アリアの音で見落としやすいのは、加速のときに鳴る合成音や走行中の「ピッ」まで故障と取り違え、ハンドルやブレーキまわりの音と同じ重さで心配してしまうことだ。加速の合成音は日産のアクティブ・サウンド・コントロール(2026年2月のマイナーチェンジ以降は NISMO のみに設定)、「ピッ」は NissanConnect ナビ付き車では ETC2.0 車載器の受信音で、どちらも仕様として鳴る。先にこうした音を外し、残った音を場所と場面で絞れば、自分で確かめることと販売店に任せることを分けられる。
アリアの音は「仕様の音」と「点検が要る音」に分ける
アリアは電気自動車でエンジン音が無いぶん、ほかの音が耳に入りやすい。そのなかには、日産が仕組みとして出している加速の合成音や、国が電気自動車などへの義務付けを発表した歩行者向けの接近通報の音のように、仕様として鳴る音がある(詳しくは次の節)。
一方で、JAF の解説では次の音は点検が要る状態とされている。仕様の音と同じ扱いにせず、走行を控えて点検に出す。
- ハンドルを回したときの音:ハンドル(ステアリング)機構の異常の可能性があり、ハンドル操作ができなくなるおそれがある
- 走行中のタイヤ付近の音:タイヤに異物が刺さっている、走行関係の部品が傷んでいる、などが考えられる
- ブレーキの「キーキー」という音やブレーキ警告灯の点灯:すぐに整備工場で点検・交換を受ける
どれも、まず自分の安全を確かめてから販売店やロードサービスに連絡する。
故障ではなく仕様として鳴る音
加速時の合成音(アクティブ・サウンド・コントロール)
日産のよくあるご質問によると、アクティブ・サウンド・コントロールは電気自動車でアクセルを踏んで加速するときに、ガソリン車のような加速音をスピーカーから出す仕組みだ。音はエンジンサウンドではなく、モーターサウンドに近い音を合成している。アリアには2022年1月の「limited」の新発売から設定され、2026年2月のマイナーチェンジ以降は NISMO のみに設定されている。設定のある基準車では、SPORT モードで標準の加速音になる。
NISMO は、NISMO 専用 BOSE Premium Sound System と10スピーカーが付いた車なら、NISMO モードで NISMO 専用 EV サウンドになる。加速時は高音が素早く立ち上がる音、減速時は低音の回生音が鳴る。BOSE の付かない NISMO 車は、NISMO モードで標準の加速音だ。システムの停止については、最寄りの日産販売店に相談するよう日産は案内している。
走行中の「ピッ」(ETC2.0 の受信音)
日産のよくあるご質問によると、NissanConnect ナビ付き車で走行中に「ピッ」と鳴るのは、交通情報を受信したときに ETC2.0 車載器が鳴らす受信音だ。対象にはアリア FE0型(2022年1月~)が含まれる。NissanConnect ナビ付きのアリアなら、ランチャーメニューから設定画面に入り、地図表示設定の交通情報関連の項目へ進んで「ETC2.0受信音設定」をタッチすると OFF にできる。 受信音の音量だけを調整することはできず、ナビのガイド音声の音量と連動する。ナビの種類が違う車は、取扱説明書か販売店で切り方を確かめる。
歩行者に接近を知らせる音
国土交通省は2016年(平成28年)10月7日、ハイブリッド自動車や電気自動車等に、歩行者などへ音で車の接近を知らせる「車両接近通報装置」を備えることを義務付けると発表した。アリアは電気自動車なので、車の外へ向けて接近を知らせる音を出す装置の義務付けの対象の区分に入る。鳴る速度の範囲や、運転者が止められるかどうかは確かめられていないので、気になるときは取扱説明書か販売店で確かめる。
停車中・充電中・降りるときに気づく音
充電中の冷却とバッテリーヒーター
日産のよくあるご質問によると、充電中はバッテリーの状況を検知して、必要に応じて冷却機能が作動する。アリア(FE0型)にはバッテリーヒーターも搭載され、日産は水冷式クーラーとともに、使う季節や時間帯などにより効率的にバッテリーを使うために採用したと説明している。ただし、冷却機能やバッテリーヒーターの作動に音が伴うかは、日産の資料に記載が無い。充電中に聞こえた音を、正常な作動音と決めつけないほうがよい。
なお日産は、充電中にボディーカバーをかけると冷却機能に影響が出るおそれがあり、風などで充電コネクタに想定外の負荷がかかって接触不良や破損につながるおそれもあると案内している。
電動パーキングブレーキが自動でかかる条件
日産のよくあるご質問によると、アリア(FE0型)の電動パーキングブレーキは次の場合に自動でかかる。
- オートブレーキホールドの作動中に、シフトを「P」に入れたとき・運転席のシートベルトが外されたとき・運転席の扉を開けたとき・パワースイッチを OFF にしたとき
- オートブレーキホールドが3分間以上つづいたとき
- オートブレーキホールドの機能に異常が発生したとき
この FAQ にも作動音の記載は無い。使い方の注意として、作動させたまま走行しない、作動と解除を短い時間に繰り返さない(システムの過熱防止のため、一時的に作動しなくなる場合がある)、寒冷時の駐車では電動パーキングブレーキをかけずにシフトを「P」に入れて輪留めをする(凍結して解除できなくなるおそれ)、が挙がっている。バッテリーあがりや故障で解除できないときは、日産販売店か JAF などのロードサービスに連絡する。
音が出た直前の状況を書き留める
停車中・充電中・降りるときに聞こえた音は、その場で正常か故障かを言い切らない。充電中だったか、充電の直後か、パワースイッチを OFF にした直後か、シフトを「P」に入れた直後か、ドアを開けた直後か、外の気温はどうだったかを書き留める。上の自動でかかる条件や充電中の冷却と照らし合わせ、同じ条件で繰り返し出るかを見てから販売店に伝える。
音の場所と場面から原因の候補を絞る
JAF の解説をもとに、音や振動の出る場所と場面ごとに候補を並べると次のようになる。
| 場所・場面 | 音・症状 | JAF が挙げる候補 |
|---|---|---|
| 段差を越えた直後・車体の下側 | 「コトコト」「ゴトゴト」 | スタビライザーリンクのボールジョイントやブッシュの遊び |
| ハンドルを回したとき | 異音 | ステアリング機構の異常 |
| ブレーキを踏んだとき | 「キーキー」 | パッドの残量が少ないことを知らせる部品(パッドウェアインジケーター)の可能性 |
| ブレーキを踏んだとき | ペダルの振動 | パッドの片減り、ディスクローターの偏摩耗 |
| 走行中・タイヤ付近 | 異音 | タイヤの異物、走行関係の部品の傷み |
| ある速度域 | ハンドルや車体の振動 | ホイールバランスやアライメントのずれ、タイヤの偏摩耗、1輪だけの空気圧不足 |
| 長く止めた後の走り出し | ガタガタ | タイヤの一部が平らになるフラットスポット(走ると消えることもある) |
表の候補は一般的な候補で、アリアでの原因の特定は販売店の点検による。 場所と場面の見当を付けて伝えるための表として使う。
段差を越えた直後の下回りの音
JAF の解説では、スタビライザーのブッシュやスタビライザーリンクのゴム部品は経年劣化する。ガタが広がると音の頻度や大きさが増し、進むと接続部が外れて走行の安定性を大きく損なうおそれがある。交換に決まった年数や走行距離の基準は無く、異常が出た段階が交換の時期とされる。作業は原則として販売店や整備工場に頼む。
ハンドルを回したときの音
JAF の解説では、ハンドル操作時の振動や、ハンドル操作が重いといった症状を伴う場合もある。最初の節で挙げたとおり、走行を控えて点検を受ける音だ。
ブレーキを踏んだときの音
JAF の解説では、ほとんどの国産車にはパッドウェアインジケーターが付いていて、パッドの残量が少なくなるとこの部品がブレーキディスクに触れて「キーキー」と鳴り、交換時期を知らせる。パッドは残量2mm以下程度で交換し、パッドが減るとブレーキ液の量がリザーバータンクの下限を下回ってブレーキ警告灯が点灯することもある。アリアにこの部品が付いているかは、日産の資料では確かめられていないので、音の正体は点検で確かめてもらう。
一定の速度で出る振動と音
JAF の解説では、ある速度域でハンドルが振動するときはホイールバランスのずれが主な原因で、サスペンションの不具合も考えられる。ある速度域で車体全体が揺れるときは、ホイールアライメントのずれや、それによるタイヤの偏摩耗が挙がっている。1輪だけ空気圧が足りなくても振動が出ることがあるので、まず次の節の空気圧の確認から始める。
用品を付けた後から鳴り始めた音
ドライブレコーダーなどの用品を後から取り付けたり、内装を外したりした後から鳴り始めた音は、その作業で外した内張りや配線の通り道のあたりから確かめる。作業を頼んだ店があれば、いつから・どこで鳴るかを伝えて見てもらう。配線の通し方は次の記事にまとめている。
まず自分で確かめる:タイヤの空気圧と状態
グレード別の指定空気圧
日産のよくあるご質問に載るアリア(FE0型)のタイヤと指定空気圧は次のとおり。各グレードに、前後で分かれていない1つの指定値が載っている。
| 時期・区分 | グレード | タイヤサイズ | 指定空気圧 |
|---|---|---|---|
| 2022年5月新発売の基準車 | B6・B6 e-4ORCE・B9・B9 e-4ORCE | 235/55R19 101V | 260kPa(2.6kgf/cm²) |
| 2022年5月新発売の基準車 | B9 e-4ORCE プレミア | 255/45R20 101V | 240kPa(2.4kgf/cm²) |
| 特別仕様車 limited | B6 limited・B6 e-4ORCE limited・B9 limited | 235/55R19 101V | 260kPa(2.6kgf/cm²) |
| 特別仕様車 limited | B9 e-4ORCE limited | 255/45R20 101V | 240kPa(2.4kgf/cm²) |
| NISMO(発売時期で分けずに掲載) | B6 e-4ORCE・B9 e-4ORCE | 255/45R20 105W XL | 240kPa(2.4kgf/cm²) |
| 2026年2月マイナーチェンジ以降の基準車 | B6・B9・B6 e-4ORCE・B9 e-4ORCE | 235/55R19 101V | 260kPa(2.6kgf/cm²) |
| 2026年2月マイナーチェンジ以降の基準車(メーカーオプション) | B9・B9 e-4ORCE | 255/45R20 101V | 240kPa(2.4kgf/cm²) |
確かめる順番
- タイヤが冷えている状態で、4輪の空気圧を自分の車のグレードの指定値に合わせる
- タイヤの接地面にくぎや石などの異物が刺さっていないか、側面に傷が無いかを目で見る
- 空気圧を調整したら、タイヤ空気圧警報システムのリセット操作をする
- それでも振動や音が変わらないときや、タイヤ付近から音が続くときは、走行を控えて販売店で点検を受ける
タイヤ空気圧警報システムの働き
日産のよくあるご質問によると、アリア(FE0型)のタイヤ空気圧警報システムは25km/h 以上で走行したときに作動し、指定空気圧より20%低下すると警告灯が点灯して警告メッセージを表示する。センサーの電池切れやシステムの故障でも警告灯は点灯し、センサーの無い社外品のホイールを付けると警告灯が点滅または点灯する。リセット操作は、空気圧の調整のほか、タイヤやホイールの交換、ローテーションのときにも要る。パンクしているときは日産販売店に相談する。
リコール・改善対策の対象かを車台番号で調べる
車台番号の在りかと調べ方
日産のリコール関連情報のページには、リコール/改善対策の一覧、サービスキャンペーンの一覧、車台番号での検索がある。車台番号は車検証に印刷されている。車両では、アリア(FE0型)の車台番号は運転席の足元の樹脂カバーを外したところにあり(マットを敷いているときは先にめくる)、モデルナンバープレートは右側のセンターピラーの下部にある(2WD・4WD 共通。日産のよくあるご質問)。
車台番号で検索して対象かどうかを確かめる。届出の車台番号の範囲には対象外の車両も含まれるため、詳しくは販売会社に確認するよう日産は案内している。 製作期間と購入時期は一致しない、とも書かれている。
アリアの届出の例
日産のリコール関連情報によると、アリアの届出には次のような例がある。
- 届出番号5485(2024年5月31日開始):型式 ZAA-FE0(66台)と ZAA-SNFE0(1台)、製作期間は2022年(令和4年)2月21日~2023年(令和5年)4月5日。駆動モータ内のオイルシール用Oリングが組み付けのときに損傷した個体があり、冷却用オイルが漏れて絶縁抵抗が下がり、最悪の場合はモータの出力が止まって走行できなくなるおそれがある。改善は駆動モータを良品と交換(4WD 車は後輪用の駆動モータ)
- 届出番号5483(2024年5月31日開始。セレナ・エクストレイルと合わせた届出):アリアの対象は ZAA-FE0(2021年12月17日~2023年11月17日製作・8,186台)と ZAA-SNFE0(2022年10月10日~2023年11月16日製作・2,959台)。ナビゲーションコントロールユニットの制御プログラムが不適切なため、ナビゲーションシステムが正常に作動しなくなり、直前直左確認用のカメラ映像が表示されないことがある。改善は制御プログラムの修正
どちらも、日産のページには不具合の兆候として異音の記載は無い。異音の原因探しとは切り離し、自分の車が対象かどうかを確かめるために調べる。
販売店に相談する前に残しておく記録
書き留める6つの条件
点検で同じ音を出して確かめてもらうには、音の出る条件の記録が役に立つ。次の6つを書き留めておく。
- 音が出た速度と場面(発進・加速・アクセルを離したとき・ブレーキ・段差・ハンドルを切ったとき・一定速度・停車中・充電中)
- 音の場所(前か後ろか、右か左か、足元か頭上か、車の外か中か)と音の種類(キーキー・ゴトゴト・コトコト・ブーンなど)
- そのときのドライブモードとレンジ(D か B か)
- 気温や天候、路面(雨・寒い朝など)
- 毎回出るか、ときどきか
- 同乗者に場所を聞き、安全な場所で動画や録音を残す(運転中に操作しない)
日産のよくあるご質問によると、アリア(FE0型)のドライブモードは2WD が SPORT/STANDARD/ECO、4WD が SPORT/STANDARD/ECO/SNOW。SPORT はアクセルを離したときの回生ブレーキを強め、ECO は弱める。B レンジはどのドライブモードでも選べ、下り坂などで強い回生ブレーキが要るときに使う。アクセルを離したときの音なら、モードとレンジまで書いておくと条件をそろえやすい。
荷物を降ろして走り比べる
室内や荷室からのカタカタ・コトコトという音は、積んでいる物やドアポケット・小物入れの中の物が動いて鳴っていることもある。荷室とドアポケットや小物入れの中身を一度降ろし、同じ道を同じように走って音が消えるかを比べると、車の部品の音かどうかを切り分けられる。荷室の片付け方は次の記事が参考になる。
販売店に持ち込む目安
仕様の音に当たらず、空気圧を合わせても荷物を降ろしても音が消えないときは、記録と動画を持って販売店に相談する。 最初の節で挙げたハンドル・ブレーキ・タイヤ付近の音は、記録を待たずに点検を受ける。
よくある質問
加速時に聞こえる音は止められる?
アクティブ・サウンド・コントロールの加速音なら、日産はシステムの停止について最寄りの日産販売店への相談を案内している。自分の操作で止められるかは日産の案内からは言えないので、販売店に相談する。アリアへの設定は2022年1月の「limited」の新発売からで、2026年2月のマイナーチェンジ以降は NISMO のみだ。
走行中に「ピッ」と鳴るのは何?
NissanConnect ナビ付き車なら、交通情報を受信したときに ETC2.0 車載器が鳴らす受信音だ。OFF にする手順は「故障ではなく仕様として鳴る音」の節に書いた。
充電中に音がするのは故障?
充電中は必要に応じて冷却機能が作動するが、その作動に音が伴うかは日産の資料に記載が無い。故障とも正常とも決めず、音が出た条件を書き留めて販売店に伝える。
ブレーキの「キーキー」は何の音?
JAF の解説では、パッドの残量が少ないことを知らせる部品の音のことがある。ただしアリアにその部品が付いているかは日産の資料では確かめられていないので、すぐに整備工場か販売店で点検を受ける。
まとめ
まずは実車で、音が出る場所の近くとタイヤ4本の接地面・側面を自分の目で見て、タイヤが冷えている状態で空気圧を自分の車のグレードの指定値に合わせる。そのうえで車検証の車台番号を使い、リコールの対象かを調べる。
そこから先は、仕様の音(加速音や受信音など。条件は前の節のとおり)を外し、音の場所と場面で候補を絞り、荷物を降ろして走り比べる。ハンドル・ブレーキ・タイヤ付近の音やブレーキ警告灯の点灯は、走行を控えて点検に出す。 販売店には、速度・場面・場所・ドライブモードとレンジ・気温を書いた記録と動画を持って行く。
日ごろの手入れでは、次の記事も確かめておくとよい。

コメント