BMW iX(I20)のタイヤ交換では、ジャッキを交換するホイールに最も近いジャッキアップポイント(ホイールアーチ脇の印のある位置)の長方形のくぼみに差し込み、ホイールボルトは車を下ろしてから対角の順に140Nmで締める。どちらもBMWが発行した英語版の取扱説明書(2021年版と2024年版)に載っている内容で、2025年以降の改良後モデルはこれらの版では確かめていない。床下を傷めると高電圧部品が露出するおそれがあるので、ジャッキを当てる位置だけは手順どおりに守ってほしい。
iX I20のジャッキアップポイントと締め付けトルク
BMW iX の型式(開発コード)はI20で、日本ではBMWジャパンが2021年11月4日に発表・販売を始めた。発売時のグレードはiX xDrive50とiX xDrive40だ。
BMW iX の取扱説明書(英語版の2021年版と2024年版)では、作業の要になる位置と値が次のとおり載っている。
| 項目 | 取扱説明書(英語版2021年版・2024年版)の記載 |
|---|---|
| ジャッキを当てる位置 | 交換するホイールに最も近いジャッキアップポイントの長方形のくぼみ。車体の印のある位置で、ホイールアーチのすぐ脇にある |
| ホイールボルトの締め付けトルク | 140Nm(101 lb ft) |
| 締める順序 | 車を下ろしてから対角(十字)の順 |
ジャッキは用意されたジャッキアップポイントに差し込んでから伸ばす。差し込まずに伸ばすと車体を傷めるおそれがある。
参照した取扱説明書は、BMWが発行した英語版の2021年6月版と2024年版(オーストラリア・ニュージーランドの規格への言及を含む版)だ。日本仕様の車に積まれている工具やスペアの有無、2025年以降の改良後モデルの値はこれらの版では確かめていないので、車両に付属する日本語の取扱説明書(車内の画面の取扱説明書を含む)で照らし合わせてほしい。
作業前に確かめる車載工具・スペア・修理キット
BMW iX の取扱説明書(英語版の2024年版)では、パンクで空気圧が下がってもパンク修理キットを使えば必ずしもすぐにホイール交換をする必要はないとし、ジャッキなどのホイール交換工具は必要に応じて正規サービス工場などでオプションのアクセサリーとして用意される、と書いている。準備の手順も「装備によって、ホイール交換セットと、該当すれば応急用スペアタイヤを車から取り出す」という書き方で、車ごとに積まれている物が違う前提だ。
積まれている場合の収納場所は、取扱説明書の版ごとに次のように載っている。
- 応急用スペアタイヤ(装備車)とホイール交換セット: 荷室のバッグ(2024年版)
- パンク修理キット: 荷室の床下の収納(2021年版)
作業の前に荷室と床下の収納を開けて、ジャッキ・ホイールボルトレンチ・パンク修理キット・応急用スペアタイヤのうち何が自分の車にあるかを見ておく。日本仕様で何が積まれているかは、参照した英語版の取扱説明書では確かめられない。
停める場所と安全の準備
ジャッキを出す前に、車が動かない状態を作る。取扱説明書の手順を順に並べると次のとおり。
- 交通から十分に離れた、固く滑らない場所に停める
- ハザードランプを点ける
- パーキングブレーキをかける
- ハンドルを直進の位置にしてステアリングロックをかける
- セレクターレバーをPにする
- 交通の状況が許せば同乗者全員を降ろし、ガードレールの外など危険の無い場所へ誘導する
- 必要に応じて三角表示板などを適切な距離に置く
柔らかい地面、凹凸のある地面、雪・氷・タイルのような滑りやすい地面ではジャッキが滑るおそれがある。できるだけ平らで固く滑らない場所を選ぶ。安全策を守っても、ジャッキが滑って持ち上げた車が倒れる危険は残ることを頭に置いておく。
平地での輪止めの位置
交換するホイールと対角の位置にあるホイールの前後に、輪止めか代わりになる物を置く。右前を交換するなら左後ろ、という組み合わせだ。メーカーは、パーキングブレーキに加えて車が転がらないようにする対策を勧めている。
緩い下り坂での輪止め
やむを得ず緩い下り坂で交換するときは、前後の車軸のホイールの下に、転がる向きに対して輪止めや石などを置く。坂道での作業は、避けられるなら避けたい。
ジャッキアップポイントへの当て方と持ち上げ方
持ち上げる前の準備
車が転がらないようにしたうえで、ホイールボルトを半回転だけゆるめておく。
BMW iX の取扱説明書(英語版の2021年版・2024年版)では、エアサスペンション装着車は持ち上げる前にエアサスペンションの車高調整(前後2軸の車高制御)を解除する手順になっている。自分の車がエアサスペンション装着車かどうかは、車両の取扱説明書や装備表で確かめる。
ジャッキの差し込み方
- 片手でジャッキを持ち、もう一方の手でジャッキのハンドル(またはレバー)を握る
- ジャッキを、交換するホイールに最も近いジャッキアップポイントの長方形のくぼみに差し込む
- ハンドルを時計回りに回してジャッキを伸ばす
- ジャッキに荷重がかかったらジャッキから手を離し、片手でハンドルを回し続ける
手や指を挟むおそれがあるので、途中で手の位置を変えない。
床下の高電圧部品を傷めないために
BMW iX の取扱説明書(英語版の2024年版)は、ジャッキの扱いを誤ると車体の下面を傷め、その結果として高電圧部品が露出するおそれがあると警告している。ジャッキはホイールアーチ脇のジャッキアップポイントに確実に差し込み、床下のトリム(カバー)を傷めないようにする。
同じ版は、ジャッキの下に木の台などの支えを置かないようにも警告している。高さが制限されてジャッキが本来の耐荷重を出せなくなったり、台の耐荷重を超えて車が倒れたりするおそれがあるからだ。
持ち上げている間にしてはいけないこと
BMW iX の取扱説明書(英語版の2024年版)の警告を、作業中に守ることとしてまとめる。ジャッキは交換のときに短時間持ち上げるだけの物だ。
- ジャッキだけで支えた車の下に体を入れない・寝そべらない
- 走行可能状態にしない
- 持ち上げた車に横から力を加えたり、急に引っ張ったりしない(ジャッキから落ちるおそれがある)
- 持ち上げる車の中に人を残さない
- ほかの車や荷物をこのジャッキで持ち上げない
- ホイールが固着して外れないときは、整備工場などに外してもらう
同じ版は、点検などの目的で車を持ち上げるのは、管理された整備工場の環境で、訓練を受けた人がリフトを使って行うべきだとも書いている。車載ジャッキはタイヤを替えるための道具で、点検の作業には使わないと覚えておけばよい。
ホイールの外し方・付け方
外す・仮締めの順序
- ホイールボルトを外し、ホイールを外す
- 新しいホイール(または応急用スペアタイヤ)を当て、少なくとも2本のボルトを対角の順に手で回して軽く締める
- 残りのボルトも手で軽く締めてから、全部のボルトを対角の順に締める
- ジャッキのハンドルを反時計回りに回してジャッキを縮め、車を下ろす
- ジャッキを外して元の場所に収納する
- 対角の順に規定トルクで本締めする(次の節)
ロック付きホイールボルトの扱い
BMW iX の取扱説明書(英語版の2024年版)では、ロック付きホイールボルトには特別な刻みがあり、それに合う専用アダプターでしか外せない。アダプターは工具セット、またはその中の小物入れにある。外すときも付けるときもアダプターをボルトにはめて回し、終わったらアダプターを外して収納する。インパクトレンチで回すとボルトを傷めるおそれがあるので、ホイールボルトレンチで回す。締め付けトルクは140Nmだ。
社外ホイールのボルト
一体型(ワンピース)のホイールボルトのような適さないボルトは、緩んだり外れたりして、走行中にホイールが外れるおそれがある。BMW iX の取扱説明書(英語版の2021年版・2024年版)は、メーカーがそのホイールに適合すると評価した2ピース式のホイールボルトだけを使うよう求めている。メーカー純正ではない社外のアルミホイールを付けるときは、そのホイール付属のボルトを使う必要がある場合があるので、付け替える前にホイール側の説明を確かめる。
本締めと交換後の点検
車を下ろしたら、ホイールボルトを対角の順に140Nm(取扱説明書の英語版2021年版・2024年版の値)で締める。そのうえで、取扱説明書の手順どおり次を済ませる。
- できるだけ早くタイヤの空気圧を確かめて補正する
- パンク警告システムの再初期化、またはタイヤ空気圧モニターのリセットを行う
- 校正済みのトルクレンチでホイールボルトの締まりを確認する
- 外したタイヤが損傷していれば、整備工場などで交換してもらう
車載のホイールボルトレンチだけでは締め付けの強さを数字で確かめられない。140Nmを測れる校正済みのトルクレンチで締まりを確かめるのが取扱説明書の指示で、手元に無ければタイヤ専門店や整備工場で確認してもらえばよい。
季節のタイヤ履き替えに車載ジャッキを使わない理由
BMW iX の取扱説明書(英語版の2024年版)は、メーカーが用意するジャッキを故障時のホイール交換用とし、夏タイヤから冬タイヤへの履き替えのような頻繁な使用向けには作られていないとしている。頻繁に使うとジャッキが固着したり壊れたりするおそれがあるので、使うのは応急用スペアタイヤやスペアタイヤへの交換が必要な故障時だけにする。
夏タイヤと冬タイヤの履き替えのように定期的にホイールを外す作業は、リフトのあるタイヤ専門店や整備工場に任せる手がある。点検などで車を持ち上げるのは整備工場のリフトで、という取扱説明書の警告とも筋が合う。作業の費用は店によって違うので、依頼先で確かめてほしい。
パンクしたときの修理キットと応急用スペアタイヤ
パンク修理キットの使い方の要点
BMW iX の取扱説明書(英語版の2021年版)では、パンク修理キットはタイヤの内側からシーラント(修理剤)が固まって小さな損傷をふさぎ、走行を続けられるようにする物とされている。約4mmより大きい損傷には効かない場合がある。刺さった異物は、目に見えて突き出ているときだけ抜く。空気圧はキットのコンプレッサーで確かめられる。
修理後に走れる速度と距離
同じ版の手順では、走り始めの数回転は損傷部からシーラントが飛ぶことがあるとしたうえで、次を守るよう求めている。
- コンプレッサーの表示で空気圧が1.3bar以上でなければ走行を続けない
- 空気圧を2.5barに合わせる
- 最高速度80km/hを超えない・走行距離は最大200kmまで・できれば20km/hより遅くしない
- パンク警告システムの再初期化とタイヤ空気圧モニターのリセットを行う
シーラントでホイールの電子装置が傷むことがあり、その場合は早めに交換してもらう。パンクしたタイヤとシーラントのボトルも、できるだけ早く交換する。
応急用スペアタイヤの制限
BMW iX の取扱説明書(英語版の2024年版)では、応急用スペアタイヤ(装備車)は特殊な寸法のタイヤで、装着中は制動時の安定性の低下や制動距離の延長など走りの性質が変わる。慎重に運転し、80km/hを超えない。装着できるのは1本までだ。
よくある質問
iX I20のホイールボルトの締め付けトルクは?
BMW iX の取扱説明書(英語版の2021年版と2024年版)では140Nm(101 lb ft)で、車を下ろしてから対角の順に締める。2025年以降の改良後モデルはこれらの版では確かめていない。
冬タイヤへの履き替えに車載ジャッキを使ってよい?
勧めない。取扱説明書(英語版の2024年版)は車載ジャッキを故障時のホイール交換用とし、頻繁な使用向けには作られていないとしている。定期的な履き替えはリフトのある店に任せたい。
社外ホイールに純正ボルトは使える?
そのまま使えるとは限らない。取扱説明書(英語版の2021年版・2024年版)は、メーカー純正ではない社外のアルミホイールではそのホイール付属のボルトを使う必要がある場合があるとしている。
パンク修理キットを使った後は何km走れる?
取扱説明書(英語版の2021年版)の手順では走行距離は最大200kmまでで、最高速度80km/hを超えない。コンプレッサーの表示で1.3bar以上なければ走行を続けない。
日本仕様の車にジャッキは積まれている?
参照した英語版の取扱説明書は、ホイール交換工具を装備によって積まれる物、または必要に応じてオプションで用意される物として書いており、日本仕様の積み物は確かめられない。荷室と床下の収納を開けて見るのが早い。
まとめ
最初にやることは、自分のiXの荷室と床下の収納を開けて、ジャッキ・ホイールボルトレンチ・パンク修理キット・応急用スペアタイヤのうち何が積まれているかと、ホイールアーチ脇のジャッキアップポイントの印の位置を実車で見ておくことだ。そのうえで、車両付属の日本語の取扱説明書で手順と値を照らし合わせる。
- ジャッキは交換するホイールに最も近いジャッキアップポイントの長方形のくぼみに差し込む(取扱説明書の英語版2021年版・2024年版)
- ホイールボルトは車を下ろしてから対角の順に140Nm(同じ2つの版の値。2025年以降の改良後モデルは確かめていない)
- 床下を傷めると高電圧部品が露出するおそれがあるので、ジャッキアップポイントに差し込んでから伸ばす
- 車載ジャッキは故障時のホイール交換用で、季節の履き替えには使わない
- 交換後は空気圧の補正、空気圧モニターのリセット、トルクレンチでの締まりの確認まで済ませる
同じiX I20の記事と、ほかのBMWのタイヤ交換の記事も置いておく。ほかの車種の値はiX I20に当てはめず、それぞれの記事で確かめてほしい。

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