ノア ZRR80G の荷室収納|デッキボードと3列目格納

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80系ノアの荷室は、収納用品を買い足す前に、もとから付いている装備の使い方だけで用が足りる場面が多い。デッキボード、デッキフック、それに3列目シートの格納——この3つを押さえれば、部活の送迎も帰省の大荷物も積み分けられる。対象は ZRR80G(2014年1月から2022年1月まで販売されたガソリン車)で、手順の根拠は取扱書の記述に置く。

目次

荷室の使い勝手を決める3つの操作

荷室をどう使うかは、詰めていくと3つに整理できる。もとから付いている装備をどう使うか、3列目シートを格納して床面をどこまで広げるか、積んだ荷物をどう固定して高さと重さを配るか。この順で決めると、あとから収納用品を選ぶときの寸法と形も自然に絞られる。

先に断っておくと、荷室の容量や内寸は数値で示せない。今回あたったメーカー系のカタログにも取扱書にも、荷室そのものの長さ・幅・高さ・容量にあたる値が見当たらなかったからだ。確認できたのは室内寸法(室内長2,930mm×室内幅1,540mm×室内高1,400mm)まで。これは保安基準上の室内の値であって、荷室単体の寸法ではない。収納用品の寸法を決めたいなら、実車をメジャーで測るのが結局いちばん早い。

荷室にもとから付いている収納装備

取扱書の記載をたどると、荷室まわりには次の装備がある。荷室の床をふさぐデッキボード、荷物を留めるためのデッキフック、停止表示板をしまえるラゲージボックス、そしてスペアタイヤ装着車に設定されるラゲージルーム小物入れ。小物入れは UNLOCK の位置で開ける。停止表示板については、ケースの大きさや形によっては収納できない場合があると取扱書が条件を添えている。

荷室に入りきらない細かいものは車内側へ振り分けることになる。オーバーヘッドコンソール、助手席アッパーボックス、カードホルダー、センターロア小物入れがあり、ボトルホルダーは7人乗り車では折りたたみ式サイドテーブルを引き起こして、8人乗り車では格納式センターボックスを倒して使う。ただし取扱書は、一部の装備についてグレードやオプションで有無が変わると明記している。手元の車に何が付いているかは、記事より現物を見たほうが確実だ。型式を軸に自車の仕様を確認する作業は他の部品でも同じで、電球を換えるときの型番も同じ調べ方になる。

デッキボードの上げ方と固定位置

デッキボードを上げる操作は、取扱書では3手順で説明されている。まずフックをかけ、次にフックを取りはずし、そのままデッキサイドにかける。あるいはヘッドレストを上げて、ステーにかける方法もある。取扱書はフックを2または3の位置にかけて固定するよう記しており、上げた状態での固定先は2通りある。これを高さの段階調整と説明している記事も見かけるが、取扱書の記述はあくまで固定位置が2つあるというもので、段階的な高さ設定として読める根拠は確認できなかった。

扱いで気をつけるのは1点。取扱書は破損を防ぐため、デッキボードの上に立ったり無理な力をかけたりしないよう注意している。何kgまでなら載せてよいという耐荷重の目安は取扱書に書かれていないので、重い工具箱を常置する台として使うつもりなら、床に直接置く前提で考えたほうがいい。

3列目を格納して荷室を広げる

荷室を広げる正規の手段は、シートアレンジのラゲージモードだ。取扱書は、3列目を格納して2列目を前方へ動かすことで荷室を広げられると説明している。

格納の手順

取扱書に沿った順序は次のとおり。

  1. 車を停止させ、パーキングブレーキをかける
  2. 3列目左右席のヘッドレストをいちばん下まで下げ、中央席のヘッドレストを取りはずす
  3. 左右席のシートベルトをシートベルトクリップに挟み、中央席のシートベルトを格納する
  4. スペースアップレバーを引いて背もたれを前方に倒す
  5. レバーをさらに引いてシートをはねあげる(連動してシート脚部が格納される)
  6. 固定ベルトを取り出し、シートを押してロック部に挿し込む
  7. シートを軽くゆさぶり、確実に固定されたことを確認する

この操作はバックドア側から行うよう取扱書が指示している。スペースアップレバーはシートクッションの裏側にあり、リクライニング調整も同じくバックドア側からの操作だ。車内から身を乗り出して手を伸ばす姿勢では、レバーの二段操作もベルトの挿し込みも狙いどおりにいかない。

取りはずした中央席のヘッドレストは、取扱書が示すラゲージルーム内の位置に格納する。荷室の隅に転がしておくと、走行中に動くうえ、次に3列目を使うときに見つからない。ヘッドレストは席ごとに専用品で、はずしたまま人を乗せて走ることも取扱書が禁じている。

床がフラットに近づく分、車中泊の下地としても使える。段差の埋め方は別記事で扱った。

格納するときに守る条件

取扱書はシートアレンジ全般について、平坦な場所でシフトレバーをPに入れ、パーキングブレーキをかけたうえで操作するよう求めている。走行中の操作は禁止で、操作後はシートを軽くゆさぶって固定を確認し、シートの間にシートベルトやバックルが挟み込まれていないかも見る。フラットにした状態で人や荷物を乗せて走ることも禁じられている。

3列目の格納に固有の警告も押さえておきたい。固定ベルトで留めていないとシート脚部が動き、荷物やシートの破損、けがにつながると取扱書が警告している。左右のシートを同時に格納するのも避け、片側ずつ操作する(指や手を挟むおそれがある)。ラゲージスペースに人を乗せて走ってはいけない。格納から戻すときは、シート脚部が床面のロック部に収まって固定されたかを確認する。なお取扱書は、サイドリフトアップシート装着車についてはフラット状態にできないと明記している。福祉車両仕様は前提が変わるので、ここまでの手順をそのまま当てはめられない。

もっと広げたいときの選択肢

3列目を格納したうえで、さらに2列目を前方へ寄せれば床面はもう少し伸びる。2列目は810mmのロングスライドが可能だと、2014年のフルモデルチェンジ発表会を取材した自動車専門メディアのレポートが伝えている。ただしこの値がどの乗車定員仕様のものかは同レポートで特定されていないため、7人乗り・8人乗りそれぞれのスライド量として受け取ることはできない。

ZRR80G には7人乗りと8人乗りの両方の設定があり、使えるシートアレンジが違う。室内寸法はどちらも同じ値だが、2列目シートの形が異なるためだ。たとえば取扱書のスーパーリラックスモードは7人乗り車限定で、8人乗り車には設定がない。しかもこのモードは3列目を格納したうえで2列目を後方へ動かすもので、狙いは2列目の居住性にある。荷室を広げる目的で選ぶモードではない、と理解しておきたい。

世代が変わると荷室の作り自体が変わる。次の型の数値と見比べたいなら、そちらの記事を参照してほしい。

積み方の3原則

高さの上限

取扱書は、シート背もたれより高いものを荷室に積まないよう警告している。荷室の上方向を天井まで使い切る収納アイデアは、この一線で止まると考えたほうがいい。あわせて、室内に積んだ荷物はすべて安定させることも求められている。

長い荷物の扱いにも指定がある。リヤ席の背もたれを折りたたんで寸法の長いものを積むときは、できるだけ前席背もたれの真うしろに置かないよう取扱書が指示している。3列目を格納して長尺物を載せる場面はまさにこれにあたるので、左右どちらかへ寄せて積むことになる。

重さのかけ方

取扱書は、荷物を積み過ぎないこと、荷重を不均等にかけないことを警告している。理由はタイヤへの負担だけでなく、ハンドル操作性やブレーキ制御の低下が事故につながるためだ。重いものは左右へ振り分け、床の低い位置に置く。片側に寄せた積み方は、荷崩れよりも走りに先に出る。なお最大積載量の具体的な数値は、今回の出典では確認できなかった。

積んではいけないもの

燃料が入った容器とスプレー缶は、引火のおそれがあるため積まないよう取扱書が警告している。荷室に道具箱を積みっぱなしにしている人は、中身を一度あらためたほうがいい。

積む場所そのものの指定もある。取扱書はできるだけ荷室に積むよう求めたうえで、運転席足元、荷物を積み重ねる場合の助手席やリヤ席、インストルメントパネル、ダッシュボードには積まないよう警告している。ペダル操作を妨げる、視界をさえぎる、乗員に衝突する、という3つの理由が挙げられている。荷室に人を乗せてはいけないことも、ここで重ねて明記されている。

荷崩れを止める固定

取扱書は、デッキフックを使って荷物を固定できると説明している。同時に警告として、デッキフックは必ずもとの位置に戻すことが求められている。出しっぱなしのフックは、次に荷物を滑らせて積むときに引っかかる。

固定を前提に置き場所を決めると、荷室の使い方は組み立てやすい。判断の順は4つでいい。第1に高さ——背もたれより高く積まないという上限を先に決める。第2に固定——転がるもの倒れるものはデッキフックで留める前提で置き、留めようのないものは背の低い容器にまとめる。第3に重量配分——重いものは低く、左右に振り分ける。第4に取り出し頻度——毎回使うものはバックドアを開けてすぐ手が届く位置、常備品はラゲージルーム小物入れのような決まった場所へ。この順で決めれば、あとから買う収納用品の寸法と形も自動的に絞り込める。

床の条件は世代の作りにも助けられている。80系へのフルモデルチェンジにあたり荷室フロアは先代より60mm低床化され、荷室幅は先代より200mm拡大したと、前出の発表会レポートが伝えている。いずれも先代70系との差分であって、荷室の絶対寸法ではない。それでも床が低いぶん、重い荷物を持ち上げる高さは減っている。

室内の高さ制限に引っかかる荷物は、外に出すしかない。車外に載せる方向は別記事でまとめた(対象は90系向けの内容なので、装着の可否は自車の世代で確認してほしい)。

収納用品を足す前に確認する一線

社外品を検討する前に、1つだけ先に知っておきたい警告がある。取扱書は、バックドアにトヨタ純正品以外のアクセサリー用品を付けないよう警告している。理由はバックドアの重量が増し、開けたあとに突然閉じて手・頭・首などを挟むおそれがあるからだ。ダンパーステーの項でも同じ趣旨が繰り返されており、ステーのロッド部に粘着材などの異物を付けない、軍手などでふれない、手をかけたり横方向に力をかけたりしない、とも書かれている。バックドアの内側に掛ける収納やラック類は、まずこの一線に触れる。

バックドアの開閉そのものにも注意がある。開ける前に貼り付いた雪や氷を取り除く(開いたあとに重みで突然閉じるおそれがある)、開閉時は周囲を確かめ人がいれば声をかける、強風時は風にあおられるため注意する、ダンパーステーを持って閉めたりぶらさがったりしない、半開のまま使わず全開で静止していることを確認する(特に傾斜地)、閉めるときは外から軽く押す。荷物を出し入れするたびに関わる操作なので、覚えておいて損はない。

車内側の小物収納にも上限が示されている。走行中に小物入れを開けたままにしない、オーバーヘッドコンソールに200g以上のものを入れない、7人乗り車の折りたたみ式サイドテーブルに3kg以上のものを置かない、カップホルダーにはカップや缶以外を置かない。荷室に入りきらないものを車内へ振り分けるときの目安になる。

収納用品を選ぶときは、車検証の型式欄が ZRR80G であることを確認したうえで、用品側の適合表記に「80系」だけでなく年式と前期・後期の別まで示されているかを見る。ノアは同じ車名で世代が複数あり、70系や90系向けの用品が同じ「ノア用」として並ぶ。装備の有無もグレードとオプションで変わると取扱書が明記しているので、最後は現物合わせになる。兄弟車の事例も、寸法の考え方を見るには参考になる。

荷室まわりで電源を使うとき

アクセサリーソケットについて取扱書は、DC12V/10A(消費電力120W)未満の電気製品を使う電源として使用するよう定格を示している。作動条件は、スマートエントリー&スタートシステム非装着車ではエンジンスイッチが”ACC”または”ON”のとき、装着車ではアクセサリーモードまたはイグニッションONモードのとき。使わないときはフタを閉め、バッテリーあがりを防ぐためエンジンが停止した状態での長時間使用は避ける。なおソケットが荷室にあるかどうかは今回の出典では特定できなかったので、荷室で使う前提の機器を先に買わないほうがいい。車中泊で電源を使う段取りは、先代の記事でも扱っている。

よくある質問

3列目を格納したまま走ってもよいのか

問題ない。ただし取扱書が求めるとおり、固定ベルトで留めてあることが条件だ。固定していないとシート脚部が動く。また、格納してできたラゲージスペースに人を乗せて走ってはいけない。

荷室の容量は何リットルか

今回あたった範囲では、荷室の容量を示す出典が確認できなかった。カタログで確認できるのは室内寸法(室内長2,930mm×室内幅1,540mm×室内高1,400mm)で、これは保安基準上の室内の値であり荷室単体ではない。収納ボックスの寸法を決めたいなら、実車を測るか、用品側が公表する適合表で確認してほしい。

スペアタイヤが付いていない車にもラゲージルーム小物入れはあるのか

取扱書の収納装備一覧では「ラゲージルーム小物入れ(スペアタイヤ装着車)」と条件付きで記載されている。全車にあるとは書けないので、自分の車の荷室床下を開けて確認するのが早い。

バックドアに収納ネットや棚を付けてもよいのか

取扱書はトヨタ純正品以外のアクセサリー用品をバックドアに付けないよう警告している。重量が増えて開けたあとに突然閉じるおそれがあるためだ。掛ける収納を検討しているなら、まずこの警告を前提にしてほしい。

車検証のどこを見れば自分の車が ZRR80G だと分かるのか

車検証の型式欄を見る。同じ ZRR80G でも頭の記号は年式で変わり、カタログでは2019年10月以前が DBA-ZRR80G、2020年4月以降が 3BA-ZRR80G として掲載されている。用品の適合表を読むときは、頭の記号ではなく ZRR80G の部分で照合すればいい。

まとめ

明日から手を動かす順に並べ直すと、こうなる。まずデッキボードを上げて、フックをかける位置を2通りのうちどちらで使うか決める。次に3列目をラゲージモードで格納する——ヘッドレストとシートベルトの前処理、スペースアップレバーの二段操作、固定ベルトでのロック、そしてゆさぶり確認まで、バックドア側から順にたどる。最後に積み方だ。背もたれより高く積まない、重いものは左右へ振り分ける、デッキフックで留める。

数値を断定できなかった部分は、そのまま自車で測る作業に置き換わる。荷室の容量も内寸も、デッキボードの耐荷重も、確認できる出典が見つからなかった。装備そのものもグレードとオプションで有無が変わる。収納用品は候補を1つに絞ってから、車検証の型式とメーカーの適合情報で最後の確認を取る——この順番なら、買ってから合わないと気づく事態は避けられる。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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