夏場に屋外へ止めておく時間が長いなら、フロントガラスをふさぐ道具は先に用意しておきたい。ただし通販でクリッパー用のサンシェードを並べても、その多くは2015年から続く別のクリッパー向けで、2024年2月に出たクリッパーEV に合う保証はない。手元の車検証の型式欄が U79V なら、選ぶ範囲はかなり狭まる。さらにルートバンかそれ以外かで、そろえる枚数も変わる。
U79V を基準に候補を絞る
日産が公開している環境仕様書では、クリッパーEV の型式は「ニッサン・ZAB-U79V」と記載されている。車検証の型式欄に載るのもこの形で、商品ページの適合表記と突き合わせるときに見るのは英数字部分の U79V にあたる。出品ページに「クリッパー EV」の車名と2024年以降の年式レンジが書かれているか、そこが最初の関門になる。車名だけ一致していて年式が2015年からになっている商品は、別のクリッパー向けと考えてよい。ベースが三菱ミニキャブEV なので「ミニキャブEV」表記の商品は候補に入るが、「NV100クリッパー DR17V」「クリッパーリオ DR17W」「NV100クリッパー DR64V」といった表記しかない商品は外す。
今回扱うのは、出品ページにクリッパーEV の車名と年式を明記している2製品。
| 製品 | 支持のしかた | 中央の開口部 | 使わないときの畳み方 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| LDHNBNB 傘式 | 傘を開くように広げる伸縮式 | ルームミラー周辺に合わせる開口部あり | 傘を閉じるように畳んで専用ケースへ | ¥3,400 |
| Fuqadar 伸縮式 | ハンドルと中央のクロスバーで支える | 記載なし | 平らに折りたたむ | ¥3,200 |
価格は2026年8月31日にAmazonで確認した実売価格で、変動する。買う前に現在の表示を見ておく。
2024年に「クリッパー」が2種類になった
OEM の供給元は三菱ミニキャブEV
日産の発表資料では、クリッパーEV について「三菱自動車からOEM供給を受けた車両をベースに販売するモデルです」と明記されている。供給元にあたるのが三菱の軽商用EV ミニキャブEV だ。三菱自動車の発表資料では、ミニキャブEV は2023年12月21日に販売を開始したワンボックスタイプの軽商用EV で、12年間で約13千台(2023年10月末時点)の販売実績を持つミニキャブ・ミーブをベースに大幅改良したモデル、一充電あたりの航続距離は先代モデル比で約35%増の180km(WLTCモード)と説明されている。
NV100クリッパーは「クリッパー バン」へ改名した
車名変更を伝える日産の発表資料では、従来からある軽商用バン「NV100クリッパー」が2024年3月26日の一部仕様変更と同時に「クリッパー バン」へ、「NV100クリッパー リオ」も同日「クリッパー リオ」へ車名を変えている。クリッパーEV の発売はその約1か月半前の2024年2月12日。2024年のうちに、クリッパーを名乗る日産の軽バンが二系統並んだので、車名だけでは商品を絞り込めない。クリッパー バンはガソリンの R06A および R06Aターボを積み、ミッションは5MT と CVT、駆動は2WD とパートタイム4WD。動力源から成り立ちの違う別の車で、ベースになっている車も別だ。
型式ごとの適合表記の読み方は、それぞれの記事に分けてある。
ルートバンかどうかで必要な枚数が変わる
日産の発表資料では、グレードは2シーターと4シーターの2バリエーションで、2シーターにはルートバンも設定されている。このうちルートバンは、スライドドアガラスとリアクォーターガラスが両側ともパネル仕様になっている。その位置に窓がなく板になっているので、車内へ光が入るガラスの枚数が2シーター・4シーターより少ない。
つまり全窓を覆う1台分セットを買っても、ルートバンでは使わない枚数が出る。フロントガラス用の1枚に絞るか、運転席・助手席のドア窓とバックドアガラスまでを考えれば足りる。2シーター・4シーターはスライドドアガラスとリアクォーターガラスがあるので、1台分セットを検討する余地がある。ただし各グレードの窓の構成まで公式資料で追えたわけではないので、枚数は実車を見て数えるのが早い。
選ぶときに見る4つの軸
今回の2製品は、いずれも出品ページに展開時・収納時の寸法、素材の層数、遮光率やUVカット率の数値が載っていない。数値でそろえた比較はできないので、構造の違いで決める。数値が要るなら購入前に出品者へ問い合わせる。
覆う範囲
フロントガラス1枚だけを覆うタイプは、ダッシュボードとステアリングへの直射日光を遮る用途。荷室や後席まで人目から隠したい場合や、駐車時間が長い場合は、覆う窓を増やす方向で考える。
ルームミラーまわりの干渉
フロントガラスの中央にはルームミラーの取り付け部がある。シェードの中央に切り欠きがあるかどうかで、ガラスへの当たり方とすき間の出方が変わる。ドライブレコーダーをミラー付近に付けているなら、干渉はさらに起きやすい。
使わないときの収納
傘型は畳むと細長い棒状になるので、シートの脇やドアポケットに差しておける。平らに折りたためるタイプは、グローブボックスやシート下の平たいすき間に入る。荷物を積む車では、荷室を占領しない畳み方かどうかが効いてくる。
付け外しの手数
傘型・伸縮式は広げて立てかけ、サンバイザーで押さえる使い方が基本で、吸盤を貼り付ける手間がない。配達のように1日に何度も乗り降りする使い方なら、この差が積み重なる。
クリッパーEV 表記のある2製品を比べる
中央の開口部で決めるなら LDHNBNB の傘式
出品ページの説明では、ASIN B0HG9PLX26(ブランド LDHNBNB)は「日産 クリッパー EV 2024-2026に適合する」と書かれた傘式のフロントガラス用サンシェード。傘を開くように広げる伸縮式の傘型構造であること、中央部分にルームミラー周辺に合わせやすい専用開口部を設けていること、使用後は傘を閉じるように折りたたんで付属の専用収納レザーケースに入れて保管できることが挙げられている。ミラーの根元やドライブレコーダーとぶつかりやすい車内なら、開口部のあるこちらから見る。
LDHNBNB 傘式フロントガラスサンシェード(クリッパーEV 2024-2026表記・中央開口部つき)
平らに畳んで積みたいなら Fuqadar の伸縮式
出品ページの説明では、ASIN B0HDCRW6CS(ブランド Fuqadar)も「日産 クリッパー EV 2024-2026に適合する」と書かれた伸縮式のフロントガラス用サンシェード。伸縮式の傘型デザインで、丈夫なハンドルと中央のクロスバーがシェードを支えること、工具不要で取り付けられること、使わないときは平らに折りたたんでドアポケットやグローブボックス、センターコンソールに収納できることが説明されている。中央開口部についての記載はない。荷室を空けておきたい仕事用なら、平らに畳める方が置き場所に困らない。
Fuqadar 伸縮式フロントガラスサンシェード(クリッパーEV 2024-2026表記・平らに折りたたみ)
なお、出品ページにある「車内温度を大幅に下げます」「エアコンの使用量を減らし、燃費向上に貢献」といった効果の書き方は出品者による説明で、第三者が検証した値ではない。クリッパーEV は電気自動車なので、燃費という語自体が当てはまらない。効果の目安は次の節の実測値で見る。
サンシェードでどこまで期待できるか
JAF のユーザーテストでは、2012年8月22日・23日に埼玉県戸田市の駐車場で、外気温35度のもと正午から4時間、駐車条件の異なるミニバン5台の車内温度を計測している。掲載されている最高温度は次のとおり。
| 駐車条件 | 車内温度 | ダッシュボード温度 |
|---|---|---|
| 対策なし(黒) | 57℃ | 79℃ |
| 対策なし(白) | 52℃ | 74℃ |
| サンシェード装着 | 50℃ | 52℃ |
| 窓開け(3cm) | 45℃ | 75℃ |
| エアコン作動 | 27℃ | 61℃ |
同じテストの記述では、フロントガラスをサンシェードで覆った場合は直射日光を遮る効果は高いものの、15時の時点で約50℃に達し、温度抑制効果はあまり望めないと書かれている。サンシェード対策や窓開け対策をしていても人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない、とも記されている。テスト車はミニバンで、クリッパーEV で計測した値ではない。ダッシュボードへの直射日光を抑える道具であって、車内を冷やす道具ではない、という線引きで考える。
プレ空調スターター機能と組み合わせる
日産の発表資料では、クリッパーEV のキーレスエントリーシステムにプレ空調スターター機能があり、急速充電中または普通充電中に、乗車前に車外から車内の空調機能をオンにできるとされている(グレード別設定)。バッテリー容量は20kWh、航続距離は最大180km(WLTCモード)で、急速充電では80%まで約42分、普通充電では約7.5時間で満充電になる。駐車中の日射はシェードで抑え、乗る前の空調は充電中のプレ空調に任せる、という分担が組める。ただしシェードを使うと航続距離が延びる、電力の消費が減る、といった効果は今回の資料では裏づけられない。使い方の工夫までの話として扱う。
走り出す前に必ず外す
道路運送車両の保安基準では、第29条が前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く)について、運転者の視野を妨げないものであることを求めたうえで、これらの窓ガラスには検査標章など条文が列挙するもの以外を装着し、貼り付け、塗装し、又は刻印してはならないと定めている。サンシェードは列挙されたものに含まれない。前のガラスに付けたままでは走れないので、駐車中に使い、発進前に外す道具として扱う。
買う前に確認する手順
- 車検証の型式欄を開き、U79V の並びを確かめる。
- 出品ページの車名と年式を見る。クリッパーEV は2024年2月以降の車なので、クリッパー EV の表記と2024年以降の年式レンジがそろっているかを見る。
- ミニキャブEV 表記の商品は候補に入れてよい。ただしベースが同じであることと、ガラスの形が同一であることは別の話だ。ミニキャブ・ミーブ表記だけの商品や、ミニキャブ バン(DS17V など)表記の商品を、そのまま合うものとして扱わない。判断がつかないときは出品者に年式と車名を伝えて確認する。
- 車名表記だけで決めきれないなら、フロントガラス内側の横幅を上辺と下辺の2か所、それに上下の高さを測っておく。ルームミラーの取り付け位置と、ドライブレコーダーを付けているならその本体位置も控えておくと、中央の開口部が要るかどうかを判断できる。
- 届いたら実際にガラスへ当てて、四隅にすき間が残らないか、サンバイザーを下ろしたときに干渉しないかを見る。
ベース側や姉妹にあたる軽バンの適合表記も、見比べておくと迷いが減る。
よくある質問
クリッパー バン用と書かれたサンシェードは使えますか
クリッパー バン(旧 NV100クリッパー)はガソリンエンジンを積む別のモデルで、クリッパーEV に合うという裏づけはない。DR17V・DR17W・DR64V などの表記しかない商品は候補から外す。
ミニキャブEV 用やミニキャブ・ミーブ用と書かれたものはどうですか
ミニキャブEV 表記は候補に入る。ミニキャブ・ミーブ表記だけのものは改良前のモデル向けなので、そのまま合うものとして扱わない。
ルートバンでも1台分セットを買う意味はありますか
ルートバンはスライドドアガラスとリアクォーターガラスがパネル仕様なので、その分の枚数は余る。フロント1枚を基本に、必要ならドア窓とバックドア分を足す方が無駄が出ない。
サンシェードを付けたまま走ってもいいですか
前面ガラスと側面ガラスには、保安基準が列挙するもの以外を装着したままにできない。駐車中の道具として使い、発進前に外す。
サンシェードを付ければ車内は涼しく保てますか
JAF のテストでは装着した状態でも15時に約50℃へ達し、温度抑制効果はあまり望めないとされている。ダッシュボードの温度は下がる一方で、車内は高温のままだと考えておく。
まとめ
買う前に見る点を並べておく。
- 車検証の型式欄が U79V か。出品ページの車名と年式(2024年以降)と突き合わせる
- グレードがルートバンなら、スライドドアとリアクォーターの分は不要。枚数を絞る
- 寸法や遮光率の数値は出品ページにないので、中央開口部の有無と畳み方で決める。開口部が要るなら LDHNBNB の傘式、平らに畳んで積みたいなら Fuqadar の伸縮式
- 期待できるのはダッシュボードへの直射日光を遮るところまで
- 発進前に外す
この記事にはAmazonアソシエイトを含むアフィリエイト広告を含みます。

コメント