MH34S型のワゴンRは、後席を前へ倒して前席の背もたれを後ろへ寝かせると、荷室から前席までが一続きの寝床になる。実測レポートでは前席グローブボックスまで最大217cmが取れており、身長170cm台なら足を伸ばして横になれる長さがある。ただし床が平らになるわけではなく、前席の座面と背もたれの境目には深いところで10cm近い落ち込みが残る。マット選びは、この段差を厚みで埋め切れるかどうかで決まる。
寝床は最大217cm|MH34Sの寸法早見表
マットのサイズを決める前に、車体側の数字を押さえておく。カタログの室内長と、実際に寝られる床面の長さは別物で、混同するとマットの長さを間違える。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 全長×全幅×全高 | 3,395×1,475×1,640mm |
| 室内長×室内幅×室内高 | 2,165×1,295×1,265mm |
| ホイールベース | 2,425mm |
| 最低地上高 | 155mm |
| 車両重量 | 780kg(FX・2WD・CVT) |
| 生産期間 | 2012年9月〜2017年2月 |
| エンジン | R06A(658cc・直列3気筒DOHC) |
室内長2,165mmはダッシュボード先端から後端までを測った値で、そのまま寝られる長さではない。前後乗員間距離は1,000mmで、これが後席に座ったときの足元の余裕を決めている。実際に体を預ける面は「後席を倒した床+前席の背もたれ」であり、シートアレンジによって長さが変わる。
| アレンジ | 作り方 | 寝床の奥行き |
|---|---|---|
| 公式フルフラット | 後席背もたれを前へ倒し、前席背もたれを後ろへ倒す | 約175cm |
| 助手席前倒し | 助手席そのものを前へ倒して荷室とつなげる | 約195cm |
| 前席リクライニング併用 | 前席を前へ出して背もたれを後ろへ倒し切る | 最大217cm |
寝床の奥行きは175〜217cm、横幅は50〜110cm、天井までの高さは約90cmというのがMH34Sの実寸だ。横幅が50cmまで細るのは前席の間を通る部分で、荷室側は110cm近くまで広がる。マットの長さは190〜210cm、幅は110cm前後を上限に考えると外さない。
MH34SとMH44Sの違いと、車中泊への影響
中古で買った個体がどちらの型式かは、車検証の型式欄で分かる。マットの適合表記は「MH34S/MH44S系」とまとめられていることが多いが、何が違うのかを知っておくと迷わずに済む。
MH34S(2012年9月〜2017年2月)
5代目ワゴンRの基本型式で、S-エネチャージを積まないモデルに与えられる。搭載エンジンはR06A型の直列3気筒DOHC自然吸気で、最高出力52ps/6,000rpm、最大トルク6.4kg・mを発生する。2012年9月の登場から2017年2月の生産終了まで、前期・後期を通じて設定された。
MH44S(2014年8月〜)
2014年8月のマイナーチェンジでフロントデザインが変更され、後期型へ移行した。このとき追加されたS-エネチャージ搭載車に与えられる型式がMH44Sで、モーター機能付きオルタネーターがエンジンをアシストするマイルドハイブリッドになる。5代目後期でもFXのようなS-エネチャージ非搭載グレードはMH34Sのままで、両者の差はパワートレイン側にある。車体寸法・室内寸法は変わらない。
寝床づくりに型式差はほぼ無い
車中泊の観点では、MH34SとMH44Sで寝床の寸法もシートアレンジの手順も共通と考えてよい。2014年8月の変更はフロントまわりのデザインとパワートレインが中心で、シートの倒れ方や段差の位置に影響する内容ではない。車種専用マットの適合も「MH34S/MH44S系」で一括りにされているのはこのためだ。スティングレーも同じ骨格なので、寝床の作り方は変わらない。
フルフラットにする3つの手順
MH34Sの車中泊は、後席を倒すだけでは完成しない。前席をどう扱うかで寝床の長さが40cm以上変わる。
手順1:荷室を空にして後席を前へ倒す
後席は左右独立の分割可倒式で、前後スライドとリクライニングにも対応する。まず荷室の荷物を前席足元へ移し、床面を空にしてから背もたれを前へ倒す。MH34Sの後席背もたれは前倒しでカチッとロックされ、寝ている間に浮き上がらない構造になっている。ここまでで、後席の背面と荷室床がつながった面ができる。
手順2:前席の背もたれを後ろへ倒す(約175cm)
前席を可能な限り前へスライドさせ、背もたれを後ろへ倒し切る。倒した前席の背面が、後席を倒してできた面と高さを揃える形になり、ここで奥行き約175cmの寝床が完成する。カタログのシートアレンジ図で示されるのがこの状態で、身長170cm前後までなら足を伸ばして眠れる。運転席側だけを立てておけば、荷物置き場として残せる。
手順3:助手席まで使って195〜217cmへ伸ばす
もう少し長さがほしいときは、助手席そのものを前へ倒す。この「助手席前倒し」で奥行きは約195cmまで伸びる。さらに前席のリクライニングを併用し、前席グローブボックスの下まで足先を送り込むと最大217cmに達する。長さは稼げるが、その分だけ足元の幅が細くなるため、身長180cm級の人が使う裏技という位置づけになる。
頭はどちら向きに寝るか
段差の大きい前席側に頭を置くと、寝返りのたびに落ち込みを感じる。段差が小さい荷室側を頭にして寝ると凸凹が気になりにくいので、まず荷室側に枕を置く前提で寝床を組みたい。実際に一度横になり、腰が沈む位置を確かめてからマットの位置を微調整すると失敗しない。
残る段差はどこに、どれだけあるか
MH34Sはフルフラットにしても完全な平面にはならない。どこにどれだけの落ち込みがあるかを数字で知っておくと、必要なマットの厚さが自動的に決まる。
| 段差の場所 | 高低差の目安 |
|---|---|
| 前席の座面と背もたれの境目 | 深いところで10cm近く |
| 前席と後席の高低差 | 約2〜3cm |
| 助手席の裏側 | 約4〜5cm |
| 前席と後席の間の隙間 | 高さ38cm×奥行33〜38cm×横幅50cm |
最大の敵は前席座面と背もたれの境目
前席の背もたれを後ろへ倒すと、座面との継ぎ目にV字の谷ができる。実測で深いところは10cm近くあり、ここが寝床のなかで最も深い落ち込みになる。薄いマットを敷いただけではこの谷が消えないため、厚みで埋めるか、隙間専用のクッションで先に底上げするかの二択になる。腰がこの位置に来ると一晩で腰が痛くなるので、体の位置をずらして膝の下に谷を送るだけでも寝心地は変わる。
前席と後席の高低差は2〜3cm
倒した後席の背面と、倒した前席の背面には2〜3cmの段差ができる。この程度なら5cm厚のマットでも吸収でき、実際にマットを敷いて寝た検証では「シートの凸凹はあまり気にならない」という結果になっている。マットが薄い場合でも、ブランケットを1枚折り重ねて高さを合わせれば実用範囲に収まる。
助手席の裏側は4〜5cm
助手席を前へ倒したとき、その裏側と周囲の床には4〜5cmの高低差が出る。助手席前倒しで長さを稼ぐアレンジを使うなら、この段差も埋める対象になる。荷室側からマットを敷いていくと、ちょうど足先が乗る位置に来ることが多い。
前席と後席の間の空洞
前席と後席の間には、高さ38cm×奥行33〜38cm×横幅50cmの空洞が残る。ここは体重が乗ると沈み込む場所で、厚手のマットで橋渡しするか、硬い板を渡してから上にマットを敷くと沈まなくなる。板を使うなら角を養生してドアトリムやシート表皮を傷つけないようにする。
車中泊マットのサイズと厚さの決め方
寸法と段差が分かれば、マットは長さ→幅→厚さの順で決められる。
| 項目 | MH34Sでの目安 |
|---|---|
| 長さ | 190〜210cm(寝床は最大217cm) |
| 幅 | 1人=60cm級/2人=110cm前後が上限 |
| 厚さ | 5cm=最低ライン/8cm=段差解消の本命 |
長さ:190〜210cmを基準に
寝床の実測長は175〜217cmで、荷室から前席背もたれまでを使う前提なら190〜210cmのマットが収まる。市販の車中泊マットは60×190cm級を2枚組にした製品が定番で、この長さならMH34Sの荷室から前席背もたれの上まで届く。逆に、荷室だけに収めようとして短いマットを選ぶと、大人が足を伸ばす選択肢が消える。
幅:110cmが上限、60cm級2枚が扱いやすい
MH34Sの車内は最も狭い部分で約110cm、長さ約210cmという実測がある。大人2人で横並びに寝るなら110cm前後が物理的な上限で、1人なら60cm級を1枚敷けば足りる。幅60cm級のマットを2枚並べる構成なら、片方だけ前後にずらして段差の位置に合わせられるため、一枚物より調整が効く。1人で使う日は1枚を外して荷物置き場にできるのも利点だ。
厚さ:5cmは最低ライン、8cmが本命
MH34Sで実際にマットを敷いて比較した検証では、5cm厚でも段差はそれなりに解消され、シートの凸凹はあまり気にならなかったと報告されている。一方で8cm厚のマットはサイズ・段差解消・寝心地の3拍子が揃い、2枚を縦横に並べるとぴったり収まったとされる。前席座面の10cm近い谷を抱えるMH34Sでは、寝心地を優先するなら8cm前後、荷室に積みっぱなしにする運用なら5cm級と割り切ると選びやすい。
車種専用マットと汎用マットの使い分け
同じ「車中泊マット」でも、設計思想が違えば埋められる段差も変わる。
車種専用マット
MH34S/MH44S系の凹凸に合わせて厚みを変えた専用設計マットが市販されている。趣味職人の「くるマット」がその代表で、フルフラット時に生じる段差を解消する目的で作られ、複数個のブロックを組み合わせて敷く構成になっている。車種ごとの谷の位置に合わせてブロックの厚みが決まっているため、敷くだけで平面が出るのが専用品の価値だ。価格は汎用品より上がるが、段差との格闘を省ける。
汎用インフレーターマット
バルブを開けると自動で膨らむインフレーターマットは、価格が抑えられ、テントや他の車でも使い回せる。MH34Sで使うなら厚さ8cm前後を基準にして、足りない部分をクッションで補う前提にする。空気を抜いて巻けば荷室の隅に収まるので、5cm級なら積みっぱなしの運用もできる。
すきまクッションで谷だけを埋める
マット全体を買い替えず、段差の位置にだけブロック状のクッションを差し込む手もある。前席と後席の間の空洞(高さ38cm×奥行33〜38cm×横幅50cm)と、前席座面の谷をピンポイントで埋めれば、手持ちの薄いマットでも寝床が成立する。すでにマットを持っている人が最小の出費で寝心地を上げる方法として現実的だ。
マット以外に用意したい車中泊グッズ
寝床ができたら、次は「夜を過ごす」ための装備になる。MH34Sは全高1,640mmで窓が大きく、光と視線の対策が効きやすい。
目隠し:全窓分のサンシェード
フロントだけでなく、リアドア・クォーター・リアゲートまで覆えるセットが要る。外からの視線を切るだけでなく、朝日で早く目が覚める問題にも効く。吸盤式は夜中に落下しやすいので、窓枠にはめ込む車種専用設計品のほうが扱いやすい。カーテンレールを追加して遮光カーテンを回す方法もあり、日常使いと兼ねるならこちらが手軽になる。
照明と電源
室内灯を一晩つけっぱなしにするとバッテリーが上がるため、乾電池式やUSB充電式のLEDランタンを別に用意する。室内高1,265mmのMH34Sならアシストグリップにフックを掛けて光源を目線より上に置ける。スマホの充電や電気毛布を使うなら、ポータブル電源があると車のバッテリーに触れずに済む。エンジン停止中にシガーソケットへ給電されない車両もあるので、事前に通電を確認しておきたい。
換気・虫よけ・季節対策
窓を数センチ開けて換気しつつ、虫の侵入を防ぐウインドーネットを使う。夏はUSBファンで空気を動かし、冬は寝袋の下に断熱マットを重ねて底冷えを防ぐ。車の床は外気で冷えるため、寒い時期は上に掛けるものより下に敷くものを増やすほうが効く。
MH34Sで車中泊する前の注意点
バッテリー上がりとアイドリング
エンジンを止めた状態で室内灯やシガーソケットを使い続けると、翌朝エンジンがかからない事態になる。電装品はポータブル電源から取るのが安全側の運用で、車のバッテリーは始動用に温存する。長く乗っていない個体ほどバッテリーが弱っているので、出発前に状態を見ておく。エンジンをかけたまま眠るのは一酸化炭素中毒と騒音の問題があるため避ける。
荷物をどこへ逃がすか
後席を倒して寝床にすると、荷室は床ごと寝る面に変わり、荷物の置き場が消える。MH34Sには助手席シートアンダーボックスが標準で備わり、座面を持ち上げると収納が現れる。就寝時の荷物は、この助手席下・運転席の足元・立てておいた運転席側の後席の3か所に分散させると、夜中に荷物をどける手間がなくなる。翌朝すぐ使う着替えと洗面具だけは、手の届く位置にまとめておきたい。
駐車場所のルールと傾斜
道の駅やサービスエリアは仮眠を認めていても宿泊を前提としていない施設が多く、キャンプ行為は原則として認められない。車中泊を明示的に受け入れている施設やRVパークを選ぶのが無難になる。あわせて駐車面の傾斜は寝心地を大きく左右する。頭側が下がる向きに停めると眠りにくいので、可能な限り平坦な場所を選び、傾いているなら頭側を高くする向きに停める。
よくある質問
MH34SのワゴンRで大人2人は寝られますか?
寝られる。寝床の横幅は荷室側で110cm近くまで広がるため、大人2人が横並びになる幅は確保できる。ただし奥行きは前席まで使って195〜217cmで、幅が50cmまで細る前席の間には2人分の肩幅が入らない。2人で使うなら荷室側を寝る面の中心にして、頭を荷室側に揃える配置が現実的になる。
身長175cmでも足を伸ばして寝られますか?
伸ばせる。後席前倒し+前席背もたれを後ろへ倒した状態で約175cm、助手席まで前へ倒せば約195cm、前席のリクライニングを併用すれば最大217cmまで伸びる。175cm級なら助手席前倒しまでで十分な余裕が出る。マットは190〜210cmのものを選び、前席背もたれの上まで乗せる前提で敷きたい。
マットの厚さは5cmと8cmのどちらを選べばよいですか?
寝心地を優先するなら8cm、収納性を優先するなら5cmになる。MH34Sは前席座面と背もたれの境目に10cm近い谷が残るため、8cm厚のほうがこの落ち込みを吸収しやすい。実際の比較検証でも、サイズ・段差解消・寝心地の3点が揃ったのは8cm厚だった。5cm厚でも段差は相応に解消されるので、薄手を選ぶならブランケットを1枚重ねて高さを合わせる。
MH34SとMH44Sでマットの適合は変わりますか?
変わらない。MH44SはS-エネチャージを積んだマイルドハイブリッド仕様で、違いはパワートレイン側にある。車体寸法・室内寸法・シートアレンジは共通で、車種専用マットの適合表記も「MH34S/MH44S系」で一括りにされている。スティングレーも同じ骨格なので、同じマットが使える。
前席のヘッドレストは外したほうがよいですか?
外すと段差が減り、寝床がつながりやすくなる。前席の背もたれを後ろへ倒したとき、ヘッドレストが後席の座面や倒した背もたれに当たって倒し切れないことがある。抜いておけば前席をより深く寝かせられ、結果として寝床の平面が広がる。抜いたヘッドレストは荷室の隅か助手席下の収納へ逃がしておく。
マットは車に積んだままにできますか?
5cm厚のインフレーターマットなら空気を抜いて巻けば荷室の隅に収まり、積みっぱなしの運用がしやすい。8cm厚は巻いた状態でも径が太く、後席に人を乗せる日は荷室をかなり占有する。日常的に後席を使うなら、収納サイズを基準に厚さを選ぶ考え方もある。折りたたみ式の硬質マットは畳んだ厚みが出るので、立てて片側に寄せると邪魔になりにくい。
まとめ:長さ→幅→厚さの順で決める
MH34SのワゴンRは、後席を前へ倒して前席の背もたれを後ろへ倒すだけで奥行き約175cmの寝床ができ、助手席まで倒せば約195cm、前席のリクライニングを併用すれば最大217cmまで伸びる。軽自動車としては十分な長さがあり、身長170cm台なら足を伸ばして眠れる。
マットは長さ190〜210cm、幅は1人なら60cm級・2人なら110cm前後を上限に選ぶ。厚さは前席座面の10cm近い谷をどう扱うかで決まり、寝心地なら8cm前後、収納性なら5cm級という分かれ方になる。専用設計マットは敷くだけで平面が出る一方、汎用マットとすきまクッションの組み合わせでも同じ結果に近づける。
寝床が決まったら、全窓のサンシェードで視線と朝日を切り、照明と電源を車のバッテリーから切り離す。この順序で組めば、MH34SのワゴンRでも無理なく一晩を過ごせる。

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