ワゴンR MH34S 荷室収納|積める重さの目安と5つの工夫

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後席を立てたまま買い物袋を置くと、それだけで荷室の床がふさがる。MH34S型のワゴンRは室内高に余裕のあるハイトワゴンだが、後席を使ったままの荷室は奥行きが乏しく、積む順番を決めずに放り込むと荷崩れと積み直しを繰り返すことになる。この世代の荷室で使える量を決めるのは容量表の数字ではなく、どのシートアレンジを選ぶかと、重さの上限をどこに置くかの2点だ。スズキが公表する室内長2,165mmと、車両重量780kgに対する車両総重量1,000kgという数字から、MH34Sの積載を組み立て直す。

目次

MH34Sの荷室を決める数字

MH34S型ワゴンRは2012年9月6日に発売された5代目で、2017年1月まで生産された。荷室の使い方を考える前に、この車の器のサイズを数字で押さえておく。

室内とボディの実寸

項目 数値
室内長 2,165mm
室内幅 1,295mm
室内高 1,265mm
前後乗員間距離 1,000mm
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,640mm
ホイールベース 2,425mm
車両重量 780kg
車両総重量 1,000kg
乗車定員 4名

車両重量と車両総重量はFX・2WD・CVTの数値で、グレードと駆動方式によって変わる。スズキは5代目の開発にあたり、ロングホイールベース化によって室内長2,165mmと前後乗員間距離1,000mmを確保したと発表している。この車で効いてくるのは室内高1,265mmという縦方向の余裕で、床面積で稼げないぶんを高さで取り返すのがMH34Sの荷室の使い方になる

後席の位置で荷室は別物になる

MH34Sの後席は左右独立でスライドし、片手で操作できるワンタッチダブルフォールディング機構を備える。どちらもスズキが5代目の特長として公式に挙げている装備で、荷室の奥行きは固定値ではなく、後席をどこに置くかで連続的に変わる。

後席を最後端に置いた状態の荷室は、買い物袋を数個並べれば埋まる程度の奥行きしかない。ここだけを見て狭い車だと判断すると、荷室の能力を半分も使わないまま乗り続けることになる。後席をスライドさせるのか、片側だけ倒すのか、両側とも倒すのか。この選択が荷室の実効サイズを決める。

日常の使い方に落とし込むと、後席を最後端で固定しておくのは4人乗車の日だけになる。乗員が1人か2人の日が中心なら、後席は前寄りを基本位置にしたほうが荷室は扱いやすい。後席を前へ送っても足元が破綻しないのは、前後乗員間距離1,000mmという設計値に余裕があるからで、人を乗せない日はこの距離を荷室側へ回してしまうという発想になる。

積める重さの上限を車両総重量から逆算する

荷室の話は容積に集中しがちだが、軽自動車では重さの枠のほうが先に尽きる。MH34Sは車両重量780kgに対して車両総重量が1,000kg(FX・2WD・CVT)で、この差は220kgしかない。

220kgという枠の中身

220kgという差は、乗車定員4名に対して1人あたり55kgを掛けた計算値と一致する。軽乗用車の車検証には最大積載量の欄がなく、荷物のための別枠は最初から用意されていない。荷物を積むということは、乗せていない人のぶんの重量枠を借りる行為になる。

大人2名で乗る場合、110kg相当の枠が残る。この約110kgがMH34Sで日常的に積める重さの現実的な目安になる。2Lペットボトル6本入りのケースが約12kgなので、9ケース前後で枠に届く計算だ。米袋、灯油缶、工具箱、キャンプ道具を同時に積むような使い方だと、体積より先に重さで頭打ちになる場面が出てくる。

重い物をどこに置くか

重量物は荷室の床の、できるだけ前寄りかつ低い位置に置く。後輪より後ろの高い位置に重い物を積むと、車体の後ろが持ち上がる方向に荷重がかかり、前輪の接地感が薄くなる。ホイールベース2,425mmという短さは、荷物の置き場所が挙動に出やすいことを意味する。

灯油缶や水のケースのような密度の高い物は、後席を倒した面ではなく、荷室の床に直接置いて後席の背もたれに寄りかからせる。倒した背もたれの上は、軽くてかさばる物の置き場と割り切ったほうが荷崩れも減る。

固定していない荷物は、急制動のときにそのまま前方へ飛ぶ。重い箱ほど固定の優先度は上がるので、荷締めベルトで後席側へ引き寄せるか、コンテナごと壁面に押し付けて動く余地を消す。荷物が転がる音は走行中の異音と紛らわしく、足まわりの不調を疑って余計な点検に走る原因にもなる。積んだ物が動かない状態を作ることは、快適性だけでなく故障診断の精度にも効いてくる。

シートアレンジ別に荷室を使い分ける

MH34Sのシートアレンジには、左右独立リヤシートスライド、ワンタッチダブルフォールディングリヤシート、助手席前倒し機構、フルフラットの4系統がある。積む物の形に合わせて使い分けると、同じ車でも積める量がはっきり変わる。

片側だけスライドして人と荷物を分ける

左右独立スライドの価値は、後席の左右で別々の位置を選べる点にある。後席に1人だけ乗せるなら、その人が座る側は最後端のまま、空いている側を前へ寄せる。空いた側の後方に細長い荷物を縦に置けるので、後席に人を乗せたまま荷室の奥行きを増やせる

ベビーカーや折りたたみ椅子のように、床に置くと転がる物は、この方法で作った縦長のスペースに立てて入れると安定する。荷室の床に寝かせて置き場所を探すより、立てて壁で挟むほうが早い。

ワンタッチダブルフォールディングで長い荷物を積む

片手で操作できるワンタッチダブルフォールディングは、座面が沈み込んでから背もたれが倒れる構造で、荷室と後席足元を一続きの面につなげる。両側を倒せば、荷室の奥行きは後席足元まで拡張される。

倒す前に後席をいちばん後ろまで下げておくと、倒した背もたれが前席の背もたれに当たりにくい。逆に前へ寄せすぎた状態で倒すと、背もたれの角度が浅くなって面が波打つ。倒す順番はスライドを決めてからにする。

助手席前倒しで最長の荷物を通す

助手席の背もたれを前に倒す機構を使うと、荷室から助手席の上まで荷物を通せる。前後乗員間距離1,000mmという数字が示すとおり、前席と後席の間にはそれなりの距離があり、後席と助手席を両方倒せば車内をほぼ縦断する長さが取れる。

カーテンレール、突っ張り棒、釣り竿、スキー板のような長尺物は、この積み方が前提になる。助手席側を通すぶん、運転席まわりに荷物がはみ出さないよう、荷物の先端は必ず助手席のヘッドレスト位置より外側へ出さない。

フルフラットは荷室ではなく休憩用と考える

フルフラットは前席と後席をつないで横になれる面を作るアレンジで、荷物を積むためのものではない。休憩や仮眠の面として使い、荷物は降ろすか片側に寄せる。寝る用途で使うなら段差を埋めるマットが前提になるので、寝床としての作り込みはワゴンRの車中泊レイアウトの考え方が参考になる。

荷室収納を底上げする5つの工夫

シートアレンジで器を決めたら、次は中身の整理に移る。MH34Sの荷室は面積が限られるぶん、仕切る・吊る・敷く・積む・寄せるの5方向で伸ばしていく。

工夫1 縦に仕切って荷崩れを止める

荷室の床に直接物を置くと、カーブのたびに左右へ流れる。折りたたみコンテナや仕切り付きのトランクボックスを荷室幅に合わせて2つ並べ、その間に細い物を差し込む形にすると、走行中に動く余地が消える。

コンテナは高さが揃っているものを選ぶ。高さがばらつくと、その上に何も載せられなくなり、室内高1,265mmという縦の余裕を捨てることになる。同じ高さの箱を並べて上面を平らにする、これがMH34Sの荷室では最も効く一手になる

工夫2 吊って床を空ける

MH34Sの荷室にはショッピングフックが備わる。レジ袋を掛けるための装備だが、荷室の床を空けるための道具として見ると使い方が広がる。柔らかい袋物、こぼれると困る液体、軽いが場所を取る物を吊っておけば、床は箱物専用にできる。

フックの耐荷重を超える重さを掛けると、フック側ではなく内装の取り付け部が壊れる。重い物は床、軽い物はフック、という原則を崩さない。ヘッドレストのシャフトにS字フックを掛けて後席背面を使う手もあるが、後席に人を乗せる日には外す。

工夫3 敷いて汚れ物を積めるようにする

荷室の床が汚れる前提になると、積める物の種類が一気に広がる。防水トレイやラゲッジマットを敷いておけば、園芸用品、濡れた傘、スポーツ用具、灯油缶を気兼ねなく載せられる。敷き物は縁が立ち上がっているタイプのほうが、こぼれた水を車体側へ回さずに済む。

後席を倒して荷室を延長した日は、倒した背もたれの布地も汚れの対象になる。荷室側だけでなく、背もたれ面まで覆えるサイズのマットを選んでおくと、倒すたびに気を使わずに済む。

工夫4 室内高1,265mmの縦を使い切る

室内高1,265mmは軽ハイトワゴンの強みで、荷室でも縦の空間が残る。ただし積み上げていくと後方視界が失われる。ルームミラーで後方が確認できる高さを自分で決めて、その線を超えないという運用にする。

後席の背もたれ上端を目安の高さにすると、視界を残しながら縦を使い切れる。それ以上の高さが必要な荷物は、後席を倒して寝かせるか、そもそも積む量を減らす。視界を捨てて積むという選択肢は取らない。

工夫5 純正収納を荷室の延長として使う

MH34Sは荷室以外の収納が充実している。スズキが5代目の装備として挙げているのは、助手席シートアンダーボックス、ペットボトルホルダー付センターロアポケット、運転席インパネアンダートレー、助手席リッド付インパネボックスなど。荷室に積む前に、これらへ振り分けられる物を先に抜く。

とくに助手席シートアンダーボックスは、洗車道具や工具のような重くて小さい物の定位置にできる。重量物を車体中央寄りの低い位置に置けるので、挙動の面でも荷室に積むより有利になる。荷室に置いていた小物をここへ移すだけで、床の使える面積が目に見えて増える。

車内の収納を役割で分けると整理が続く。荷室は箱物と大物、助手席シートアンダーボックスは重い小物、インパネまわりのトレイとボックスは走行中に触れる物、センターロアポケットは飲料という具合に、置き場所を先に決めてしまう。置き場所が決まっていない物だけが荷室の床に散らばるので、床が散らかるのは収納が足りないからではなく、行き先が決まっていないからだと分かる。

MH34Sの荷室で先に確認しておきたいこと

工夫を積み上げる前に、この世代の荷室に固有の事情を2つ押さえておく。

荷室の床下は空きスペースではない

MH34Sはスペアタイヤを積まず、パンク修理キットを搭載する。この修理キットと車載工具は荷室の床下に収まっており、床下は自由に使える空間ではない。荷物で完全に塞いでしまうと、パンクの現場で荷物を全部降ろすところから始めることになる。

床下を開ける動線だけは残しておく。荷室にコンテナを固定する場合も、片側だけずらせば床板を開けられる置き方にしておくと、いざというときの手戻りが減る。

MH44Sとの違いと自分の車検証の数字

2014年8月のマイナーチェンジで、S-エネチャージを搭載する車が型式MH44Sとなった。荷室の寸法やシート機構はMH34Sと共通だが、追加された機器のぶん車両重量は変わる。荷物の重さの枠を計算するときは、この記事の780kg/1,000kgをそのまま当てはめず、自分の車検証に記載された車両重量と車両総重量で引き算する。

グレード、駆動方式、装備によっても車両重量は動く。ターボ車、4WD車は2WDのNA車より重く、そのぶん積める荷物の枠は小さくなる。数字は車検証が正となる。

後席を頻繁に倒すなら座面の保護を先に

ワンタッチダブルフォールディングは座面が沈む構造のため、荷物を載せるたびに座面と背もたれの表皮が擦れる。荷室として使う頻度が高いほど、後席の表皮は先に傷む。荷室運用を本格化させる前にワゴンR用シートカバーで表皮を覆っておくと、倒す作業に気を使わなくて済む。

よくある質問

MH34SとMH44Sで荷室の広さは違うのか

荷室の寸法とシートアレンジの機構は共通で、広さそのものに違いはない。差が出るのは重さの枠で、S-エネチャージを搭載するMH44Sは機器が追加されるぶん車両重量が変わる。車両総重量から車両重量を引いた値が積載と乗員に使える枠なので、実際に積める荷物の重さは自分の車検証で計算し直す。

後席を倒すと完全にフラットになるのか

ワンタッチダブルフォールディングは座面が沈んでから背もたれが倒れる構造で、荷室と後席足元が段差の少ない一続きの面になる。ただしスズキが完全な水平面になると謳っているわけではなく、実際には傾斜と継ぎ目が残る。荷物を積むぶんには問題にならないが、寝る用途では段差を埋めるマットが前提になる。

自転車は積めるのか

前輪を外した状態で、後席を両側倒して縦に積み込む形になる。室内高1,265mmの縦を使ってフレームを立てるより、寝かせて後席足元まで伸ばすほうが安定する。チェーンやタイヤの汚れが内装に付くので、防水シートかラゲッジマットを敷いてから積み込む。荷室の床だけで完結させるのは難しく、後席を倒す前提で考える。

荷室容量はリットルでどれくらいなのか

MH34Sの荷室容量を示すリットル値は、諸元表から拾える公式の数字として流通していない。軽自動車の荷室はリットル表記より室内寸法とシートアレンジで語られることが多く、この車もその例に当たる。積めるかどうかを知りたいときは、室内幅1,295mmと室内高1,265mmという実寸に対して、荷物の外形3辺を当ててみるほうが早く答えが出る。後席を倒せば奥行きは足元まで伸びるので、容量値ではなくアレンジ後の実寸で考える。

現行ワゴンRの荷室収納アイデアはMH34Sでも使えるのか

考え方は共通だが、装備は世代で異なる。6代目(MH35S/MH55S/MH85S/MH95S)は荷室まわりの装備構成がMH34Sと違うため、専用設計の収納グッズはそのまま流用できない。現行世代向けの具体策はワゴンRの荷室収納アイデアにまとめてあるが、MH34Sで買う場合は必ず型式で適合を確認する。

まとめ:MH34Sの荷室は選ぶ順番で決まる

MH34Sの荷室で成果が出る順番ははっきりしている。第一に重さの枠を確認すること。車両重量780kgに対して車両総重量1,000kg、差の220kgは乗車定員4名ぶんの計算値であり、大人2名なら残る枠は約110kgしかない。第二にシートアレンジを先に決めること。左右独立スライド、ワンタッチダブルフォールディング、助手席前倒しの3つを積む物の形で選び分ければ、荷室の奥行きは後席位置に応じて伸びる。第三に室内高1,265mmの縦を使うこと。同じ高さの箱を並べて上面を平らにし、後席背もたれの上端を視界の限界線として守る。この3段階を踏めば、軽ハイトワゴンの限られた荷室でも、積み直しを繰り返さずに一度で収まる積み方に辿り着く。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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