MH34S型のワゴンRとワゴンRスティングレーのタイヤ交換は、使うジャッキと積んでいる装備によって段取りが分かれる。車載のパンタグラフジャッキで上げるか、ガレージジャッキで上げるかで、かける位置の案内が分かれている(詳しくはジャッキの節)。出先のパンクでは、スペアタイヤを積んでいるか、パンク修理剤を積んでいるかで、その場でできることが変わる。まず自分の車の荷室の床下と取扱説明書を開き、どちらに当てはまるかを確かめてから読み進めてほしい。
MH34Sのタイヤ交換で先に押さえる3つのこと
- ジャッキは取扱説明書に記載された指定の部位(ジャッキアップポイント)にかける。 タイヤ情報サイトのワゴンRの解説では、車載のパンタグラフジャッキはサイドシルの補強されたリブにかけるとしているが、取扱説明書の図で確かめた位置ではない。
- ホイールナットは、MH34Sを作業した整備店の記録や情報サイトで85N·mとされている。ただしどれもメーカーの取扱説明書を引用元として示していないので、締める前に取扱説明書の値を確かめる。
- 交換したら、50〜100kmを目安に走ってから増し締めする。
それぞれの理由と確かめ方は、下の節で順に書く。
この記事の対象車とグレードごとのタイヤサイズ
型式と発売の時期
スズキの発表では、この世代の新型ワゴンRは2012年9月6日に、ワゴンRスティングレーは2012年9月19日に発売された。2WD車は前輪駆動で、ワゴンR FX の2WD車の車両重量は780kgと発表されている。
中古車情報サイトのカタログ諸元では、型式 DBA-MH34S のワゴンRとワゴンRスティングレーは、平成24年9月(2012年9月)〜平成29年2月(2017年2月)のモデルとして載っていて、2WD(FF)と4WDがある。この記事の値と手順はMH34Sに向けたもので、MH44Sなどほかの型式や別の世代のワゴンRにそのまま当てはめないでほしい。
グレードごとのタイヤサイズと指定空気圧
同じカタログ諸元で確かめた、4つのグレードのタイヤサイズと車両重量は次のとおりだ。
| グレード(カタログ諸元の条件) | 駆動 | タイヤサイズ(前後とも) | 車両重量 |
|---|---|---|---|
| ワゴンR FX(レーダーブレーキサポート装着車・2015年8月〜2017年2月) | FF | 155/65R14 75S | 780kg |
| ワゴンR FX(セットオプション装着車) | 4WD | 155/65R14 75S | 830kg |
| ワゴンR FXリミテッド | 4WD | 155/65R14 75S | 840kg |
| ワゴンRスティングレー T(CDプレーヤー装着車・2012年9月〜2013年7月) | 4WD | 165/55R15 75V | 870kg |
同じMH34Sでも、この4つの中に14インチと15インチがある。 表に無いグレードのタイヤサイズは、ここでは確かめていない。替えのタイヤやホイールを用意する前に、自分の車のグレードとタイヤサイズを見ておく。
タイヤの指定空気圧は、運転席ドアの開口部などに貼られた空気圧のラベル(ステッカー)で確かめられる。グレードやタイヤサイズで指定値が異なる場合があるので、実車のラベルを見るのが確実だ。ホイールを替えるカスタムを考えているなら、
もあわせて読んでほしい。
車載工具の置き場所とスペアタイヤの有無
MH34Sスティングレーのオーナーの記録では、スペアタイヤは積まれておらず、代わりにパンク修理剤とエアコンプレッサーが積まれていた。そのほかにL型レンチとパンタジャッキがあり、車載工具は車の一番後ろのスペース(荷室)に積まれていた。スズキの販売会社の解説でも、修理キットやジャッキは荷室の下のトレイを外すと出てくる例が紹介されているが、置き場所は車種によって異なるとしている。
年式・グレード・オプションでちがう可能性があるので、出かける前に自分の車の荷室の床下を開けて確かめておく。 スペアタイヤを積んでいない車では、出先でパンクしてもその場でタイヤを付け替えることはできない。そのときの手順は、後の「出先でパンクしたとき」の節で書く。荷室の使い方は
も参考になる。
ナットを回す工具のサイズも見ておきたい。タイヤ情報サイトのワゴンRの解説では、純正のホイールナットは二面幅(レンチのサイズ)19mm、ねじの径とピッチは M12×P1.25、座面は60度テーパー座としている。足回りの情報サイトのMH34Sの締め付けトルクの記事でも、純正ナットには一般に19mmのソケットを使うとしている。どちらもメーカーの資料の引用ではないので、社外ホイールやナットに替えている車は、そのナットに合う工具を使う。
ジャッキをかける位置(車載ジャッキとガレージジャッキ)
ジャッキは、車の取扱説明書に記載された指定の部位など、車体を持ち上げられる部分にかける。作業の前に、取扱説明書でジャッキアップポイントの場所を確かめておく。
車載のパンタグラフジャッキをかける位置
タイヤ情報サイトのワゴンRの解説では、車載のパンタグラフジャッキは、サイドシル(車体の横の下側)にある指定位置を使い、補強されたリブ(板状の出っ張り)をジャッキポイントとしている。ただし、メーカーの取扱説明書の図で確かめた位置ではない。前後どこにかけるかは、実車の取扱説明書の図を見てから決める。
ガレージジャッキを使うときの位置
同じタイヤ情報サイトの解説では、ガレージジャッキ(フロアジャッキ)で持ち上げるときは、フロントはサスペンションメンバー(エンジン下の骨格)の中央付近、リアはトーションビーム(左右のタイヤをつなぐ車軸)の中央とし、ラテラルロッドにはかけないよう注意している。車載ジャッキをかける位置とはちがう。
ただ、MH34Sの2WD・4WDそれぞれの後ろ側の形は、この記事の出典では確かめていない。リアにかける位置は、実車の取扱説明書や販売店で確かめる。持ち上げた後は、必ずウマ(リジッドラック・ジャッキスタンド)をかけて車体を固定してから作業する。
作業前の準備:停める場所・輪止め・やけど
作業は、ほかの車の邪魔にならない、地面が硬く平らで安全な場所に停めて行う。交換するタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかけ、 ジャッキアップしても車が動かないようにする。右前を替えるなら左後ろ、左後ろを替えるなら右前に輪止めをかける形だ。
走行した直後は、ホイールやブレーキのまわりが高温になっているので、やけどに注意する。また、レンチは足で踏み込んで使わない。
タイヤ交換の6つの手順
車載ジャッキを使い、ホイールごと付け替える場合の順番だ。
1. ホイールナットを少しだけ緩める
ホイールキャップが付いている場合は外す。ジャッキアップする前に、タイヤが地面に着いた状態で、レンチを使ってホイールナットを少しだけ緩めておく。
2. ジャッキで車を持ち上げる
ジャッキアップポイントを確かめてジャッキをかけ、タイヤが路面から少し離れるまで持ち上げる。
ジャッキで上げた車の下に体を入れない。 ジャッキだけで車を支えていると、ジャッキが外れて車が落ちたときに挟まれる危険がある。下に入る作業では、ウマで車体を支える。
3. ナットを外してタイヤを外す
ナットをすべて外してからタイヤを外す。外したタイヤは、安全のために車体の下へ置いておく。
4. 取り付け面の異物を取ってホイールをはめる
付けるホイールをはめる前に、取り付け面に異物が噛み込まないよう、息を吹きかけるなどして取り除く。
5. ナットを対角線の順に仮締めする
ナットは対角線の順に締めていく。ナットが4本のホイールなら十字の対角線順で、地面に近い位置のナットから締め始める。
6. 車を下ろして本締めする
ジャッキをゆっくり下ろして車を着地させ、ジャッキを外してから本締めする。本締めのやり方は次の節で書く。
ホイールナットの締め付けトルクと増し締め
本締めは、トルクレンチで規定トルクに合わせる。タイヤメーカーの解説では、整備士はまず規定トルクの半分の値で各ナットを締め、その後で規定トルク値に設定し直して締めるとしている。車種ごとの規定値は、オーナーズマニュアル(取扱説明書)などに記載されている。
MH34Sの値は、MH34Sを作業した整備店の記録(グーネットピット掲載)で85N·m、足回りの情報サイトで85N·m(870kgf·cm)、タイヤ情報サイトでもワゴンRの各世代で85N·mとされている。3つの記載はそろっているが、どれもメーカーの取扱説明書を引用元として示していないので、締める前に実車の取扱説明書の値を確かめ、その値で締める。
締めたら終わりではない。タイヤを交換したら、交換後50〜100kmを目安に走ってから、ホイールナットの状態を点検して増し締めする。 タイヤ情報サイトのワゴンRの解説も、交換後100kmほど走ったらトルクレンチで締め付けを確認するとしている。
出先でパンクしたとき:パンク応急修理キットの使い方
スペアタイヤを積んでいない車では、パンク応急修理キットで応急の修理をする。以下はスズキの販売会社の解説で、例として挙げられているのはハスラーだ。自分の車のキットで手順がちがわないか、取扱説明書でも確かめておく。
修理キットを使う順番
- 空気入れ口のキャップを外し、専用工具でバルブコアを回して外す
- 修理剤のボトルをよく振って中身をすべて入れ、バルブコアを戻す
- 運転席ドアの空気圧ステッカーで指定空気圧を確かめる
- コンプレッサーをシガーソケットにつなぎ、ACCにしてスイッチを入れ、指定空気圧になるまで入れる(約10分)
- 車速80km/h以下で5kmほど走ってから、もう一度空気圧を確かめる
応急の修理なので、早めにタイヤを交換する。修理剤が付いたアルミホイールは、洗っておかないと錆の原因になる。
修理キットで直せないとき
同じ解説では、約4mm以上の切り傷や刺し傷、タイヤの側面の傷、リムからの外れ、リムの変形・破損があるときや、修理剤の使用期限が切れているときは修理できないとしている。10分以上たっても指定空気圧にならないときは、タイヤがひどく傷んでいるおそれがある。修理キットで空気圧が戻らず走れないときは、JAFや保険のロードサービスを使う。
自分でできる作業と、店に任せる作業
ホイールごと付け替える作業は、自分でもできる。一方で、新しいタイヤをホイールに組む作業(バルブの交換・タイヤの組み付け・バランス調整)は整備店の作業になる。 MH34Sを作業した整備店の記録では、夏タイヤを新品に組み替えてバランスを取り、車両に脱着するまでの作業は約50分で終わっている。
夏タイヤとスタッドレスをそれぞれホイールに組んだ2組を持っているなら、季節ごとの付け替えは自分でやればいい。タイヤそのものを買い替えるときは、組み替えまで店に頼むのが近道だ。
よくある質問
MH34のジャッキポイントはどこで確かめられる?
実車の取扱説明書の図で確かめる。タイヤ情報サイトのワゴンRの解説では、車載のパンタグラフジャッキはサイドシルの補強されたリブにかけるとしているが、取扱説明書の図で確かめた位置ではない。
ホイールナットの締め付けトルクは?
MH34Sを作業した整備店の記録や情報サイトでは85N·mとされているが、どれもメーカーの取扱説明書を引用元として示していない。トルクレンチを使い、取扱説明書の値で締める。
MH34にスペアタイヤは積まれている?
MH34Sスティングレーのオーナーの記録では積まれておらず、パンク修理剤とエアコンプレッサーが積まれていた。年式・グレード・オプションでちがう可能性があるので、荷室の床下を開けて自分の車で確かめる。
増し締めはいつすればいい?
交換後50〜100kmを目安に走ってから行う。季節ごとの付け替えでも、そのたびに必要だ。ライト類の電球も自分で替えたいなら、
が役に立つ。
まとめ:作業の前に確かめること
- 取扱説明書でジャッキアップポイントを確かめ、指定の部位にかける
- 荷室の床下を開け、ジャッキ・レンチと、スペアタイヤか修理キットが積まれているかを見る
- 硬く平らな場所に停め、交換するタイヤの対角に輪止めをかける
- ジャッキだけで支えた車の下に入らない(下に入るならウマで支える)
- トルクレンチで取扱説明書の値に締め、50〜100km走ったら増し締めする
MH34Sで自分でできる作業をほかにも探しているなら、次の記事も参考にしてほしい。

コメント