室内灯をまとめてLEDにしようと同じ形の球を買い、前席だけ入らなかった——GRJ120Wでいちばん起きやすい買い間違いがこれだ。この車の室内灯は前とそれ以外で口金が別物で、1種類では足りない。逆に言えば、部位別の形状さえ先に押さえてしまえば、120系プラドは年式で迷う場面がほとんどない車だ。まず全部位を表で確定させてから、作業の順番へ進む。
部位別の純正バルブ形状一覧
LEDとHIDの専門メーカーが公開している120系プラドの適合表と、車種別のバルブ適合をまとめた別の適合表。この独立した2つの表が、同じ内容を載せている。どちらも前期・中期・後期の区分を設けず、平成14年10月から平成21年8月までを1本の表で括っている。年式による書き分けが無いので、GRJ120Wならこの表をそのまま読める。
| 部位 | バルブ形状 |
|---|---|
| ヘッドライト(ロービーム) | H4 |
| ヘッドライト(ハイビーム) | 専用バルブの設定なし |
| フォグランプ | HB4(9006) |
| ポジション(車幅灯) | T10 |
| フロントウインカー | T20シングル アンバー |
| サイドマーカー | T10 |
| リアウインカー | T20ピンチ部違い アンバー |
| テール・ストップ | T20ダブル |
| リアフォグ | T20シングル |
| バックランプ | T16 |
| ナンバー灯 | T10 |
| ハイマウントストップ | 純正LED(交換対象外) |
| 室内灯(フロント) | T8.5(BA9s/G14) |
| 室内灯(ミドル・リア) | T10×31 |
ただし2つの表はどちらもハロゲン仕様車を対象に作られており、それ以外の仕様についての記載を持たない。ディスチャージ(HID)のヘッドランプが付いた個体なら、ロービームの規格が別になる可能性がある。ヘッドライト用のLEDは値の張る買い物になるうえ、形が違えば物理的に入らない。注文の前に裏側のバルブを1本抜き、口金がH4かどうかを実物で見ておく。
ハイビームの欄が空いている理由
2つの表とも、ハイビームに規格を載せていない。片方は設定なし、もう片方は欄そのものが空だ。H4がロー・ハイを1本で兼ねる規格だからで、ハイビーム専用の球が別に付いているわけではない。前照灯で替えるのは左右各1本、合わせて2本。
同じT20でも前後で口金が違う
フロントがT20シングルアンバー、リアはT20ピンチ部違いアンバー。呼び名は同じでも口金の切り欠き(ピンチ部)の位置が違うので、前後同じ球を4本まとめ買いすると後ろが入らないことがある。前用か後ろ用か、ピンチ部違いに対応するかを商品側の表記で見る。後ろまわりはT10とT16も混在していて、ナンバー灯がT10、バックランプがT16。ポジションのT10とナンバー灯のT10だけは同じ球でそろえられる。
室内灯だけは1種類で足りない
適合表はフロントをT8.5(BA9s/G14)、ミドルとリアをT10×31と書き分けている。T10のウェッジ、T8.5の差し込み回転式、T10×31の両端が金具に挟まる棒状(フェストン)は互いに別物だ。もう一方の表ではルームランプセットが取扱いなしとなっており、この車種向けのセット品が広く用意されているわけでもない。買う前に室内灯を1つずつ外して口金の形を見る。 今回の調査では個数と配置までは確認できていない。
GRJ120Wが指す車と、その年代
GRJ120Wは、120系ランドクルーザープラドのうち4.0L V6の1GR-FE型エンジンを積む型式。メーカー自身が公開している車両系統図によると、120系は2002年10月7日に3代目として発売され、その時点のエンジンはV6 3.4L・2.7Lガソリン・3.0Lインタークーラー付ディーゼルターボの3種類、型式もVZJ120/VZJ121/RZJ120/KDJ120/KDJ121とその3ドア版で、GRJ120Wは含まれていない。ランドクルーザー専門店の解説では、V6ガソリンが4.0Lの1GR-FE型(最高出力249PS・最大トルク38.8kgm)に切り替わったのが2005年7月。型式の設定開始年月は資料で表記が割れているため、ここでは断定しない。確かなのは、最も新しい個体でも登録から15年以上が経っているという一点だ。 樹脂もレンズも硬化している前提で手を動かす。
始める前の段取りと着手の順番
平坦で安全な場所に停め、エンジンを切ってキーを抜く。点灯直後のバルブとレンズは高温なので、消してから時間を置いて冷ましてから触る。ハイフラ防止抵抗の追加のように配線へ割り込む作業に進むなら、その前にバッテリーのマイナス端子を外す。バルブのガラス管とLEDの発光面は素手で触らない。工具はプラスドライバー、樹脂用の内張りはがし、手袋があれば大半の箇所に届く。金属のマイナスドライバーでこじらず、樹脂用の工具で留め具の位置を確かめながら少しずつ力を入れる。
着手は、外から手が届いて失敗しても影響の小さい箇所から。ナンバー灯・バックランプ・テールとストップで口金の抜き差しとカプラーの扱いに慣れ、次にレンズを外すだけで届く室内灯、そのあとエンジンルーム側のヘッドライトとフォグへ進む。初めての1本目にヘッドライトを選ばない。 光軸に直接効くうえ、交換後にテスターでの確認がほぼ必須になる箇所だ。
ヘッドライト(H4)の交換手順と配光
ボンネットを開け、ヘッドライト裏側の防水用ゴムキャップを外す。H4は針金状の止め金具(バネクリップ)で押さえられているので、いったん押し込んでから引っ掛かりを外し、バルブを手前に抜く。取り付けは逆で、ユニット側の切り欠きにバルブの台座の向きを合わせ、奥まで座らせてから金具を戻し、ゴムキャップを元どおりかぶせる。キャップが浮くと水が入るので、外周がぐるりと収まっているかを指でなぞる。LEDはドライバーユニットや放熱部が付くので、裏側にそれが収まる空間があるか、ゴムキャップが閉まるかを購入前に見ておく。バルブだけの交換ならヘッドライトユニットは外さない。裏側は手が入りにくい場所なので、無理な体勢で力を入れず、届かなければ工場に任せる。
難しいのはここから先だ。純正のリフレクターはハロゲンのフィラメントの位置と大きさを前提に設計されている。発光部の位置や形が違うLEDに替えると、カットオフライン(対向車をまぶしくさせないための光の切れ目)が崩れたり、光が散って路面の必要なところに届かなくなる。手元が明るくなったように見えても、測ると光度や光軸が基準から外れている、という食い違いが起きやすい箇所だ。国土交通省の運輸局が出しているヘッドライト検査の案内は、内部リフレクタの劣化・レンズ面のくもり・相性の悪いバルブへの交換の3つを並べ、適切な整備・調整が必要だと注意している。この車はその3つが同時に効く年代に入っている。 交換したら、テスターのある工場で光軸と光度を測ってもらうところまでを1つの作業として扱う。
フォグ(HB4)は色の条件で外しやすい
フォグはHB4(9006)。イエローに替えたくなる箇所なので、条文の条件を先に押さえておく。保安基準の灯火関係の条文を条ごとにまとめた一覧では、前部霧灯の灯光の色は白色又は淡黄色であり、その全てが同一であること。左右で白と淡黄色を混ぜると、この「全てが同一」から外れる。 同時に3個以上点灯しないこと、照射光線が他の交通を妨げないこと、点滅するものでないことも並ぶ。取付位置は照明部の上縁が地上800mm以下・下縁が250mm以上で、すれ違い用前照灯の照明部の上縁を含む水平面以下、最外側から400mm以内。色は選べるが、選び方が左右セットで縛られる箇所だと考えておく。
ウインカーのハイフラを数値から潰す
LEDに替えると点滅が速くなる。カー用品メーカーが監修するDIY解説によれば、原因はLED化で消費電力が下がったことにあり、車両側が球切れと判断してしまう。だから対策は抵抗で消費させる方向になり、純正21W相当の電流を流す必要がある。放置できない理由は条文側にある。保安基準の細目を定める告示は、方向指示器の灯光の色を橙色、点滅を毎分60回以上120回以下の一定の周期と定めている。ハイフラはこの毎分120回以下という条件から外れうる。
対策は3通り。外付けのハイフラ防止抵抗を追加する、LED対応(IC)ウインカーリレーに替える、抵抗内蔵タイプのバルブを使う。ただし同じ解説は、抵抗はかなり熱を持ち樹脂パーツに接触していると溶かすほど高温になること、バルブに内蔵すると電子回路やLED部品が限界温度を超えて短命になることを挙げ、メーカー自身は外付けを採用したとしている。リアウインカーは周囲の樹脂部品への熱影響と装着スペースの制約から、冷却ファン付きでの内蔵化が難しいとも述べている。どれを使えるかは現車を見てから決める話で、抵抗を樹脂部品から離して固定できないなら手を出さない。買う段階では、前がT20シングル・後ろがピンチ部違いという書き分けをもう一度見ておく。
後ろまわり(テール・バックランプ・ナンバー灯)
同じ120系プラドで作業した人の記録によると、テールランプまわりの骨格はネジを外して後ろに引っ張り、車体から外してからカプラーを外す、という流れ。作業時間は1時間以内、難易度は初級とされている。片側はトランクドアが干渉して非常に作業しにくい、という注意も添えられている。なおこの記録はテールランプユニット自体の交換で、バルブだけを替えるなら範囲は狭い。ネジの本数や位置は記録に無いので、どこが留まっているかは自分の目で確かめる。
条件のほうも細かい。尾灯は赤色で夜間後方300mから点灯を確認できること、制動灯は赤色で昼間後方100m。そして尾灯と兼用の制動灯は、同時に点灯したときの光度が尾灯のみのときの5倍以上であることが求められる。この車のテールとストップはT20ダブル1本の兼用なので、LED化でスモール点灯時とブレーキ踏み込み時の明るさの差が足りないと、この条件から外れうる。後退灯は白色で昼間後方100m、照明部の上縁が地上1.2m以下。番号灯は白色で、夜間後方20mから数字が読めること。青みの強い製品や、光が横へ逃げて数字面を照らせない製品はここで引っかかる。
LED化で車検を外さない線引き
| 灯火 | 灯光の色 |
|---|---|
| 走行用・すれ違い用前照灯 | 白色 |
| 前部霧灯(フォグ) | 白色又は淡黄色で、その全てが同一 |
| 車幅灯(ポジション) | 白色(方向指示器等と構造上一体は橙色可) |
| 方向指示器(ウインカー) | 橙色 |
| 尾灯・制動灯・後部霧灯 | 赤色 |
| 後退灯(バックランプ) | 白色 |
| 番号灯(ナンバー灯) | 白色 |
国土交通省の運輸局の案内によると、ヘッドライトの検査は令和6年8月1日からすれ違い用前照灯(ロービーム)の審査へ移行した。対象は平成10年9月1日以降に製作された自動車(二輪車、側車付二輪車、大型特殊自動車及びトレーラを除く)で、120系プラドは当然に含まれる。すれ違い用前照灯の性能は、全てを同時に照射したときに夜間前方40mの障害物を確認できること。
ここで1つ、よく使われる言い方を捨てておきたい。条文に色温度(ケルビン)の合否ラインは無い。 定められているのは灯光の色であって、上の表のとおり白色・淡黄色・赤色・橙色という言葉で書かれている。何ケルビンまでなら通る、という言い方は条文に対応していない。青みが強い製品ほど白色から外れる方向に近づく、という理解で選ぶ。ケルビンは明るさの指標でもないので、数値の大小で明るさを比べない。
交換後にその場で確かめること
スモールから順に全部の灯火を点け、左右で色と明るさが揃っているかを外から見る。ウインカーは左右とも出して点滅の速さを確かめる。ブレーキを踏み、スモールだけのときよりはっきり明るくなるかを見る。ギアをRに入れてバックランプの点灯を確認する。ナンバー灯は夜に後ろへ回り、数字が読めるかを見る。
うまくいかないときの当たりの付け方も決めておく。点かないならカプラーの差し忘れかLEDの極性の向き。片側だけ点滅が速いなら、その側のハイフラ対策の入れ忘れ。球が入らないなら口金の取り違えかピンチ部の向き。戻したらガタつくならレンズやカバーの爪の折れ。ヘッドライトを触った日は、光軸を測ってもらうまでが作業のうち。 爪が折れた、カプラーが割れた、元に戻らないと感じた時点で工場へ持ち込む。作業を止める判断も手順の一部だ。
よくある質問
GRJ120Wは年式でバルブが変わらないと考えてよいのか
参照した2つの適合表はどちらも前期・中期・後期の区分を設けず、平成14年10月から平成21年8月までを1本で括っている。その範囲なら年式を気にせず読める。ただし表の対象はハロゲン仕様車で、それ以外の仕様の記載は無い。年式ではなく仕様のほうを現車で確認する、と考えるのが正しい。
ハイビーム用のバルブが適合表に載っていないのはなぜか
H4がロー・ハイを1本で兼ねる規格だから。ハイビーム専用の球が別に付いているわけではない。LEDのH4を選ぶときにハイビーム側を別途買う必要はなく、前照灯で交換するのは左右各1本になる。
フォグをイエローのLEDにしても車検は通るのか
前部霧灯の灯光の色は白色又は淡黄色で、その全てが同一。淡黄色そのものは条件の内側にある。外れるのは左右で白と淡黄色を混ぜたときだ。替えるなら左右そろえる。
室内灯はセット品を1つ買えば全部そろうのか
そろわない。適合表がフロントをT8.5(BA9s/G14)、ミドルとリアをT10×31と書き分けていて、口金の形が別物だからだ。もう一方の表ではルームランプセットが取扱いなしとなっている。実際に外して口金を見てから買う。
抵抗内蔵バルブだけでハイフラは止まるのか
仕組みの上では止まる。ただしDIY解説は、内蔵すると抵抗の熱で電子回路やLED部品が限界温度を超えて短命になること、リアは樹脂部品への熱影響と装着スペースの制約で冷却ファン付きの内蔵化が難しいことを挙げ、メーカー自身は外付けを選んでいる。長く使うつもりなら外付けかLED対応リレーを先に検討する。
注文前と作業当日の段取りまとめ
やることを順番に畳んでおく。まず自車のヘッドライト裏の口金を1本抜き、H4かどうかを確定する。次に部位別の表から必要な形状を控え、買う候補を箇所ごとに1つへ絞る。室内灯だけは実際に外して口金を見てから絞る。ウインカーはハイフラ対策の組み合わせまで含めて1つに決める。ここまで絞れたら、注文の直前に選んだ商品の適合情報と自車の形状を突き合わせて終わりだ。作業は後ろまわりから始め、ヘッドライトは終盤に回す。触った日は光軸を測ってもらう。年式で迷わなくていい車だから、自分で確認すべきはヘッドライトの仕様と室内灯の口金の2点に絞れる。

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