商品名に「ピクシス バン S321M/331M系」と入っていても、それが専用設計を意味するとは限らない。今回そろえた4製品のうち、フロント用の1つは商品説明の適合欄で出品者自身が汎用品だと書いている。もう1つは広げたときの寸法をどこにも公開していない。だからこの車のサンシェード選びは、フロントガラスを測る・窓を数える・フロントガラスの上部を見る、この3つを先に済ませたほうが早く決まる。
フロント1枚で足りるか、全窓を覆うか
最初に決めるのは覆う範囲だ。通勤や仕事の合間の駐車でダッシュボードの熱と内装の色あせを抑えたいだけならフロント1枚で足りる。荷室で横になる、着替える、外からの視線を切りたいなら全窓セットの範囲が要る。この線引きを先にしないと、価格だけを見比べて必要な範囲に届かない製品を買うことになる。
| 製品 | 覆う範囲 | 固定方式 | 表示価格 |
|---|---|---|---|
| ワイヤー式フロント単品 Sサイズ | フロント1枚 | 上部を磁石 | 2,480円 |
| マグネット式フロント1枚 | フロント1枚 | サンバイザーに磁石ベルト | 3,980円 |
| クラフトシェード 全窓セット | 本体8枚+カバー1枚 | 簡易吸盤 | 5,980円 |
| シームレスライト 全窓セット | 本体8枚+カバー1枚 | 簡易吸盤 | 9,800円 |
価格はいずれも確認時点でAmazonに表示されていた実売価格で、変動する。もう1つ、全窓セットを選ぶ人が先に知っておくべき前提がある。この車種向けの全窓セットは、どれも商品説明が「スマアシ3対応品」であることを土台に書かれている。
ピクシス バン S321M / S331M はどんな車か
2011年12月に出た初代で、2021年12月に2代目へ
初代ピクシス バンは2011年12月1日に発売された。トヨタの公式ニュースリリースは販売店211社を通じて12月1日より発売したと書き、あわせてトヨタ初の軽商用モデルであると説明している。この世代は2021年12月20日のフルモデルチェンジで2代目に切り替わったので、S321M / S331Mは2011年12月から2021年12月までの10年間ということになる。確認時点で新車としては売られておらず、いま乗っている人の多くは中古で手に入れた個体だ。
2代目は公式リリースがボディのスクエア化によりクラストップレベルの積載スペースを実現したと説明している世代で、外形が作り直されている。用品の対応車種欄に「ピクシスバン」とだけ書かれていたら、どちらの世代を指すのか型式まで確認したい。
ベース車はダイハツ・ハイゼットカーゴ
ピクシス バンはダイハツからのOEM供給車だ。公式の主要諸元表の欄外には製造事業者としてダイハツ工業株式会社が明記され、2017年のマイナーチェンジのリリースにはダイハツ工業のハイゼット カーゴのOEM車という注釈が付いている。用品売り場でベース車向けの商品がピクシス バンの対応車種欄に並ぶのはこのためだ。
型式はS321M(2WD)とS331M(4WD)
公式の主要諸元表では車両型式がEBD-S321M、HBD-S321M(2WD)、EBD-S331M、HBD-S331M(4WD)と記載され、公式のリコール等情報には3BD-S321M、5BD-S321M、3BD-S331M、5BD-S331Mの表記も出てくる。先頭の記号は排出ガス規制の区分で年式によって変わるものなので、サンシェード選びで見るのはハイフンより後ろのS321MかS331Mの部分でいい。
車体寸法は全長3,395mm・全幅1,475mm、全高はハイルーフ1,875mm/標準ルーフ1,765mmの2種類。乗車定員は2名で、4名乗車仕様の設定もある。
全窓セットは「スマートアシストIII対応」を前提に売られている
この記事でいちばん確かめてほしいのがここだ。今回の全窓セットとフロントセットは、いずれも商品説明の適合欄に「本製品はスマアシ3対応品です。ステレオカメラ非装着車もカバーパーツで対応可能です。スマアシ2に装着すると、単眼カメラ付近に隙間ができたり、うまくフィットしない場合がございます」と書かれている。フロント用の1枚がステレオカメラを避ける形に作られていて、カメラが無い車には付属のカバーパーツで埋める設計、ということだ。これは出品者による説明で、第三者が検証した結果ではない。
設定日はAT車が2017年11月14日、MT車が2018年12月10日
2017年11月14日のマイナーチェンジで、ピクシス バンは衝突回避支援システム「スマートアシストIII」をAT車に新たに設定した。公式リリースは、軽商用車としては初となる歩行者も検知対象とする緊急ブレーキ機能やオートハイビームなどを搭載したと書いている。MT車への設定は2018年12月10日の一部改良で、こちらの公式リリースは見出しでMT車に歩行者も検知する衝突回避支援システムを搭載したと明示している。つまりこの2つの日付より前に登録された個体には、スマートアシストIII付きは無い。
グレード名の“SAIII”が最初の手がかり
公式の主要諸元表や価格表には「スペシャル“SAIII”」「クリーンバージョン“SAIII”」「デラックス“SAIII”」「クルーズ“SAIII”」「クルーズターボ“SAIII”」という並びがあり、SAIIIの付かない同名グレードと併売されていた。車検証や納車時の書類、中古車の販売票に載るグレード名を見れば、まずここで絞り込める。
最後はフロントガラスの上部を実際に見る
商品説明にある「スマアシ2」「単眼カメラ」という区分は、今回確認したトヨタの公式ニュースリリースには出てこない。スマートアシストIIIより前の世代がこの車に設定されていたかどうかは公式資料で裏が取れていないので、年式から「スマアシ2搭載車だ」と決めつけない。ルームミラーの付け根に横長のカメラユニットがあるかどうかを自分の目で確かめるのが、いちばん確実で早い。
商品名に車種が入っていてもサイズは保証されない
フロント用の2製品を並べると、車種表記がどこまでを意味するのかが見えてくる。2,480円のワイヤー式は、適合欄に「本商品は汎用品です。”表題に記載している車種”に対する専用品ではありません」と出品者自身が書いている。3,980円のマグネット式は商品名が「S321M/331M系 タイプ」で、専用設計とも汎用品とも書いておらず、広げたときの寸法は商品情報のどこにも載っていない。
つまりどちらも、商品名の車種表記は検索用の文字列であってサイズ適合の宣言ではない。車種名が入っているから合う、という読み方をやめるだけで買い直しの確率はかなり下がる。全窓セット側の「専用設計」という表記も出品者の商品説明で、ルーフ形状や乗車定員の違いまで保証するものではない。
買う前に測る、そして数える
フロント用は3か所を測る
内側から巻き尺を当てて、上辺の横幅・下辺の横幅・中央部の高さの3か所を控えておく。今回のフロント用2製品は片方が汎用品と明記、もう片方は寸法非公開なので、手元に数字があるかどうかで判断の精度が変わる。届いてから足りないと気づくのを避けられるのは、この事前の3つの数字だけだ。
全窓セットは窓を数えて内訳と突き合わせる
見るのは3点。スライドドアが片側だけか両側にあるか、クォーターガラス(後席側面の小窓)が何枚あるか、リアガラスの形。同じS321M / S331Mでもハイルーフと標準ルーフで全高は110mm違い、2名乗車と4名乗車の仕様差もある。今回の全窓セットの商品説明はルーフ形状や定員での区別を書いていないので、枚数が自車と一致するかどうかは自分で数えて確かめる。不安が残るなら購入前に出品者へ自車の仕様を伝えて聞くのが安全側だ。
サンシェードで実際に変わるのはどこか
JAF(日本自動車連盟)のユーザーテスト「真夏の車内温度」は、2012年8月22日・23日に埼玉県戸田市の彩湖・道満グリーンパーク駐車場で行われた。晴れ・気温35度、正午から4時間、駐車条件の異なるミニバン5台の車内温度を測った試験で、各車両の室温は25℃に揃えて始めている。軽バンでの測定ではないので、この数値をピクシス バンの値として読むことはできない。
| 駐車条件 | 車内最高温度 | 車内平均温度 | ダッシュボード最高温度 |
|---|---|---|---|
| 対策なし(黒) | 57℃ | 51℃ | 79℃ |
| 対策なし(白) | 52℃ | 47℃ | 74℃ |
| サンシェード装着 | 50℃ | 45℃ | 52℃ |
| 窓開け(3cm) | 45℃ | 42℃ | 75℃ |
| エアコン作動 | 27℃ | 26℃ | 61℃ |
読みどころはダッシュボードの最高温度だ。車内の空気温度はサンシェード装着でも50℃と高いままだが、ダッシュボード面は52℃と、対策なし(黒)の79℃から大きく離れている。サンシェードは車内を涼しくする道具ではなく、直射日光の当たる面の温度上昇を抑える道具だと考えたほうがいい。触れる場所が熱くなりにくい、内装の色あせや樹脂の傷みを遅らせる、乗り込んだ直後の熱気が和らぐ。10年前後を経た中古車が中心の世代なので、この位置づけがよく合う。
JAF自身はこのテストを、サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない、とまとめている。
紫外線と、荷室で過ごすときの使い分け
ガラスの種類で入り方が大きく変わる
JAFのユーザーテスト「クルマに乗っていれば、日焼けしない?」(2018年4月4日実施)によると、フロントガラスはオープンカー以外すべて数値が1桁以下だった。約30年前にフィルムを挟んだ合わせガラスが義務化され、そのフィルムに紫外線をカットする機能も備わっているからだと説明されている。差が出るのは横と後ろのガラスだ。UVカット機能のないクリアガラスの前席やリアガラスでは1,000μW/㎠を超え、UVカットガラスでは275μW/㎠以下、スーパーUVカットガラスでは4カ所すべてで1μW/㎠以下。同じ車種でも年式・グレードで装着されるガラスが異なるという注意書きも付いている。
同テストの補足で紫外線対策グッズを検証した結果は、シェード・フィルム・液剤をまとめて使った条件で顔付近の紫外線強度が5〜8割ほど減少、というものだった。シェード単独の効果ではない。
貼るフィルムと置くシェードは扱いが別
JAFの解説は、フロントガラスと運転席・助手席の窓ガラスには検査標章などの指定されたもの以外を貼り付けることは禁止、後部座席の側面窓やリアウインドウには貼ることができる、としている。置く・挟む・磁石や吸盤で留めるサンシェードはこの貼付規制の直接の対象ではないが、視界をふさいだまま走ることはできない。荷室長1,860mm(デラックスおよびスペシャルのハイルーフ仕様・2名乗車時)と横になれる広さがある車なので、前席側は駐車中の道具、荷室側は視線を切る道具と役割を分けて使うことになる。
ピクシス バン S321M / S331M で選べるサンシェード4選
覆う範囲の順に並べる。読むときの注意が1つあって、遮光率・UVカット・断熱・燃費向上といった表記はいずれも出品者やメーカーによる商品説明で、測定条件は公開されていない。数字を優劣の根拠にせず、覆う範囲・固定方式・収納のしやすさで比べたほうが判断を誤りにくい。価格も覆う面積が違うものを総額で並べても比較にならないので、フロント1枚どうし、全窓セットどうしで揃えて見る。
フロント1枚をいちばん安く済ませたい場合
ワイヤーフレーム式のフロント単品(Sサイズ)。広げてガラスに合わせ、上部を磁石で固定するだけの構造で、重さは約180gの軽量設計と説明されている。収納はフレームをひねって折りたたみ、付属の収納袋へ。ただしSサイズが何センチかは商品情報になく、出品者自身が汎用品と明記している。測った数字を持ったうえで試す位置づけの製品だ。
趣味職人 ワイヤーサンシェード フロント単品 Sサイズ(磁石固定・約180g・収納袋つき)
毎日着脱するので収納を優先する場合
マグネット式のフロント1枚。商品説明は軽さ72g、使用時の約2%まで小さく収納できるとうたい、固定はサンバイザーに磁石ベルトを装着するだけ。傘式と違って柄や骨がダッシュボードや内装に当たらないので傷の心配がない、ドライブレコーダーにも対応している、といった記述もある。収納はフレームを芯にして巻き取る方式。広げたときの寸法は非公開なので、実測値との照合は自分でやることになる。
趣味職人 マグネットエアシェード フロント1枚(72g・巻き取り収納・ドラレコ対応をうたう)
1台分の窓をまとめて覆いたい場合
クラフトシェードの全窓セット。商品説明の内訳はフロントガラス1枚(スマアシ3対応)、サイドドアガラス2枚、ステレオカメラ無カバー1枚、スライドドアガラス2枚、クォーターガラス2枚、リアガラス1枚で、数えると本体8枚+カバー1枚。固定は簡易吸盤で、外からの視線を遮るため車中泊にも向くとされている。1台分をまとめて覆える構成としては、今回の4製品で表示価格がいちばん低い。荷室で休む使い方が主なら、ここから見ればいい。
趣味職人 クラフトシェード 全窓セット(フロントから荷室まで8枚+カバー1枚)
同じ枚数構成で生地の仕様を上げたい場合
シームレスライトの全窓セット。枚数の内訳はクラフトシェードと同じで、シボ加工採用により耐久力があり収納時のシワが目立ちにくいと説明されている。固定も同じ簡易吸盤。燃費向上効果に触れた記述もあるが測定値や条件は示されていないので、そこは判断材料に入れない。生地の仕上がりに価格差を払えるかどうか、という選び方になる。
趣味職人 シームレスライト 全窓セット(同じ枚数構成でシボ加工生地)
同じ検索では、表示価格14,500円のフロントセット(フロント1枚+サイドドア2枚+カバー1枚)も在庫ありで出てくる。覆う窓が前席まわりだけで表示価格は全窓セットの倍以上になるので、覆う範囲と価格の釣り合いを理由に今回の4選からは外した。品質が劣ると判断したわけではない。
取り付けでつまずきやすい3点
全窓セットとフロントセットの商品説明には、フロントサンシェード取り付けの際はルームミラー裏の振動防止ゴムを取り外してから装着するように、という注意書きが共通で付いている。フロント1枚をガラス上部まで差し込む構造なので、ミラー付け根の部品が当たるということだ。外した部品は無くさないよう保管しておく。
流れとしては、駐車してシェードを広げ、内側に当てて上辺を磁石またはサンバイザーで留め、左右と下辺に日が差し込む隙間がないかを見る。吸盤はガラスの汚れを拭いてから押し当てる。そして走り出す前に、フロントと前席左右は必ず外す。
よくある質問
自分の型式はどこで確認できる?
車検証の型式欄を見る。EBD-S321MやHBD-S331Mのように記号が前に付いているが、サンシェード選びで見るのはS321MかS331Mの部分だけでいい。2WDと4WDの違いは窓の形に影響しないので、駆動方式を気にする必要もない。
ハイゼットカーゴ用のサンシェードはそのまま使える?
OEM元がハイゼットカーゴであることは公式資料で確認できるが、それだけで個々の製品が使えると決めることはできない。適合は商品ごとの適合表記で決まるので、対応車種欄にピクシス バンとS321M / S331Mの記載があるかを見る。
2代目ピクシス バン用と共通で使える?
初代と2代目は別物として扱う。2代目はボディのスクエア化で外形が作り直されているので、片方の寸法感をもう片方に持ち込まない。
スマートアシストIII付きかどうかはどう見分ける?
順番は3段階。まずグレード名に“SAIII”が入っているかを書類で見る。次に登録時期を確認する(AT車は2017年11月14日、MT車は2018年12月10日から設定)。最後にフロントガラス上部を見て、ルームミラーの付け根に横長のカメラユニットがあるかを確かめる。
サンシェードを付ければ子どもやペットを車内に残せる?
残せない。JAF自身が、サンシェード対策をしていても人や動物が耐えられない温度になり、車内温度の上昇は防げないとまとめている。実測でも車内の空気温度は装着時で50℃だった。
まとめ:買う前に済ませる4つの確認
- 車検証でS321MかS331Mかを確認する
- フロントガラスの上辺・下辺・中央の高さを測る(フロント用を買う場合)
- スライドドア・クォーターガラス・リアガラスを数えて商品説明の内訳と突き合わせる(全窓セットを買う場合)
- フロントガラス上部にステレオカメラとドライブレコーダーが付いているかを見る
この4つが済んでいれば、あとは覆う範囲で決まる。駐車中のダッシュボードと内装が目的ならフロント1枚、荷室で横になるなら全窓セットだ。
趣味職人 クラフトシェード 全窓セット(フロントから荷室まで8枚+カバー1枚)
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