ノア ZRR80G 車中泊マットの選び方と3タイプ比較

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80系ノアのシートを取扱書どおりに倒し、厚手のマットを1枚敷けば寝床になる。そう考えて買うと、背中の下に残る継ぎ目の谷や背もたれの傾きで眠れないことがある。ZRR80G の車中泊マットは、商品名から選ぶより先に、自分の車のどこに段差が出るかを決めたほうが外さない。

目次

マットの形は埋めたい段差で決まる

ZRR80G の車中泊マットは大きく3方向に分かれる。全面に敷いて面ごと持ち上げるマット、後席の傾斜と段差をならすクッション、シートとシートの継ぎ目だけを埋めるギャップパッド。どれが必要かは、寝る向き(前後方向か横方向か)と寝る人数、そして自車の仕様で決まる。

先に1つ確認してほしいことがある。取扱書は、サイドリフトアップシート装着車はフラット状態にすることができないと明記している。福祉車両仕様ならフラット化を前提にしたマット選びそのものが成り立たないので、ここが最初の分岐になる。

ZRR80G の室内寸法とシートの前提

室内寸法と外寸

項目 数値
室内長 2,930mm
室内幅 1,540mm
室内高 1,400mm
全長 4,695mm
全幅 1,695mm
全高 1,825mm
ホイールベース 2,850mm

室内長2,930mm は前席から荷室までを含む数値で、シートを倒して寝られる範囲がそのまま2,930mm になるわけではない。寝床の実寸は室内長ではなく、倒したシートの上面がどこまで連続するかで決まる。 シートアレンジ後の就寝スペースを長さ何mm・幅何mmと示した公表資料は確認できていないため、ここでは数値を出さない。

7人乗りと8人乗りで変わるところ

ZRR80G には7人乗りと8人乗りの両方の設定がある。カタログでは G・X・X Vパッケージの8人乗りFFが DBA-ZRR80G、2020年4月以降の X 7人乗りFFが 3BA-ZRR80G として掲載されている。室内寸法は7人乗りと8人乗りで同じ値だが、2列目シートの形、つまり独立した席か横に並ぶ席かが違い、それに伴って中央にできる隙間の有無も変わる。

型式表記は年式で変わる

同じ ZRR80G でも頭の記号は年式で変わり、カタログ上は2019年10月以前が DBA-ZRR80G、2020年4月以降が 3BA-ZRR80G。この世代の掲載期間は2014年1月から2022年1月。適合表を読むときは、頭の記号ではなく ZRR80G の部分で照合する。 なお2列目のスライド量は、2014年の発表会を取材した自動車専門メディアの記事で810mmの超ロングスライドと説明されているが、7人乗りと8人乗りのどちらの値かは同記事では特定されていない。

型式で照合する読み方は、電球のような消耗品を選ぶときも同じだ。

取扱書どおりにシートを倒す

リヤフラットソファモードの手順

取扱書が定義するシートアレンジは4つある。フロントフラットソファモード、リヤフラットソファモード、ラゲージモード(3列目を格納する)、スーパーリラックスモード(7人乗り車で3列目を格納し2列目を後方へ移動する)。車中泊で使うのは2番目で、手順は次のとおり。

  1. 車を停止させ、パーキングブレーキをかける
  2. フロントシートをいちばん前まで移動させる
  3. セカンドシートをいちばん前まで移動させる
  4. セカンドシートのヘッドレストをはずす
  5. セカンドシートの背もたれを後方いっぱいまで倒す
  6. サードシートのヘッドレストをはずす(中央席のヘッドレストはラゲージルームの所定位置に格納する)
  7. サードシートの背もたれを後方いっぱいまで倒す
  8. セカンドシートをサードシートとのすき間がなくなるように前後位置調整レバーで移動させる

8番の詰め方で、あとから埋める谷の幅が変わる。 一度で決めず、前後位置を何度か動かして谷がいちばん狭くなる場所を探したい。1人で寝るなら、2列目を後ろまで下げて前席の背もたれを倒すフロントフラットソファモードも選べる。

倒す前と倒したあとの安全確認

走行中に背もたれを必要以上に倒さない。事故のときに体がシートベルトの下にもぐり、腹部に強い圧迫を受けたり肩ベルトが首にかかったりするおそれがあると取扱書は警告している。シートを調整しているあいだは、シートの下や動いている部分の近くに手を近づけない。調整が終わったらシートを軽くゆさぶって固定を確かめる。走行中にサードシートへ移動しない。

倒したあとに残る段差と隙間

背もたれの傾きと継ぎ目の谷

取扱書はフラットソファモードの手順を示すだけで、倒したあとに段差が残らないことまでは書いていない。実際には倒した背もたれの面に傾きが残り、シートとシートの境目には谷ができ、左右のシートのあいだにも隙間が残る。埋めたいのが「面の傾き」なのか「線状の谷」なのかで、買うべき製品は入れ替わる。

幅の見方も決めておきたい。室内幅は1,540mm で、左右に大人2人が並べば1人あたりは単純計算で700mm台になる。マットは敷ける最大幅ではなく隙間なく敷ける幅で選び、端に細い隙間が残るなら小さいクッションやタオルで埋める。1人で前後方向に寝るなら、幅より長さと平面性を優先できる。

3列目を格納する場合

3列目はスペースアップレバーで背もたれを前に倒してからはねあげ、固定ベルトで留める。取扱書はこの操作をバックドア側から行うよう指示しており、留めたあとはシートを軽くゆさぶって固定を確かめる。格納すると荷室側とシート側で高さの出方が変わるので、埋める段差もリヤフラットソファモードとは別物になる。

同じ骨格の兄弟車や次の世代でどう寝床を作っているかも参考になる。

マットのタイプ別の向き不向き

谷だけを埋めるタイプ

段差解消クッションとギャップパッドは、谷だけを埋める。安価で軽く、収納も小さい。そのかわり面全体はならせないので、背もたれの傾きが気になる車では単独では足りない。

面をつくるタイプ

全面マット(ウレタン、自動膨張式)は面をつくれるぶんかさばる。エアベッドは厚みを稼げるが、空気入れの手間があり、車内形状に合わないと端が浮く。

厚みと手入れ

厚みは埋めたい谷の深さで選ぶ。商品側には「段差解消70mm」のように厚みを表示するものがあり、谷が深いほど厚い製品や複数枚の組み合わせが要る。ただし室内高は1,400mm しかなく、厚みを足すほど天井までの余裕は減る。カバーを外して洗えるか、使ったあとに立てて乾かせる形かも効いてくる。車に積みっぱなしにするのか毎回出し入れするのかで、優先順位は入れ替わる。

先代の70系でも考え方は共通する部分が多い。

買う前に確認する適合表記

車種専用をうたう商品でも、適合表記は出品者が商品ページに掲載した情報であって、車両メーカーによる適合保証ではない。見るのは3点。自分の型式(ZRR80G)が列挙されているか、7人乗りと8人乗りのどちらを前提にした寸法か、対応年式に自車が入るか。「80系対応」とだけ書かれた表記は、定員違いによるシート形状の差を吸収できていない場合がある。

車検証で見るのは型式欄の ZRR80G の部分、初度登録年月、乗車定員の3つ。サイドリフトアップシート装着車かどうか判断がつかないなら、車台番号を持ってディーラーに聞いたほうが早い。

ZRR80G の適合表記があるマット

適合表記に ZRR80G を含み、確認時点で販売中だった製品を、埋める場所ごとに並べる。価格はAmazonの実売価格(確認時点)で、変動する前提で見てほしい。

継ぎ目の谷を埋めるパッド型

適合表記に ZWR80W・ZWR80G・ZRR80W・ZRR85W・ZRR80G を列挙した、後部座席用のギャップパッド型。座席の継ぎ目にできる谷を埋める用途で、面全体をつくる製品ではない。実売価格は4,500円で、同じシリーズに色違いの型番もある。背もたれの傾きは許容できて谷だけが気になる人は、ここから試すのが早い。

ノア80系 ZRR80G 適合表記の後部座席ギャップパッド型 車中泊マット

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後席の傾斜をならすクッション型

「ノア HV 80系/ZRR80W/85W/ZWR80W/ZRR80G/85G 専用」と適合表記した、段差解消パッドと後部座席レベリングマット。どちらも後席の傾斜と段差をならす用途で、実売価格は前者が1,999円、後者が1,599円。表記の先頭に HV とあるが、列挙された適合型式にはガソリン車の ZRR80G・ZRR85G も含まれる。HV の語だけを見てガソリン車には使えないと判断しなくてよい。

ノア80系 ZRR80G 適合表記の段差解消フラットクッション

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ノア80系 ZRR80G 適合表記の後部座席レベリングマット

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組み合わせて使うときの考え方

1枚で決めきろうとせず、安い側から足すほうが無駄が出にくい。まず傾斜をならすクッションで面を作り、残った継ぎ目にパッドを足す。それでも沈むなら手持ちの敷布団を重ねて面をならす。厚みの表示は埋めたい谷の深さと突き合わせて読み、足りない分は枚数で補えばいい。

遮光と車内電源

遮光と目隠し

朝日で早く目が覚める、外から車内が見える、といった不満はマットでは解決しない。ZRR80G を含む80系の専用サンシェード(対応年式2014年から2021年と表記)があり、窓形状に合わせた専用設計は汎用品より隙間からの光漏れを抑えやすい。実売価格は8,899円。

ノア・ヴォクシー80系 ZRR80G 対応の車中泊用サンシェード

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車内電源で使えるもの

取扱書はアクセサリーソケットについて、DC12V/10A(消費電力120W)未満の電気製品を使用するときの電源として使うよう記載している。電気毛布や小型の調理器具を持ち込むなら、製品の消費電力がこの範囲に収まるかを買う前に見る。 超えるものはこのソケットからは使わない。

寝る前に確かめること

仮眠するときはエンジンを止める

取扱書は、仮眠するときは必ずエンジンを停止するよう記載している。理由は2つ挙げられている。エンジンをかけたまま仮眠すると、無意識にシフトレバーを動かしたりアクセルペダルを踏み込んだりして事故やエンジンの異常過熱による火災が発生するおそれがあること。もう1つは、風通しの悪い場所に停めると排気ガスが車内に侵入し、重大な健康障害におよぶか、最悪の場合は死亡につながるおそれがあること。エアコンをつけたまま一晩過ごす前提の車中泊は、この指示から外れる。

降雪時と換気の悪い場所

排気ガスには無色無臭で有害な一酸化炭素が含まれる。取扱書は、車庫内など換気が悪い場所や囲まれた場所ではエンジンを停止すること、降雪時や雪が積もった場所ではエンジンをかけたままにしないことを求めている。まわりに積もった雪で排気ガスが滞留し、車内に侵入するおそれがあるからだ。JAF が2015年2月に北海道で行った検証では、車がボンネットの上まで雪に覆われた状態でエンジンをかけると、車内の一酸化炭素濃度は16分後に短時間暴露限度とされる400ppm、22分後に測定上限の1,000ppmに達した。マフラー周辺を除雪した車では終始ほとんど検知されていない。検証車両はノアではなく、特定車種の値ではない。

長時間同じ姿勢を避ける

厚生労働省は、水分を十分に取らない状態で狭い座席に長時間座って足を動かさないと血行不良が起こり血液が固まりやすくなるとして、予防に、ときどき軽い体操やストレッチ運動を行う、こまめに水分を取る、ゆったりとした服装をしベルトをきつく締めない、眠るときは足を上げる、といったことを挙げている。寝返りが打てる幅の確保は、寝心地だけでなくここにも効いてくる。

エンジンを止めて過ごす時間が長くなるほど、バッテリーの状態も気になってくる。

よくある質問

7人乗りと8人乗り、車中泊向きはどちらか

一概には言えない。カタログ上の室内寸法は同じで、違うのは2列目シートの形と中央にできる隙間の有無だ。横に並んで寝るなら中央の隙間を埋める手間がどれだけ出るかで印象が変わるので、まず自車の2列目を倒して谷の位置を見てから判断したい。

サイドリフトアップシート装着車でもフラットにできるか

できない。取扱書がフラット状態にすることができないと明記しているので、マットで代用できる話でもない。

荷室のデッキボードの上に寝てもよいか

取扱書はデッキボードについて、破損を防ぐために上に立ったり無理な力をかけたりしないよう注意している。荷室側に体重をかける寝床の作り方は、この注意から外れる。

適合表記に自分の型式が無い商品を買ってよいか

避けたほうがいい。適合表記はもともと出品者の掲載情報で、そこに ZRR80G の記載すら無いなら、寸法が合う根拠が何も無いことになる。汎用品を選ぶなら、寸法を自分で測って突き合わせる。

まとめ

段差の場所を先に決めて、それからマットの形を選ぶ。全面をならすのか谷だけを埋めるのか、候補を1つに絞ったところで商品ページの適合表記に戻り、型式(ZRR80G)と対応年式、定員の前提が自車と合っているかを車検証と突き合わせて確認する。福祉車両仕様かどうかもここで決着させておく。

そして寝る前はエンジンを止める。ここは製品選びとは別に、毎回同じ手順として残しておきたい。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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