ランディ SC27 で自分でタイヤを替えるとき、見落としやすいのは、ジャッキが車に積まれているとは限らない点だ。ベース車セレナ(C27)の日産の取扱説明書は、スペアタイヤとジャッキを標準で搭載していないとし、この車両専用のジャッキを準備するよう書いている。ジャッキは同じ取扱説明書の図の矢印のジャッキアップポイントにだけかけ、ホイールナットは同じ取扱説明書の値の 108N・m(11kg・m)で締める。作業の日に慌てないよう、先にジャッキの有無から確かめておきたい。
ランディ SC27 のタイヤ交換で先に知っておく3つのこと
ベース車セレナ(C27)の日産の取扱説明書(Web 版。以下、ベース車の取扱説明書)の記載から、作業の前に押さえる点を3つ挙げる。
- ジャッキアップポイントは図の矢印の位置。位置を文章で説明する記載は無く、それ以外にジャッキをかけると車体が変形するおそれがあると警告されている。
- ジャッキは標準で搭載されていないとされ、この車両専用のジャッキを準備するよう書かれている。ただしジャッキの格納場所を示すページもあるので、実車で有無を確かめる。
- ホイールナットの締め付けトルクは 108N・m(11kg・m)。
ここで引いているのはベース車の取扱説明書で、ランディ SC27 の車両に付く取扱説明書そのものは確かめていない。日産の取扱説明書にも「実際の車両とは仕様・装備等が異なる場合がございます。」とある。ジャッキアップポイントの図と装備の有無は、手元の車の取扱説明書と実車で確かめてほしい。
この記事が扱うランディ:SC27 系の型式と年式
ベース車はセレナ C27
3代目のランディは 2016年12月20日発売の全面改良モデルで、スズキの発表文には「新型「ランディ」は日産自動車株式会社よりOEM供給を受けるモデルである。」とある。乗りものニュースの記事も、ベースの日産セレナに合わせて 2016年12月に3代目へフルモデルチェンジしたと書いている。同じ時期のセレナは C27 型で、スズキのリコール届出の表でも車台番号は C27-・GC27-・GNC27- で始まる。
発売時のグレードは 2.0S(2.0L・2WD)と、スマートシンプルハイブリッド(S-HYBRID)を標準装備する 2.0X・2.0G(2WD と 4WD)。変速機は CVT だ。
型式と販売期間
| 型式 | グレード・駆動 | 型式が載っている資料 |
|---|---|---|
| DBA-SC27 | 2.0S・FF | スズキのリコール届出の対象表 |
| DAA-SGC27 | 2.0X・2.0G・FF | スズキのリコール届出の対象表 |
| DAA-SGNC27 | 4WD | スズキのリコール届出の対象表 |
| 5BA-SC27 | 2.0S(2020年11月〜2022年8月) | 中古車カタログの諸元 |
| 5AA-SGC27 | 2.0X・2.0G(2020年8月〜2022年8月) | 中古車カタログの諸元 |
グレードと駆動の欄は中古車カタログの諸元による。上の3つは、スズキのリコール届出(届出番号4126・平成29年10月6日)の対象表に載る型式だ(届出の対象は平成28年12月1日〜平成29年9月19日の製作分)。
中古車カタログの諸元では、この世代の販売期間は 2016年12月〜2022年8月。乗りものニュースの記事によると、その後のランディは OEM の供給元が日産からトヨタに変わった。ノアがベースの別の車なので、この記事の値や手順は当てはめない。
作業の前にジャッキと応急修理キットを確かめる
ジャッキが積まれているかの確かめ方
ベース車の取扱説明書には「この車両には、スペアタイヤおよびジャッキが標準で搭載されていません。」「ジャッキアップをする場合は、この車両専用のジャッキを準備してください。」とある。輪止めと停止表示板(停止表示灯)も、標準では搭載されていないと書かれている。
一方で同じ取扱説明書には「工具、ジャッキ★は、ラゲッジルームに格納されています。」という記載と、ラゲッジルームのふたを外して工具袋とジャッキを取り出す手順のページもある。★印の意味は、そのページには書かれていない。ジャッキが積まれているかは仕様で違う可能性があるので、作業の日より前にラゲッジルームのふたの下を見て、ジャッキと工具の有無を確かめておく。
タイヤ応急修理キットの場所
ベース車の取扱説明書では、タイヤ応急修理キットは「サードシート運転席側のカップホルダー下部に格納されています。」。使えるのはタイヤトレッド部(接地面)の軽度なパンクで、「応急修理を目的としているため、修理後に長期間の走行はできません。」とある。修理の後は販売会社か専門の修理業者で点検を受け、恒久修理かタイヤ交換をする。
用意する道具と、ジャッキを選ぶときの確かめどころ
手元にそろえておきたいのは次の物だ。
- この車両専用のジャッキ
- 輪止め
- ナットをゆるめ・締めるためのレンチ
- 締め付けを規定の値に合わせるトルクレンチ
- 取り付け面を拭く布と、外したタイヤやナットを置く場所
ジャッキが無い場合は、まず購入した販売店に、この車に合うジャッキを相談するのが確実だ。ベース車の取扱説明書は、この車両専用のジャッキを使い、他車のジャッキは使わないよう書いている。手持ちや市販のジャッキを使うなら、そのジャッキの説明書で次の3点を確かめる。
- ジャッキアップポイントに当たる形か
- タイヤが地面から少し離れる高さまで上がるか
- 車の重さに見合う能力か
車の重さは、中古車カタログの諸元では FF の 2.0S(DBA-SC27・5BA-SC27)が 1630kg、FF の 2.0X・2.0G(DAA-SGC27・5AA-SGC27)が 1680〜1700kg。4WD の値は確かめていない。どの市販ジャッキが合うかも、この記事の出典では確かめていない。
ホイールナットの六角の大きさとねじの規格は、出典の取扱説明書では確かめられなかった。レンチやソケットは、作業の前に実車のナットに当てて合うかを確かめる。
ジャッキアップポイントと、ジャッキをかけるときの注意
取扱説明書の図の矢印の位置
ベース車の取扱説明書の「ジャッキアップポイント」のページは、図の中の矢印でポイントを示し、「矢印の位置がジャッキアップポイントです。」と書いている。位置を文章で説明する記載は無い。そのうえで「ジャッキアップポイント以外にはジャッキ★をかけないでください。車体が変形するおそれがあります。」とある。ジャッキをかける位置は、手元の取扱説明書の図で確かめてから決める。
同じページにある扱いの注意は次のとおり。
- ジャッキは必ずこの車両専用のものを使い、他車のジャッキは使わない。この車両専用のジャッキを他車に使わない
- ジャッキの上下に台やブロックなどを入れない
- 人や荷物は必ず車から降ろす
- タイヤ交換かタイヤチェーンの脱着以外に使わない
- 使う前にパーキングブレーキをかけ、セレクトレバーを P にし、輪止めなどで車を固定する
ガレージジャッキで前や後ろの中央から上げる場合
ガレージジャッキ(床を転がして使うジャッキ)で車体の前や後ろの中央を上げる位置について、ベース車の取扱説明書の文章には説明が無い。タイヤ取付店のブログは、セレナ C27 の前のポイントは奥まっていて、のぞき込んで合わせる必要があり、位置がずれるとメンバーが歪むおそれがあるとして、無理をせずサイドシルで上げる方法を勧めている。後ろは整備マニュアルで可とされている箇所だと説明しているが、ガソリン車か e-POWER か、2WD か 4WD かの区別は書かれていない。
ランディ SC27 でも、中央から上げるのは避け、取扱説明書の図の矢印のポイントを使う方が無理が無い。
タイヤ交換の手順
ベース車の取扱説明書の「ジャッキアップのしかた」に、日産の取扱説明書(エクストレイル T32)の「タイヤ交換のしかた」の手順の型を合わせて流れを示す。T32 の手順はランディやセレナの取扱説明書に載っているものではなく、日産の手順の型として参考にする。
停車と輪止め
- 交通の妨げにならず、安全に作業ができる平坦な硬い場所に停車し、人や荷物を車から降ろす。やわらかい地面の上ではジャッキアップしない
- パーキングブレーキをかけ、セレクトレバーを P にする
- ジャッキをかける位置の対角のタイヤに輪止めを置く。前輪を上げるときは後輪の後ろ側、後輪を上げるときは前輪の前側に置く
ナットを少しゆるめてからジャッキアップ
- タイヤを接地させたまま、すべてのナットを反時計回りに約1回転ゆるめる
- ジャッキの上部がジャッキアップポイントに接触するまで、ジャッキを手で回す
- ジャッキハンドルを回し、タイヤと地面が少し離れるまで上げる
- ナットとタイヤを外す
取り付けと締め付け
- ハブとホイール裏側の取り付け面を布で清掃し、タイヤを付ける
- ナットのテーパー部がホイール穴のシート部に軽く当たるくらいまで、時計回りに回して締める
- T32 の取扱説明書の「図の順序で2~3回に分けて」のとおり、何回かに分けて締める
- ジャッキを下げてから、同じ順序で十分に締め付ける
締める順序は出典では図で示されているだけなので、ここでは番号を挙げない。手元の取扱説明書で確かめる。
締め付けトルクと、走り出した後の確かめ
ベース車の取扱説明書の「タイヤ・ロードホイールを交換するときは」のページには「ホイールナットの締め付けトルクは、108N・m(11kg・m)です。」とある。ジャッキを下げた後の本締めは、トルクレンチでこの値に合わせる。
タイヤメーカーのコンチネンタルは、整備士はまず規定トルクの半分の値で各ナットを締め、その後で規定トルク値に合わせ直して締める、と説明している。ナットのねじ部や、ナットとホイールの間にゴミ・砂・サビがあると「偽のトルク」が出て適正に締まらないことがあり、締めすぎるとねじ山がつぶれたりホイールスタッドが伸びたりするおそれがあるという。規定トルク値は車種ごとに異なるので、ほかの車の値を流用しない。
走り出した後の確かめも欠かせない。日産の取扱説明書(T32)の手順には「しばらく走行したあと、ナットのゆるみや車体の振動などの異常がないか確認してください。」とある。コンチネンタルは、新しいタイヤに交換したときは交換後 50〜100km を目安に走ってから増し締めをするよう勧めている。この距離はタイヤメーカーの勧めで、日産やスズキの指定ではない。
履き替えるタイヤとホイールの決まり
タイヤサイズの確かめ方
中古車カタログの諸元で確かめた FF のグレード(2.0S〈DBA-SC27・5BA-SC27〉、2.0X・2.0G〈DAA-SGC27・5AA-SGC27〉)のタイヤサイズは、前後とも 195/65R15 91S。4WD(DAA-SGNC27)の値は確かめられていない。ベース車の取扱説明書では、タイヤサイズと指定空気圧は運転席ドアの開口部の表示で確かめられるので、履き替える前にそこを見ておく。
ベース車の取扱説明書のサイズの表には、タイヤ 195/65R15・195/60R16、ロードホイール 15×5.5JJ・15×5.5J・16×6J、P.C.D. 114.3mm・5穴・インセット 45mm が載る。どのグレードにどの組み合わせが付くかは表の文字からは読み取れず、ランディのグレードとの対応も確かめていない。
交換するときの決まり
ベース車の取扱説明書に書かれている交換時の決まりは次のとおり。
- 指定サイズ以外のタイヤ・ロードホイールは取り付けない
- 4本すべてを同じ時期に、指定サイズで同じ銘柄・溝パターンのタイヤに交換する
- 摩耗差の大きいタイヤの組み合わせ、前輪か後輪だけへの冬用タイヤの装着、サイズや種類の違うタイヤの混用は避ける
- 「ロードホイールは、リムサイズやインセットが同じでも、他の車のものは使えない場合があります。」
- アルミホイールには荷重の制限があり、交換するときは販売会社に相談する
- タイヤやホイールを交換したらホイールバランスを取る
同じ取扱説明書は約5,000kmごとのローテーション(位置交換)を勧めており、左右それぞれで前後のタイヤを入れ替え、同時に空気圧も点検する。
4WD 車の注意
4WD 車(DAA-SGNC27)について、ベース車の取扱説明書には「特に4WD車は、径が異なるタイヤを装着すると車の機構に無理がかかり、重大な故障につながります。」とある。4WD 車では、4本の径をそろえることを特に守る。
よくある質問
ランディ SC27 に車載ジャッキは付いている?
ベース車セレナ(C27)の日産の取扱説明書は、スペアタイヤとジャッキを標準で搭載していないとしている。一方でジャッキの格納場所を示すページもあり、仕様で違う可能性があるので、ラゲッジルームのふたの下を見て確かめるのが確実だ。
ホイールナットの締め付けトルクは?
ベース車セレナ(C27)の日産の取扱説明書の値は 108N・m(11kg・m)。ランディ SC27 の車両に付く取扱説明書では確かめていないので、手元の取扱説明書にも目を通しておく。
ガレージジャッキで前や後ろの中央から上げてよい?
勧めない。ベース車の取扱説明書の文章に中央の位置の説明が無く、タイヤ取付店のブログも駆動方式を区別していない。図の矢印のジャッキアップポイントを使う。
パンクしたときはどうする?
ベース車の取扱説明書では、トレッド部の軽度なパンクはタイヤ応急修理キットで応急修理するものとされている。修理後に長期間は走れないので、販売会社か専門の修理業者で点検を受ける。キットの場所は、作業の前に確かめる節に書いた。
まとめ:作業の前に確かめること
- ラゲッジルームのふたの下に、ジャッキと工具があるか
- 無ければ、この車両専用のジャッキを購入した販売店に相談して用意したか
- 輪止め・トルクレンチと、実車のナットに合うレンチ・ソケットがあるか
- ジャッキをかける位置を、手元の取扱説明書の図の矢印で確かめたか
- 108N・m(11kg・m)で締め、しばらく走った後にゆるみと振動を見る段取りか
ジャッキの有無・ジャッキアップポイント・締め付けトルクの記載はベース車セレナ(C27)の日産の取扱説明書(Web 版)、しばらく走った後のゆるみと振動の確かめは日産の取扱説明書(エクストレイル T32)の手順の型にもとづく。最後に、ランディ SC27 の手元の取扱説明書と実車で照らし合わせてほしい。
車内の用品もあわせて見直すなら、次の記事も参考になる。

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