デリカミニの車高調は、同じ「デリカミニ用」という名前で売られていても、2WD用と4WD用で中身が別の製品になる。初代の2WD(B34A/B35A)に適合が示されている全長調整式は2製品あり、そのどちらも4WD(B37A/B38A)には使えない。買い物より先に、車検証の型式欄を見て自分がどちら側の話を読むべきかを決めておきたい。
初代2WDで選べる車高調は2製品
適合が確認できたのは、ラルグスのSpecKと、ファイナルコネクションのSUPER KIDS TWINの2つ。どちらも全長調整式だが、性格ははっきり分かれる。SpecKは減衰調整が32段と細かいかわりに下げ幅の設定範囲が浅め、SUPER KIDS TWINは25段調整で下げ幅の範囲が広い、という関係だ。下げ幅を大きく取りたいならSUPER KIDS TWIN、純正から少しだけ落として詰めていきたいならSpecK、という選び分けになる。
| 項目 | ラルグス SpecK | ファイナルコネクション SUPER KIDS TWIN |
|---|---|---|
| 適合 | B34A・2WD(2023年5月〜2025年10月) | B34A/B35A・2WD |
| 調整方式 | 全長調整式 | 全長調整式 |
| ショック構造 | 単筒式・正立式 | 複筒式(フロントM50・リアM43) |
| 減衰力調整 | 32段 | 25段 |
| 車高設定範囲 | フロント-53〜-3mm/リア-46〜-16mm | フロント0〜-85mm/リア-15〜-85mm |
| スプリングレート | フロント4.5k/リア3k | フロント5kgf/mm/リア2.5kgf/mm |
| アッパーマウント | 前後ともマウントレス | フロント マウントレス/リア 別体式 |
| オーバーホール | 対応 | 対応 |
| 参考価格 | 113,300円 | 88,500円 |
適合と仕様はラルグスとファイナルコネクションの製品ページに記載されたもの。価格はAmazonの実売価格で、いずれも確認時点の値だから、注文前に現在の表示を見てほしい。
4WDと2025年10月発売の2代目は、この2製品の対象外になる。行き先は後半で別に案内する。
自分のデリカミニがどれに当たるかを確かめる
型式は車検証(自動車検査証)の「型式」欄に載っている。見分け方はこうだ。
- B34A(自然吸気)またはB35A(ターボ)なら、初代の2WD。この記事の主対象。
- B37A(自然吸気)またはB38A(ターボ)なら、初代の4WD。
- BA1A・BA2A・BA5A・BA6Aなら、2025年10月に発売された2代目。
型式を読んだら、買おうとしている製品の適合表にその型式が載っているかを照合する。「デリカミニ用」という商品名だけで判断すると、駆動方式違いを買う。初代は2023年5月25日発売で、三菱自動車の発売時のニュースリリースでも、4WDには165/60R15の大径タイヤと専用ショックアブソーバーが与えられていると説明されている。純正の段階でタイヤ径もダンパーも別物なのだから、車高調が共通でないのは当然と言える。
足まわり以外も含めてデリカミニのいじり方を先に眺めたいなら、こちらから。
車高調・ダウンサス・リフトアップキットの使い分け
高さを変える手段は1つではない。下げ幅を後から変えたい、減衰も自分で調整したい、という2つが揃ったときに車高調を選ぶ理由が立つ。下げる量が最初から決まっていて動かす気がないなら、ダウンサスでも用は足りる。
逆に上げたい人は、この記事の2製品は対象が違う。デリカミニの場合、上げる方向の選択肢は4WD側に用意されている。
なお、コイルスプリングとショックアブソーバーはどちらも指定部品に挙げられている部類なので、交換そのものが車検で不利になるわけではない。線引きは後半の車検の節で扱う。
選ぶときに見る6項目
価格順に並べ替えて上から買うと、この6つのどれかを落とす。
適合と調整方式
型式と駆動方式が適合表に載っているかが最初。次に全長調整式かどうか。サスペンションメーカーのテインの解説では、全長調整式はシェルケースの長さを変えて車高を調整するため、下げてもストローク量が変わらず乗り心地の変化を抑えられるとされている。今回の2製品はどちらも全長調整式にあたる。
減衰力調整の段数と調整場所
段数だけでなく、ダイヤルがどこに付いているかも見ておきたい。SpecKは減衰の調整がアッパーマウント上部のダイヤル固定式で、段数は32段。SUPER KIDS TWINは25段。数字が大きいほど細かく詰められるが、段数が多いほど乗り味が良いという意味ではない。
ショックの構造とダウン量の範囲
単筒式か複筒式かで構造が違う。そしてダウン量の設定範囲は、自分が下げたい量と、保安基準が定める下限の両方に収まっている必要がある。範囲の広い製品は下限側に余裕があるぶん、下げすぎる自由もあるということでもある。
オーバーホールと保証
長く使うなら、抜けたときに直せるかどうかが効いてくる。2製品ともオーバーホールに対応している。ラルグスは出荷日から2年間の無償修理サービスを案内している。
ラルグス SpecKが向く人
SpecKはラルグスが軽自動車向けに設定しているモデルで、スペースが狭くストロークを確保しにくい軽自動車のために開発されたと説明されている。全長調整式・単筒式・正立式で減衰力は32段階、スプリングはID62、材質はSAE9254。オーバーホール対応と防錆塗装、2年保証が案内されている。
デリカミニ用の車高設定範囲は、ラルグスの製品ページによればフロントが-53mm〜-3mm、リアが-46mm〜-16mm。上限側が純正近くまで戻せる作りなので、落としすぎたくない人が扱いやすい。スプリングレートはフロント4.5k、リア3k。
注意点が2つある。1つは、車高設定範囲とダウン量は開発車両を元にした参考値だとラルグス自身が明記していること。もう1つは、アダプティブショックアブソーバー装着車には警告灯対策が別途必要になること。自分の車がどちらかを、購入前に確かめておきたい。
ラルグス SpecK 全長調整式車高調キット(デリカミニ B34A 2WD 用)
ファイナルコネクション SUPER KIDS TWINが向く人
こちらはB34AとB35Aの両方に適合が示されている。ファイナルコネクションの製品ページによれば、フロントが複筒式ショックM50、リアが複筒式ショックM43で、減衰力は25段調整。アッパーマウントはフロントがマウントレス、リアが別体式。スプリングはフロントがID60/H165で5kgf/mm、リアが特別形状のID65/H200で2.5kgf/mm。車高調レンチ・製品証明書・オリジナルステッカーが付属し、オーバーホールにも対応する。
ダウン量はフロントが0〜(-40)〜-85mm、リアが-15〜(-40)〜-85mm。純正位置に近いところから85mm下げたところまでを1本で受け持つ設定で、括弧内の-40mmが目安として示されている。
範囲が広いぶん、メーカー側も下限を明示している。ファイナルコネクションは製品ページで、最低地上高9cmを確保して使うこと、リアテールレンズ下縁350mmを確保できない場合はノーマルに戻すこと、取付・調整後はホイールのアライメント調整を必ず行うことを指示している。取付の受付条件としても、最低地上高が保てていない車両は入庫できないとしている。
ファイナルコネクション SUPER KIDS TWIN 車高調キット(デリカミニ B34A/B35A 2WD 用)
4WD(B37A/B38A)と2代目に乗っている場合
ラルグスとファイナルコネクションのデリカミニ用は、どちらも適合が「B34A/B35A 2WD」と明記されている。4WDに付ける前提の製品ではないので、この2つは候補から外れる。
4WD側には別の選択肢がある。自動車ニュースの報道によれば、ブリッツがB37A・B38A向けに全長調整式のDAMPER ZZ-Rシリーズでリフトアップモデルを設定し、2024年4月1日から販売している。DAMPER ZZ-Rは減衰力32段調整で、上位のSpecDSC Plusは車速連動機能を持つ電子制御式。装着例としてフロント15mmアップ、リア17mmアップという車高変化が示されている。デリカミニの4WDは、下げる方向より上げる方向の全長調整式が揃っているのが2WDとの違いだ。
2代目は2025年9月18日に発表され、同年10月29日に発売された。型式は2WDが4BA-BA2A・5BA-BA1A、4WDが4BA-BA6A・5BA-BA5Aで、初代とは別。4WDのショックアブソーバーにはカヤバ製のProsmoothが初採用され、フロントのスタビライザーやリアのブッシュ配置も変更されている。初代用として適合が示された製品を2代目に流用してよい根拠はないので、各社の適合表が2代目に対応するのを待つことになる。
車検に通る下げ幅を基準から逆算する
「何mmまでなら通る」という断定はできない。判定は空車状態での実測値で決まり、装着タイヤや個体差でも動くからだ。ただし、下限がどこにあるかは基準から読める。
最低地上高の測り方と9cm
保安基準の細目を定める告示は、最低地上高が低くなる改造をした軽自動車について、測定条件と判定基準を定めている。測定は空車状態、タイヤ空気圧は規定値、車高調整装置が付いていれば標準(中立)の位置で行い、舗装された平面に置いて巻き尺等で測る。測定値は1cm未満を切り捨ててcm単位とし、地上高(全面)が9cm以上であることが判定基準。タイヤと連動して上下するブレーキ・ドラムの下端やロア・アーム等の下端、自由度を有するゴム製の部品、樹脂製のマッド・ガードやエアダム・スカート等は測定から除かれる。
同じ告示には軸距間の地上高について H=Wb×1/2×sin2°20′+4(Hはcm、Wbは軸距cm、sin2°20′は0.04)以上という条件もあるが、デリカミニのホイールベース2495mmを当てはめた計算値は約8.99cm。全面についての9cmのほうが先に効くので、実務上は9cmを見ておけばよい。
初代の最低地上高は諸元データで2WDが155mm、4WDが160mm。2WDの155mmから9cmまでの余地は単純計算で65mm分になる。ただしこれは諸元値どうしの引き算で、実車の可否は実測で決まる。
尾灯の下縁0.35mが先に来ることがある
尾灯は、二輪車等を除く自動車の場合、照明部の上縁が地上2.1m以下、下縁が地上0.35m以上に取り付けられていることが求められている。大きく下げると、最低地上高より先にこちらへ引っかかる。ファイナルコネクションが350mmの確保を求めているのは、この規定に対応している。
下げ幅を決める前に、通勤路の駐車場の段差やスロープの角度、雪や荷物で沈む場面も見ておきたい。デリカミニは背が高く後席や荷室に荷重が集中しやすいので、空車状態でぎりぎりに合わせると乗車時に余裕がなくなる。最初から最大まで下げず、余地を残した位置で一度確認してから詰めるほうが扱いやすい。
構造等変更検査は要るのか
結論から言えば、通常のボルト留めなら要らない。国土交通省の依命通達にもとづく指定部品の取り扱いでは、緩衝装置関係の指定部品としてコイル・スプリング、ショック・アブソーバ、ストラット、ストラット・タワー・バーが挙げられている。指定部品を溶接またはリベット以外の方法で装着した場合、自動車検査証記載事項変更および構造変更検査は不要とされている。
取付方法は、工具を使わない簡易的取付、ボルト・ナット等で工具を使う固定的取付、リベット・溶接による恒久的取付の3区分。車高調の装着は真ん中に当たる。部品装着後の寸法・重量の許容範囲としては、小型自動車と軽自動車で全長±3cm・全幅±2cm・全高±4cm・車両重量±50kgという値が示されている。
ただし、装着した状態で保安基準に適合していることは必要で、その管理はユーザーの責任とされている。検査が不要になるのは手続きの話であって、9cmや0.35mを割ってよいという話ではない。指定部品の一覧には、ショック・アブソーバおよびストラットを変更して装着することにより、走行中に運転者席等で車両姿勢を容易かつ急激に変化させることができるものであってはならないという注記も付いている。
取り付けと、取り付けたあと
車高調の装着は足まわりを分解する作業で、スプリングの取り外しやトルク管理が伴う。設備のある店に頼むのが無難だ。取付・調整後のアライメント調整はメーカーが指示しているので、車高調の工賃とは別に見込んでおく。工賃もアライメント調整の料金も依頼先で差があるため、作業前に見積もりを取っておきたい。
各社が示すダウン量は開発車両での参考値なので、実車では前後のバランスや装着タイヤによって差が出る。狙った数字にならなくても製品の不良とは限らない。
下げたあとの足まわりのつじつま
純正タイヤサイズは駆動方式で違う。2WDと4WDで外径が変われば、同じダウン量でもフェンダーとの隙間の詰まり方が変わる。車高調と同時にホイールのサイズやオフセットを変えると、干渉するかどうかの条件が二重に動くので、まずどちらか一方を決めてから確認したい。
よくある質問
2WD用と書かれた車高調を4WDのデリカミニに付けられますか
適合表が2WDのみの製品を4WDに付けてよいとは言えない。4WDは純正の段階でタイヤ径もダンパーも別で、車高調も駆動方式ごとに別品番になる。4WDのB37A/B38Aは、その型式が載っている製品から選ぶ。
車高調を入れると構造等変更検査は必要になりますか
溶接やリベットを使わないボルト留めであれば不要とされている。ただし装着後に保安基準へ適合していることは自分で管理する必要がある。
どのくらいまで下げると車検に通らなくなりますか
数字で言い切れる問いではない。判定は空車状態の実測で、装着タイヤでも変わる。最低地上高9cmと尾灯下縁0.35mの両方を割らない位置で、実車を測って決める。
取り付け後にアライメント調整は必要ですか
必要になる。ファイナルコネクションは取付・調整後のアライメント調整を必ず行うよう指示している。調整のたびに再確認する前提で考えておく。
2025年10月に出た新型デリカミニにも同じ車高調が使えますか
2代目は型式がBA系に変わり、4WDのショックアブソーバーの銘柄やブッシュ配置も変更されている。初代用として設定された製品を流用してよい根拠はないので、各社の適合表に2代目の型式が載るのを確認してから選ぶ。
まとめ
購入前に確認するのは次の4点。
- 車検証の型式欄がB34AかB35Aか。B37A/B38Aなら4WD用、BA系なら2代目で選択肢が変わる。
- 下げたい量が製品の設定範囲に入っているか。SpecKはフロント-53mm〜-3mm、SUPER KIDS TWINはフロント0〜-85mm。
- その下げ幅で最低地上高9cmと尾灯下縁0.35mを確保できるか。数値は実車の実測で見る。
- 取付とアライメント調整を頼む先と、その見積もり。
落としすぎず減衰を細かく詰めたいならラルグス SpecK、下げ幅を大きく取りたいならファイナルコネクション SUPER KIDS TWIN。この2択で足りる。
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