ワゴンR(MH34S)にドライブレコーダー(ドラレコ)を付けるときは、本体をフロントガラスの上縁から20%以内に貼り、電源はシガーソケットか、MH34S の作業記録でも使われている運転席足元のヒューズボックスから取り、コードは天井とガラスの境目からAピラーを通して足元へ下ろす、という流れで考えればよい。いちばん迷いやすいのはヒューズの選び方で、番号や表記は資料ごとに書き方が揃っていないので、自分の車の表示とテスターで確かめる手順を軸に進める。2013年7月の一部改良で設定されたレーダーブレーキサポートの装着車なら、センサーを遮らない位置選びも加わる。
MH34Sのドラレコ取り付けは位置・電源・配線の3つで決まる
作業の全体像を先に押さえておくと、内装を外す範囲や必要な道具の見当がつく。
| 決めること | MH34S での考え方 | 詳しい説明 |
|---|---|---|
| 本体の位置 | フロントガラスの上縁から20%以内など、告示で決まった範囲 | 本体を付ける位置の節 |
| 電源 | シガーソケットに挿すか、ヒューズボックスからヒューズ電源で取る | 電源の選び方とヒューズの節 |
| 配線 | 天井とガラスの境目に入れ、Aピラーに沿わせて足元へ | フロントカメラの配線の節 |
シガーソケットに挿すだけなら内装はほとんど外さずに済む。ヒューズボックスから取るなら、足元のパネルとAピラーカバーを外す作業とテスターでの確認が加わる。どちらを選ぶかで作業の量が大きく変わるので、先に電源の取り方を決めてから道具をそろえるとよい。
対象の型式・年式とレーダーブレーキサポートの有無
スズキの発表では、この世代のワゴンRは2012年9月6日に発売され、ワゴンRスティングレーは9月19日に発売された。MH34S は、作業記事の区分では2012年9月〜2017年2月のモデルにあたる。発売時、エネチャージ・新アイドリングストップシステム・エコクールは全車に採用された。
中古車情報サイトのグレード一覧では、型式 DBA-MH34S に FX・FA・FX-E・FX リミテッド・20周年記念車があり、それぞれ2WD(FF)と4WDがある。FX と FX リミテッドには「レーダーブレーキサポート」付きのグレード名も並んでいる。
ドラレコの位置選びで差が出るのが、レーダーブレーキサポートの有無だ。スズキの発表では、2013年7月16日の一部改良でワゴンRにレーダーブレーキサポートが設定された。約5km/hから約30km/hの低速走行中にレーザーレーダーで前方の車両を検知し、衝突を避けられないと判断すると自動ブレーキが作動する仕組みで、レーザーレーダーは車内のフロントガラス上部、ワイパーが払う範囲に設置されている。セットのメーカーオプション(5MT車を除く)で、特別仕様車「ワゴンR 20周年記念車」はセットで標準装備なので、2013年7月以降の MH34S でも付いている車と付いていない車がある。自分の車がどちらかは、フロントガラス上部の車内側にセンサーがあるかで確かめる。
MH35S 以降のワゴンRに乗っている場合は、
を見てほしい。
本体を付ける位置の決まり
フロントガラス上部20%以内
フロントガラスに付けられる機器と場所は、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(第39条)で決められている。範囲の例は、バックミラーで隠れる範囲や、ガラスの上縁から20%以内の範囲だ。ドラレコメーカーのコムテックとユピテルも、フロントガラス上部20%以内に、運転の妨げにならないように付けるよう案内している。製品の説明書に設置場所が書かれていることが多いので、貼る前に一度読んでおく。
ワイパーの拭き取り範囲と車検ステッカー
本体はワイパーの拭き取り範囲に貼ると、雨や汚れで映像が見づらくなりにくい。ルームミラーの裏に隠れる位置が目安で、車検のステッカーと重ならないようにする。MH34S の作業例でも、本体はルームミラーの裏の左寄りか、ルームミラー付近に付けている。
ドラレコメーカーのユピテルの取り付け案内では、貼る前にガラスの汚れを拭き取り、レンズの向きを車の進行方向と水平に合わせる。
レーダーブレーキサポート装着車のセンサー
レーダーブレーキサポート装着車は、フロントガラス上部の車内側にレーザーレーダーがある。ドラレコ本体や配線は、このセンサーの前やまわりにかけない位置を選ぶ。損害保険会社の解説でも、安全機能のセンサーを遮る場所に付けると安全装置が作動しない可能性があると注意している。センサーとルームミラーの位置関係を見て、センサーから離れる側に本体を寄せるのが無難だ。
電源の取り方を選ぶ
ドラレコの電源は、シガーソケットやUSB端子から取るタイプが一般的だ。ユピテルの前後2カメラの取り付け案内でも、付属のシガープラグコードで本体と車をつないでいる。同じ案内は、車の電源に直接つなぐコードの製品については、最寄りの専門店への相談を案内している。
選ぶ基準は次のとおり。
- シガーソケット: プラグを挿すだけで済み、内装を外す作業が要らない
- ヒューズ電源(ヒューズボックスから取る): 配線を内装の中に隠して見た目をすっきりさせやすい。そのかわり足元のパネルを外す作業とテスターでの確認が増える
- 駐車中も録画したい: ACC電源に加えて常時電源が要る
MH34S にドラレコを付けた個人の作業記録では、ACC電源はエンジンをかけたとき(キーをACCにしたとき)だけドラレコを動かしたい場合に使い、常時電源は駐車監視など車を止めている間も動かしたい場合に関係するとしている。常時電源にはバッテリー上がりのリスクがあること、ヒューズの選び方を誤るとドラレコが思うように動かなかったり、ほかの電装品に影響したりする可能性があることも、同じ記録が注意している。MH34S に前後のドラレコを付けた作業記事では、駐車監視機能を使うために常時電源とアクセサリー電源の両方を取っている。
駐車監視を使わないなら、まずシガーソケットで始めるのが手間の少ない選び方だ。配線を隠したくなったら、あとからヒューズ電源に切り替えればよい。
ヒューズボックスからACC電源を取る手順
ヒューズボックスの位置
MH34S オーナーの整備記録サイトでは、ヒューズボックスは運転席の足元の右側(ペダルの奥の方)にあり、ヒューズは低背タイプとされている。この整備記録サイトに加え、作業記事と個人の作業記録の3つが、いずれも運転席足元のヒューズボックスから電源を取っている。用意するヒューズ電源(電源取り出し用のヒューズ)も低背タイプに合うものを選ぶ。
アクセサリーソケット系統からACCを取る
MH34S オーナーの整備記録サイトのヒューズ一覧では、13番が ACC 15A(アクセサリーソケット)、19番が DOME 10A(室内灯)、14番が RR DEF 20A(リヤデフォッガー)とされている。ただし、同じサイトは前期・後期の区別を書いていない。
同じ整備記録サイトの手順では、13番アクセサリーソケットの15Aヒューズを抜き、ヒューズ電源を差し込んで、抜いた15Aの低背ヒューズをヒューズ電源へ移している。MH34S に前後のドラレコを付けた作業記事も、アクセサリー電源をシガーソケットのヒューズ(15A低背)から取っている。
テスターで確かめる
使うヒューズは、検電テスター(以下テスター)で確かめてから決める。MH34S の作業記事も、アクセサリー電源と常時電源の候補を、どちらもテスターで確認してから使っている。
ヒューズの番号・表記・容量は、記事や個人の記録の間で書き方が揃っておらず、前期・後期の違いを書いていない資料もある。番号だけを頼りにせず、自分の車のヒューズボックスの表示と取扱説明書のヒューズ配置で名前と容量を確かめ、テスターでキーの位置ごとの電気の来方を確かめてから使う。キーを抜いたときは来ず、ACCにしたときに来るのがACC電源だ。
駐車監視で常時電源も取るなら、MH34S の作業記事はリヤデフォッガー(20A低背)と DOME(室内灯・10A低背)を候補に挙げているが、どちらもテスターでの確認が前提としている。
アースの取り方
MH34S にドラレコを付けた個人の作業記録では、運転席の足元のパネルを外した所にある、車体の金属部分のボルトをアースに使っている。作業記事も、アースは足元のパネルを外せばあるとしており、整備記録サイトの例も、電源プラグのマイナス側をボルトで留めてアースにしている。アースの取り付け先は見た目では分かりにくいので、ここもテスターで確かめておく。
アースや本体の固定に、ブレーキやハンドルまわりなど、走る・止まるに関わる部品のボルトやナットは使わない。
フロントカメラの配線をAピラーに通す
天井とガラスの境目に入れる
ユピテルの取り付け案内では、フロントカメラのコードを天井とフロントガラスの境目(天井の内張りとガラスの間)に入れ、ドア横のAピラーから下へ下ろしている。ピラーのできるだけ近くに沿わせるのが基本で、無理に押し込まない。
Aピラーカバーの留め具
MH34S オーナーの整備記録サイトによると、Aピラーカバーは内張り剥がしを差し込んで外すが、外すのにかなり力が要る。カバーは鉄製のガーニッシュクリップとパネルクリップで留まっていて、ガーニッシュクリップは車体側に残ることがあるので、なくさないように注意する。
同じ整備記録サイトの例では、Aピラーの中の空洞を、ウォッシャー液のビニール管に沿わせて、ヒューズボックスの近くまでコードを通している。
インパネアンダートレイ
整備記録サイトの手順では、運転席足元のインパネアンダートレイは、すき間に内張り剥がしを差し込んでこじって外す。
エアバッグの展開を妨げない
MH34S にドラレコを付けた個人の作業記録では、Aピラーのまわりはエアバッグが関係する場合があるとして、エアバッグの展開を邪魔するような通し方を避けるよう注意している。自分の車のエアバッグの装備と位置は、取扱説明書や販売店で確かめる。
ピラーの内装を外して配線する方法は、慣れていないと内装やほかの配線を傷める恐れがある。Aピラーカバーが外れない場合は、市販のテープでコードを留める方法もある。
リアカメラの位置と配線(前後2カメラの場合)
MH34S に前後のドラレコを付けた作業記事の例では、リアカメラはリアガラスのワイパーの拭き取り範囲に付けている。ユピテルの案内では、貼り付け面がリアガラスの電熱線(熱線)と重ならないようにし、位置と向きはフロントカメラの映像を見ながら決める。
配線は、同じ作業記事の例では次の順で通している。
- リアゲートの内張りを外し、ゲートの内部にケーブルを通す
- ゲートと車体の間のゴムブーツの中を通して車内へ入れる
- Cピラーの内張りの隙間から天井の隙間を通して、車の前方まで回す
- 余った配線は、フロントの電源線と一緒にAピラーで固定する
別の方法として、ユピテルはリアカメラのケーブルをドアまわりの防水ゴム(ウェザーストリップ)の間に埋め込みながら下ろす案内もしている。配線の方法は車種によって異なるので、自分の車で通せる道を確かめてから決める。
リアガラスと車体の鉄板の隙間で配線が落ちそうなときは、配線にクッションテープを巻くか、配線止めで固定する。
組み戻す前と取り付け後の確認
MH34S オーナーの整備記録サイトの手順では、内装を戻す前に一度通電テストをして、ドラレコが起動することを確かめてから作業を進めている。組み戻してから電源が入らないと分かると、Aピラーカバーやアンダートレイを外し直すことになるので、この通電テストは省かない。
- 電源が入らない、動作が不安定なときは、アースの付け方を見直す(アース不良でこうした症状が出ることがある)
- インパネアンダートレイを戻すときは、トレイの裏の突起にケーブルを引っ掛けていないか確かめる
- ユピテルの案内では、ブラケットを貼った後は24時間以上置き、両面テープが付くまで引っ張らない
- 映像を見ながら、レンズの向きが進行方向と水平になっているかを調整する
自分で付けるか、お店に頼むか
ドラレコメーカーのコムテックのよくある質問では、取り付けには専門知識が要るとして、購入した販売店やカーディーラーへの依頼を勧めている。ここまでの手順のとおり、ヒューズ電源で取る場合はAピラーカバーとアンダートレイを外す作業が入り、慣れていないと内装やほかの配線を傷める恐れがある。
お店に頼む場合は、シガーソケット以外の場所から電源を取ると工賃が高くなる場合がある。工賃はお店ごとに違うので、頼む前に電源の取り方を伝えて見積もりを取るとよい。自分で作業してみて不安が残るなら、整備工場や電装店に頼む。
自分で付けるなら、ユピテルの案内では前後2カメラの取り付けは1人でもできるが、2人で作業するのがおすすめとされている。
ドラレコ以外のパーツも考えている人は、
も参考にしてほしい。
よくある質問
シガーソケットに挿すだけでもよい?
かまわない。ドラレコの電源はシガーソケットやUSB端子から取るタイプが一般的で、内装を外す作業も要らない。配線を見えなくしたい、駐車監視を使いたい、という場合にヒューズ電源を考えればよい。
駐車監視を使うときの電源は?
ACC電源に加えて常時電源が要る。MH34S の作業記事は両方を取っており、常時電源の候補はテスターで確かめてから使っている。常時電源にはバッテリー上がりのリスクがあるので、製品の説明書で駐車監視の設定も確認しておく。
空いているヒューズの差し込み口を使ってよい?
勧めない。MH34S オーナーの整備記録サイトは空いている21番の差し込み口を常時電源としているが、空きの差し込み口に何が来ているかは車ごとに確かめる必要がある。名前と容量を表示で確かめられるヒューズから取る方が、使い道の分からない差し込み口に頼るより間違いが少ない。
レーダーブレーキサポート付きの車はどこに付ける?
2013年7月の一部改良で設定されたレーダーブレーキサポート(5MT車を除くセットのメーカーオプション、20周年記念車はセットで標準装備)の装着車は、フロントガラス上部の車内側にあるレーザーレーダーの前やまわりに、本体も配線もかけない位置を選ぶ。上部20%以内とワイパーの拭き取り範囲の中で、センサーから離れる側に寄せる。
まとめ
MH34S のドラレコ取り付けは、まず電源の取り方をシガーソケットかヒューズ電源かの1つに絞り、そのうえでドラレコの説明書の設置場所と、自分の車のヒューズボックスの表示・取扱説明書で最終確認する、という順番で進める。
- 本体はフロントガラスの上縁から20%以内などの範囲に貼り、レーダーブレーキサポート装着車はセンサーを遮らない
- ヒューズ電源で取るなら、MH34S の作業記録では運転席足元のヒューズボックスのアクセサリーソケット系統(15A低背)からACCを取っている
- 使うヒューズとアースはテスターで確かめてから決める
- コードは天井とガラスの境目からAピラーに沿わせて足元へ下ろし、組み戻す前に通電テストをする

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