iX3 G08 のタイヤ交換は、ジャッキを取扱説明書の指定部位だけにかけ、ボルトをトルクレンチで規定トルクに締めれば、手順そのものはほかの乗用車と変わらない。違うのは、床下に駆動用バッテリーを敷いた電気自動車だという点だ。ガソリン車の感覚で床下のどこかにジャッキを当てる前に、位置を取扱説明書で確かめてほしい。
iX3 G08 のタイヤ交換で最初に押さえる4つのこと
作業に入る前に、次の4点を頭に入れておく。
- ホイールはナットではなくボルトで留める方式。海外のホイール適合データ(koleso)では、iX3 G08(LCI・2021〜2025年)のボルトのねじ径は M14×1.25 とされている。
- 同じ適合データでは、iX3 G08(LCI・2021〜2025年)の締め付けトルクは 140Nm。BMW の取扱説明書の値は確かめていないので、自分の車の取扱説明書と照らしてから使う(詳しくは締め付けトルクの節)。
- ジャッキは取扱説明書の指定部位(ジャッキアップポイント)にだけかける。iX3 G08 の具体的な位置は、参照した出典では確かめられていない。
- 床下には駆動用バッテリーが敷かれている。
対象の iX3 G08 と日本仕様のホイールまわり
G08 の iX3 は 2020年9月に中国の工場で生産が始まり、生産年は 2024年まで。2025年には G08 の後継となる次世代の iX3 が量産車として発表されているが、ここで扱う値はすべて G08 の iX3 についてのもので、次世代の iX3 には当てはめない。日本では 2021年11月のモデルから販売されている。
日本仕様の主な値は、新車カタログ(車選びドットコム)のとおり。
| 項目 | 日本仕様の iX3(新車カタログの値) |
|---|---|
| 型式 | ZAA-42DU44 |
| グレード | Mスポーツ |
| 駆動方式 | 後輪駆動 |
| ホイール | 前 20インチ 8.0J/後 20インチ 9.5J |
| タイヤサイズ(グレード比較表) | 前 245/45R20/後 275/40R20 |
| 車両重量 | 2,200kg |
| 車両総重量 | 2,475kg |
海外のホイール適合データ(koleso)でも、iX3 G08 の 8J×20 に 245/45ZR20、9.5J×20 に 275/40ZR20 が並んでいる。
ボルトまわりの値は、海外のホイール適合データ(koleso)では次のとおり。
| 項目 | 値(iX3 G08〈LCI・2021〜2025年〉・koleso の適合データ) |
|---|---|
| 留め方 | ボルト(lug bolts) |
| ボルトのねじ径 | M14×1.25 |
| PCD | 5×112 |
| ハブ径 | 66.6mm |
ホイールを替える予定があるなら、PCD やオフセットの考え方も合わせて読んでおくとよい。
ジャッキポイントの考え方(床下にバッテリーがある電気自動車)
Wikipedia(英語版)の解説では、iX3 G08 は後車軸上の電動モーター1基で後輪を駆動する電気自動車で、駆動用バッテリー(総容量 80kWh・リチウムイオン)は 188個の角形セルを床面に敷いた床下配置になっている。
ジャッキは、取扱説明書に記載された指定部位にかけるのが基本だ。それ以外の部分にかけると、車体の重さで車を壊してしまう可能性がある。ジャッキアップポイントの場所は車種ごとに違い、取扱説明書で確かめられる。
iX3 G08 のジャッキアップポイントの具体的な位置や印の形は、参照した出典では確かめられていない。位置は自分の車の取扱説明書で確かめる。床下には駆動用バッテリーが敷かれているので、指定部位以外の床下にジャッキを当てない。 取扱説明書を読んでも位置に自信が持てないなら、自分で上げずに店へ任せるほうがよい。
準備する道具と作業場所
作業は、地面が固く平らで安全な場所で行う。路上でのパンクなら、周囲の安全を確かめ、ほかの車の邪魔にならない場所に止める。
用意したいのは、ジャッキ、ボルトを回すレンチ、トルクレンチ、リジッドラック、輪止めだ。ジャッキとリジッドラックは、能力(耐えられる重さ)を持ち上げる車の重さと照らして選ぶ。日本仕様の iX3 の車両重量は 2,200kg なので、能力に余裕のあるものを選んでおきたい。
走行直後はホイールやブレーキの周りが熱くなっており、触れるとやけどのおそれがある。帰ってすぐに作業を始めず、少し時間を置く。
iX3 G08 のタイヤ交換の手順
1. 車を固定して輪止めをかける
パーキングブレーキをかけてギアをパーキングに入れる。外すタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかけ、ジャッキアップ中に車が動かないようにする。
2. 上げる前にボルトを少し緩める
ホイールを留めるボルトは、ジャッキで車体を上げる前にレンチで少しだけ緩めておく。完全に外すのは持ち上げた後だ。
3. 指定部位にかけて、タイヤが少し浮くまで上げる
ジャッキは取扱説明書の指定部位にかけ、タイヤが路面から少し浮く程度まで上げれば足りる。高く上げ過ぎると車体が不安定になり危険だ。
4. 上げたらリジッドラックで支える
作業できる高さまで上げたらリジッドラックを掛ける。ジャッキだけで支えていると、ジャッキが外れて車が落ちたときに挟まれる危険がある。 リジッドラックを用意できない場合は、交換するタイヤ・ホイールを車体の下に置いておき、外したタイヤも車体の下に置く。
5. ホイールを外して付け替える
ボルトを外してホイールを外す。取り付ける前にホイールの穴へ息を吹きかけるなどして、異物を噛み込まないようにする。回転方向に指定があるタイヤは、側面に回転の方向を示す矢印と ROTATION の文字が刻印されている。指定された向きで付けないとタイヤ本来の性能が出ず、安全面にも影響するおそれがあるので、付ける前に向きを確かめる。
6. 仮締めは対角線の順に2〜3回
ボルトは1カ所をいきなり締めず、均等に2〜3回に分けて対角線の順に仮締めする。ボルトが5本のホイールは、星を描く順に締める。
7. 車体を下ろしてから本締め
降ろすときは、リジッドラックやタイヤを取り除いてからジャッキをゆっくり下ろす。車体を下ろしてジャッキを外したら、トルクレンチで取扱説明書の規定トルクに本締めする。整備士は、まず規定トルクの半分の値で各ボルトを締め、その後に規定トルクで締める手順をとる。
締め付けトルクと締め方の注意
海外のホイール適合データ(koleso)では、iX3 G08(LCI・2021〜2025年)のホイール締め付けトルクは 140Nm とされている。これは BMW の取扱説明書の値ではなく、取扱説明書の値は確かめていない。自分の車の取扱説明書に載る規定トルクと照らしてから使う。コンチネンタルタイヤの解説にもあるとおり、規定トルクは車種ごとに違い、ほかの車の値で締めてよいわけではない。
トルクレンチを使わず手の感覚で締めると、締め付け不足や締めすぎを招き、走行中にホイールが外れる脱輪事故につながる危険がある。締めすぎはねじ山をつぶしたりボルトを傷めたりするおそれがあるので、レンチを足で踏んで使わない。
トルクレンチが手元に無いなら、できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場で規定トルクの本締めを頼む。 仮締めのまま走り続けないことが大事だ。
交換後の増し締めと空気圧の確認
タイヤ交換の後、50〜100km ほど走ったら(ブリヂストンの解説では約100km)、トルクレンチでボルトが緩んでいないかを点検し、必要なら締め直す。交換時のトルクが適切でなかったり、初期走行の変化があったりして、まれに緩むことがある。緩むと、最悪の場合は走行中にホイールが外れる。
交換作業が済んだら、タイヤの空気圧が車両指定の値になっているかを確かめ、足りなければ適正な値まで入れる。
外したタイヤは、自重で変形しないよう平積みにし、日光や雨を避けて保管する。
前後でタイヤサイズが違う点とローテーション
前後でタイヤサイズが違う車は、前後のタイヤを入れ替えて摩耗をならすローテーションができない。日本仕様の iX3 Mスポーツは前後でホイール幅とタイヤ幅が違うので、前後の入れ替えを前提にしない。
一方、豪州の自動車情報サイト carsales の諸元では、2023年の iX3 M Sport(G08)は前後とも 245/50R19・19×8 で前後同じサイズになっている。市場やホイールによって前後のサイズの関係は変わるので、前後の入れ替えを考える前に、自分の車の前後のタイヤサイズを確かめる。
よくある質問
iX3 G08 のホイールボルトの締め付けトルクは?
海外のホイール適合データ(koleso)では、iX3 G08(LCI・2021〜2025年)で 140Nm とされている。BMW の取扱説明書の値ではないので、自分の車の取扱説明書の規定トルクと照らしてから使う。
iX3 G08 のジャッキポイントはどこ?
具体的な位置や印の形は、参照した出典では確かめられていない。自分の車の取扱説明書で指定部位を確かめ、それ以外の床下にはジャッキを当てない。
iX3 G08 はタイヤの前後ローテーションができる?
日本仕様の iX3 Mスポーツは前後でホイール幅とタイヤ幅が違うので、前後の入れ替えはできない。市場によっては前後同サイズの仕様もあるため、自分の車の前後のサイズを先に確かめる。
タイヤ交換後の増し締めはいつ?
交換後 50〜100km ほど走ったところで、トルクレンチで緩みを点検する。
まとめ
自分の iX3 が対象かどうか迷ったら、まず車検証で型式と初度登録年月を確かめる。そのうえで、次の3点を外さなければ交換は自分でもできる。
- ジャッキは取扱説明書の指定部位だけにかけ、床下のバッテリーまわりには当てない
- 本締めはトルクレンチで、取扱説明書の規定トルクに合わせる(海外の適合データ koleso では iX3 G08〈LCI・2021〜2025年〉で 140Nm)
- 交換後 50〜100km ほどで増し締めを点検する
荷室の床下スペースや、バルブ・エアコンフィルターの記事もあわせて確かめておくと、日常の整備の段取りが組みやすい。

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