同じ GDJ76W でも、走行中だけ録るのか駐車監視まで使うのかで、電源をどこから取るかは変わる。走行中だけなら車内で完結し、駐車監視まで狙うならエンジンルームまで作業が伸びる。この車は電装品用の電源が容量の数値つきで公開されているので、まず自分がどちら側かを決めれば、取り付け場所も配線経路もそこから一本道になる。
電源は3系統ある。狙いで先に決める
GDJ76W でドラレコの電源になりうるのは次の3系統だ。駐車監視をやるかどうかで、選べるものが半分に減る。
| 電源 | 場所 | 容量の上限 | 駐車監視 |
|---|---|---|---|
| アクセサリーソケット | 車内 | DC12V/10A(120W)未満 | 使えない |
| 充電用USB Type-C端子 | 車内 | DC5V/3A(15.75W) | 使えない |
| 室内ヒューズボックス | 助手席足元 | 実車のヒューズ容量による | 常時電源が取れれば可 |
| アクセサリコネクタ | エンジンルーム | 合計240W以下 | 向いている |
前2つはエンジンスイッチが “ACC” か “ON” のときだけ通電するので、駐車監視の常時電源には使えない。
対象は2023年11月以降のディーゼル車
この記事が扱うのは車両型式 3DA-GDJ76W-RKTNY、グレードは AX の1本、エンジンは 1GD-FTV(総排気量2.754Lの直列4気筒ディーゼル)で乗車定員5名の個体だ。駆動方式はパートタイム4WD、変速機は6速オートマチック。2014年から2015年に売られた4.0Lガソリンの再販車とは電源まわりの装備が違うので、そちらの取り付け記事の手順をそのまま持ち込まない。
エンジンスイッチはキーをまわす方式で、”LOCK”・”ACC”・”ON”・”START” の4か所を行き来する。取扱説明書には、”ACC” が電装品の一部、”ON” がすべての電装品を使える位置と書かれている。作業中はキーを “LOCK” にしておくのが基本だ。電源系は12Vで、始動用バッテリーはボンネット内にある。再販の GRJ76K を見ている人は、装備の並びから確認したほうが早い。
本体を貼る位置は2つの基準で決まる
貼付位置はメーカーが示す禁止範囲と、法令が認める範囲の両方を同時に満たす場所になる。片方だけ見て決めると、もう一方で外れる。
メーカーが数値で示す禁止範囲
取扱説明書は、フロントウインドウガラスの前方カメラ前部に、透明なものを含めてステッカーなどを貼り付けないよう指示している。その範囲は数値で示されていて、横方向は前方カメラ中心から左右約10cm(計約20cm)、縦方向はガラス上端から前方カメラ下端より下約1cmまで。本体だけでなくブラケットも両面テープも、この範囲に入れない。
この車の前方センサーは2種類ある。フロントグリル側のレーダーと、フロントウインドウガラス側の前方カメラで、後者はレーンディパーチャーアラートやオートマチックハイビームにも使われている。禁止範囲に物を貼ると、前方カメラの視界がさえぎられたとしてマルチインフォメーションディスプレイに警告メッセージが出る。取り付け後に警告が出たら、まず貼った物の位置を疑う順序になる。
同じく前方カメラを避けて配線した例は、他車でも考え方が共通する。
法令が認める範囲
国土交通省が定める保安基準の細目告示では、乗車定員10人未満の乗用車について、前方用カメラを貼ってよい場所が定められている。運転者が V1点 から前方を見たときに車室内後写鏡(ルームミラー)で遮へいされる範囲か、試験領域Bとその水平方向への拡大領域以外の範囲だ。ただし書として、前面ガラス上縁からガラス開口部実長の20%以内、または下縁から150mm以内であればこの限りではないとされている。GDJ76W は定員5名なのでこの区分に入る。
同じ告示は、視野の範囲にあたる部分の可視光線透過率を70%以上と定めてもいる。実際の落としどころは、ルームミラーの陰に隠れる位置か、ガラス上端寄りの帯のなかで、なおかつ前方カメラ前部の禁止範囲を外した場所になる。フロントガラスは合わせガラスでトップシェード付きなので、上端寄りに置くなら色の入った部分にレンズがかからないかも仮固定の段階で見ておく。
電源の取り方3通り
作業の順番は、キーを “LOCK” にする、本体を仮固定して映る範囲と貼付位置を確定する、そのあとで電源を決める、という並びにする。位置が決まる前に配線を始めると、長さが足りずにやり直しになる。
A:アクセサリーソケットとUSB端子で済ませる
取扱説明書はアクセサリーソケットを、DC12V/10A(消費電力120W)未満の電気製品を使うときの電源と説明していて、作動するのはエンジンスイッチが “ACC” または “ON” のときだ。充電用USB Type-C端子は DC5V/3A(消費電力15.75W)の電源で、こちらは充電専用でデータ転送はできない。どちらもエンジンが停止した状態での長時間使用は避けるよう書かれている。
配線が室内に出たままになるぶん見た目は割り切ることになるが、内装を外さずに済む。まず映りと画角を確かめたい段階ではこれで足りる。
B:助手席足元のヒューズボックスから取る
取扱説明書が挙げるヒューズボックスは4か所で、エンジンルームのバッテリー後方、エンジンルームのアクセサリコネクタ、助手席足元のカウルサイドパネル、助手席足元のインストルメントパネルだ。室内側のヒューズボックスは運転席側ではなく助手席足元にあるので、運転席の足元をのぞき込んで見つからなくても正常だ。作業はエンジンスイッチを “LOCK” にしてから行う。
どのヒューズがACC系か常時系かは、ここで番号を名指ししない。実車のヒューズボックスの表示を読み、通電を測って決める手順のほうが確実だからだ。電装パーツメーカーのエーモンの解説によれば、ヒューズには平型・ミニ平型・低背の3種類があり、純正ヒューズと同じ形状で同じ容量のヒューズ電源を使う。ヒューズ電源には差し込む向きがあり、ヒューズを抜いて両端子を検電テスターで調べ、反応する側が電源側なので、そこにヒューズ電源のコード側が来るように差す。アース線は金属部分につなぐ。
交換時は表示に従って規定容量のヒューズを使い、純正か同等品以外は使わない。トヨタ車の取り付け手順の流れを別車種で見ておくと、作業の段取りが掴みやすい。
C:エンジンルームのアクセサリコネクタから取る
この車で一番わかりやすい電源がこれだ。取扱説明書はアクセサリコネクタを各種電装品の電源として使うものと明記していて、端子は常時通電(+)、エンジンスイッチ “ON” 時通電(+)、”ACC” 時通電(+)、アース(−)の4つとヒューズで構成される。常時電源とACC電源とアースが1か所で揃うので、駐車監視の配線をまとめやすい。
容量も数値で決まっている。消費電力の合計は240W以下(DC12Vで最大電流20A以下)、端子ごとの上限は常時通電端子が DC12V/11A(132W)、”ON” 時通電端子と “ACC” 時通電端子がそれぞれ DC12V/6A(72W)だ。使う機器の消費電力をこの枠に収める。
条件も併記されている。規定容量以外のヒューズやヒューズ以外のものを使わない、純正ヒューズか同等品を使う、ヒューズやコネクタを改造しない、通電端子に水がかからないよう常時フタを閉めておく、接続した電線を隣接端子に接触させない、取り付けの際は端子を緩みなく締め付ける。引き換えに、エンジンルームから車内へ配線を通す作業が増える。
配線を通すときの線引き
配線をピラーや天井のすき間に沿わせるとき、この車には手をつけてよい範囲と、そうでない範囲がある。取扱説明書は、前方カメラの取り付け位置や向きを変えないこと、インナーミラーなどの前方カメラ周辺部品や天井を改造しないことを求めている。ミラー付近の部品を外したり天井に穴を開けたりする経路は選ばない、というのが実務上の線引きになる。
アシストグリップは天井側が回転式、ピラー側が固定式で、装備一覧ではフロント3個・リヤ4個と記載されている。ピラー側にも固定式が付くので、内張りに沿わせるときはグリップの取り付け部を避ける。取扱説明書は電装品の取り付け・取りはずしを販売店への相談事項としているため、内装を大きく分解する前に相談先を持っておくと戻せなくなる事態を避けられる。
配線を固定したら、ペダル操作の邪魔にならないか、視界を横切っていないかを座って確認する。
リアカメラを付けるなら先に確認すること
この車は自動防眩インナーミラーがバックモニターの表示器を兼ねている。取扱説明書によると、エンジンスイッチが “ON” のときにシフトレバーを R にすると画面が表示され、カメラはナンバープレートの上側にある。ミラーに被せる型のドラレコを選ぶなら、装着後に純正バックモニターの映像を見られるかどうかを製品側の仕様で先に確かめる。純正ミラーの取り外しや加工を伴う装着方法は、前述の改造禁止に触れるので選ばない。
後方カメラをガラス内側に貼るなら、バックドア開閉時の配線の遊びを取っておく。
駐車監視で気をつけるバッテリーまわり
取扱説明書は、エンジンを停止した状態でアクセサリコネクタを長時間使わないよう求めている。車を使っていない間もバッテリーは一部の電装品と自然放電で少しずつ減っていて、長時間放置すれば始動できなくなる。この車は押しがけができないので、上がったら救援車とブースターケーブルが要る。
そのうえバッテリー端子をはずすとコンピューターの記憶情報が消えるため、端子の脱着は販売店に相談するよう書かれている。駐車監視をやるなら、設定電圧を下回った時点で給電を切る仕組みが機器側に要る、というのがこの車での結論だ。
夏の車室内も条件に入る。取扱説明書は機器を車室内に放置しないよう求めていて、前方カメラも炎天下の駐車で高温になると警告が出る場合があるとしている。耐熱の記載がある機器を選ぶ理由はここにある。
自分でやるか販売店に頼むか
取扱説明書は冒頭で、電装品や無線機の取り付け・取りはずしを販売店に相談すべき場合として挙げている。理由は電子機器部品への悪影響や、故障・車両火災につながるおそれがあることだ。あわせて、純正品以外を取り付けたことに起因する問題は保障しないとも明記されている。
もうひとつ、この車ではっきり禁じられているのが故障診断コネクターへの電装品の取り付けだ。いわゆるOBD分岐ハーネスで電源を取る方法は、この車の取扱説明書の指示から外れる。他車の取り付け事例で見かけても、GDJ76W では選ばない。
線引きの目安はこうだ。走行中だけ録るなら自分で終わり、ヒューズ電源までは検電テスターと内張りはがしがあれば手が届く。エンジンルームから車内へ配線を引き込む工程は失敗したときの戻しにくさが一段上がるので、迷ったら店に出す判断でいい。
よくある質問
室内のヒューズボックスは運転席側にありますか
助手席足元にある。取扱説明書がヒューズボックスの場所として挙げているのは、エンジンルームの2か所と、助手席足元のカウルサイドパネル、助手席足元のインストルメントパネルだ。運転席側を探しても見つからない。
OBD(故障診断コネクター)から電源を取ってもよいですか
取扱説明書が、故障診断コネクターに点検整備用の故障診断装置以外の電装品を取り付けないよう明記している。電子機器への悪影響やバッテリーあがりの原因として挙げられているので、別の電源を選ぶ。
ミラー型のドラレコは付けられますか
純正インナーミラーが後退時のモニター表示を兼ねているため、被せたときに純正映像を確認できるかが分かれ目になる。製品側の仕様を先に確認し、純正ミラーの取り外しや加工が要る方法は避ける。
Aピラーにエアバッグはありますか
装備一覧と公式の安全装備ページに記載があるのは運転席・助手席のSRSエアバッグで、カーテンシールドエアバッグの記載は確認できていない。ただし記載がないことを根拠に内張りを自由に外してよいとは言えないので、ピラーをさわる作業は販売店への相談を挟むのが妥当だ。
シガーソケットから取ると駐車監視はできますか
できない。アクセサリーソケットが通電するのはエンジンスイッチが “ACC” または “ON” のときだけで、キーを抜けば切れる。駐車監視には常時通電する電源が要る。
まとめ
まず駐車監視を使うかどうかで候補を1つに絞る。走行中だけならアクセサリーソケットかUSB端子、常設にするなら助手席足元のヒューズ電源、駐車監視まで使うならエンジンルームのアクセサリコネクタだ。絞ったら、使う機器の消費電力がその電源の上限(常時通電端子は DC12V/11A・132W、合計240W以下)に収まるかを取扱説明書の数値で最終確認する。
貼付位置は、前方カメラ中心から左右約10cm・ガラス上端から前方カメラ下端より下約1cmまでの禁止範囲を外し、保安基準の細目告示が認めるルームミラーの陰かガラス上縁側の帯に置く。この2つを重ねた場所が、この車での取り付け位置になる。

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