アリアのタイヤ交換で見落としやすいのは、ジャッキを掛ける場所より手前にある、工具が車に積まれているかどうかの確認だ。日産の欧州向け(英語版)の取扱説明書では、ジャッキ・ジャッキロッド・ホイールナットレンチはこの車に標準では装備されていないとされている。工具がそろっていれば、同じ取扱説明書の手順どおり、ジャッキは前側か後ろ側のジャッキアップポイントにある2つの切り欠きの間に頭を合わせて掛ける。停車から片付け、パンクしたときの対応まで順に追っていく。
ジャッキの掛け場所と、作業の前に見ておく物
日産の欧州向け(英語版)の取扱説明書では、ジャッキアップポイントは前側と後ろ側にあり、それぞれに2つの切り欠きがある。ジャッキの頭をこの2つの切り欠きの間に合わせ、頭の溝を切り欠きの間にはめるのが正しい掛け方で、指定のジャッキアップポイント以外の場所では持ち上げない。
先に確かめたいのは工具だ。同じ欧州向けの取扱説明書は、ジャッキアップ用の工具を標準装備ではないとし、入手は日産の電気自動車の認定販売会社に相談するよう書いている。日本仕様のアリアに工具が積まれているかは、公開されている資料では確かめられなかった。作業を始める前に、荷室のフロアボードの下に何が入っているかを見ておく。工具が無ければ無理をせず、日産の販売会社に相談するか、ロードサービスを呼ぶ。
対象の車と、手順の根拠にした取扱説明書
日産の公式FAQは、アリアを2022年1月〜のFE0型として扱い、2026年2月のマイナーチェンジの前(2022年1月〜2026年2月)と後(2026年2月〜)を別の項目に分けている。
手順と注意の根拠は、日産が公開しているARIYA(FE0)の欧州向けの取扱説明書(英国向けWeb版・2024年)だ。日本仕様の取扱説明書(日本語版)の記載は確かめられていない。日本仕様では装備や記載が違う可能性があり、2026年2月のマイナーチェンジの後の車も同じとは確かめていない。作業の前に、車に積まれた取扱説明書のジャッキアップとタイヤ交換の項と、日産の販売会社で確かめてほしい。以降の手順と注意は、この欧州向けの取扱説明書に沿っている。
作業に使う物と、工具・修理キットの置き場所
取扱説明書の手順で使う物は次のとおり。
- ジャッキ
- ジャッキロッド(ジャッキのレバーとロッド)
- ホイールナットレンチ
- 輪止めにする適当なブロック
- 仕上げの締め付けに使うトルクレンチ
- 必要に応じて手袋
欧州向けの取扱説明書では、工具はリフトゲートを開け、荷室のフロアボードを持ち上げて取り出す手順になっている。応急パンク修理キットも同じフロアボードの下の収納に入っている。取り出すときは、床の金属部分に直接触れない。やけどのおそれがあると取扱説明書が注意している。
トルクレンチは仕上げに欠かせないので、手元に無ければ作業の日までに用意しておきたい。荷室の床下の使い方は次の記事にまとめている。
ジャッキアップの前に、車を止めて周りの安全を確保する
停車の手順
取扱説明書の停車の手順は次の順だ。
- 交通から離れた安全な場所へ車を移す
- ハザードランプを点ける
- 平らな場所に停める
- パーキングブレーキをかける
- シフトレバーのパーキングボタンを押してPポジションにする
- EVシステムを切る
- 同乗者を全員降ろし、交通と車から離れた安全な場所に立ってもらう
坂道・凍結路・滑りやすい場所ではタイヤを替えない。対向車が車の近くを通る場所でも自分で替えず、ロードサービスを呼ぶ。
輪止めを置くタイヤ
パンクしたタイヤと対角の位置にあるタイヤの前と後ろの両方に、適当なブロックを輪止めとして置く。ジャッキアップしたときに車が動いてけがをするのを防ぐためだ。右前を替えるなら左後ろ、左後ろを替えるなら右前に置く。
ジャッキアップポイントへのジャッキの当て方
2つの切り欠きに頭を合わせる
欧州向けの取扱説明書の手順では、ジャッキを指定のジャッキアップポイントの真下に、頂部がポイントに当たるように置き、硬く平らな地面に据える。そのうえでジャッキの頭を前側か後ろ側のポイントの2つの切り欠きの間に合わせ、頭の溝を切り欠きの間にはめる。
ポイントの細かな位置は取扱説明書の図で示されていて、本文に部位名の記載は無い。車体の下をのぞいて探す前に、車に積まれた取扱説明書の図で場所を確かめておくと迷わない。
ジャッキアップの警告
取扱説明書が挙げる警告は次のとおり。どれも省かずに守る。
- ジャッキで支えた車の下に入らない
- 車に付属していないジャッキを使わない(付属のジャッキはタイヤ交換で車を持ち上げるためだけのもので、ほかの車に使わない)
- 指定のジャッキアップポイント以外で持ち上げない
- 必要以上に持ち上げない
- ジャッキの上や下にブロックをかませない
- 車がジャッキに載っている間はEVシステムを起動しない(車が急に動いて事故になるおそれがある)
- タイヤが地面から浮いている間は車内に人を残さない
- 使う前にジャッキ本体の注意ラベルを読む
- ジャッキアップのときはパーキングブレーキをかける
なかでもEVシステムを起動しない注意は電気自動車ならではのもので、車を完全に下ろすまで運転席の操作には手を出さない。
ナットを緩めて持ち上げ、タイヤを外す
持ち上げる前にナットを緩める
車を持ち上げる前に、ホイールナットレンチで各ホイールナットを反時計回りに1〜2回転だけ緩める。タイヤが地面から浮くまでは、ナットを外さない。緩めるのは持ち上げる前、外すのは持ち上げた後、という順番を守る。
20インチホイールのセンターカバー
20インチホイールの車には、ホイールのセンターカバーを外す手順がある。手で外さずに適切な工具を使い、工具とホイールの間に布を当てて傷を防ぐ。センターカバー以外の樹脂部品は外さない。
取り付けるときは、ホイールの切り欠きとカバーの回り止めのピンを合わせ、手のひらでカバーの面に対して垂直に押し込む。
車を持ち上げてタイヤを外す
ジャッキの頭を切り欠きに合わせたら、タイヤと地面の間にすき間ができるまで慎重に持ち上げる。ジャッキのレバーとロッドは両手で持ってレバーを回す。車が持ち上がったらホイールナットを外し、タイヤを外す。タイヤは重いので、足をタイヤから離しておき、必要なら手袋を着ける。
タイヤの取り付けとホイールナットの締め付け
取り付けは次の順で進める。
- ホイールとハブの合わせ面の泥や汚れを落とす
- タイヤを付け、ホイールナットを手で締めて、ナットがホイールに均等に当たっていることを確かめる
- ホイールナットレンチで、取扱説明書の図の順序(1〜5の番号順)に交互・均等に締める。この順序を2回以上繰り返す
- タイヤが地面に着くまで車をゆっくり下ろす
- 図の順序でナットを強く締める
- 車を完全に下ろす
- できるだけ早く、トルクレンチで規定トルクに締める
ホイールナットは車に付属しているものだけを使い、ボルトやナットにオイルやグリースを付けない。合わないナットや緩んだナットはホイールが外れる原因になり、オイルやグリースはナットが緩む原因になる。
締付トルクの数値は、日産の欧州向けの取扱説明書のタイヤの取り付けとローテーションの項の本文には書かれておらず、「規定トルク」とだけある。数値は車に積まれた取扱説明書か日産の販売会社で確かめ、トルクレンチで締める。手ごたえだけで済ませないことが肝心だ。
片付けと、交換・ローテーションの後の点検
外したタイヤ・ジャッキ・工具は収納場所に確実に収め、荷室のフロアボードを戻してリフトゲートを閉める。固定が甘いと、事故や急停止のときに飛んで危険になる。
ホイールナットは常に規定トルクに保つ必要があり、取扱説明書はタイヤローテーションのたびに規定トルクに締め直すことを勧めている。ローテーションそのものは、別冊のメンテナンスの冊子に示す間隔で行うよう日産は勧めている。
欧州向けの取扱説明書では、ローテーションの後は空気圧を点検・調整し、TPMS(タイヤ空気圧の監視の仕組み)をリセットする必要があるとしている。空気圧を調整したときもリセットが要る。冷えた状態で合わせた空気圧は、1.6km以上走った後に高めに表示されることがあるが、熱によるもので故障ではない。迷ったときは日産の電気自動車の認定販売会社かタイヤメーカーに相談する。
交換の後に走って異音が気になるときは、次の記事で原因の見分け方を確かめておく。
パンクしたときの応急パンク修理キット
日産の欧州向けの取扱説明書のパンク修理の項では、スペアタイヤの代わりに応急パンク修理キットが車に付属し、荷室のフロアボードの下の収納に入っているとしている。中身はタイヤシーラントのボトルとエアコンプレッサーで、コンプレッサーの形は車によって違うことがある。軽いパンクを一時的に直すためのもので、修理の後はできるだけ早く日産の電気自動車の認定販売会社で点検を受け、修理か交換をする。日本仕様の積載品は確かめられていないので、キットの有無もフロアボードの下を開けて見ておく。
修理キットが使えない場合
取扱説明書は、次の場合はキットが使えないとしている。そのときは販売会社かロードサービスに連絡する。
- シーラントの有効期限が切れている
- 切り傷や穴がおよそ5mm以上ある
- タイヤの側面が傷んでいる
- 空気がかなり抜けた状態で走った
- タイヤがリムから完全に外れている
- リムが傷んでいる
- 2本以上のタイヤがパンクしている
シーラントは日産純正の応急シーラントだけを使う。ほかのシーラントはバルブのシールを傷めて空気が抜ける原因になる。キットをほかの車に使わないことも取扱説明書の注意にある。
よくある質問
アリアにジャッキは積まれている?
日本仕様のアリアに積まれているかは、公開されている資料では確かめられなかった。日産の欧州向けの取扱説明書では標準装備ではない。荷室のフロアボードの下を開けて確かめ、無ければ販売会社に相談するかロードサービスを呼ぶ。
ホイールナットの締付トルクは?
日産の欧州向けの取扱説明書の本文には数値の記載が無く、「規定トルク」とだけある。車に積まれた取扱説明書か日産の販売会社で数値を確かめる。
市販のジャッキを使ってもよい?
取扱説明書は、車に付属していないジャッキを使わないよう警告している。その警告に従い、付属のジャッキ以外は使わないのが筋だ。工具の入手は、日産の電気自動車の認定販売会社に相談するよう取扱説明書は書いている。
ローテーションの後にすることは?
日産の欧州向けの取扱説明書では、空気圧の点検・調整とTPMSのリセットが要るとしている。ホイールナットも規定トルクに締め直す。細かな注意は片付けと点検の節にまとめた。
まとめ
最初にやることは、実車の荷室のフロアボードを持ち上げて、ジャッキ・ジャッキロッド・ホイールナットレンチと応急パンク修理キットが入っているかを自分の目で見ることだ。日本仕様の装備は確かめられておらず、日産の欧州向けの取扱説明書では工具は標準装備ではない。次に、車に積まれた取扱説明書のジャッキアップとタイヤ交換の項を開き、ジャッキアップポイントの図と締付トルクの数値を確かめ、車検証の型式欄も見ておく。
作業では、欧州向けの取扱説明書の手順どおり、ジャッキの頭を前側か後ろ側のジャッキアップポイントの2つの切り欠きの間に合わせ、車がジャッキに載っている間はEVシステムを起動しない。仕上げはトルクレンチで規定トルクに締める。坂道や交通の近くなど自分で替えにくい場所や、工具が無いときは、販売会社かロードサービスに頼るのが早い。
ほかのアリア FE0の手入れも、あわせて確かめておくとよい。

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