンダートレイが並ぶ。
星印の装備はグレードやオプションで有無が変わり、ここで参照した一覧も2022年8月時点のカタログのもの。年式ごとの一部改良までは追えていないため、装備の有無は自分の車の取扱説明書と実車で突き合わせて確かめる。
よくある質問
後席のフックが動かないときはどうすればよいか
力任せに引く前に、逆の操作を試す。取扱説明書は一体可倒シートを押す、分割可倒シートを引くと書き分けている。一体可倒は左右2か所を両手で同時に押す形なので、片手で片側だけ押しても動かない。
デッキボードの下にスペアタイヤが入っているのはなぜか
応急用スペアタイヤを選んだ車だからだ。特別仕様車カタログの注記では、スペアタイヤを選ぶとタイヤパンク応急修理キットとデッキボックスが非装着になる。デッキボックスは星印の装備で、全車に付くわけではない。
自分の車が M700A かどうかはどこで確認できるか
車検証の「型式」欄で確認する。3代目パッソは2WDが M700A、4WDが M710A で型式が分かれ、販売期間は2016年4月から2023年10月まで。4WD や先代パッソの数値・装備をそのまま当てはめない。
後席を倒すと荷室はフラットになるのか
ならない。実車で確認した解説記事が後部座席と荷室の床の段差を指摘している。奥行きは実測で505mmから1,410mmへ伸びるが、床の高さがそろうわけではない。
まとめ
最初の一手は、車検証で型式と初度登録年月を確認し、対象が M700A(2WD)かを見ること。そのうえで後席のフックを押して・引いて可倒方式を確かめ、デッキボードを外して下がデッキボックスかスペアタイヤかを見る。ここまでで自分の車の荷室の作りが決まる。
荷室の床に敷く純正用品は3つのうち1つを選ぶ関係なので、濡れ物中心か日常の汚れ防止かを決めてから注文する。倒す・外す・敷くの3つは、どれも自分の個体を見てから動いたほうが空振りしない。

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