デリカミニのブレーキパッドは、フロントの左右2枚だけを考えればいい。リアはドラムブレーキなので、パッドという部品がそもそも付いていない。品番が2つに分かれるのはB34Aだけで、分岐の条件は駆動方式でもターボの有無でもなく、パーキングブレーキが機械式か電動かである。B35A・B37A・B38Aなら、型式が分かった時点で選ぶ番号は1つに決まる。
型式とパーキングブレーキで決まる品番の早見表
初代デリカミニ(2023年5月〜2025年10月)の型式は4種類ある。曙ブレーキ工業が公開している軽自動車専用ブレーキパッドの適用表によると、フロントのディスクパッドの割り当ては次のとおり。
| 型式 | 駆動方式・エンジン | パーキングブレーキ | 適用表の品番 |
|---|---|---|---|
| 5AA-B34A | 2WD(FF)・自然吸気 | 機械式 | K-788WK |
| 5AA-B34A | 2WD(FF)・自然吸気 | 電動(マイパイロット装着) | K-769WK |
| 4AA-B35A | 2WD(FF)・ターボ | 適用表に分岐の記載なし | K-769WK |
| 5AA-B37A | フルタイム4WD・自然吸気 | 適用表に分岐の記載なし | K-769WK |
| 4AA-B38A | 4WD・ターボ | 適用表に分岐の記載なし | K-769WK |
確認するのは、車検証の型式欄と、運転席まわりのパーキングブレーキの操作部の2つだけでいい。 B34Aで足踏みペダルやレバーなら788WK側、スイッチで操作するなら769WK側。B35A・B37A・B38Aは、適用表上この分岐がなく769WK側にまとまっている。
なお同じ適用表には、B34A系の終了年式がR7.10(2025年10月)と記載されている。
フロントだけがディスク、リアはドラム
初代デリカミニのブレーキ形式は、フロントがベンチレーテッドディスク、リアがドラム(リーディングトレーリング)である。2WD自然吸気のGプレミアム(B34A)でも、4WDターボのTプレミアム(B38A)でも構成は同じで、カタログの諸元にそう記載されている。グレード間の装備差が気になる人は
も参考になる。
ブレーキパッドはディスクブレーキ用の摩擦材だから、装着されるのはフロントだけになる。リアの消耗品はパッドではなくブレーキシューという別部品で、前後4輪ぶんのパッドを探しても存在しない部品を探すことになる。
この区別は商品選びに直結する。曙ブレーキ工業のアフターマーケット適用表では、フロントのディスクパッド品番(AN-769WKのようにWKで終わる番号)と、リヤのブレーキシュー品番(NN3072のようにNNで始まる4桁番号)が対で掲載されている。通販でよく見る「フロント・リア1台分セット」は、この2つを組み合わせた中身だ。リアにパッドが入っているわけではない。
品番表記が2系統ある理由
曙ブレーキ工業は同じ適合に対して2系統の品番を用意している。標準ラインの適用表ではAN-769WK・AN-788WK、軽自動車専用ライン「K4」の適用表ではK-769WK・K-788WKと表記される。頭の記号が違うだけで数字部分は共通で、たとえばデイズB21Wのターボ(H25.6〜H27.6)は標準ラインの表でAN-769WK、軽自動車専用の表でK-769WKと、同じ条件に同じ数字が割り当てられている。
通販では両方の表記が流通する。実用的には、数字部分が769WKか788WKかを自分の型式・仕様と突き合わせるのが早い。 ただし2つは別ラインの製品なので、表記違いの同一品と決めつけないほうがいい。
型式表記で外さないための3つの確認
商品ページの型式表記だけを見て買うと外す場面が3つある。
型式は兄弟車と共通なので車種は特定できない
B34A・B35A・B37A・B38Aという型式は、デリカミニ専用ではない。曙ブレーキ工業の適用表では、同じ型式がeKスペースとeKクロススペースの欄にも並んでいて、品番の割り当ても同じである。だから商品説明に「B34A対応」とだけ書かれていても、それだけでは車種は決まらない。裏を返せば、適合の判断は車種名ではなく型式とパーキングブレーキ仕様で行うのが正しい。
適用表がデリカミニ欄の開始年式をR2.3(2020年3月)としているのも、この型式を兄弟車とまとめて記載しているためで、デリカミニ自体の発売は2023年5月である。車種そのものの違いは
で整理している。
なお、型式が共通だからといって、eKスペース用として売られている商品がそのまま使えると言い切れるわけではない。適用表が示すのは型式と仕様に対する品番の対応であって、個々の商品の適合は商品ごとに確認が要る。
2代目は別型式なので初代向けは合わない
デリカミニは2025年にフルモデルチェンジしており、現行の2代目は型式がBA1A・BA2A・BA5A・BA6Aと、初代のB34A系とはまったく別の記号になる。三菱自動車が公開している現行モデルの諸元では、T系グレードがBR06インタークーラー付ターボチャージャー、G系グレードがBR06で、2WDと4WDが設定されている。専門媒体の解説によれば、発表は2025年8月22日で、初代のマイルドハイブリッドをやめてエンジンのみの動力系に戻し、4WDのタイヤを165/60R15に大径化するなど足まわりも変わっている。曙ブレーキ工業の適用表でもBA1A系は開始年式R7.10として別に記載されている。
この記事が扱うのは初代(B34A・B35A・B37A・B38A)だけだ。 2代目については、この調査でブレーキ形式まで確認できていないため、前後の構成も含めて適用表と車検証の型式で確認してほしい。
商品説明の年式表記は実車とずれることがある
今回確認できた出品のなかにも、デリカミニの発売が2023年5月であるのに対して「令和5年3月〜」と書かれ、商品名に「要仕様確認」と添えられているものがあった。年式表記や車種名だけで判断せず、型式とパーキングブレーキ仕様に対して品番が合っているかで見る。判断がつかないときは購入前に出品者へ問い合わせるのが確実だ。
選ぶときの4つの判断軸
商品を比べる前に、物差しを4つに絞っておく。
適合
車検証の型式と、B34Aならパーキングブレーキが機械式か電動かまで合わせる。ここが最優先で、他の軸はこれを満たした商品の中で比べるものになる。
構成
フロントのパッドだけの商品か、リアのブレーキシューまで含む「フロント・リア1台分」の商品かを区別する。前回リアのシューを替えていないなら後者、フロントだけ替えたいなら前者が無駄にならない。
品番の追跡性
商品名に769WK・788WKのような部品メーカーの適用表に載っている番号があれば、自分で適合を確かめられる。適用表で追えない独自番号のものは、商品説明の記載を信じるしかない。どちらを選ぶかは、自分で確かめたいか整備工場に判断を委ねるかで決まる。
価格と在庫
フロント単体か前後セットかで価格帯が変わるので、構成をそろえてから比べないと高い安いの判断を誤る。在庫状況は変動するため、買うと決めた時点で確認する。
販売中の4商品を比べる
以下の価格はいずれもAmazonの実売価格(2026年8月31日確認時点)で、変動する。
| 商品 | 構成 | 適用表で追える番号 | 価格 |
|---|---|---|---|
| AN-769WK+NN3072 | フロント・リア1台分 | 769WK | ¥9,350 |
| AN-788WK+NN3072 | フロント・リア1台分 | 788WK | ¥9,999 |
| V9118M055 | フロント | なし | ¥5,900 |
| V9118S023 | フロント側1台分 | なし | ¥4,400 |
AN-769WK+NN3072 フロント・リア1台分セット
商品名にB35A他・令和5年5月〜と記載され、数字部分が769WK。適用表でB35A・B37A・B38A、およびB34Aの電動パーキング仕様に割り当てられている番号と一致する。リアのブレーキシューNN3072が組み合わされているので、前後まとめて手当てしたい人向けになる。フロントだけ替えたい段階なら、この構成は過剰だ。
AN-769WK+NN3072 フロント・リア1台分セット(B35A他・令和5年5月〜)
AN-788WK+NN3072 フロント・リア1台分セット
こちらは数字部分が788WKで、商品名にもB34Aと明記されている。適用表で788WKが割り当てられているのはB34Aの機械式パーキング仕様なので、B34Aでスイッチ式のパーキングブレーキが付いている車には、この番号は合わない。 買う前にペダルかレバーかスイッチかを見ておく。構成は前後1台分で、リアシューはNN3072。
AN-788WK+NN3072 フロント・リア1台分セット(B34A・令和5年5月〜)
V9118M055 フロント用ブレーキパッド
三菱向け、デリカミニ(B34A)と表記されたフロント用。曙ブレーキ工業の適用表で追える番号ではないため、適合の裏づけは商品説明の記載だけになる。純正部品と同等品か、特定の純正品番の互換品かも、この調査からは判断できない。前後セットより価格は下がるが、B34Aは品番が2系統に分かれる型式なので、パーキングブレーキ仕様まで含めて合うかを出品者に確認してから買いたい。
V9118M055 フロント用ブレーキパッド(三菱向け・B34A表記)
V9118S023 フロント側1台分
4点のなかでは価格が最も低いフロント用。商品名に「令和5年3月〜」「要仕様確認」とあり、前述の年式表記のずれに当たる出品がこれになる。こちらも適用表で追える番号ではない。型式が書かれていないぶん、購入前の問い合わせは省略しないほうがいい。
V9118S023 フロント側1台分(デリカミニ対応・要仕様確認)
交換時期をどう見極めるか
厚みの目安
カー用品店や中古車情報媒体の解説では、新品時の厚みがおよそ10mm、残量が2〜3mm程度になったら交換のタイミングとされる。使用限度は2mmで、これを超えて使うとブレーキの破損を招く可能性があり危険だと説明されている。ただしこれらは車種を問わない一般的な目安で、デリカミニの純正パッドを実測した値ではない。 実際の残量は現車で確かめることになる。
走行距離と異音
同じ解説では、およそ10,000km走るごとに1mmずつすり減るという見方が示されている。点検の目安は30,000〜50,000km走行のタイミングで、50,000kmを超えると摩耗している可能性が高まるという記載もある。減り方は走り方や使用環境で大きく変わるので、走行距離は点検を思い出すきっかけとして使い、判断は実際の残量で行う。
音についても、使用限度に近づくと警告音が出る仕組みがあると説明されており、別の解説では残量が減るとブレーキをかけた際に「キー」「シャー」といった音が出るとされている。音の出方は車種によって異なるとも書かれているので、音が出ていないから大丈夫とは言えない。ブレーキを踏んだときの高い音は摩耗のサインとして受け取り、点検につなげる。異音の原因はパッドの摩耗だけとは限らないため、切り分けは
も見ておくといい。
残量の見方
基本はホイールのスポークの隙間からフロントのブレーキキャリパを見て、パッドの厚みを目視する。ホイールのデザインによっては見えにくく、正確に測るには車を上げてホイールを外す必要がある。無理に自分で判断せず、タイヤ交換やオイル交換、法定点検で工場に入れる機会に残量を確認してもらい、あと何mm残っているかを聞いておくと次の見通しが立つ。
のタイミングに合わせて頼むのが手間が少ない。
交換作業は法令上どういう位置づけか
国土交通省の運輸局が公表している自動車特定整備事業の認証取得説明用資料では、道路運送車両法施行規則第3条が定める特定整備(分解整備)の一つとして制動装置に関する作業が挙げられ、「ディスクブレーキのキャリパ(ブレーキキャリパの取り外しを伴うブレーキパッドを含む)」を取り外して行う自動車の整備または改造と明記されている。つまりキャリパを外して行うパッド交換は、法令上は分解整備に当たる作業だ。
同じ資料には、認証を受けないで自動車特定整備事業を経営した者、および業務の範囲の限定に違反した者には、道路運送車両法第109条の規定により50万円以下の罰金が科せられると記載されている。特定整備を行う事業場は地方運輸局長の認証を受ける必要があり、認証には分解整備のみ、電子制御装置整備のみ、その両方という3つのパターンが想定されている。部品を持ち込んで交換を頼むなら、依頼先が制動装置を対象とする認証を受けた工場かどうかが確認の手がかりになる。
ここで整理しておくと、認証が必要なのは「自動車特定整備事業を経営する」場合、つまり業として他人の車の分解整備を行う場合である。この規定が自分の車を自分で整備する行為そのものを直接禁じているわけではない。ただしブレーキは止まる機能を担う装置で、作業後に保安基準へ適合していなければならないことは変わらない。工具も手順の正確さも要るので、自信がなければ認証を受けた工場に任せるほうが妥当だ。ジャッキアップやホイールの脱着に慣れているかどうかは
あたりが判断材料になる。
よくある質問
リアのブレーキパッドは交換しなくていいのか
初代デリカミニのリアはドラムブレーキなので、パッドという部品がない。リア側の消耗品はブレーキシューという別部品で、交換の対象になるのはそちらになる。
自分の型式が分からないときはどこを見ればよいか
車検証の型式欄に5AA-B34Aのような形で記載されている。B34Aだった場合はもう1か所、運転席まわりのパーキングブレーキの操作部を見て、ペダルやレバーか、スイッチかを確かめる。B35A・B37A・B38Aなら型式だけで決まる。
ターボ車と自然吸気で品番は変わるのか
適用表上の分岐条件はエンジンではなくパーキングブレーキの仕様である。ターボのB35A・B38Aも自然吸気のB37Aも同じ769WK側で、分かれるのはB34Aのみになる。車両重量やタイヤサイズにも差はあり、カタログの諸元ではGプレミアム(B34A・FF)が165/55R15で990kg、Tプレミアム(B38A・フルタイム4WD)が165/60R15で1060kgと記載されているが、これが品番の違いに結びついているわけではない。サイズの一覧は
にまとめている。
交換は自分でできるのか
キャリパを外して行うパッド交換は法令上の分解整備に当たる。ただし認証の規定は事業として他人の車を整備する場合の話なので、自分の車を自分で整備する行為の適否をこの資料から断定はできない。制動装置である以上、判断は慎重に。
まとめ
最初にやることは、車を見に行くことだ。運転席まわりのパーキングブレーキがペダル・レバーか、スイッチかを目で確かめる。そのうえで車検証の型式欄を見れば、B34Aの機械式なら788WK、それ以外はすべて769WKと、選ぶ番号が決まる。
押さえるのはこの3点になる。パッドがあるのはフロントだけで、リアはシュー。品番が分かれるのはB34Aのパーキングブレーキ仕様だけ。型式はeKスペース・eKクロススペースと共通なので、車種名ではなく型式で判断する。ここまで固まれば、あとは前後1台分にするかフロント単体にするかを選ぶだけになる。
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