スタッドレスへの履き替えの時期や、出先でのパンク。2代目のフリード/フリード+(GB5〜GB8)を自分でジャッキアップしようとしたとき、最初に分かれ道になるのは、その車にジャッキが積まれているかどうかだ。ホンダの取扱説明書は、2017年版・2020年版では車に積まれたジャッキで作業する手順なのに、2023年版では「ジャッキが標準で搭載されていません」と書いている。掛け方とナットの締め付けトルクも取扱説明書に載っているので、作業の順に見ていく。
掛け方・締め付けトルク・ジャッキの有無を先に押さえる
最初に、作業の前に知っておきたい3つを表にまとめる。表は2代目(GB5〜GB8)の取扱説明書の記載で、ほかの世代のフリードには当てはめない。
| 確かめること | 取扱説明書の記載 | 載っている版 |
|---|---|---|
| ジャッキの掛け方 | 交換するタイヤに最も近いジャッキポイントの下にジャッキを置き、ジャッキの溝にジャッキポイントをはめる | 2017年版・2020年版・2023年版 |
| ホイールナットの締め付けトルク | 108N・m(11kgf・m) | フリード/フリード+の2017年版・2020年版・2023年版、フリード ハイブリッドの2023年版 |
| ジャッキの有無 | 2017年版・2020年版は「この車に搭載されているジャッキ」を使う手順。2023年版は「標準で搭載されていません」 | ガソリン車・ハイブリッド車の2017年版・2020年版・2023年版 |
確かめたのは2017年版・2020年版・2023年版の3つの版だけで、ほかの年式の版がジャッキを積む側か積まない側かは確かめていない。だから表の値を当てはめる前に、自分の車の取扱説明書と荷室を見るところから始めたい。
作業の前に、自分のフリードにジャッキがあるか確かめる
同じGB系(2代目)でも、取扱説明書の版によってジャッキの扱いが違う。作業の前に、車に付いている取扱説明書と、荷室にジャッキと工具があるかを確かめる。これを飛ばして車を停めてから気づくのが一番困る。
2017年版・2020年版の取扱説明書
ホンダの取扱説明書(フリード/フリード+、フリード ハイブリッド/フリード+ ハイブリッドの2017年版と2020年版)では、「この車に搭載されているジャッキをお使いください。」として、車に積まれたジャッキで作業する手順になっている。標準で搭載されていない、という記載は無い。
2023年版の取扱説明書
ホンダの取扱説明書(フリード/フリード+と、フリード ハイブリッドの2023年版)では、「この車には、ジャッキが標準で搭載されていません。」と書かれている。ジャッキアップをするときはこの車専用のジャッキを使うよう案内し、詳しくはHonda販売店に相談するよう書いている。
取扱説明書は、2017年版・2020年版・2023年版のどれでも、他のジャッキでは支えられる重量(呼荷重)が不足したり、形状が合わなかったりすることがあると注意している。2017年版・2020年版は車に搭載されているジャッキを、2023年版はこの車専用のジャッキを使う案内なので、家にある別の車用のジャッキで間に合わせるのはやめておく。どのジャッキを用意するか迷うなら、販売店に聞くのが早い。自分で用意するのが手間なら、店に任せる道もある。
工具とジャッキの取り出し方
ホンダの取扱説明書(フリード/フリード+の2020年版)では、取り出し方がフリードとフリード+で違う。
- フリード:ノブを引きながらリッドを外す→工具袋を取り出す→工具袋からジャッキハンドルバーとジャッキハンドルを取り出す→ジャッキをゆるめて外す
- フリード+:カーゴスペース右側のリッドをノブを引いて開ける→リッドの裏側からジャッキハンドルバーとジャッキハンドルを取り出す→カーゴスペース左側のリッドをノブを引いて開ける→ジャッキをゆるめて外す
ジャッキがゆるみづらいときはジャッキハンドルバーを使ってゆるめる。格納するときは、ドライバーなどで無理に締めない(取り付け部が変形するおそれがある)。2017年版も、フリードはリッドを外して工具袋から、フリード+はリッドの裏側からジャッキハンドルバーとジャッキハンドルを取り出す手順だ。2023年版(フリード/フリード+)は、工具はカーゴスペース内に収納されていると書いている。
ジャッキポイントの探し方とジャッキの掛け方
取扱説明書の掛け方は、交換するタイヤに最も近いジャッキポイントの下にジャッキを置き、ジャッキの上部がジャッキポイントに接触するまで回して、ジャッキの溝にジャッキポイントがはまったことを確かめる、という順だ。
ジャッキをかける位置は、取扱説明書の図で示されている。本文の字には位置の説明が無いので、場所は自分の車の取扱説明書の図で確かめる。作業の当日に探すより、前の日に図と車体を見比べておくほうが落ち着いて作業できる。
ジャッキポイント以外にはかけない。これは取扱説明書の注意で、乗りものニュースの解説も、ジャッキアップポイント以外の部分にかけると車体の重さで車を壊してしまうおそれがあると書いている。
取扱説明書がジャッキを使うときに必ず守ることとして挙げているのは次の6つだ。
- エンジンをかけたままにしない
- 地面が固い平らなところ以外では使用しない
- ジャッキポイント以外にかけない
- 人や荷物を乗せたままにしない
- ジャッキ使用中に車内に入らない
- ジャッキの上や下にものを入れたりしない
停める場所・輪留め・パワースライドドアの準備
取扱説明書の準備の手順は次のとおり。
- 地面が固く、滑らない、水平なところに車を停める
- セレクトレバーをPに入れる
- パーキングブレーキをかける
- パワーモードをOFFモードにする
続けて、交換するタイヤの対角線上にあるタイヤの前後に、石などで輪留めをする。右前を外すなら左後ろ、という組み合わせだ。
パワースライドドアが付いている車で後輪のタイヤを交換するときは、パワースライドドアのメインスイッチをOFFにする(取扱説明書)。作業中に誤ってスイッチに触れたりしてドアが開くと、思わぬ事故を起こすおそれがある。
タイヤ交換の手順
手順1 持ち上げる前にナットを少し緩める
ホイールキャップが付いていれば先に外し、車体を持ち上げる前に、ホイールナットを少しだけ緩めておく。JAFの解説も乗りものニュースの解説も、ナットを少し緩めてからジャッキアップする順にしている。
手順2 タイヤが地面から離れるまで上げる
ジャッキハンドルとジャッキハンドルバーを使って、タイヤが地面から離れるまで車体を上げる(取扱説明書)。上げすぎる必要はない。
車がジャッキだけで支えられているときは、車の下に入らない。取扱説明書の警告で、車がジャッキから外れて、車の下にいる人が重大な傷害を負うおそれがある。乗りものニュースの解説では、ジャッキが外れて車が落ちたときに挟まれる危険があるので、リジットラックを使うのが好ましく、用意できない場合は代わりの備えとして、外したタイヤ・ホイールを車体の下に置いておくとしている。
手順3 仮締めしてから下ろし、本締めする
付け替えたらナットを仮締めし、車体を下ろしてジャッキを外してから本締めする。JAFの解説では、仮締めは2回から3回に分けて行う。乗りものニュースの解説では、ナットは地面に近い位置から対角線の順に締め、最後にトルクレンチで規定トルクに締める。本締めをジャッキで浮かせたまま行わないこと。
ホイールナットの締め付けトルクは108N・m
ホンダの取扱説明書(フリード/フリード+の2017年版・2020年版・2023年版と、フリード ハイブリッドの2023年版)の「タイヤのローテーション」の項に、ホイールナットの締め付けトルクは108N・m(11kgf・m)と書かれている。これは取扱説明書の値で、社外のホイールや社外のナットに替えている車の指定は確かめていない。社外品を付けているなら、その製品の説明書を見る。
トルクレンチでの締め方
タイヤメーカーのコンチネンタルタイヤは、トルクレンチを規定トルクの半分の値に設定して各ナットを締め、その後に規定トルク値に合わせ直して正しい値まで締める方法を紹介している。順番は、ナットが5〜10個あるホイールは星を描くように、4本のホイールは十字に対角線の順に締める。フリードのナットの本数はここでは確かめていないので、自分の車のホイールを見て、本数に合った順で締める。同社は、どの車も同じトルクで締めて良いわけではないとも書いている。
締めすぎも締め不足も避ける
コンチネンタルタイヤは、締めすぎるとネジ山がつぶれたりホイールスタッドが伸びたりして重大な問題が生じるおそれがあり、ブレーキドラムやローター、ハブが歪むこともあるとする。逆にナットがゆるむと、最悪の場合は走行中にホイールが外れることもある。JAFも、無理に締め付けるとボルトが破損する場合があると書いている。体重をかけて締め込むより、トルクレンチで値を合わせるほうが確実だ。
トルクレンチが無いときと増し締め
JAFの「クルマ何でも質問箱」では、トルクレンチが手元に無いときは、本締めの後、できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場などで取扱説明書の規定トルクで締めてもらうよう案内している。
交換の後の増し締めは、コンチネンタルタイヤの解説では、50〜100kmを目安に走ったらナットを点検し、必要なら締め直す。店舗でもこの目安で増し締めのサービスをしているという。これはタイヤメーカーの目安で、取扱説明書の指定ではない。
付け替えるタイヤのサイズと空気圧
ホンダの取扱説明書の車両仕様一覧(フリード/フリード+の2017年版・2023年版、フリード ハイブリッド/フリード+ ハイブリッドの2023年版)には、タイヤが次のように書かれている。2023年版には、タイプやオプションによって装備が異なる場合があるとの注記があるので、自分の車のタイヤの側面と見比べてから使う。
| 項目 | 車両仕様一覧の値 |
|---|---|
| タイヤサイズ | 185/65R15 88S |
| 空気圧(前輪) | 240kPa(2.4kgf/cm²) |
| 空気圧(後輪) | 230kPa(2.3kgf/cm²) |
| リムサイズ | 15×5 1/2J |
ホンダの取扱説明書(フリード/フリード+の2023年版)では、タイヤは四輪とも同一指定サイズ・同一種類・同一銘柄・摩耗差の無いものを使うよう求めている。違うものを使うと、運転に関わるシステムが正常に機能しなくなったり、動力伝達装置に悪影響を与えたりするためだ。4本同時の交換を勧め、できないときは前輪か後輪の左右を一緒に交換する。ホイールは、仕様が純正ホイールと同一かを確かめる。
取扱説明書(2017年版・2020年版・2023年版)は、特定のタイヤが摩耗するのを防ぐため、5,000km走行したときにタイヤのローテーションをするよう書いている。回転方向が指定されたタイヤ(タイヤ回転指示マークがある)は、マークが前へ向くように取り付ける。履き替えのついでに前後を入れ替えておくと手間が1回で済む。
パンクしたときは応急修理キットで対応する
取扱説明書の「パンクしたとき」の項(フリード/フリード+の2020年版・2023年版、フリード ハイブリッドの2023年版)には「スペアタイヤの装備はありません。」とある。パンクしたときは、損傷を一時的に補修するタイヤパンク応急修理キットで応急修理をする。タイヤの損傷が激しい場合はけん引が必要になる。
応急修理キットが使えないとき
ホンダの取扱説明書の「パンクしたとき」の項(2023年版)では、次の場合はタイヤパンク応急修理キットを使えないとしている。
- 応急修理剤の有効期限が切れているとき
- タイヤが2本以上パンクしているとき
- 約4mm以上の切り傷や刺し傷によるパンクのとき
- 路面接地部以外が損傷を受けパンクしたとき
- ほとんど空気が抜けた状態で走行したとき
- タイヤがホイールから外れているとき
- ホイールが破損しているとき
タイヤに刺さったクギなどは抜かない。コンプレッサーは15分以上使わない。10分以内に指定空気圧にならないときは応急修理ができない。
応急修理の後
応急修理の後は、10分または5km走行したら安全な場所に車を停めて点検し、Honda販売店か専門修理工場に着くまでその点検を繰り返す。法定速度を守り、高速道路では80km/h以下を厳守する。応急修理は一時的な補修なので、そのまま普段どおり乗り続けず、店で修理か交換をしてもらう。頼むときは、タイヤパンク応急修理剤を使ったことを知らせる(取扱説明書)。
よくある質問
フリードにジャッキは付いている?
取扱説明書の版で違う。2017年版・2020年版は車に搭載されているジャッキを使う手順で、2023年版は標準で搭載されていないと書いている。ほかの版は確かめていないので、荷室を開けて確かめるのが確実だ。
ホイールナットの締め付けトルクは何N・m?
ホンダの取扱説明書(フリード/フリード+の2017年版・2020年版・2023年版と、フリード ハイブリッドの2023年版)では108N・m(11kgf・m)。社外のホイールやナットの指定は確かめていない。
スペアタイヤは積まれている?
取扱説明書の「パンクしたとき」の項(フリード/フリード+の2020年版・2023年版、フリード ハイブリッドの2023年版)には、スペアタイヤの装備は無いとある。パンクはタイヤパンク応急修理キットで一時的に補修する。
タイヤ交換の後の増し締めはいつ?
コンチネンタルタイヤの解説では、50〜100kmを目安に走った後にナットを点検する。取扱説明書の指定ではなく、タイヤメーカーの目安だ。
ローテーションの時期は?
取扱説明書(2017年版・2020年版・2023年版)では5,000km走行したとき。回転方向が指定されたタイヤは、マークが前へ向くように付け直す。
まとめ:荷室の確認から始めて、締めた後も点検する
まず車検証で型式と初度登録年月を確かめ、GB5〜GB8であることと、手元の取扱説明書の版を見ておく。そのうえで、次の順に進める。
- 荷室を開け、ジャッキと工具があるかを確かめる(2017年版・2020年版と2023年版で扱いが違い、ほかの版は確かめていない)
- 交換するタイヤに最も近いジャッキポイントに、ジャッキの溝をはめて掛ける。位置は取扱説明書の図で確かめる
- ジャッキだけで支えている間は、車の下に入らない
- ナットは取扱説明書(フリード/フリード+の2017年版・2020年版・2023年版、フリード ハイブリッドの2023年版)の108N・mで締め、走った後もコンチネンタルタイヤの目安(50〜100km)でナットを点検する
ジャッキが手元に無いときや、トルクレンチを用意できないときは、無理をせずに店に任せればいい。

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