i3 I01 にドラレコを付けるとき、答えが分かれるのは2点だ。駐車中も録りたいかどうかで電源の取り方が変わり、年式・グレード・オプションによって前面ガラス上部の運転支援のカメラの有無が変わる。まず自分の使い方と車の装備がどちら側かを確かめ、そのうえで Bピラーの無い車体に合わせた配線の道筋を決めていこう。
i3 I01 のドラレコ取り付けで押さえる4つの要点
- 位置: 保安基準の解説で示される範囲(前面ガラス上部のガラス開口部の実長の20%以内か、ルームミラーで遮られる範囲)に付ける。
- フロントの配線: 天井の内張りの隙間からガラスの端へ進め、ピラーカバーの裏を通して足元へ出す。
- 電源: 走行中だけ録るならシガーソケットなどの ACC 電源、駐車監視を使うなら常時電源が要る。
- i3 固有の注意: Bピラーが無いので前後をつなぐ道は天井の内張りの縁沿いを基本に実車で確かめる。エアバッグは避けて通す。12V補機バッテリーまわりには高電圧系の切り離しが絡むので、バッテリー端子への直結は DIY の範囲から外す。
対象にする i3 I01 の年式と装備の違い
BMW の発表資料によると、i3 は2013年にデビューし、2013年11月の東京モーターショーでは日本への導入を2014年春の予定とした。2022年6月30日の発表では、ライプツィヒ工場での量産は発売から約8年半で終わりを迎え、その数日前に25万台目が生産されたとしている。
2018年の新型発売を伝えた記事によると、日本では2018年1月15日に新型の i3 が発売された(グレードは i3 アトリエ・i3 ロッジ・i3 スイートと、それぞれのレンジ・エクステンダー装備車)。この2018年1月発売の新型では、「ドライビング・アシスト・プラス」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)」「リア・ビュー・カメラ(予想進路表示機能付)」がロッジとスイートに標準、アトリエにオプションとされている。同じ I01 でも装備が揃っているとは限らない、という前提で読み進めてほしい。
フロントカメラの取り付け位置を決める
法令で決まっている範囲
保安基準の改正を解説した記事によると、前面ガラスにドラレコを付けてよいのは「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」(前面ガラスの上部)と「車室内後写鏡(ルームミラー)により遮へいされる前面ガラスの範囲」だ。ドラレコの取り付け方を解説した記事では、ルームミラーの高さがおおむねこの20%の範囲に収まるので、ミラーの裏側かミラーと同じ高さに付ければよいとしている。
同じ改正の解説によると、2017年6月22日の改正で、車内(運転者の様子)を撮るドラレコも、道路や交通の状況を撮るカメラが認められている範囲と同じ範囲に限り、前面ガラスに付けられるようになった。
運転支援のカメラとワイパーを避ける
ドラレコの取り付け方を解説した記事では、衝突被害軽減ブレーキ用のカメラがある車では、その視角にドラレコが入ると機能に支障をきたすおそれがあるとし、推奨位置を「ルームミラー裏側周辺で、かつ衝突被害軽減ブレーキ用のカメラの視角に入らない場所」としている。左右に偏った位置だと映像が不自然になりやすい。ワイパーの払拭範囲から外れると水滴で映像が見にくくなるので、ワイパーが拭く範囲に収め、検査標章(車検ステッカー)に重なる位置も避ける。
i3 の場合、2013年の発表資料ではカメラを使うクルーズコントロールを含む「ドライビング・アシスト・プラス」がオプションとされ、2018年の新型でもグレードで標準かオプションかが分かれる。取り付け前に、自分の車の前面ガラス上部にカメラのユニットがあるか、あるならどこにあるかを実車で確かめ、その視野に入らない位置を選ぶ。
i3 I01 の車体が配線に与える影響
Bピラーが無い観音開きのドア
BMW の発表資料によると、i3 の乗員室(ライフモジュール)は炭素繊維強化樹脂(CFRP)製で、そのねじり剛性によって Bピラー(前後のドアの間の柱)を省いている。前後のドアは向かい合って開くコーチドア(観音開き)で、衝突時の構造の役割は下側のアルミ製ドライブモジュールが受け持つ。英国の自動車情報サイトの評価記事では、後席ドア(後ろヒンジ)は大きく開くが、前席ドアを開けた後でなければ開けられないとしている。
このため、一般的な車で前後カメラをつなぐケーブルを通す「Bピラーの内張りの中」という道は前提にできない。前から後ろへは天井の内張りの縁に沿わせる道を基本に考え、後席まわりの内張りの隙間やテールゲートまでの道筋を、前席ドア→後席ドアの順に開けた状態で実車で確かめてから作業に入る。
全面ガラスのテールゲート
BMW の発表資料によると、i3 のテールゲートは全面がガラスで覆われた作りで、リアランプがそこに組み込まれている。リアカメラの位置と配線の出口は、このテールゲートを実車で見ながら決めることになる。
カーテンエアバッグを避けて通す
海外の諸元データベースでは、I01 の後期型(LCI・2017-2022)の i3 120Ah について、カーテンエアバッグが前後席とも標準、サイドエアバッグは前席に標準と記載されている。それ以外の年式・仕様の装備は、この資料の範囲の外になる。
エアバッグが装備された車では、干渉する配線は事故やトラブルの原因になる。天井の内張りやピラーまわりにケーブルを通すときはエアバッグの展開を妨げない道を選び、不安があれば販売店や専門店に相談する。
フロントカメラの配線の通し方
- 道筋の目星を先に付け、配線が内張りの中を通るように計画する。
- ケーブルを天井の内張りの隙間に入れ、ガラスの端(ピラー側)へ進める。
- ピラーカバーを外し、裏に隠しながら下へ通す。足元ではフロアマットの下を通す。
隙間には無理に押し込まない。内張りが簡単に外れない車種では無理に外さず、内張りを浮かせて隙間に配線を押し込む。取り付け手順を解説した記事では、ピラーカバーが外れない場合は市販のテープで固定してもよいとしている。ピラーまわりは前の節のとおりエアバッグを避ける。
リアカメラの取り付けと配線
カメラの位置と熱線の配線
リアカメラの設置場所はリアウインドウの上側中央が基本で、配線はリアウインドウの熱線(リアデフォッガー)の配線と同じ箇所を通すと簡単だ。リアカメラ用のケーブルは余裕を持たせた長さに調節してからつなぐ。i3 はテールゲートがガラスで覆われているので、上側中央の位置と熱線の配線の出口を実車で見比べて決めたい。
テールゲートのジャバラの通し方
テールゲートの開け閉めで配線が引っ張られないようにするには、ヒンジ近くにあるジャバラ状の部品を使う。この中にナンバー灯やリアウインドウの熱線用の配線が入っているので、リアカメラの配線もジャバラの中へ潜り込ませる。ジャバラを通したケーブルは、配線ガイドを付けたままテールゲートの内側を使ってウインドウまで通す。
前席側から荷室までの道
前から後ろへの道は、前の節で触れた天井の内張りの縁沿いが基本になる。荷室側の内張りに手を入れる前に、荷室の作りを
で見ておくと道筋を考えやすい。
電源の取り方を選ぶ
電源の取り方は駐車監視を使うかどうかで決まる。
シガーソケットで足りる場合
走行中だけ録るなら、シガーソケットなどの ACC 電源で足りる。一方、駐車監視機能を使うには、車が止まっている状態でも通電している常時電源から電源を確保する必要があり、その電源は車載の12Vバッテリーから来る。常時電源と ACC 電源を取り違えるとバッテリー上がりを起こし、駐車監視で常時電源を使う場合も車載バッテリーの電気を使い続けることになる。
ヒューズから取る場合の手順
ヒューズから電源を取る市販の部品(ヒューズ電源タイプの電源ソケットなど)には、目当てのヒューズと差し替える15Aのヒューズから新しいコードが分岐し、その先にシガーソケットのメス側が付く仕組みのものがある。
- ACC 電源を取るなら、車両の電源を入れたときに電気が流れるヒューズを探す。一般的な解説の「エンジンをかけて確認する」は、エンジンを持たない i3 では「車両の電源を入れた状態で確認する」と読み替え、電源を入れた状態と切った状態の両方で通電を確かめる。
- ヒューズを抜いた状態で車両の電源を入れ、差し込み口の奥の2つの金属部分に検電テスターを当てて電源側(バッテリー側)を確かめる。
- コードの出る側が電源側に来るように装着する。
- マイナス(アース)は、検電テスターで使った車体の金属のネジやボルトに緩みなくつなぐ。
i3 I01 の電源まわりで気をつけること
ヒューズボックスとヒューズ番号の確かめ方
海外のヒューズ配置の解説サイトでは、i3 のメインのヒューズ・リレーボックスは助手席側のダッシュボード下(助手席の足元)にあり、ねじを緩めてヒューズホルダーを倒して開けるとされ、ほかに電子制御ユニット(BDC)の中にもヒューズボックスがある場合があるとされる。米国の整備動画サイトも、2020年式の室内ヒューズボックスをダッシュボード下としている。ただしどちらも海外仕様の資料で、左ハンドルと右ハンドルの区別は書かれていない。右ハンドルの日本仕様での位置は、取扱説明書か販売店で確かめる。
シガーソケットのヒューズ番号も、海外の解説サイトが挙げる番号に対して、オーナーの報告が年式で食い違っている(ある年式では該当しないという報告と、別の番号の交換で直ったという報告がある)。その解説サイト自身も、ヒューズの用途は図と異なる場合があるとしている。番号は決め打ちせず、取扱説明書のヒューズ配置で確かめ、検電テスターで ACC か常時かを実測してから使う。
12V補機バッテリーに直接つながない理由
BMW 専門サイトの交換手順の解説では、i3 の12V補機バッテリーはフロントトランク内のカバーの下にあるバッテリートレイに載っている。交換の前には、高電圧の安全コネクター(サービス・ディスコネクト)でメインの高電圧バッテリーを切り離し、誤って再び通電しないよう安全ピンでふさぐ手順が入り、交換後には診断機器で新しいバッテリーを登録する。不安があれば専門家に任せるよう勧めている。
補機バッテリーまわりにこれだけの手順が絡む以上、ドラレコの電源をバッテリー端子へ直接つなぐ配線は DIY の範囲から外す。i3 は高電圧のバッテリーと電気駆動系を持つ電気自動車なので、高電圧系の部品や配線には触れず、手を入れるのは室内の内張りとヒューズまでにとどめる。電源は室内のシガーソケットか室内のヒューズから取り、駐車監視のために常時電源を使いたい場合や、ヒューズの位置・番号に自信が持てない場合は販売店や専門店に相談する。補機バッテリーそのものの扱いは
にまとめている。
仮付けから本固定までの確認
- 本体をブラケットに付け、SDカードと電源ケーブルを差してから位置を決める。
- 貼る場所はきれいに拭き、油の付いた手で触らない。両面テープは空気が入らないようにぴったり貼る。
- 車両の電源を入れて映像を確かめ、地面と水平に映っているかを見る。
- 時刻などの設定を済ませ、角度を調整して走行中の映像がはっきり映るようにする。
- ここまで確かめてから、配線を内張りに収めて固定する。
よくある質問
駐車監視は使える?
使うには、車の電源を切っても通電している常時電源が要る。常時電源を使うと車載の12Vバッテリーの電気を使い続けることになるうえ、i3 は補機バッテリーまわりに高電圧系の切り離しが絡むので、常時電源で使いたい場合は販売店や専門店に相談したほうがよい。
リアカメラの線はどこを通す?
Bピラーが無いので、天井の内張りの縁に沿わせて後ろへ運び、テールゲートへはヒンジ近くのジャバラに潜り込ませる。道筋は前席ドア→後席ドアの順に開けて実車で確かめる。
シガーソケットのヒューズは何番?
番号は決め打ちできない。海外の解説サイトの番号とオーナーの報告が年式で食い違っているので、取扱説明書のヒューズ配置で確かめ、検電テスターで ACC か常時かを実測してから使う。
取り付け位置で車検に通らないことは?
保安基準の解説で示される範囲(前面ガラス上部のガラス開口部の実長の20%以内か、ルームミラーで遮られる範囲)から外れた位置は避ける。2017年6月22日の改正後は、車内を撮るカメラも同じ範囲に限って前面ガラスに付けられる。迷ったらルームミラーの裏側周辺に寄せ、そのうえで衝突被害軽減ブレーキ用のカメラの視角に入らない場所を選ぶ(カメラのユニットの有無と位置は実車で確かめる)。
まとめ:実車を見てから道筋と電源を決める
最初にやることは、実車の確認だ。前面ガラス上部の運転支援のカメラのユニットの有無と位置、テールゲートのジャバラと熱線の配線の出口、室内のシガーソケットを自分の目で見ておく。そのうえで車検証で年式を確かめ、取扱説明書でヒューズボックスの位置とヒューズ配置を照らし合わせる。
- 位置は保安基準の解説で示される範囲(前面ガラス上部のガラス開口部の実長の20%以内か、ルームミラーで遮られる範囲)に収め、ルームミラーの裏側周辺のうち、前面ガラス上部に運転支援のカメラのユニットがある車ではその視野に入らない場所を選ぶ。
- 前から後ろへの配線は、Bピラーが無いので天井の内張りの縁沿いを基本に実車で道を確かめる。
- 電源は室内のシガーソケットか室内のヒューズから取り、バッテリー端子への直結は DIY の範囲から外す。常時電源・エアバッグまわり・高電圧系で迷ったら専門店に任せる。
i3 のほかの手入れは
や
も参考にしてほしい。

コメント