i7(G70)の計器盤にタイヤの警告灯が出たとき、あるいは冬タイヤへの履き替えを考えたとき、まず確かめたいのはジャッキをどこにかけるかと、床下の高電圧の部品やエアサスペンションをどう扱うかだ。BMW の i7 の取扱説明書(米国向けの英語版)では、交換するタイヤにいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみにジャッキを差し込み、ホイールボルトは 140Nm で締めるとされている。自分で替えるか工場に任せるかは、パンクのときの応急か、季節ごとの履き替えかで分かれる。
i7(G70)のタイヤ交換の要点
下の表の手順と数値は、BMW の i7 の取扱説明書の米国向け英語版(2023 年版)による。日本仕様の取扱説明書とは、項目の名前・車載の道具の中身・空気圧を見張る仕組みの種類が違う場合がある。作業の前に、自分の車の取扱説明書(車内の画面で読めるものを含む)で同じ項目を確かめる。
| 項目 | 米国向けの取扱説明書の内容 |
|---|---|
| ジャッキをかける場所 | 交換するタイヤにいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみ |
| 持ち上げる前 | エアサスペンションの車高調整を止める |
| 持ち上げる高さ | タイヤが地面から最大 3cm 浮くまで |
| ホイールボルトの締め付けトルク | 140Nm(101 lb-ft) |
| 交換の後 | 空気圧を合わせ、フラットタイヤモニターを初期化するか、タイヤ空気圧の監視(TPMS)をリセットする |
もう1つ先に知っておきたいのが、車載用のジャッキの役割だ。取扱説明書では、車載用のジャッキはタイヤ交換のために車を短い時間だけ持ち上げるためのもので、故障のときに応急用・替えのタイヤへ付け替えるためだけに使うとされている。夏タイヤから冬タイヤへの履き替えのような、たびたびの使用には向いていない。
ジャッキポイントの位置とかけてはいけない場所
ジャッキポイントの探し方
ジャッキポイントは各タイヤのホイールハウスのそばにある。BMW の i7 の取扱説明書(米国向けの英語版)は位置を図で示しており、文章では位置の寸法は書かれていない。作業の前に図を開き、交換するタイヤに近い四角いくぼみを目で確かめてからジャッキを出すと、路肩で迷わずに済む。
床下のほかの場所にかけない理由
車載用のジャッキは、この車を持ち上げることと、この車のジャッキポイントのためだけに作られている。ほかの車や荷物をこのジャッキで持ち上げない。
取扱説明書には、ジャッキの扱いを誤ると車の床下を傷め、高電圧の部品が露出するおそれがあるという警告がある。ジャッキを当てるのは取扱説明書が示す四角いくぼみだけにして、床下のほかの場所には当てない。
作業の前にそろえる物と安全の準備
米国向けの取扱説明書では、ジャッキなどのタイヤ交換の道具は、必要なら正規のサービス工場や整備工場でアクセサリーとして用意できると書かれており、標準で積まれている前提の書き方ではない。日本仕様の車にジャッキがあるかは、出先で困る前に荷室や車載の道具を開けて確かめておく。
用意する道具
- この車に合うジャッキ
- ホイールボルトのレンチ
- ロックボルトのアダプター(車載の道具の中か、その近くの収納にある)
- 輪止め(なければ石など適した物)
- 三角表示板
- 締め付けの確かめに使う校正したトルクレンチ
停める場所と車の状態
- 道路から安全な距離をとり、固く滑らない地面に停める
- ハザードランプを点灯させ、パーキングブレーキをかける
- 前輪を真っすぐにしてステアリングロックをかけ、P に入れる
- 同乗者を安全な場所へ降ろし、必要なら三角表示板を置く
- 交換の道具と替えのタイヤを出す
輪止めの置き方
メーカーは、タイヤ交換のときに車が転がらないよう追加の手当てを勧めている。平らな場所では、交換するタイヤと対角にあるタイヤの前と後ろに輪止めか似た物を置く。緩い下り坂では、輪止めや石などの適した物を、前輪と後輪の下の該当する側に置く。
持ち上げる前にエアサスペンションの車高調整を止める
i7 の前後のエアサスペンション(車高を自動で保つ仕組み)は、タイヤ交換やけん引のときに止められる。持ち上げる前に、必ずこの車高調整を止めておく。
止め方は、車高調整のボタンを約 7 秒押し続けるだけだ。LED が速く点滅すれば止まった状態で、車高は変わらない。ボタンの位置と日本語の表示の名前は、自分の車の取扱説明書で確かめる。
車高の操作はドアが全部閉じていることが条件で、車のバッテリーの充電が少ないと車高を変えられない。戻すときは同じボタンを約 7 秒押し続けて離す。約 10km/h を超えて走り出すと自動で戻る。車高を変えるときは、車のまわりとホイールハウスに人や物がないことを確かめる。
ボルトをゆるめてからジャッキアップする
車を持ち上げる前に、ホイールボルトを半回転だけゆるめておく。この順番を逆にしない。
ロックボルトの外し方
ロックボルト(盗難防止のボルト)は、コードの合うアダプターでしかゆるめられない。アダプターをロックボルトに当てて回し外し、外したらアダプターもボルトから外す。インパクトレンチはロックボルトを傷めるおそれがあるので、手で回すレンチだけを使う。
持ち上げる高さ
ジャッキを先に確かめた四角いくぼみに差し込み、クランクハンドルかレバーを時計回りに回して伸ばす。片手でジャッキを持ち、もう一方の手でクランクハンドルかレバーを握り、持ち上げている間はこの手の位置を変えない。手や指を挟んでけがをするおそれがあるからだ。
持ち上げるのは、そのタイヤが地面から最大 3cm 浮くまでにとどめる。
持ち上げている間にしないこと
- 車の下に入らない。走行可能な状態にしない
- ジャッキの下に台を置かない(木の台は耐える重さを超えて車が倒れるおそれがある)
- 柔らかい・でこぼこ・滑りやすい地面(雪・氷・タイルなど)で持ち上げない。ジャッキが滑るおそれがあるので、できるだけ平らで固く滑らない面で替える
- 車に横向きの力をかけたり、急に引っ張ったりしない
ホイールの外し方・付け方と締め付けトルク
ゆるめておいたホイールボルトを外し、ホイールを外す。固着して外れないときは無理をせず、正規のサービス工場で外してもらう。取扱説明書もそう案内している。
付けるときは次の順で締める。
- 少なくとも 2 本のボルトを、十字の順で手で締まるところまでねじ込む
- 残りのボルトも手で締める
- 全部のボルトを十字の順で最後まで締める
締め付けトルクは、BMW の i7 の取扱説明書(米国向けの英語版)では 140Nm(101 lb-ft)。ロックボルトもアダプターを当てて 140Nm で締め、締め終えたらアダプターを外してしまう。
車を下ろした後にやること
クランクハンドルを反時計回りに回してジャッキを縮め、車を下ろす。ジャッキを外し、確実にしまう。
トルクの締め直し
下ろしたら、ホイールボルトを十字の順で締め、校正したトルクレンチでボルトが締まっていることを確かめる。傷んだタイヤは、近くの正規のサービス工場で替えてもらう。
空気圧の確かめと警告の初期化
早めに空気圧を確かめて合わせ、パンクの警告の仕組み(フラットタイヤモニター)を初期化するか、タイヤ空気圧の監視(TPMS)をリセットする。
フラットタイヤモニターは実際の空気圧を測らず、タイヤが減って転がる径が変わることを、各タイヤの回転の速さの差から見つける。初期化していないと、空気の減りの知らせは確実でない。初期化の時点の空気圧が基準になるので、先に正しい空気圧に合わせる。
米国向けの取扱説明書では、フラットタイヤモニターの初期化が要るのは、タイヤ・ホイールを替えた後と、空気圧を合わせた後だ。走行可能な状態にして、止まったままリセットを始め、その後に走り出す。初期化は走っている間に終わり、途中で止まっても自動で続きを行う。スノーチェーンを付けて走っているときは初期化しない。
米国向けの英語版の取扱説明書では、リセットは画面の Apps メニューから Vehicle、Vehicle status、Flat Tire Monitor と進む。日本語の画面での項目の名前は、自分の車の取扱説明書で確かめる。替えのタイヤ・ホイールを付けると TPMS が正しく働かないことがあるので、交換の後は故障の表示が出ていないかも見ておく。
走行中にパンクしたときの判断
走行中にタイヤが傷むと、計器盤に黄色の警告灯が出る。空気の少ない通常のタイヤはハンドルやブレーキの効きに響くので、そのまま走り続けない。
- 速度を落とし、急ブレーキ・急ハンドルを避けて慎重に止まる
- 4 本すべての空気圧を確かめ、傷んだタイヤを見つける
- タイヤ修理キットで直すか、タイヤを替える
修理キットを使ったときは、すぐにタイヤを替えなくてよいこともある。傷みが見つからないときは、正規のサービス工場に相談する。手元にジャッキが無いと分かった場合も、路肩で無理に替えようとせず、修理キットか工場を頼るほうがいい。
夏冬の履き替えはリフトのある工場へ
先に触れたとおり、車載用のジャッキはたびたびの使用に向いていない。季節ごとの履き替えのように決まって替える作業は、リフトのある整備工場や販売店に任せるのが無理のない選び方だ。自分で替えるのは、パンクのときの応急の付け替えと考えておけばいい。
履き替えに合わせてホイールそのものを替えるなら、PCD とオフセットを先に確かめておく。
よくある質問
i7 にジャッキは積まれている?
米国向けの取扱説明書では、ジャッキはアクセサリーとして用意できる道具の扱いになっている。日本仕様の車にあるかは、荷室や車載の道具を開けて確かめるのが確実だ。
ホイールボルトの締め付けトルクは?
米国向けの取扱説明書の値は 140Nm(101 lb-ft)で、ロックボルトも同じ値で締める。最後は校正したトルクレンチで確かめる。
エアサスはそのままでジャッキアップしてよい?
よくない。米国向けの取扱説明書の手順では、持ち上げる前にボタンを約 7 秒押し続けて車高調整を止める。戻し方は「持ち上げる前にエアサスペンションの車高調整を止める」の節にまとめた。
タイヤを替えた後に必要な設定は?
米国向けの取扱説明書では、空気圧を合わせてから、フラットタイヤモニターを初期化する(または TPMS をリセットする)。フラットタイヤモニターの初期化は、止まったまま始めて、走っている間に終わる。日本仕様とは空気圧を見張る仕組みの種類が違う場合があるので、自分の車の取扱説明書で同じ項目を確かめる。
まとめ
まずは、自分で替えるのはパンクの応急だけ、季節ごとの履き替えは工場に任せる、とやり方を1つに決める。そのうえで、自分の車の取扱説明書で同じ項目を確かめてから作業に入る。米国向けの取扱説明書による要点は次のとおりだ。
- ジャッキは交換するタイヤにいちばん近いジャッキポイントの四角いくぼみにだけ差し込む
- 持ち上げる前にエアサスペンションの車高調整を止め、タイヤが地面から最大 3cm 浮くまでにとどめる
- ホイールボルトは十字の順で締め、締め付けトルクは 140Nm
- 下ろした後はトルクレンチで確かめ、空気圧を合わせてフラットタイヤモニターを初期化するか TPMS をリセットする(空気圧を見張る仕組みの種類は自分の車の取扱説明書で確かめる)
同じ i7(G70)のほかの記事も参考にしてほしい。

コメント